読み方:とうロボくん

東ロボくん 【Todai Robot Project】

概要

東ロボくん(Todai Robot Project)とは、2011年に国立情報学研究所が中心となって開始された、東京大学の入学試験で合格点を取ることができるAIを開発するプロジェクト。

プロジェクトの正式名称は「ロボットは東大に入れるか」で、2021年までに東大入試に合格できる人工知能システムを実現することを目指していた。教科によって様々なアルゴリズムを組み合わせるため一概には言えないが、基本的には事前に与えた膨大なデータの中から統計的に最も関連性の高い内容を抽出する統計的手法が用いられた。

システムにペーパーテストの内容をテキストデータに変換したものを入力すると、内容を解析して回答を出力する。図表は画像データとして与える。問題用紙の直接スキャン、答案用紙へのロボットアームによる記入も構想され、後者は共同研究機関の一社であるデンソーにより部分的に成功した。

実際の国立大学の試験科目に合わせて英語、国語、数学、理科、社会の5教科8科目に回答することができ、実際の入試問題や模擬試験の問題で性能が測定された。2016年には当時の大学入試センター試験形式の模試で偏差値57.1相当と判定され、私立大学の大半と一部の国公立大学は合格圏内との評価を得た。

2016年の性能測定では前年からほとんど得点が伸びず、図表の理解が困難な点や統計的手法ではこれ以上の大幅な改良は見込めないことなどから、入試と同じ形式での測定は打ち切りとなり、事実上のプロジェクト終了となった。その後も一部の研究者が英語のアルゴリズム改良などに取り組んでおり、成績を伸ばしている。

実際の東京大学の2次試験で合格点を取ることは叶わなかったが、数学では東大合格レベルの点数を得ることもあったとされる。ちょうど2010年代後半から統計的手法に代わってニューラルネットワークを応用したディープラーニングによる機械学習システムが主流となり、成果が後世に直接活かされることはなかった。

(2025.9.10更新)

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