高校「情報Ⅰ」単語帳 - 日本文教「情報Ⅰ 図説と実習」 - メディアの特性とコミュニケーション手段
アナログ ⭐⭐
機械で情報を扱う際の表現方法の一つで、情報を電圧の変化など連続的な物理量の変化に対応付けて表現し、保存・伝送する方式のこと。元の情報を高精度に表現することができるが、伝送や複製の際に劣化・変質を避けられない。
対義語は「デジタル」(digital)で、情報を離散的な数値に変換し、段階的な物理量として表現する。アナログで情報を扱う利点として、デジタル化では避けられない離散化に伴なう本来の信号からのズレ(量子化誤差)が生じないという点があり、情報の発生時点では正確に表現して記録することができる。
一方、保存や伝送、再生、複製に際して劣化やノイズによる影響を受けやすく、変化した情報は復元することができないため、伝送・複製を繰り返したり長年に渡って保存すると内容が失われたり変質してしまう難点がある。
かつて音楽の販売に用いられたレコード盤は、樹脂表面に刻まれた溝の凹凸の変化が音声信号の変化に直接対応付けられたアナログ記録方式だったが、コンパクトディスク(CD)では音声信号をサンプリング(標本化)して離散的な数値の列に変換し、これを表面の溝の凹凸にデジタル信号として記録している。
機器などの内部的にはデジタル処理が行われていても、人間には連続的に感じられる多段階の値で量を識別するような方式を便宜上アナログと呼ぶ場合がある。例えば、ゲーム機のコントローラの種類の一つで、方向の指示を多段階に滑らかに変化させられるものをアナログコントローラという。
1990年代頃までは、コンピュータなどによる情報のデジタル処理は限られた用途にのみ用いられてきたが、半導体チップやデジタル機器の性能向上や低価格化により、現代では身近な情報の多くがデジタル方式で保存、加工、伝送されるようになってきている。
比喩や誤用
コンピュータやデジタル方式の情報機器、通信サービスなどが普及するに連れ、旧来の機器や仕組み、考え方などを比喩的にアナログと称するようになった。
そのような用例の多くは情報の表現形式のデジタル・アナログとは無関係で、単に「コンピュータやインターネットによらない」という意味だったり、さらには「電気機械を使わない」ことを表していたりする。
中には本来の語義では誤用と思われる用例もある。例えば、ビデオゲームと対比してカードゲームやボードゲームを「アナログゲーム」と呼んだり、パソコンや電卓と対比してそろばんを「アナログな計算方法」と評することがあるが、これらが扱う情報は離散的な数値であり、電気機械を使っていないだけで情報の取り扱い方自体はデジタル的である。
デジタル 【ディジタル】 ⭐⭐
機械で情報を扱う際の表現方法の一つで、情報をすべて整数のような離散的な値の集合として表現し、段階的な物理量に対応付けて記憶・伝送する方式のこと。特に、情報を2進数の「0」と「1」の組み合わせに置き換えて表現する方式。
現代のコンピュータはデータをすべて2進数の値の列に置き換え、これをスイッチのオン・オフや電圧の高低など明確に区別できる2状態の物理量に対応させて保存・伝送する。これに合わせて、通信回線や記憶媒体などもデジタル方式で情報を取り扱うようになっている。
対義語は「アナログ」(analog)で、情報を連続した物理量で表現する方式を意味する。初期の情報機器はアナログテレビ放送や音楽レコードのようにアナログ方式で情報を記録・伝送していたが、現代ではコンピュータの普及に合わせて動画配信やCDのようにデジタル方式への置き換えが進んでいる。
デジタルで情報を扱う利点として、保存や伝送、再生、複製などを行う際に劣化やノイズの影響を受けにくく、伝送・複製を何度繰り返しても内容が変化しない点や、様々な種類の情報を数値の集合として同じように扱うことができ、情報の種類によって媒体の選択に制限を受けない点などがある。ただし、連続的に変化する信号を離散値に変換する際に、必ず本来の信号からのズレ(量子化誤差/標本化誤差)が生じる。
機器などの内部的にはデジタル処理が行われていても、人間には連続的に感じられる多段階の値で量を識別するような方式を便宜上アナログと呼ぶ場合がある。例えば、ゲーム機のコントローラの種類の一つで、方向の指示を多段階に滑らかに変化させられるものをアナログコントローラという。
比喩や誤用
コンピュータやデータ通信、デジタル方式の記憶媒体などが普及するに連れ、「デジタル」という語をコンピュータやインターネットに関連するものの総称、「アナログ」をその逆、すなわち「電気・電子技術に依らないもの」とする比喩的な用法が広まった。
