フェイルセーフ 【fail safe】 フェールセーフ
概要
フェイルセーフ(fail safe)とは、機器やシステムの設計や構造などについての考え方の一つで、一部の故障や破損、操作ミス、誤作動などが発生した際に、なるべく安全な状態に移行するような仕組みにしておくこと。社会的な仕組みに関する規定や手順などにこの考え方を適用することもある。機器の操作や使用に際して、故障や誤作動、誤操作などが起きるものだという前提に立ち、実際にそのような状況が生じたときに周囲の人や物に害が及ばないよう、自動的に安全側に導くような制御方式や動作原理を設計や構造に組み込む考え方である。
例えば、転倒すると自動的に消火する石油ストーブや、制御装置が停電すると制御棒が自重で落下して核反応を停止させる原子炉、停電・故障すると遮断桿が降りた状態で停止する踏切、全エンジンが停止しても滑空して着陸できる飛行機などがフェイルセーフな設計と言える。
また、建設現場や工場などの生産現場、鉄道の運行、航空管制、情報システムの運用など、何らかの社会的な活動や仕組みの運用においても、誰か一人の失敗や勘違い、どこか一か所の不良が即座に重大な事故や損害に繋がらないように定められた規定や手順、仕組みなどもフェイルセーフという。
これに対し、一部が機能を失っても全体としての機能を保ち、正常に稼動させ続けることは「フォールトトレランス」(fault tolerance)あるいは「フォールトトレラント」(fault tolerant)という。
また、不具合が生じた箇所を停止したり切り離すなどして残りの部分で機能や性能を落として運転を継続するような設計・思想は「フェイルソフト」(fail soft)、誤操作しても危険が生じない、あるいは誤操作できない構造や仕組みに設計することは「フールプルーフ」と呼ばれる。
(2024.1.11更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 日本麻酔・集中治療テクノロジー学会「麻酔・集中治療とテクノロジー2021」掲載論文「LINEグループ機能による麻酔科連絡網で夜間・休日の緊急症例を相談する功罪」(PDFファイル)にて引用 (2021年12月)