高校「情報Ⅰ」単語帳 - 東京書籍「新編情報Ⅰ」 - データの収集・整理・分析

量的データ 【量的変数】 ⭐⭐⭐

調査や観測などで得られたデータのうち、物事の量的な側面を表す数値データのこと。長さ、重さ、人数、金額など大小や高低の程度を反映したデータである。

数で表され、数の大きさが量の多寡や性質の強さ、度合いを反映しているようなデータをこのように呼ぶ。物事の質的な側面を表す「質的データ」(質的変数)と対比される。

量的データを測る尺度のうち、数の間隔に意味があるものを「間隔尺度」という。数の間隔が量の大きさを反映している尺度で、温度の摂氏(℃)や年号などが当てはまる。原点が量的な「0」を表さないため値同士の比率には意味がない。

一方、間隔だけでなく値そのものの比に意味があるような尺度を「比例尺度」という。数がそのまま量の大きさを反映しているような尺度で、長さ、面積、体積、重さ、時間、速度、絶対温度、人数、金額など多くの量的データは比例尺度で表される。数で表されていても、数が順序や順位しか表さない、ランキングや段階評価、段位のような「順序尺度」のデータは含まない。

質的データ 【質的変数】 ⭐⭐⭐

調査や観測などで得られたデータのうち、物事の質的な側面を表すデータのこと。数で表されないような記録や、数値の場合は値自体や値同士の差の比率には意味がないようなデータである。

性別や血液型、「はい」「いいえ」を選択するアンケート項目、色、形状など、結果を数値で表すことができないデータや、数字で表されていても自動車ナンバーや電話番号のように大小に意味がない「名義尺度」のデータが含まれる。物事の量的な側面を表す「量的データ」(量的変数)と対比される。

また、数の大小が順位や順序を表していても、間隔や比には意味がない「順序尺度」の数値データも質的データに分類される。例えば、競技の順位、成績やアンケートなどの段階評価、検定制度の段位や級などは、上位と下位の区別はできても度合いを数量比較することはできないため質的データに分類される。

構造化データ ⭐⭐

項目の形式や順序など、明確に定義された構造に従って記述、配置されたデータ集合のこと。プログラムによって自動処理するために用いられることが多い。

リレーショナルデータベースのテーブルやCSVファイルのように、一件のレコードの構成、各項目のデータ型や形式、項目の並び順、項目やレコードの区切り文字などが事前に決まっており、同じ構成のレコードの繰り返しとしてデータを列挙したものを指すことが多い。

ソフトウェアによって容易に読み込んで内容を認識させることができ、大量のデータを集計したり分析するのに適している。人間がそのまま眺めて読みやすい形式とは限らず、ソフトウェアによって抽出や集計を行ったり、見やすいよう整形したり、レポートなど別の形式へ変換してから人間に供されることが多い。

一方、Webページや電子メール等のメッセージ、ワープロソフトやプレゼンテーションソフトなどで作成した(見栄え重視の)文書ファイル、画像や音声、動画などのメディアデータといった、決まった形式や配置に従ってデータが並んでいるわけではない不定形なデータ群のことを「非構造化データ」(unstructured data)という。

Webページの構造化データ

WebページのHTMLコードは、Webブラウザにその文書の構造やレイアウトを伝達するという意味では構造化されているが、書かれている情報をサイト横断的に同じ形式に従って自動収集・処理できるような構造にはなっていない。

そこで、ソフトウェアが自動処理しやすいようページ内に書かれている内容を特定の規約に則って構造化データとして記述する手法が提唱されている。同じ情報を人間向けと機械向けに同じページに埋め込んでおき、ブラウザは人間向けのデータを表示し、Webロボットなどの自動処理プログラムは機械向けのデータを収集する。

様々な手法が提唱されているが、現在有力な方式はHTMLのヘッダ領域などにJSON-LD形式でスクリプトの形で情報を埋め込む手法で、Schema.orgという業界団体が情報の種類ごとにデータの記述形式(スキーマ)の標準を提案している。

例えば、ある行事の開催案内のWebページに、Schema.orgの定義する「Event」(行事)のスキーマで構造化データを埋め込むことで、巡回してきたロボットに行事名や主催、出演者、開催日時などを伝達することができる。

