PNG 【Portable Network Graphics】 .pngファイル
概要
PNG(Portable Network Graphics)とは、画像データを圧縮して記録するファイル形式の一つ。フルカラーの画像を無劣化(lossless)で圧縮することができ、図やイラストなど向いている。ファイル名の標準の拡張子は「.png」。色のついた画素を縦横に敷き詰めたビットマップ形式の画像を圧縮符号化するデータ形式の一つで、内容の変質や劣化を一切起こさず正確に元の状態に戻すことができる「可逆圧縮」(ロスレス圧縮)方式を採用している。
写真などに適した非可逆圧縮のJPEG形式とともに、インターネットで標準的に用いられる画像形式として広く普及している。派生仕様として、画像を連結して記録することで簡易な動画とすることができる「MNG」や「APNG」などがある。
主な仕様
画像の色数はフルカラー(RGB各色8ビットの24ビットあるいは各色16ビットの48ビット)および最大256色(8ビット)のインデックスカラー(画像ごとに必要な色を選択)、最大65,536段階(16ビット)のグレースケールなどから選択できる。
一部の色の透明化や半透明化(透過PNG)にも対応している。8ビットPNG(256色)では透過GIFと同じように特定の1色を透明色に指定することができる。フルカラーPNGでは各画素の透過度を指定する「アルファチャネル」(8ビット256段階あるいは16ビット65,536段階)を設定し、背景色と合成された半透明表現を行うこともできる。
ファイルに画像の付加情報を埋め込むことができ、ホワイトバランスやデフォルト背景色、ガンマ補正値、任意の文字列などを含めることができる。圧縮方式としてZip形式などにも利用されるDeflate圧縮を採用しており、LZ77とハフマン符号化の2段階の圧縮を行う。
簡易動画
用途が近いGIF画像形式には一つのファイルに複数の画像を連結して格納し、パラパラ漫画の要領で次々に切り替えて表示することで簡易な動画を表示できる「アニメーションGIF」仕様があるが、PNGでもこれに似た派生仕様が用意されている。
初期に策定されたのは「MNG」(Multiple-image Network Graphics)形式だが、機能を詰め込みすぎて仕様が複雑化しすぎ、ソフトウェアの対応が進まなかった。後に簡素な仕様の「APNG」(Animated PNG)形式が策定され、GIFでは不可能なフルカラーの簡易動画を記録できる画像形式として2010年代後半から徐々に普及している。
歴史
PNGは1996年にGIF形式の代替となることを目指して開発され、後にW3CやIETF、ISOなどの標準化団体によって規格化された。当時は図やイラストなどの保存にはGIFがよく用いられていたが、圧縮方式に米ユニシス(Unisys)社の特許を使用していた。同社は当初は自由な特許利用を認めていたが、突如方針転換してライセンス料徴収を宣言したため、特許から自由な画像形式としてPNGが考案された。
2000年代初頭には主要なWebブラウザや画像編集ソフトなどがPNGに対応したためGIFに代わって広く普及し、標準的に利用される画像形式の一つとなった。GIFの特許権が期限切れとなった現在ではGIFの権利問題を回避するという当初の意義は消失している。