読み方 : そうほうこうアールエヌエヌ

双方向RNN【bidirectional Recurrent Neural Network】

概要

双方向RNNとは、リカレントニューラルネットワークRNN)を拡張し、系列データの前方向と後方向の両方を参照して出力を決定できるようにしたもの。自然言語の文章や音声を扱う際に文脈をより的確に捉えることができるようになる。
双方向RNNのイメージ画像

RNNは出力を次の入力にフィードバックさせるループ構造を持ったニューラルネットワークで、文章や音声、動画など時系列に展開するデータを扱うのに適している。通常のRNNは時系列を過去から未来へ一方向に展開し、過去のデータからのフィードバックだけを出力に反映させることができる。

双方向RNNは二つの独立したネットワークを組み合わせ、片方は過去から未来へ状態を伝播させ、もう片方は未来から過去へ逆向きに状態を伝播させる。ある時刻の出力は、それ以前のデータとそれ以降のデータの両方の文脈を組み合わせて計算される。

例えば文章を扱う場合、通常の単方向RNNでは、ある単語の解釈は文中でその単語より前に出現した単語群が形成する文脈のみから行われるが、双方向RNNでは、その単語以降の文末までの文脈を加えて解釈される。言語によっては単語の修飾が単語より後に来る表現が一般的な場合があり、前後の文脈を反映させた方が適切な理解に繋がる。

なお、処理の開始時点で未来のデータが揃っていないリアルタイム入力を扱う場合や、データの終端があらかじめ決まっていないストリーミングデータの処理など、未来のデータを事前に確定できない用途に用いるのは難しいという制約がある。

(2025.12.10更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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