ヒートシンク 【heat sink】

概要

ヒートシンク(heat sink)とは、機器の動作時に発生する熱を速やかに外部に放出するために装着される部品。熱伝導率の高い金属を用いた製品が多い。

IT機器の場合は、半導体チップIC)の電力消費により発生する熱を速やかに取り去り、過熱による損傷や性能低下を防止するための金属部品を指すことが多い。

体積当たりの表面積を増やして放熱効果を高めるため、底面に板状や棒状の部材(フィンと呼ばれる)を高密度で等間隔に並べた構造になっているものが多く、底面がチップ上面に密着するように置いて固定する。

ヒートスプレッダ (heat spreader)

機器の内部で部品から発生する熱を速やかに移動・拡散するために用いられる器具をヒートスプレッダという。ICチップから放熱器(CPUクーラーやヒートシンクなど)に効率よく熱を移動させる金属板がよく知られる。

近年のICチップは高密度化が進み表面積あたりの発熱量が全体的に増大しているほか、稼働効率の高い一部の回路の周辺が局所的に高熱にやりやすいという特性がある。ヒートスプレッダは金属板など一様な材質の熱を伝達する媒体で、発生した熱を媒体全体に速やかに拡散させることで過熱を防ぎ、また、放熱器の効率を向上させる効果がある。

目的や構造上、それ自体に高い放熱効果があるわけではなく、ファンやヒートシンクなどの放熱器具と発熱体の間に挟んで利用するのが一般的である。

ヒートパイプ (heat pipe)

熱を効率的に移動させるための金属などでできた棒状の器具をヒートパイプという。中に気化しやすい液体(作動液)が封入されており、高温側で蒸発したものが空洞を通じて移動し、低温側で液化するという循環を繰り返して熱を移動する。

コンピュータなどの電子機器の場合には、携帯機器など内部に空間が少なく装置が密集している機器で採用例がある。こうした機器では換気や金属部品の熱伝導では外部への排熱が不十分なため、高熱を発する半導体などの周囲にヒートパイプを張り巡らせ、外装などとの間で熱を移動させて冷却をう。

グラファイトシート (graphite sheet)

炭素の同素体の一種であるグラファイトを薄い膜状に加工したものをグラファイトシートという。平面方向への熱伝導率が金属よりも高いという優れた特性があるため、放熱部品などに貼り付けて熱を面状に素早く広げることで、一ヵ所に熱が集中して過熱するのを防いだり放熱効率を向上させることができる。

(2018.1.8更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる