バックドア型ウイルス 【backdoor virus】
概要
バックドア型ウイルス(backdoor virus)とは、コンピュータウイルスの振る舞いについての分類で、感染したコンピュータ上に外部から接続できる窓口を設け、攻撃者が遠隔からコンピュータを不正に操作できるようにするもの。このタイプのウイルスは感染すると目立った破壊活動などは行わず、代わりにインターネットなどを通じて外部から特定の人間がコンピュータの操作権限を取得して任意の操作が行える窓口としてシステム上に常駐する。このように利用者に気付かれずに操作する侵入口を「バックドア」(backdoor:「裏口」の意)という。
ウイルスの作者や共犯者などの関係者は、この裏口を用いてコンピュータを不正に操作し、秘密情報の取得や利用者の外部との通信の盗聴、あるいは他のコンピュータなどへの不正アクセスの「踏み台」として悪用する。外部の攻撃に悪用された場合には、利用者が捜査機関に犯人と誤認される危険もある。
2012年には日本で、真犯人に不正なプログラムでコンピュータを遠隔操作された被害者が、他のコンピュータへの不正アクセスや業務妨害などの犯人と疑われ、捜査機関が真犯人の存在に気付かないまま起訴されてしまう冤罪事件が発生した。
この事件は一般には「遠隔操作ウイルス事件」として大きく報じられたが、実際に用いられたのは厳密にはコンピュータウイルスではなく遠隔操作型のトロイの木馬(一見有用なソフトウェアに見せかけた有害ソフトウェア)だったことが分かっている。
(2018.7.9更新)