FreeBSD
負荷が高まっても誤作動や停止が起こりにくい高い安定性が評価されており、大規模なサーバなどでの採用例が多い。主な開発ターゲットは米インテル社のx86系プロセッサを搭載したPC/AT互換機(一般的なパソコンやPCサーバ)だが、これ以外にも標準で様々なプロセッサの機種に対応しており、組み込み機器での利用も活発である。
ディストリビューションと呼ばれる配布パッケージを利用するLinuxとは異なり、OS標準のパッケージにカーネルだけでなく必要な一通りのソフトウェアが揃っている。ただし、Windowsなどに替えて主要なデスクトップ向けOSとなることは目標ではなく、標準ではデスクトップ環境は含まれない。
ソフトウェアの配布や導入を行うためのパッケージ管理には独自の「package」と「ports」と呼ばれる仕組みを用いる。packageは開発側で生成した実行可能形式(バイナリファイル)のソフトウェアを取得・導入でき、portsはソースコードを元にコンパイルなどを行いソフトウェアを組み立てる。portsは通常は手間のかかるソースコードからのビルドを簡単な操作で半自動的に行うことができ高く評価されている。
BSDライセンスと呼ばれる利用許諾契約に基づいてオープンソースソフトウェアとして配布されており、誰でも自由に入手、改変、再配布などを行うことができる。オープンソースのBSD系OSにはFreeBSDの他にNetBSDやOpenBSDがあるが、FreeBSDはパソコンやサーバを中心に最も広く普及しており、対応機器や対応ソフトウェアも最も充実している。
BSDライセンスはGPLなどに比べ制限が緩やかで商用利用しやすいため、パソコンやサーバだけでなく組み込み機器やネットワーク機器の制御用などの用途でも広く用いられている。ソニーのプレイステーション4にFreeBSDの派生OSが組み込まれている事例は特に有名である。
歴史
FreeBSDは1970~90年代にカリフォルニア大学バークレー校(UCB)で開発されていたUNIX系OSの一つであるBSD(Barkeley Software Distribution)から派生した数あるOSの一つである。最初のバージョンはBSDの4.3BSD Net/2と呼ばれるバージョンを元にネイト・ウィリアムズ(Nate Williams)氏、ロッド・グライムス(Rod Grimes)氏、ジョーダン・ハバード(Jordan K. Hubbard)氏らによって開発され、1993年に公開された。
このバージョンはUNIXの権利を持つAT&T社(当時)との法的な紛争に巻き込まれたため、問題がクリアになった4.4BSD-Lite(オリジナルのBSDの最終バージョン)を元に新たにFreeBSD 2.0が開発された。その後はこのバージョンを元に改良、機能追加が続けられている。