このような用例の多くは本来の情報の表現形式の違いとは無関係に用いられるため、カードゲームやボードゲームなどをビデオゲームに対比して「アナログゲーム」と呼んだり、そろばんを計算機と対比して「アナログな計算方法」と呼んだりするが、これらは離散的な数値しか扱わないため、情報の扱い方そのものはデジタル的である。
サンプリング 【標本化】 ⭐⭐⭐
対象全体の中から何らかの基準や規則に基いて一部を取り出すこと。統計調査などで少数の調査対象を選び出すことや、信号のデジタル化などで一定周期で強度を測定することなどを指す。
アナログ信号のサンプリング
信号処理の手法の一つで、アナログ信号などの連続量の強度を一定の時間間隔で測定し、観測された値(標本値)の列として離散的に記録することを標本化ということが多い。デジタルデータとして記録したい場合は、値を整数などの離散値で表す「量子化」(quantization)処理が連続して行われる。
測定の間隔を「標本化周期」(sampling cycle:標本化周期)、その逆数である測定の頻度(単位時間あたりの回数)を「標本化周波数」(sampling frequency:標本化周波数)という。頻度の多寡は通常標本化周波数で表現され、単位として1秒あたりの回数を表す「Hz」(ヘルツ)が用いられる。
例えば、音声を44.1kHz(キロヘルツ:Hzの1000倍)で標本化する場合、音声信号の強度を毎秒4万4100回記録し、音声データを1秒あたり4万4100個の数値の列として表現する。44.1kHzは人間の可聴音をほぼカバーする周波数とされ、CD(コンパクトディスク)などの音声記録に用いられている。
統計・調査におけるサンプリング
統計や調査などの分野では、調査したい母集団全体を対象とすることが困難な場合に、集団を代表する少数の標本を抽出して対象とし、その結果から統計的に母集団の性質を推計する手法を標本化という。製品の出荷時検査や社会調査などで広く用いられ、標本から母集団の推定値を算出する方法や偏りのない標本の抽出方法などについて様々な手法が提唱されている。
音楽におけるサンプリング
音楽の分野では、楽曲の制作手法の一つで、既存の楽曲や何らかの音源からメロディや歌詞、あるいは音声そのものの断片を抽出し、引用したり繋ぎ合わせる技法を標本化という。また、録音した楽器の音や環境音、人や動物の声などを短い単位に分解し、再構成して楽曲に仕上げる手法のことを標本化ということもある。
量子化 ⭐⭐⭐
アナログ信号などの連続量を整数などの離散値で近似的に表現すること。自然界から取り込んだ信号などをコンピュータで処理・保存できるようデジタルデータに置き換える際などによく行われる。
音や光、電気、電波など物理現象に伴う信号は本来連続量であるため、そのままではコンピュータなどの電子回路で取り扱うことができない。そこで、一定の決まった間隔で信号の強度を測定(標本化/サンプリング)し、決まった細かさの段階に当てはめて表していく。
例えば、4段階の値で量子化を行う系では、信号強度の測定値(標本)は0、1/3、2/3、1の中から最も近い値が選ばれる。0.1に近い標本は0、0.4に近い標本は1/3といった具合である。この段階の数が多いほど元の信号をより高い精度で忠実に表現することができるが、量子化後のデータ量はその分だけ増大する。
この細かさをビット数で表したものを「量子化ビット数」と呼び、これが1ビットであれば2段階(21)、8ビットならば256段階(28)、16ビットならば65,536段階(216)の細かさで強度を表現できる。
量子化ビット数 【サンプリングビット数】 ⭐⭐
アナログ信号からデジタル信号への変換(A/D変換)の際に、信号を何段階の数値で表現するかを示す値。この値が大きいほど元の信号に忠実なデータが得られるが、データ量はその分増大する。
例えば、量子化ビット数が8ビットの場合は、毎回のサンプリングで得られた信号強度を28、すなわち256段階の数で表現することができる。これが16ビットになると、216の65,536段階で表すことができるようになり、8ビットの場合より細かな違いを表現できる。
A/D変換後のデータ量はサンプリング周波数に量子化ビット数を掛け合わせた数となる。例えば、サンプリング周波数44.1kHz、量子化16ビットで音声を記録すると、1秒間の44,100回のサンプリングを行い、各回16ビット(2バイト)のデータを得るため、705.6kbps(キロビット毎秒)あるいは88.1KB/s(キロバイト毎秒)のデータ量となる。
