アドホック 【ad hoc】
概要
アドホック(ad hoc)とは、特定の目的のための、その場限りの、取ってつけたような、暫定的な、などの意味を持つラテン語表現。英語など多くの言語で同様の意味の外来語表現として取り込まれている。ラテン語で “ad” は「~について」、“hoc” は「これ」という意味で、恒久的に、あるいは当初から計画的に用意されたものではなく、その場で当座の用を果たすため応急的に、あるいは特定の限定された目的や対象のために仕立てられたことを表す。
「アドホック通信」「アドホック分析」のように行為や活動について用いる場合も、「アドホックグループ」「アドホック委員会」のように組織形態について用いる場合もある。「アドホックな解決策」のように形容動詞的に名詞を修飾する用法も見られる。
コンピュータネットワークの分野では、携帯機器など恒久的に設置されたのではない機器によって形成されるその場限りのネットワークを「アドホックネットワーク」という。特に、無線通信で基地局に相当する機器を介さずに端末同士が直に接続して通信する方式をこのように呼ぶ。
無線LAN(Wi-Fi)では、その場にある端末同士で即興のグループを形成し、固定的に設置されたアクセスポイント(AP)を介さずに通信する「アドホックモード」という動作モードが用意されている。端末が一対一で直接やり取りする機能で、スマートフォンなど携帯機器同士をその場ですぐに繋ぎたいときに利用される。
(2025.8.16更新)