外れ値 ⭐⭐⭐

調査や測定、観測などで同種のデータをいくつも取得したとき、全体のデータの傾向から大きく外れた値のこと。統計処理などの際に一定の基準を設けて除外することがある。

収集したデータ全体の分布が何らかの傾向を示すとき、この傾向から大きく外れた値のことを外れ値という。このうち、測定機器の不具合や記入ミスなど、何らかの誤りによっておかしな値になってしまったものは「異常値」という。対象や方法によって、異常値と異常値以外の外れ値を区別できる場合とできない場合がある。

外れ値を含んだデータをそのまま分析すると、平均値や相関係数などの統計量に大きな影響を与え、歪んだ結果が導き出されることがある。このため、一定の基準を設けて外れ値を取り除く操作を行うことがある。

よく用いられる手法として、箱ひげ図を描いて「第1四分位数-箱の幅×1.5以下」「第3四分位数+箱の幅×1.5以上」のデータを外れ値と判定する方法がある。また、平均値や標準偏差などから特定の統計量を算出し、基準値を設けて判定する方法もある。こうした検定にはスミルノフ・グラブス検定やトンプソン検定などが知られている。

なお、用意した結論に都合のよいデータのみを残してそれ以外を外れ値として排除することはデータの改竄とみなされる可能性があるため値の削除は慎重に行う必要がある。どんな調査や観測でも、現実の対象を調べれば全体の傾向から外れたサンプルが存在するのは普通のことであるため、異常値として理由が説明できる値以外は恣意的に取り除くべきではないとする考え方もある。

欠損値 【欠測値】 ⭐⭐⭐

調査や測定、観測などでデータを収集した際、あるデータの記録場所を参照してもデータが記録されておらずに欠けていること。一定周期で観測値を記録するシステムでデータが欠けた時刻がある場合などが該当する。

観測において、装置の不具合や操作ミスなどで測定値が得られなかった状態や、調査において特定の記入項目が空欄で記載されていない状態などを指す。値は存在するが傾向から大きく外れている「外れ値」や、装置故障やミスなどでおかしな値になってしまった「異常値」とは異なる。

観測における欠測などは機械的に取り除いて分析することが多いが、調査では記入が任意の項目が複数ある場合などに完全にデータが揃っているサンプルが十分な数揃わないこともある。そのような場合には欠損の多い項目を解析から外したり、平均値などの代表値で穴埋めしたり、他の項目の値が似ているサンプルのデータで補完するといった操作を行うことがある。

比例尺度 【比率尺度】 ⭐⭐

統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字が順序や間隔を表すともに、値の比や割合も議論することができるもの。

統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。

比例尺度は最も高い水準の尺度で、数字がそのまま何らかの量の大きさを表している。値の「0」は「存在しない」ことを表す原点であり、値の間隔や比には意味がある。加減乗除などの計算も行うことができ、すべての統計量を使うことができる。

例としては、長さや面積、体積、重さ、時間、速度、絶対温度などの物理量、金額、個数などが該当する。一段階低い水準の間隔尺度である摂氏では27℃が54℃になったからといって温度が2倍になったとは言えないが、絶対温度600K(約327℃)は300K(約27℃)の2倍の温度と言うことができる。

順序尺度 ⭐⭐⭐

統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字の大小が順番や順位を表すようなもの。大小や高低、前後の比較はできるが、値の差や比には意味がない。

統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。

順序尺度は名義尺度に次いで2番目に低い水準の尺度で、数字の大小で順序を表すことができる。大きさを比較したり順位を付けることができるが、値同士の差や他の値との比、割合などには意味がなく、値の計算を行うこともできない。統計量としては度数や最頻値に加え、中央値や四分位数、パーセンタイルなどが使用できる。

例としては、競技の順位、成績やアンケートなどの段階評価、検定制度の段位や級、自動車保険の等級、がんのステージ、国際原子力事象評価尺度などが該当する。「将棋8段は4段より強い」とは言えるが、「2倍強い」といった比較はできない。

間隔尺度 ⭐⭐⭐

統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字の大小が順序を表すと共に、2つの値の差の大きさに意味があるもの。値の比には意味がない。

統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。

間隔尺度は比例尺度についで2番目に高い水準の尺度で、数字の間隔が量の大きさを表すような尺度である。値の差が等しければ同じ間隔が空いていることを意味するが、「0」で表される点は量が0になる原点ではなく便宜上置いたものである。値自体の比には意味がないが、値の差同士の比には意味がある。統計量としては最頻値や中央値、パーセンタイルなどに加え、平均値(相加平均)や標準偏差、相関係数なども使うことができる。