オーディオCD(CD-DA)の仕様では量子化ビット数は16ビットと規定されており、音声を65,536段階のレベルで記録するが、DVD-Videoは24ビットまで対応しており、約1677万段階となる。
イメージスキャナなどで画像を取り込む場合、表示装置や画像形式などが対応している各色8ビット256段階の24ビットカラー(トゥルーカラー)で取り込む機器が多いが、各色256段階では単色の画像などの場合に表現力が低いため、上位機種などでは各色12ビット(4,096段階)や16ビットの量子化ビット数に対応しているものもある。
エンコード 【符号化】 ⭐⭐⭐
ある形式の情報を一定の規則に従って別の形式に変換すること。元の形式に復元可能な状態に変換することを指し、データ圧縮や暗号化、文字コードの変換などが該当する。
ある形式のアナログ信号やデジタルデータを特定の形式の符号(code)に置き換える操作を指す。得られた符号列に逆方向の変換を行って元の状態に戻す操作は「デコード」(decode)という。デコードによって符号化前の状態を復元することができるが、非可逆圧縮など完全に元の状態には戻せない方式もある。
例えば、動画データは極めてデータ量が大きいため、符号化処理によってデータの間引きや圧縮を行い、短い符号列に置き換えてから保存や伝送を行う。圧縮されたデータはそのままでは再生できないため、再生時にはデコード処理によって元のデータを取り出してから表示を行う。
ある方式の符号化処理を行う装置やソフトウェアを「エンコーダ」(encoder)、その方式でデコード処理を行うものを「デコーダ」(decoder)という。音声の録音と再生、映像の録画と再生など、状況に応じてどちらも行う可能性がある場合には、両者を一体化した「コーデック」(codec:encoder-decoder)を用いる。
ビット ⭐⭐⭐
情報量の最小単位で、二つの選択肢から一つを特定する情報の量。コンピュータなどでは0と1のいずれかを取る二進数の一桁として表される。
語源は “binary digit” (二進法の数字)を繋げて省略した表現と言われる。情報をすべてビット列に置き換えて扱うことを「デジタル」(digital)という。1ビットのデータが表す情報量は、投げたコインの表裏のように、二つの状態のいずれであるかを示すことができる。
複数のビットを連ねて一つのデータとすることで、2ビットなら4状態(22)、3ビットなら8状態(23)といったように、より多い選択肢を識別できる。一般に、nビットのデータは2のn乗個までの選択肢からなる情報を表現することができる。
例えば、大文字のラテンアルファベットは「A」から「Z」の26文字であるため、これを識別するのには4ビット(16値)では足りず、5ビット(32値)が必要となる。小文字を加えると52文字であるため、6ビット(64値)が必要となる。
派生単位
データの読み書きや伝送を行う場合、その速さを表す単位として1秒あたりの伝送ビット数であるビット毎秒(bps:bit per second)という派生単位が用いられる。
また、実用上はビットでは値が大きくなりすぎて不便なことも多いため、8ビットをまとめて一つのデータとした「バイト」(byte)という単位を用いる場面も多い。かつて何ビットを1バイトとするか機種により様々に分かれていた(7ビットバイトや9ビットバイトなどが存在した)名残りで、8ビットの集まりを「オクテット」(octet)とも呼ぶ。
倍量単位
大きな量を表す際には、SI単位系に則って接頭辞を付した倍量単位を用いる場合がある。
- 1000ビットを「キロビット」(kbit:kilobit)
- 100万ビットを「メガビット」(Mbit:megabit)
- 10億ビットを「ギガビット」(Gbit:gigabit)
- 1兆ビットを「テラビット」(Tbit:terabit)
- 1000兆ビットを「ペタビット」(Pbit:petabit)
- 100京ビットを「エクサビット」(Ebit:exabit)
という。また、コンピュータでは2の冪乗を区切りとするのが都合が良いことが多いため、独自の接頭辞を付した倍量単位が用いられることもある。
- 210(1024)ビットを「キビビット」(Kibit:kibibit)
- 220(約104万)ビットを「メビビット」あるいは「ミービビット」(Mibit:mebibit)
- 230(約10億7千万)ビットを「ギビビット」(Gibit:gibibit)
- 240(約1兆1千億)ビットを「テビビット」あるいは「ティービビット」(Tibit:tebibit)
