読み方:フレームもんだい

フレーム問題 【frame problem】

概要

フレーム問題(frame problem)とは、現実の問題に取り組む際、実世界の膨大な情報や対象の中から、どのようにして問題に関係のあるものだけを絞り込めるかという問題。

将棋を指すAIには将棋の盤面情報しか入力しないため、必要な情報を取捨選択する必要はないが、現実世界で稼働するロボットを制御するAIを開発しようとすると、実世界で遭遇する物体、起き得る事象の可能性の中から、与えられた課題に関係するものだけを絞り込まなければならない。

何らかの動作を実行した際の影響について、ありとあらゆる対象のありとあらゆる事象について評価しようとすると、有限の処理能力と有限の制限時間では困難となる。課題と無関係な事象の評価を回避しようとして「関係があるかどうか」を検討し始めると、ありとあらゆる可能性について関係あるかどうかを考えなければならず、やはり有限の能力では絞り込むことができない。

人間は毎日の生活で「このドアを開けたら天井が降ってこないだろうか」といったことをいちいち心配しているわけではなく、行動にあたって検討すべき事柄の取捨選択を無意識のうちに行っている。どのようなメカニズムでこれを実現しているのかは不明で、人工知能で同じ仕組みを再現することもできない。

現在のAIは特定の対象や課題のみを取り扱う特化型AIであり、入力する情報は問題に関係あるものだけに制限されているためフレーム問題は生じにくいが、対話型AIなどは自然言語のコミュニケーションにおける「文脈」を解釈する必要があり、適切なフレームを設定できずに頓珍漢な回答を返すことがある。今後、自動運転車やAIロボットなど現実世界で活動するAIの開発が本格化すると、フレーム問題にどのように取り組むかが重要な課題の一つになる。

(2025.8.26更新)

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