例としては、温度の摂氏(℃)や華氏、西暦や元号で表した年、日付などがある。15℃が20℃になるのと20℃が30℃になるのでは2倍の温度上昇が生じたと言うことができるが、15℃が30℃になったのを温度が2倍に上昇したと言うことはできない。

名義尺度 【類別尺度】 ⭐⭐⭐

統計などで用いられる数値データの尺度のうち、対象や状態を区別するためだけに(便宜上の)数字を割り当てたもの。値は順番や順位を意味せず、値の差や比にも意味はない。

統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。

名義尺度は最も低い水準の尺度で、数字は対象や状態を識別する名前の役割しか果たさず、量的な意味合いを一切もたない。値が同じか異なるかを見分けるためだけに使用することができ、順序、間隔、大きさ、比率などを表すことはできず、値の計算にも意味がない。統計量としては各値の度数や出現頻度、最頻値などを求めることはできる。

例としては、電話番号や郵便番号、学籍番号、背番号、国際電話の国番号、総務省の都道府県コードなどがある。例えば、都道府県コードで「10」が群馬県、「20」が長野県だが、群馬県が何かで10位であるとか、長野県の何かが群馬県の2倍であるといった意味はない。

AND検索 【アンド検索】

情報を検索する際の条件の指定方法の一つで、複数の条件をいずれも満たすものを検索すること。

条件AとBがあるとき、検索条件を「A and B」と指定すると、「AとBの両方の条件を満たす」という意味になる。条件が3つ以上の場合も同様で、挙げられたすべてを満たすという意味になる。

Web検索エンジンのキーワード指定では、キーワードを半角スペースで区切るとAND検索の指定を意味することが多く、列挙したキーワードすべてを含むページを検索せよという意味になる。例えば、「スクリーンショット Android」と検索すると、「スクリーンショット」と「Android」の両方を含むページが検索される。

一方、挙げられた条件の少なくとも一つを満たすものを検索することは「OR検索」、ある条件を満たさないものを検索することは「NOT検索」という。

OR検索 【オア検索】

情報を検索する際の条件の指定方法の一つで、複数の条件のうち少なくともいずれか一つを満たすものを検索すること。

条件AとBがあるとき、検索条件を「A or B」と指定すると、「AとBのいずれかの条件を満たす」という意味になる。条件が3つ以上の場合も同様で、挙げられた条件の少なくともいずれか一つを満たすという意味になる。

Web検索エンジンのキーワード指定では、キーワードを「|」(縦棒、縦線、バーティカルバーなどと呼ばれる)で区切るとOR検索の指定を意味することが多く、列挙したキーワードのいずれかを含むページを検索せよという意味になる。例えば、「iPad|Androidタブレット」と検索すると、「iPad」と「Androidタブレット」のどちらか、あるいは両方を含むページが検索される。

一方、挙げられた条件のすべてを満たすものを検索することは「AND検索」、ある条件を満たさないものを検索することは「NOT検索」という。

NOT検索 【マイナス検索】

情報を検索する際に条件を指定する方法の一つで、ある条件を満たさないものを検索すること。

条件Aについて検索条件を「not A」と指定すると、「Aを満たさない」という意味になる。通常は他の検索条件と組み合わせ、得られた検索結果から特定の条件に一致するものだけを除外するために用いられる。

一方、複数の検索条件を列挙して「すべてを満たす」ものを検索する指定方法は「AND検索」(アンド検索)、「少なくとも一つを満たす」ものを検索する指定方法は「OR検索」(オア検索)という。

検索エンジンのマイナス検索

Web検索エンジンのキーワード指定では、キーワードの先頭に「-」(ハイフン、マイナス記号)を付けるとNOT検索の意味になる記法を採用していることが多く、「マイナス検索」とも呼ばれる。

通常は他のキーワードや検索条件と組み合わせて検索結果を絞り込むのに用いられる。例えば、「アリ -シロアリ」と検索すると、「アリ」を含むWebページから「シロアリ」を含むものを除外したページ一覧が表示される。

データマイニング

蓄積された大量のデータを統計学や数理解析などの技法を用いて分析し、これまで知られていなかった規則性や傾向など、何らかの未知の有用な知見を得ること。

「マイニング」(mining)とは「採掘」の意味で、膨大なデータの集積を鉱山に、そこから有用な知見を見出すことを資源の採掘になぞらえている。適用分野や目的、対象となるデータの種類は多種多様だが、ビジネスの分野では企業が業務に関連して記録したデータ(過去の取引記録、行動履歴など)を元に、意思決定や計画立案、販売促進などに有効な知見を得るために行われることが多い。