- 250(約1126兆)ビットを「ペビビット」あるいは「ピービビット」(Pibit:pebibit)
- 260(約115京)ビットを「エクスビビット」あるいは「イクシビビット」(Eibit:exibibit)
という。この2進専用の接頭辞はIEC(国際電気標準会議)が標準化しており、一般にはあまり馴染みがないが記憶容量の表記などで用いられることがある。
バイト ⭐⭐⭐
情報量の単位の一つで、8ビットのこと。数としては2進数を8桁並べたものに相当し、2の8乗で256種類の異なる状態を表現することができる。
情報量の最小の単位である「ビット」(bit)は2つの状態(0と1、オンとオフなど)を識別できるが、バイトは8ビットをまとめて一つの単位としたもので、各ビットの状態の組み合わせで256の状態を識別することができる。
単位として数値の後に付ける際にはアルファベット大文字の「B」が用いられるが、ビットを小文字の「b」で表すことが多いため、両者の混同を避けるために「byte」あるいは「bytes」と省略せずに(同様にビットは「bit」「bits」)記すことも多い。通信速度を表す場合は1秒あたりに伝送可能なバイト数を「バイト毎秒」という単位で表す。記号は「B/s」または「Bytes/s」を用いる。
接頭辞付きの単位
大きな量を表す場合はSI単位系に定められた接頭辞を付加し、1,000倍あるいは1,024倍ごとにキロバイト(KB:kilobyte)、メガバイト(MB:megabyte)、ギガバイト(GB:gigabyte)、テラバイト(TB:terabyte)などの単位を用いる。接頭辞は他の物理量のように1,000の累乗倍を表す場合と、情報処理の分野で切りの良い1,024(2の10乗)の累乗倍を表す場合があり、混乱が生じている。
IEC(国際電気標準会議)では1,024倍を表す場合は「KiB」(kibibyte、キビバイト)、「MiB」(mebibyte、メビバイトまたはミービバイト)、「GiB」(gibibyte、ギビバイト)、「TiB」(tebibyte、テビバイトまたはティービバイト)など専用の接頭辞を用いるよう提唱しているが、現状ではあまり定着していない。
nビットバイトとオクテット
もともと1バイトが何ビットか明確な定義はなく、機種や処理系によって都合の良いビット数が割り当てられていた。1バイトをnビットで表すことを「nビットバイト」と呼び、1980年代頃までは「6ビットバイト」や「7ビットバイト」など、8ビット以外のバイトを単位とするコンピュータもあった。
このようなバイトの定義の曖昧さを避けるため、必ず8ビットを表す単位として「オクテット」(octet)が用いられることがある。通信プロトコルの仕様書のように、機種や処理系の違いを超えて共通して利用される可能性がある文脈では、古い時代の名残りで現在でもバイトと言わずにオクテットが好まれる場合がある。
なお、現代では歴史的な文脈以外で8ビット以外のバイトが用いられることはなくなったため、2008年に国際電気標準会議(IEC)がIEC 80000-13規格の改訂版で正式に1バイトを8ビットであると定義した。
SI接頭語 【SI prefix】 ⭐
国際的な単位の標準体系であるSI単位系で、桁数の長い大きな数や小さな数を簡潔に書き記すため、単位名の先頭に付け加える語。「センチメートル」の「センチ」などのことで、元の単位を何倍したものかを表す。
100倍、100分の1倍など10の累乗倍を表しており、1000倍と1000分の1倍までは1桁ごとに、以降は3桁ごとに定められている。「キロ」(kilo-)のような接頭語そのものと、「k」のように単位として記載するときに使う記号(接頭語記号)が定められている。
日常生活で馴染み深いのは、1000倍の「キロ」(kilo-/記号k)、100分の1倍の「センチ」(centi-/記号c)、1000分の1倍の「ミリ」(milli-/記号m)、100倍の「ヘクト」(hecto-/記号h)などである。10倍の「デカ」(deca-/記号da)、10分の1倍の「デシ」(deci-/記号d)などは省略できる桁数が少ないため日常的にはあまり用いられない。
工業や科学技術などでは、周波数のような巨大な数を扱うために、100万倍の「メガ」(mega-/記号M)、10億倍の「ギガ」(giga-/記号G)、1兆倍の「テラ」(tera-/記号T)などを、微小な世界の現象を扱うために100万分の1倍の「マイクロ」(micro-/記号μ)、10億分の1倍の「ナノ」(nano-/記号n)、1兆分の1倍の「ピコ」(pico-/記号p)などを用いることがある。
