RIPEMD 【RACE Integrity Primitives Evaluation Message Digest】
概要
RIPEMD(RACE Integrity Primitives Evaluation Message Digest)とは、任意の長さの原文を元に128ビットまたは160ビットの値を生成するハッシュ関数(要約関数)の一つ。生成された値はハッシュ値(RIPEMDハッシュ)と呼ばれる。ハッシュ関数は入力データから規則性のない固定長のデータを算出する関数で、同じ入力値からは必ず同じ出力値が得られる一方、わずかでも入力値が異なるとまったく違う出力値になる。RIPEMDはハッシュ値から入力値を割り出したり、同じハッシュ値となる別の入力値を求めることが困難になるよう設計された「暗号学的ハッシュ関数」の一つである。
データの伝送や複製を行なう際、入力側と出力側でハッシュ値を求めて照合すれば同一性を簡単に確認でき、途中でデータの改竄や欠落、破損などが起こっていないことが分かる。入力値の推測困難性から、暗号や認証、デジタル署名などの要素技術としても用いられている。
RIPEMDとは
RIPEMDは1992年にベルギーのルーヴェン・カトリック大学で考案されたアルゴリズムで、当初の仕様では128ビット(16バイト)のハッシュ値を算出する。先行するハッシュ関数の「MD4」の改良版として考案された。
1996年にセキュリティ上の弱点が見つかったため、算出法を改善した「RIPEMD-!28」、ハッシュ長を160ビットとした「RIPEMD-160」、256ビットの「RIPEMD-256」、320ビットの「RIPEMD-320」が公開された。一般にはRIPEMD-160がよく用いられる。
RIPEMDはSSL/TLSやSSHなどでクライアントとサーバの双方が対応していれば利用できるほか、ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の要素技術としても用いられている。現在ではSHA-2などのより安全なハッシュ関数が提供されているため、新たに採用することは推奨されていない。
(2024.8.5更新)