読み方:ローブナーしょう
ローブナー賞 【Loebner Prize】 ローブナーコンテスト
概要
ローブナー賞(Loebner Prize)とは、人間に似た応答をするチャットボット(会話プログラム)の競技会。また、競技会で最も人間に近いプログラムに送られる賞。1991年から2019年まで年に1回開催されていた。アメリカの発明家ヒュー・ローブナー(Hugh Gene Loebner)が創設した賞で、文字による対話を行うチャットプログラムに審査員が質疑応答を行い、最も人間に近い応答をしたプログラムを表彰するというもの。賞金は初期の大会で2000ドル、後期には3000ドルだった。
この審査方法は数学者のアラン・チューリングが提唱した「チューリングテスト」の方式を踏まえている。チューリングは「人間が機械と対話して、機械であると見抜けなければ、原理はどうあれ人間と同じ知能がある」として、文字によるやり取りを繰り返すテスト形式を考案した。
ローブナー氏の言動や大会運営の杜撰さ、学術的な貢献への軽視など様々な理由から、主流の人工知能研究者の多くはこの賞に批判的だったとされ、人工知能研究の大家であるマービン・ミンスキー氏からは名指しで廃止を希求されるほどだった。
実際、大会に出品されたプログラムには何十年も前のチャットボットと同じレベルの質の低いものも多かったとされ、「返答にわざとタイプミスを混ぜることで人間らしさを演出する」など、人間の知能の再現とは無関係な小手先のテクニックを弄するものまであったという。
(2025.9.4更新)