IT分野の接頭語
IT分野ではデータ量(ビットやバイト)やデータ伝送速度(ビット毎秒やバイト毎秒)で大きな数を扱うことが多く、「メガビット毎秒」(Mbps)や「テラバイト」(Tbytes)のようにキロ、メガ、ギガ、テラなどのSI接頭辞を頻繁に用いる。
コンピュータは数値を2進数で扱うため、数の区切りとして2の累乗の方が都合が良いことが多く、かつては1024(210)倍をキロと呼ぶなど、210倍ごとに接頭語を運用することがあった。
しかし、本来の接頭語とどちらの大きさを表しているのか分からず、正確に値を伝えるのが困難になってしまうことから、IEC(国際電気標準会議)では1024倍ごとの接頭語に独自の名前と記号を定義し、SI接頭辞は10の累乗以外の意味では使わないよう求めている。
新たに定められた2の累乗ごとの接頭語は、最も近いSI接頭辞の名前と「binary」(バイナリ:2進数の)を組み合わせた名前となっており、記号には「i」を追加する。例えば、210倍は「キロバイナリ」を略した「キビ」(kibi-/記号ki)、220倍は「メガバイナリ」を略した「メビ」あるいは「ミービ」(mebi-/記号Mi)、230倍は「ギガバイナリ」を略した「ギビ」(gibi-/記号Gi)といった具合である。
10進数 【10進法】 ⭐⭐
数を書き表す方法(記数法)の一つで、基数を十とした表記法のこと。人間が普段最も一般的に利用している位取り記数法で、通常、アラビア数字の「0」から「9」までのすべての数字を用いて数を表現する。
10進法では桁が一つ左へ移動する毎に値の重みが十倍に、右へ移動するごとに十分の一になる。すなわち、整数の右端の桁は一(100)の位、その左は十(101)の位、その左は百(102)の位、その左は千(103)の位、といった具合に各桁の重みが決まる。
コンピュータでは二つの状態の組み合わせで数値を表現する2進数の方が都合が良いため、人間などが10進法で入力した値は内部でまず2進数による表現に変換されてから記録、伝送、計算などを行うようになっている。また、処理結果を人間などに提示する場合も、内部の2進数による表現から10進法の表記に変換して出力される。2進表現を「バイナリ」(binary)、十進表現を「デシマル」(decimal)と呼ぶことがある。
「10進」と「十進」
どのような基数の表記でも、右から2桁目が1で右端が0の値はすべて「10」となり、それらはすべての異なる値である(2進数の「10」は2、8進数の「10」は8、16進数の「10」は16である)ため、基数が十であることを示すために「10進数」「10進法」とするのは紛らわしく不適切であるとする考え方もあり、そのような場合は「十」 (同様に英語圏では “ten” あるいは “decimal” )という表記が好まれる。
2進数 【二進数】 ⭐⭐⭐
数を書き表す方法(記数法)の一つで、基数を2(二)とした表記法のこと。アラビア数字の「0」と「1」を用いてすべての数を表現する。情報を2進法の値の連なりとして表現する手法を「デジタル」(digital)という。
普段我々が日常的な数字の読み書きや算術に用いる位取り記数法は「10進数」(十進数)で、一つの桁の表現に「0」から「9」の10種類の数字を使い、各桁の左の桁が10倍、右の桁は1/10を表している。
一方、2進法は一つの桁の表現が「0」と「1」の二通りしか無い記数法で、桁が一つ左へ移動する毎に値の重みが2倍に、右へ移動するごとに1/2倍になる。整数の右端の桁は1(20)の位、その左は2(21)の位、その左は4(22)の位、その左は8(23)の位…といった具合に各桁の重みが決まる。
<$Fig:binarynumber|center|true>例えば、2進法の「1101」は左端から順に「8の位」が1、「4の位」が1、「2の位」が0、「1の位」が1であるため、10進数では 1×8 + 1×4 + 0×2 + 1×1 の「13」となる。逆に、10進数の「21」は、2のべき乗の足し算で表すと 16 + 4 + 1、すなわち 24×1 + 23×0 + 22×1 + 21×0 + 20×1 と表せるため、2進数では「10101」となる。
2進数とビット・バイト
2進法は二つの状態の組み合わせですべての数を表現することができるため、これをスイッチのオン・オフや電圧の高低、磁石のN極とS極、電荷の有無など、対となる物理的な状態に対応させることにより、機械による情報の記憶や伝達、演算を容易に取り扱うことができるようになる。
