RASIS 【Reliability, Availability, Serviceability, Integrity and Security】
概要
RASIS(Reliability, Availability, Serviceability, Integrity and Security)とは、コンピュータシステムが期待された機能・性能を安定して発揮できるか否かを示すのに用いられる代表的な5つの特性の頭文字を繋ぎ合わせた用語。「R」は “Reliability” の略で、「信頼性」と訳される。障害や不具合による停止や性能低下の発生しにくさを表す。稼働時間当たりの障害発生回数(MTBF:Mean Time Between Failures)などの指標で表すことが多い。
「A」は “Availability” の略で、「可用性」と訳される。稼働率の高さ、障害や保守による停止時間の短さを意味する。稼働が期待される時間に対する実際の稼働時間の割合(稼働率)などの指標で表すことが多い。
「S」は “Serviceability” の略で、「保守性」あるいは「運用性」と訳される。障害からの復旧やメンテナンスのしやすさを表す。障害発生から復旧までの平均時間(MTTR:Mean Time To Repair)などの指標で表すことが多い。
「I」は “Integrity” の略で、「保全性」あるいは「完全性」と訳される。システムが管理するデータの一貫性が維持される性質を表し、過負荷や障害、誤操作などによるデータの破壊や喪失、不整合などの起こりにくさを意味する。
「S」は “Security” の略で、「安全性」あるいは「機密性」と訳される。外部の攻撃者や内部犯、マルウェアなどによる攻撃への耐性を表し、不正侵入や遠隔操作、データやプログラムの改竄や破壊、機密データの漏洩などの起こりにくさを意味する。
RASとの違い
元になった概念は先頭3つを繋いだ「RAS」(Reliability, Availability and Serviceability)で、1970年代に米IBM社がメインフレーム製品の特性を表す用語として提唱した。「RASIS」は日本語以外の資料には記載が極めて乏しく、欧米圏ではその後も(現在も)専らRASの用語が用いられており、RASISは日本で独自に拡張されて広まった用語であると考えられる。