例えば、小売店の商品の売上データの履歴は、それ自体は会計上の手続きや監査などの業務にしか使われないが、データマイニングの手法で統計的に処理することで、これまで知られていなかった「商品Aと商品Bを一緒に購入する顧客が多い」といった傾向が分かる場合がある。これにより、AとBの売り場を統合するといった販売促進施策を行うことが可能となる。

商業分野だけでなく、自然言語処理やパターン認識、人工知能などの研究などでも利用される。分析・解析の手法も様々だが、代表的な手法としては、頻度の高いパターンの抽出や、相関関係にある項目の組の発見、データの特徴や共通点に基づく分類、過去の傾向に基づく将来の予測などがある。

近年では、一般的なシステムやソフトウェアでの解析が困難な巨大なデータセットである「ビッグデータ」を対象とした解析手法や、人工知能の一分野である機械学習、特に先進的な手法である「ディープラーニング」を応用したマイニング手法などが活発に研究・開発されている。

クロス集計 ⭐⭐

複数の項目からなるデータの集合があるときに、そのうちの2つ(ないし3つ)の項目を組み合わせて2次元の表の形で集計すること。項目間の関係や相関、傾向などを見やすくまとめることができる。

2つの項目でクロス集計する場合、一方の項目を縦軸、もう一方を横軸として、それぞれについて選択肢を並べる。各マス目には、縦軸と横軸の選択肢を同時に満たすデータを数えて集計値として書き入れていく。

例えば、「性別」「喫煙」の2項目のアンケートがあるとき、単純集計では「喫煙○」と「喫煙×」の数を集計するが、クロス集計表では縦軸を「男性」「女性」、横軸を「喫煙○」「喫煙×」として4つの値を集計する。

さらに、飲酒についても同時に尋ね、縦軸を「男性・飲酒○」「男性・飲酒×」「女性・飲酒○」「女性・飲酒×」の4つに分解し、3項目について同時に集計することを「多重クロス集計」という。

代表的な表計算ソフトのMicrosoft Excel(マイクロソフト・エクセル)では、ロス集計機能のことを「ピボットテーブル」(pivot table)、これをグラフ化する機能を「ピボットグラフ」(pivot chart)という。

テキストマイニング ⭐⭐⭐

定型化されていない文字情報(テキストデータ)の集まりを自然言語解析などの手法を用いて解析し、何らかの未知の有用な知見を見つけ出すこと。

「データマイニング」(data mining)の手法を非定型のテキストデータに応用したもので、自然言語の文の蓄積として集められたデータを分析し、鉱山から鉱石などを掘り出す(mining)ように、業務や製品に役立つ情報を探し出す。

目的や具体的な技術は様々だが、多くの場合、文章に形態素解析を行ってテキストを単語やフレーズに分解し、特定の表現の出現頻度やその増減、複数の表現の関連性や時系列の変化などを調べる。

これにより、知られていなかった問題点を見出したり、様々な要素や要因の間の結びつきを可視化したり(共起ネットワーク分析)、顧客や消費者の評判(肯定的か否定的か)や時系列の推移を把握したりする(センチメント分析)ことができる。

対象となるデータの例として、アンケートや報告書などに含まれる自由記述の文章、電子掲示板(BBS)やSNSの書き込み、ニュース記事、OCRでスキャンしてテキストデータ化した過去の書籍、雑誌、新聞の記事などが挙げられる。

表計算ソフト 【スプレッドシート】 ⭐⭐

データが並んだ表を作成・編集することができるアプリケーションソフト。表中の項目間で集計や解析を行ったり、グラフに表したりすることができる。

縦横に並んだマス目(セル)の広がる表を用い、各セルにデータや計算ルールなどを入力・設定していくと、ソフトウェアが自動的に計算や処理を実行し、所定の位置に計算結果を代入したり、グラフを描画したりしてくれる。

このマス目の並んだ表のことを「スプレッドシート」(spreadsheet)あるいは「ワークシート」(worksheet)と呼び、一つのファイルに複数のシートを収めることができる。表計算ソフト自体を指してスプレッドシートと呼ぶこともある。

計算ルールには特定範囲の合計や平均を算出するといった単純なものから、数学的な関数や統計関数、財務関数などが利用できる。数値を扱う関数以外にも、日付や時刻を扱う関数、論理式を扱う関数、文字列を操作する関数、特定の条件を満たす値を数え上げる関数など、様々な種類がある。

