読み方 : じょうけんつきかくりつ

条件付き確率【conditional probability】

概要

条件付き確率とは、ある事象が起きたという前提のもとで別の事象が起きる確率。確率をより具体的な状況に基づいて評価するために用いられる。
条件付き確率のイメージ画像

全体の中での起こりやすさではなく、特定の条件が成立している部分集合に限定したときの起こりやすさを表す確率である。例えば、ある集団の中から人を一人選ぶ場合に、すでに「成人である」という条件が分かっているときに「学生である」確率を求めるといった状況である。確率算出の対象となる母集団は成人に限定されるため、条件を課さない場合とは異なる値になる。

事象Aが起こる確率を P(A) 、事象Bが起こる確率を P(B) 、両方が同時に起こる確率を P(A∩B) とすると、Bが起きたときのAの条件付き確率 P(A|B) は P(AB)P(B) で定義される。ベン図で考えると、条件が成立している範囲(Bの範囲)の中でAが占める範囲(全体の中ではA∩Bの範囲)の割合として理解できる。もし事象Aと事象Bが独立であれば、Bが起きてもAの確率は変わらないため P(A|B)=P(A) となる。この関係は事象の独立性を調べる際に有用である。

条件付き確率は医療分野での検査結果の信頼性評価や、機械学習における分類モデルの精度評価など、様々な分野で活用されている。統計的推論の基本的な概念の一つであり、ベイズの定理をはじめとする多くの統計手法の基盤にもなっている。

(2025.12.12更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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