チート 【cheat】

概要

チート(cheat)とは、いかさま、ごまかし、詐欺、不正行為などの意味を持つ英単語。ビデオゲームなどで、非正規な手段を用いて進行が有利になるようにゲーム内の状態を改変する行為などを俗にチートという。派生して「不正でもしたかのようにすごい」という意味の褒め言葉として用いられることも多い。

日本におけるカタカナ語の「チート」はインターネットで広まった俗語(ネットスラング)の一つで、開発者や運営者が想定しない非公開の機能や非正規のツールなどを用いてゲームの挙動や状態に干渉し、本来の仕様では不可能な行為や操作を行ったり、ゲーム内の状態を自らに有利な状態に変更するといった行為を意味する。

オンラインゲームにおけるチート

一般にチートという場合はオンラインゲームにおける不正行為を指すことが多い。他のプレーヤーも参加するゲーム内で、クライアントソフトプログラムデータを不正に書き換えたり、運営側のサーバとの通信に介入したり、動作を解析して開発した特殊な外部ツールを用いるなどして、キャラクターを自動操縦したり、強さなどを表すパラメータを不正に書き換えたり、アイテムやゲーム内通貨などを不正に入手することを指す。

多くのオンラインゲームでは会員規約でチート行為の定義と罰則を記述して禁止しており、運営元に露見するとアカウントの凍結や削除、不正に入手したアイテムやゲーム内通貨などの没収といった罰が与えられる。ただし、運営元の対応が不完全だったり、チート行為に対する姿勢があいまいだったりして、プレーヤーコミュニティとトラブルになる例もある。

国によってはチートが法律に抵触する場合もあり、民事での損害賠償請求の対象となることもある。日本ではチートツールの使用者が電子計算機損壊等業務妨害罪に、ツールの販売者に不正競争防止法違反に問われた例がある。海外ではチートツールの開発者などを相手取った訴訟で巨額の賠償が確定したケースも見られる。

単独プレイにおけるチート

オンライン機能が無いゲームや単独プレイモードで遊ぶ場合でも、改造ツールなどを利用してゲーム内の状態に非正規に干渉し、パラメータなどを任意に操作したり、本来は不可能な状態を作り出すことをチートということがある。

最近では、正規のゲームソフト自体に、特定のコマンド入力することでキャラクターを最強の状態にするといった機能が実装されていることがあり、この機能のことをチートと呼んだり、入力するコマンド(多くの場合は非公開)のことを「チートコード」「チートコマンド」という場合がある。この用法では不正の意味合いはない。

派生的な用法

ゲームのチート行為から派生して、小説や漫画、アニメなどに登場するキャラクターが(作中世界内の)現実にはありえないようなとんでもなく高い能力や技能を備えていることを指して「チート能力」「チートスキル」のように表現する用法が広まっている。

これは「まるでゲームでチート行為でもしたかのようにすごい」「チートでもしない限り不可能なほどありえない強さだ」といった一種の比喩であって、オンラインゲームの場合のような「不正に得た」という含意はない。

さらに、若い世代を中心に、架空の存在ではなく現実の社会で飛び抜けて優れたスポーツ選手やチーム、棋士などを褒め称えて「チート級」などの表現を用いることが増えている。これも不正を疑うニュアンスは無く、純粋に卓越した業績や能力を称賛する意図の表現である。

(2023.12.5更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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