現代の電子式のコンピュータは原則としてすべての情報を2進法のデータに置き換えて処理を行い、2進法の1桁に相当するデータ量の最小単位を「ビット」(bit)という。実用上はある程度まとまった桁数のビット列を対象にデータの保存や操作を行うため、8ビットに相当する「バイト」(byte)という単位が用いられることが多い。1バイトは8桁の2進法に相当するため、28=256種類の状態を表現できる。
16進数 【16進法】 ⭐⭐⭐
数を書き表す方法(記数法)の一つで、基数を16(十六)とした表記法のこと。アラビア数字(算用数字)の「0」から「9」、およびアルファベットの「A」から「F」を用いてすべての数を表現する。
普段我々が日常的な数字の読み書きや算術に用いる位取り記数法は10進数(十進数/10進法)で、一つの桁の表現に「0」から「9」の10種類の数字を使い、各桁の左の桁が10倍、右の桁は10分の1を表している。
一方、16進法では1の位、16の位、256の位…というように桁の重みが16倍ずつ変化する。16進法における「10」は10進数における「16」を意味する。小数点以下も同様で、小数点の右隣から順に、16分の1の位、256分の1の位、4096分の1の位…というように続く。
コンピュータはすべてのデータを2進数で表しており、これを8桁(8ビット)ずつまとめた「バイト」という単位でデータを取り扱う。16進法は一桁で2進数の4桁分(4ビット)の値を書き記すことができるため、1バイトのデータを「00」から「FF」までの2桁の16進法として表記する慣習がある。
表記法
<$Fig:hexadecimal|right|true>10進数の表記には「0」から「9」まで10種類の数字が必要なように、16進法では一桁を16種類の数字で表す必要がある。我々が日常的に使う数字は10種類しかないため、10から15までの数を一桁で表現するために「A」から「F」までの6つのアルファベットで代用することが多い。
その場合、「0」から「9」までは10進数の値と同じで、10進数の10を「A」、11を「B」、12を「C」、13を「D」、14を「E」、15を「F」でそれぞれ表す。例えば、「A0」は10進数の「160」(16×10)、「FF」は「255」(16×15+15)を表す。言語や処理系によるが、大文字と小文字は区別しない(どちらでもよい)ことが多い。
なお、複数の位取り表記法が混在する文書などの場合、記された数値がそれぞれ何進法なのかを明示するため「(9ABC)16」「(1234)10」のように右下に小さく10進表記で基数を記す場合がある。
各言語における表記
プログラミング言語やマークアップ言語などの数値リテラルでは、日常的な文書などと同じように単に数字を並べた表記は10進数とみなす場合が多く、16進法を記述する場合は先頭に特定の接頭辞を付けるなど特別な表記法を用いる。
多くの言語ではC言語などにならって「0xDEAD」のように先頭に「0x」を付記する表記法を採用しており、文字列中のコード参照では「¥x0D¥x0A」のように「¥x」(日本語圏以外では¥はバックスラッシュ)を用いる。
言語によっては「#x」(Schemeなど)「&h」(BASICなど)などを用いたり、末尾に「h」を付ける(一部のアセンブリ言語など)場合もある。HTMLやXMLなどにおける数値文字参照では「♪」のように「&#x」と「;」で挟む。
データ圧縮 【圧縮符号化】 ⭐⭐⭐
データを一定の計算手順で加工し、実質的な内容を損なわずにより短い符号列で表すこと。原則として得られた符号は逆の計算手順により元のデータに復元することができ、データの一部を損なって容量を減らす削減や間引きとは異なる。
同じ情報を短いデータ長で表現することで、記憶装置上で占有する領域を小さくすることができ、また、機器間をより短い時間や少ない回線の占有度で伝送することができる。ただし、圧縮後の符号列は元のデータを扱う処理系では利用できないため、使用前に必ず元の状態に戻す処理が必要となる。この復元処理は「解凍」「伸長」「展開」などと呼ばれる。
圧縮処理や解凍処理に費やされる計算量や計算時間などと引き換えにデータ量の縮減という成果を得ており、両者が見合わなければ圧縮を行う意義は失われる。例えば、データ伝送を高速化するためにデータ圧縮を導入したのに、圧縮、伝送、解凍の合計時間が元データの伝送時間を上回ってしまっては元も子もない。
圧縮の逆変換の呼称
