FRAM 【Ferroelectric Random Access Memory】 FeRAM / 強誘電体メモリ
概要
FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)とは、半導体メモリの一つで、特殊な性質を持つ絶縁体の一種である強誘電体を材料の一部に用いたもの。使用時に自由に読み書き可能なRAM(Random Access Memory)に分類され、通電しなくても記憶内容を保持する不揮発性メモリでもある。電気を通さない絶縁体のうち、プラスとマイナスの電荷の分布が偏る分極により電荷を蓄えることができるものを誘電体という。このうち、電圧の加え方により分極の方向を制御でき、電圧を加えなくても分極状態が維持されるものを強誘電体という。
FRAMでは一般的なDRAMと同じように記憶を維持するメモリセルにキャパシタ(コンデンサー)を用いるが、電極間の絶縁体として強誘電体を挟む。これにより、DRAMに近い高速な読み書き速度と、EEPROMやフラッシュメモリのように通電が途絶えても記憶が消えない不揮発性を両立している。
1980年代後半に本格的な研究・開発が始まり、不揮発性の主記憶装置(メインメモリ)を実現する次世代メモリ(ユニバーサルメモリ)の候補として期待された。2000年代初頭に実用化されたものの、量産時のコストが下がらないことから広く普及するには至っておらず、非接触ICカードの内蔵メモリなどに採用例がある程度となっている。
なお、「FRAM」は米ラムトロン(Ramtron)社の登録商標であり、日本では富士通が同社から許諾を得て使用している。一般名として言及する際には「FeRAM」の表記が望ましいとされる。
(2018.5.6更新)