Zip 【.zipファイル】 Zip圧縮 / ジップ形式

概要

Zip(.zipファイル)とは、複数のファイルを一つにまとめるアーカイブファイル形式、および、データ圧縮して容量を削減することができる圧縮ファイル形式の一つ。ファイル名の標準の拡張子は「.zip」。

Zip形式のファイルは内部に複数のファイルを格納でき、必要なものだけを展開して取り出すことができる。オペレーティングシステムOS)のファイルシステムのように階層型(入れ子型)のディレクトリフォルダ)構造をそのまま取り込むことができる。

ファイルの格納時にデータ圧縮うことができ、内容を維持したままファイルサイズを縮減することができる。この機能は本来はオプションで、圧縮せずにアーカイブすることもできるが、ほとんどの場合に圧縮機能が用いられるためZip形式は圧縮形式であると説明されることもある。

32ビットCRC方式誤り検出符号を付与し、展開時にデータが破損していないか確かめることができる。ファイル作成時にパスワードを設定し、DES3DESRC2RC4などの暗号アルゴリズムで内容を暗号化して格納する拡張仕様があり、展開時にはパスワード入力が必要となる。

圧縮方式

Zipのバージョン2.0からLZ77圧縮アルゴリズムハフマン符号化を組み合わせたDeflateデフレート方式のデータ圧縮を利用することができるようになり、ファイル単位で圧縮い容量を削減することができる。これは内容を損なわない可逆圧縮ロスレス圧縮)方式であり、どのような種類のデータ圧縮できる。

似た名称の圧縮ファイル形式に「gzip」や「bzip2」、「7z」(7-Zip)などがあるが、gzipDeflate圧縮を用いるが記録形式としては別物で互換性がなく、bzip2は名前が似ているだけで特に共通点はない。7zDeflatebzip2を含む様々な圧縮形式に対応しているが記録形式はZipと異なる。

他のファイル形式での利用

データファイルに様々な種類の複合的なデータを収める必要があるアプリケーションソフトでは、特定のデータ形式やディレクトリ構造で複数のファイルを生成・配置し、これをまとめてZipで圧縮して一つのファイルにまとめたものを標準のファイル形式とする場合がある。

このようなファイルは格納されるデータ形式自体はZipファイルそのものだが、内容を展開するとそのアプリケーション固有のデータの集合体となるため、固有のファイル形式として独自の名称とファイル拡張子によって識別されることが多い。

このような方式を採用したフォーマットとして著名なものとして、Javaソフトウェア配布に用いられるJAR形式.jarファイル)、オフィスソフトの標準ファイル形式である「Open Office XML」(DOCXファイルXLSXファイルPPTXファイルなど)や「OpenDocument Format」(.odtファイル.odsファイル.odpファイルなど)がある。

歴史

Zipは1989年に米PKWARE社のフィル・カッツ(Phil Katz)氏が考案したもので、同社のMS-DOS向けのファイルアーカイブソフトウェア「PKZIP」の標準ファイル形式として発表された。同氏はZipの仕様を公表し、一切の権利を放棄したため、誰でも自由に利用できるようになり、主にMS-DOSWindowsなどのプラットフォームで標準的なアーカイブ形式および圧縮形式として普及した。2015年にISO/IEC 21320として国際標準となっている。

(2024.1.21更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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