圧縮(compress)後の符号列から元のデータを復元する逆方向の変換処理のことを英語では “decompress” (compressに否定の接頭辞de-を付したもの)というが、日本語では定まった訳がなく、解凍、伸長、展開などの用語が用いられる。
ファイルのアーカイバでは複数のファイルを一つの圧縮ファイルにまとめることが多いため、その中から指定されたものを取り出して元の状態に戻すことを「抽出」ということもある(英語でもこの文脈では “extract” を用いる)。
日本では1980年代にパソコン通信やファイル圧縮ソフトの付属文書などを通じて「解凍」という用語が広まった(対応して圧縮のことを凍結と呼ぶこともあったがこれは広まらなかった)ため、慣用的に解凍と呼ぶことが多いが、本来の語義として圧縮と解凍では意味が対応しておらず、解凍には容積の増減の意味はないことなどから批判も多い。
一方、伸長や展開は、伸ばす、広げるという意味は合っているが、圧縮の逆の動作としての元に戻すという意味合いは薄いとの批判もあり、あまり定着していない。
圧縮率と圧縮比
どのくらい圧縮できたかを圧縮率という用語で表すことがある。より小さい量に圧縮できたことを「圧縮率が高い」という。
実際には二つの異なる指標が圧縮率と呼ばれており、一つは圧縮後のデータ量の元のデータ量に対する比率、もう一つは削減量の元の量に対する比率である。いずれを指すのかは文脈により異なる。圧縮後にデータ量が元の10分の1になったことを、前者の指標では圧縮率10%、後者では90%と表現する。
一方、圧縮前と後のデータ量の比や倍率で圧縮の程度を表すこともあり、データ圧縮比と呼ばれる。10分の1に圧縮したことを10:1あるいは10倍と言い表す。
可逆圧縮と非可逆圧縮
完全に元のデータに戻せる符号列に変換する方式を「可逆圧縮」、元のデータの一部を削除・変形することで高い圧縮率を得る代わりに完全には元に戻せなくなる方式を「非可逆圧縮」あるいは「不可逆圧縮」という。
可逆圧縮はわずかでもデータの一部が異なれば元とはまったく違う意味になってしまう文字(テキスト)データやコンピュータプログラムの圧縮や汎用のファイル圧縮などで用いられ、通常単にデータ圧縮といえば可逆圧縮を指す。
非可逆圧縮は主に画像や音声、映像など元のデータに大きな情報の冗長性が含まれる対象に用いられる。人間の視覚や聴覚の特性を利用して、人間が気づきにくい形でデータの一部を改変・削除することで、劇的な高圧縮率を得ることができる。
元の情報を損なう変換を伴うため、非可逆圧縮は厳密にはデータ圧縮手法の一部ではないとする立場もある。また、非可逆圧縮アルゴリズムの中には、元データの形式変換や加工(この段階ではデータ長の縮減は伴わない)を行った後、データ圧縮自体は連長圧縮などの可逆圧縮により行う(すなわち、「非可逆」の工程では圧縮していない)ものも多い。
コーデック 【CODEC】
信号やデータを一定の規則にしたがって符号化したり、逆に、符号化されたデータを元の状態に復号したりする装置やソフトウェアなどのこと。符号化のみを行うものは「エンコーダ」(encoder)、復号のみを行うものは「デコーダ」(decoder)という。
最もよく知られるのは、画像、音声、動画など大容量のメディアデータを圧縮したり、圧縮データを元通りに復元(伸張)する装置やソフトウェアで、単にコーデックといった場合はこれを指すことが多い。半導体チップや基板、装置などによって処理を行うものを「ハードウェアコーデック」、コンピュータプログラムとして実装したものを「ソフトウェアコーデック」という。
より一般的には、汎用のデータ圧縮・伸張ソフトウェアのことや、複数の圧縮形式の間で相互に変換するシステム(「コンバータ」「トランスコーダ」とも呼ばれる)、データを(圧縮とは別の目的で)内容を変えずに別の形式に変換したり元に戻したりするシステム、暗号化・復号を行うシステムなどが含まれる。
また、半導体や電子機器の分野では、音声や映像などのアナログ信号を取り込んでデジタルデータに変換したり、データをアナログ信号に変換して出力したりする回路や部品、装置のことをコーデックという場合がある。これらは「A/Dコンバータ」(ADC:Analog/Digital converter)あるいは「D/Aコンバータ」(DAC:Digital/Analog converter)とも呼ばれる。
メディアデータのコーデック
画像や音声、動画などのデータを圧縮・展開するコーデックは、それぞれ対応するデータ形式(圧縮符号化形式)が決まっている。データ形式とコーデックが一対一に対応することが多いため、コーデックのことをデータ形式の名称で呼ぶ(例:「MP3コーデック」→「MP3」)ことも多い。
