ストライド【stride】

概要

ストライドとは、歩幅、またぐ、大股で歩く、などの意味を持つ英単語。畳み込みニューラルネットワークCNN)では、データの局所的な特徴を抽出する際、特徴を表すフィルタ(カーネル)をデータの上で移動させる刻み幅を指す。事前に決めておく設定値(ハイパーパラメータ)の一つで、特徴抽出の密度を調整する。
ストライドのイメージ画像

ニューラルネットワークの特殊な層の構造である「畳み込み層」は、脳の視覚野にある「単純型細胞」の働きを模したもので、画像のように空間構造を持つデータの中から局所的な特徴を抽出し、その位置を下層に伝える働きをする。

画像解析の場合、縦線、横線、曲線といった画像に含まれる断片的な小さな特徴に対応する「フィルタ」あるいは「カーネル」という小さな行列を用意し、これを画像の左上から右下へ一定の幅で移動しながら、各位置のデータと照合する。全体をスキャンしたら、フィルタの特徴を発見した位置を特徴マップにまとめて下層へ出力する。

この畳み込み操作における一回の移動幅がストライドで、1以上の整数で表される。例えば、ストライドが「1」なら、画像内のある画素を始点にフィルタのパターンを照合したあと、始点を1画素隣へ移動して、その位置から再び照合を行う。ストライドが「2」なら2画素ずつ、「4」なら4画素ずつ隣に移動していく。

ストライドが大きいほどフィルタの照合回数が減り、出力される特徴マップのサイズは小さくなる。特徴量をより大まかに捉え、細かな位置ズレに影響されにくくなる。逆に、小さなストライドを設定すれば、入力データの詳細な情報を保持したまま、密度の高い特徴抽出が可能となる。空間的な解像度と計算量のバランスを取るため、用途に応じた最適な値を設定する必要がある。

(2025.12.5更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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