Share

概要

Shareとは、日本で開発・配布されたWindows用のファイル共有ソフト(P2Pソフト)の一つ。これが実行されているコンピュータ間でネットワークを形成し、互いの持つファイルを自由に送受信することができる。

2000年代初頭に日本で人気の高かったファイル共有ソフトWinny」についての匿名掲示板「2ちゃんねる」(当時)での議論を受けて匿名の開発者が開発・配布し始めたもので、2004年1月に最初のバージョンが公開された。仕様の多くはWinnyを踏襲しているが、いくつか大きく異なる点もあり、直接の互換性はない。

中央集権的な管理サーバを使用せずに各ノードが対等の関係で通信する、いわゆるピュアP2P型のネットワークを形成し、各ノードは他のノードの持つファイル検索し、欲しいファイルの送信を依頼することができる。ダウンロードしたファイルキャッシュとして保管され、別のノードの依頼により転送される。人気のファイルネットワーク上に次々複製されていく。

操作画面上では自分がどのファイルを誰(どのIPアドレス)に送信しているのかも、どのファイルを誰から受信しているのかも知ることはできない。通信暗号化されるため、伝送途上で第三者が通信を傍受してもそのままでは内容を知ることはできない。

Winnyとの違い

Winnyには無い特徴として「拡散アップロード」と呼ばれる仕組みがあり、各ノードは誰からも送信依頼がなくても一定の基準に従って手持ちのファイルを近傍のノードに能動的に送信して複製する。これにより、ネットワークに新たに追加されたファイルが比較的速やかに拡散していくとされる。

また、完全なキャッシュを持たないノードファイルの断片を他のノードに提供することができ、受信時は様々なノードから断片を集めて繋ぎ合わせ、ファイルを組み立てることができる。この機能もファイルの拡散の高速化に寄与するが、時間が経つと不完全な断片ばかりが流通し、いつまで集めても全体が揃わないという現象が起きがちになると指摘されている。

他にも、ファイル容量の上限の緩和(2GB→32GB)、キャッシュ容量の上限の設定、関心の近い利用者同士を繋げるクラスタ機能の拡張(設定キーワード3つまで→5つまで)などの点がWinnyと異なっている。

利用動向

Shareの作者は違法なファイル共有を控えるよう警告しており、フリーソフトウェアの流通など適法な利用も一部でわれたものの、他の多くの匿名性の強いファイル共有ソフト同様、主な利用実態は著作権法その他の法令に違反する不正なファイルの配布・交換となっている。

2008年以降は警察当局の監視・巡回活動が本格化し、利用者が繰り返し摘発されている。2010年代には関連法改正などの影響も受け利用者の減少傾向が定着している。

(2019.1.28更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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