表に貼り付けるように矩形の領域を設けて内部にグラフを描画する機能があり、特定の範囲のデータを対象にして折れ線グラフや棒グラフ、円グラフ、散布図などを描くことができる。セルの内容を変更すると、追随してすぐにグラフに反映されるようになっている。

行や列の幅や高さを変更したり、先頭のセルに項目名を記載したり、表やセルに枠線や背景色、文字書式、表示形式などを設定して見栄えを整える機能もあり、ファイルとして配布して入力フォームに利用したり、そのまま印刷して資料や帳票などとして用いる場合もある。

製品

パソコン向けの表計算ソフトとしては、米マイクロソフト(Microsoft社)のオフィスソフト「Microsoft Office」の一部として提供される「Microsoft Excel」(マイクロソフト・エクセル)が世界的に最も有名でシェアが高く、「Excel」を表計算ソフトの代名詞のように扱うこともある。

他にも、米アップル(Apple)社の「Numbers」や、オープンソースのLibreOfficeやApache OpenOfficeに含まれる「Calc」などが知られる。米グーグル(Google)社の「Google Sheets」(日本名は「Googleスプレッドシート」)のようにWebブラウザで操作できるネットサービスもある。

セル

細胞、気泡、マス目、小区画、個室、小部屋、独房、小集団、班などの意味を持つ英単語。何らかの大きな構造が均質の小さな単位の組み合わせでできているときに、その単位を生物の細胞になぞらえてこのように呼ぶ。

表計算ソフトのセル

表計算ソフトや文書作成ソフト、Webページなどで、表(テーブル)を構成する一つ一つのマス目のことをセルという。通常は表計算ソフトのマス目をセルと呼ぶ。

表計算ソフトは碁盤の目のように内部が分割されたスプレッドシート(spread sheet)と呼ばれる表を用いてデータの整理や計算を行うが、表の内部のひとつひとつの小さな区画のことをセルという。セルには数値や文字列、日付、計算式、関数などを記述でき、演算を行う場合は他のセルの内容を呼び出して用いることができる。

セルの位置は行番号と列番号の組み合わせで識別される。Microsoft Excelなど多くのソフトでは列番号にアルファベット(A,B,C,…)、行番号に自然数(1,2,3,…)が割り当てられ、これらを組み合わせて「A1」「C10」のように位置を指定する。列数が26行を超える場合は「Z,AA,AB,…,AZ,BA,…,ZZ,AAA,…」のように桁数が増えていく。

相対参照と絶対参照

<$Img:Cell-2.jpg|right|[PD]|https://commons.wikimedia.org/wiki/File:X-office-spreadsheet.svg>

あるセルから別のセルを参照する際、セル間の相対的な位置関係を指定することを「相対参照」、特定のセルの絶対的な位置を指定することを「絶対参照」という。多くのソフトでは「A1」のような記法は相対参照とみなされ、「$A$1」のような記法が絶対参照を表す。

例えば、B1セルに「=A1*2」という式を書くと内部的には「左隣のセルの2倍」という意味になり、これを一段下のセルにコピーすると自動的に「=A2*2」に書き換わる。一方、「=$A$1*2」と記述すると常にA1セルを指し示す絶対参照となり、「A1セルの2倍」という意味になる。一段下にコピーしても「=$A$1*2」のままである。

移動体通信のセル

<$Img:Cell-3.png|right|[PD]|https://freesvg.org/vector-clip-art-of-honey-icon>

携帯電話・移動体データ通信で、一つの無線基地局がカバーする通信可能な範囲をセルという。数百mから数km程度のセルを隙間なく配置して通話エリアを形成したものを「セルラーネットワーク」(cellular network)と呼び、そのような無線通信方式をセルラー方式という。

地上に基地局を配置する現代の移動体通信網のほとんどがこの方式を用いており、英語で携帯電話のことを “mobile phone” 以外に “cellular phone” あるいは略して “cell phone” と呼ぶほど定着している。

範囲による分類

一つのセルの範囲は通信規格などによって異なり、一般的な携帯電話基地局では最大数キロメートルの「マクロセル」(macrocell)を用いるが、PHSのように数百メートル程度の「マイクロセル」(microcell)を多数設置する方式もある。

また、近年では電波の届きにくい場所や建物内に数メートルから数十メートルをカバーする「ナノセル」(nanocell)あるいは「ピコセル」(picocell)を補完的に設置したり、家庭などで光ファイバーなどの固定回線に接続して使う「フェムトセル」(femtocell)が使われることもある。

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