SPARC 【Scalable Processor Architecture】
概要
SPARC(Scalable Processor Architecture)とは、米サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)社(現Oracle社)のCPU(MPU/マイクロプロセッサ)製品のシリーズ名。また、同シリーズ製品に共通する命令セットアーキテクチャ(ISA)の名称。単純な少数の命令のみを備え、実行効率の向上を図る「RISC」(Reduced Instruction Set Computer)方式の代表的なプロセッサの一つである。主に同社のワークステーション製品(SPARCstationシリーズなど)やサーバ製品(SPARCserverシリーズなど)に採用された。
最初の製品は32ビットの「SPARC V7」アーキテクチャに基いて設計され、1987年に出荷された。改良版の「SPARC V8」に基づく製品は「SuperSPARC」「HyperSPARC」「TurboSPARC」「microSPARC」、64ビット版の「SPARC V9」に基づく製品は「UltraSPARC」のシリーズ名で展開された。
1989年に業界団体のSPARCインターナショナルが設立され、仕様の策定や「SPARC」商標の管理、製品の互換性テストなどが同社から移管された。ライセンスを受けてSPARCアーキテクチャのプロセッサを設計・製造したメーカーとしては富士通がよく知られており、2011年に世界一となったスーパーコンピュータ「京」にもCPUとして同社製の「SPARC64 VIIIfx」が採用されている。
Sun社はSPARCとこれを内蔵したコンピュータ製品、オペレーティングシステム(OS)の「Solaris」を垂直統合した事業モデルを展開し、1980~90年代に業務用システムが大型コンピュータから小型のUNIXシステムに置き換わるダウンサイジングの流れを主導した。
2010年にSun社が米データベース最大手オラクル(Oracle)社に買収されるとSPARCへの投資は次第に下火になり、2017年にSPARC関連事業は廃止された。富士通も京後継のスーパーコンピュータ「富岳」では英アーム(ARM)系のアーキテクチャに移行し、2022年にはSPARCプロセッサ及び搭載システムの販売を2029年で終了すると発表した。