Napster
概要
Napsterとは、1999年に公開された、インターネットを通じて個人間で音声ファイルの交換を行うことができるファイル共有ソフトおよび同名の開発元企業。また、同社の後継企業が2003年に開始した音楽配信サービス(二代目)、および、さらに後継の企業が2016年に開始した音楽配信サービス(三代目)。音楽ファイル共有ソフトとしてのNapsterは、当時米ノースイースタン大学の学生だったショーン・ファニング(Shawn Fanning)氏が開発・公開したもので、利用者のパソコンに保存されているMP3形式の音声ファイルのリストを同氏らの創業したNapster社の運営する楽曲リスト共有サーバに送信する。
これを世界中の利用者が共有することにより、互いに他の利用者の所持する音楽ファイルを検索し、ダウンロードすることができる。中央サーバはファイル検索データベースの提供と利用者間の接続の仲介のみを行っており、音楽データ自体のやり取りは利用者のパソコン同士が直接接続して行われる。
Napster登場当初はアメリカの大学生の間で大流行し、回線への負担の大きさから利用を禁止する大学が続出し、話題となった。Napsterで流通している音楽データの多くが市販のCDなどからの違法コピーであることから、同社は全米レコード工業会(RIAA)に著作権つき楽曲データの発見と排除(事実上の運営差し止め)を求め提訴され、2000年7月に敗訴、サービスを停止した。
Napsterは多数の個人を直接つないで情報を共有する「P2P」(Peer to Peer)と呼ばれるインターネットの新しい利用形態を提示した初めての大規模なサービスであり、これに刺激を受けて類似のソフトやサービスが多数公開された。P2Pネットワークで共有されるファイルは画像や動画、ソフトウェアなどに広がり、世界各国でファイル共有ソフトと著作権をめぐって多くの事件が起き、政府や有力企業、団体を巻き込んだ大規模な論争を呼び起こした。
音楽配信サービスとしての復活
同社はファイル共有サービスの停止後倒産し、2002年11月に米ソフトウェアメーカー、ロキシオ(Roxio)社に買収された。同年10月にインターネットを通じてDRM技術で著作権保護が施された(後にDRMフリーに変更)楽曲データを有料で配信する音楽配信サービス「Napster 2.0」を開始した。同社は2004年8月に社名自体をRoxioからNapsterへ変更した。
新生Napster社は日本ではタワーレコードと合弁でナップスタージャパン株式会社を設立し、2006年10月から音楽配信サービスNapsterを開始した。1曲150円で購入できるコースと、月額1,280円(携帯音楽プレーヤーに転送する場合は1,980円)でダウンロードし放題というユニークな料金体系のコースを用意しており、NTTドコモと提携して携帯電話向けにも配信サービスを提供した。
三代目Napster
新Napster社は2011年末に同業の米ラプソディー(Rhapsody)社に買収され、Napsterブランドのサービスも同社のRhapsodyサービスに統合される形で終了した。2016年に同社は音楽配信サービスの名称をRhapsodyからNapsterに変更し、三代目となるNapsterブランドのサービスが開始された。