VHDL 【VHSIC Hardware Description Language】

概要

VHDL(VHSIC Hardware Description Language)とは、ALGOLやAdaに似た記法や構文を持つ著名なハードウェア記述言語の一つである。1981年に米国防総省が開発したもので、1987年にIEEE 1076として標準化された。

HDLの中では機能が豊富で抽象度の高い記述がしやすいとされるが、厳密なデータ型を用いるため、初心者にとってはとっつきにくいとも言われる。データ型の定義や論理回路設計に関して非常に厳密であり、これが高い精度と信頼性を提供する反面、学習曲線を急にする要因となることもある。この厳格な構文が設計ミスを減らし、大規模なシステム設計を円滑に進めるためには重要な要素となる。

VHDLは、複雑な回路やシステム設計する際に、その抽象化のレベルを柔軟に調整できる。設計者は、低レベルの論理ゲートから、システム全体の構成まで、さまざまな抽象度で回路を記述することができる。この柔軟性により、設計の初期段階でシステム全体をモデリングし、その後詳細設計へと移行することが容易になる。

また、豊富なシミュレーション機能で知られており、設計者は回路の動作をシミュレータで確認し、設計ミスを早期に発見することができる。VHDLのテストベンチ機能により、システムの各コンポーネントが想定通りに機能しているかを検証できるため、最終的な製造プロセスに進む前に不具合を解消することが可能である。信頼性の高い回路設計を実現するために重要な機能となる。

(2025.2.5更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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