HDR 【High Dynamic Range】 ハイダイナミックレンジ
概要
HDR(High Dynamic Range)とは、写真や動画を撮影する際に、通常よりも幅広く明暗の差(ダイナミックレンジ)を捉え、肉眼で見た時に近い鮮明な画像を得る技法。また、そのような手法で撮影された画像や映像。露出の異なる複数の像を撮影し、これを合成して一枚の像を生成する。カメラなどの機器が対応できる明暗のダイナミックレンジ(コントラスト比)には限度がある。夜景や逆光の人物など明暗が極端に異なる光景の場合、明るい部分がはっきり映る設定で撮影すると暗い部分が真っ暗に潰れてしまい、逆に、暗い部分に合わせると明るい部分が真っ白に飛んでしまう。
HDRではこのような場合に、一度に何段階かの異なる露出で同じ光景を撮影し、これを電子回路やソフトウェアで一定の計算手順に基いて合成して、明るいところも暗いところもくっきりと映った画像に合成する。
HDRビデオ
映像におけるハイダイナミックレンジは、ブラウン管の特性に制約されていた従来の映像(SDR:Standard Dynamic Range)よりも表現できる輝度の幅を広めたものを指す。特に、最大輝度をSDRの100cd/m2から10000cd/m2まで広げ、色深度を従来の8ビット256段階から10ビット1024段階あるいは12ビット4096段階に拡張したものを指す。
HDR形式の映像は撮影、編集、表示まで一貫してHDR対応である場合に真価を発揮する。そのための規格として「Dolby Vision」(ドルビービジョン)、「HDR10」、「HDR10+」、「HLG」(Hybrid Log-Gamma」などの標準が定められており、それぞれ対応する映像ソースおよび対応機器の組み合わせで楽しむことができる。
(2024.1.22更新)