ゴースト【ghost】

概要

ゴーストとは、映像や音声、写真などに本来存在しないはずの像や信号が重ねて現れる現象。テレビやラジオの受信、機器間の信号伝送、写真撮影など複数の場面で用いられ、いずれも信号や光が遅れたり反射したりして本来の内容に重なることで生じる。

音声・映像のゴースト

音声・映像の再生時に生じるゴーストは、同一の信号が複数の経路を通って時間差を伴って届き、本来の内容に重畳することで発生する。音声であれば、こだまのように遅れた成分が小さく重なって聞こえ、映像であれば輪郭のずれた像が画面にうっすらと重なって表示される。

テレビやラジオなど電波を伝送経路に含む場合は、電波が建物や山などにあたって回折・反射し、複数の経路から時間差で受信機に届く「マルチパス」(multipath)と呼ばれる現象が主な原因となる。近隣に障害物の多い環境で生じる放送の受信障害の典型的な症状の一つである。

音響・映像機器を有線で接続する場合にも、ケーブルやコネクタ、終端回路のインピーダンス不整合によって電気信号に反射波が生じ、本来の信号に遅れて重なって伝わることでゴーストが発生することがある。これらはアナログ方式の伝送・再生に伴う現象であり、デジタル伝送やデジタル放送ではエラー訂正や信号処理の過程で除去されることが多いため、近年では発生しにくくなっている。

写真のゴースト

写真におけるゴーストは、太陽や街灯など強い光源を含む光景を撮影した際に、レンズの表面や内部、撮像素子で光が不規則に反射を繰り返すことで生じる光学現象である。像の中に周囲と明るさや色味の異なる小さな領域やシミ、円環状のパターンが、光源と画面中心を結ぶ直線上に対称に並んで写り込む。

レンズの構成枚数やコーティングの状態によって発生の程度は異なる。なお、画面全体が白っぽく霧がかかったようになる現象は「フレア」(flare)と呼ばれ、ゴーストとは区別されることが多い。近年ではレンズ表面への反射防止コーティングやレンズ構成の最適化によって発生を抑制する技術が進歩している。

他のゴースト

この他、ディスプレイにおいて液晶応答速度が追いつかず、動く物体の輪郭が残像として引きずる現象もゴーストと呼ばれる。ソフトウェアやネットワークの分野では、実際には稼働していないにもかかわらずシステム上に残存しているプロセスや端末のセッションを指す語としても用いられる。

(2026.6.19更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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