主な画像形式のコーデックとしてはJPEGやPNG、GIFなどが、音声形式のコーデックとしてはMP3やWMA、AC-3、AAC、aptX、Apple Lossless、FLACなどが、画像形式のコーデックとしてはMPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、H.264、H.265、AV1などがよく知られる。音声データのPCM形式のように無圧縮の形式を扱うソフトウェアなどは変換や圧縮・展開などを行わないが、他の形式に合わせて便宜上コーデックと呼ぶ。
ハードウェアコーデック (hardware codec)
動画や音声の符号化・データ圧縮やその逆の解凍・再生などの処理を行う専用の機器や装置をハードウェアコーデックという。
特定の処理に特化したICチップなどの形で提供され、パソコンの場合はこれが実装された拡張カードの形で利用される。符号化・圧縮のみを行うものは「ハードウェアエンコーダ」(hardware encoder)、復号・再生のみを行うものは「ハードウェアデコーダ」(hardware decoder)という。
ソフトウェアで処理するのに比べ速度は勝るが、あらかじめ処理手順の実装された特定の形式にしか対応できない。一つの形式にしか対応できない製品もあるが、複数のICチップを実装するなどして複数の形式に対応している製品もある。
パソコンで動画データを作成したり再生する場合、かつてはCPUが非力だったためハードウェアコーデックを利用することが多かったが、最近では圧縮形式が多様化したことやCPUの処理性能が向上したことから、ソフトウェアコーデックが用いられることが多い。一般に圧縮の方が処理能力が必要なため、圧縮のみ専用のハードウェアを使い、再生はソフトウェアで行うという形も多い。
ソフトウェアコーデック (software codec)
動画や音声の符号化・データ圧縮やその逆の解凍・再生などの処理を行うコンピュータプログラムをソフトウェアコーデックという。
動画や音声のデータ形式ごとに、動画編集ソフトやメディアプレーヤーのアドオンなどの形で提供される。符号化・圧縮のみを行うものは「ソフトウェアエンコーダ」(software encoder)、復号・再生のみを行うものは「ソフトウェアデコーダ」(software decoder)という。
専用のハードウェア(ハードウェアコーデック)に比べ処理速度では劣るが、ソフトウェアを切り替えれば様々な形式に対応できる。かつては専用のハードウェアを利用してた場面でも、形式の多様化やCPU性能の向上などからソフトウェアコーデックを用いることが増えている。
一般に、メディアデータの再生処理は同じ内容の圧縮処理より負荷が軽く、再生側では圧縮側(制作側)よりも多様な形式に対応する必要があることが多いため、再生環境向けにソフトウェア実装されたデコーダのみが配布されることも多い。
可逆圧縮 【ロスレス圧縮】 ⭐⭐⭐
データ圧縮方式のうち、圧縮符号化の過程で元のデータを一切毀損せず、完全に元通りに復元できるように圧縮する手法のこと。主にファイル圧縮や通信プロトコルなど、データの種類を特定しない汎用の保存形式や伝送方式で用いられる。
コンピュータプログラムや文字(テキスト)などのデータは、1ビットでも欠けたり変質するとその意味する内容自体が変わってしまうため、圧縮したデータを展開(解凍)したときに元のデータと完全に一致する可逆圧縮が行われる。
一方、画像や動画、音声などの場合には、人間の視聴覚が違いを感じ取りにくいように一部を省略・改変することで実質的な内容を維持しつつ劇的に圧縮率を高める「非可逆圧縮」(不可逆圧縮)が行われることがある。可逆圧縮は元のデータを完全に保存できるが、非可逆圧縮に比べ圧縮率は低い。
主な可逆圧縮アルゴリズムとしてはランレングス符号やハフマン符号、LZ77、LZSS、LZW、Deflateなどが知られる。ZIPやCAB、LZH、RAR、gzip、bzip2など汎用のファイル圧縮形式はすべて可逆圧縮を用いる。画像圧縮ではJPEGなどが非可逆圧縮、GIFやPNG、WebP、AVIF、Loassless JPEGなどが可逆圧縮である。
また、通常は非可逆圧縮が用いられることが多い音声圧縮でも、「ALAC」(Apple Lossless)や「FLAC」「WMA Lossless」など高音質のために可逆圧縮を用いるファイル形式があり、「ロスレス音源」と総称される。
なお、非可逆圧縮は実際には元のデータを圧縮しやすい状態に変換し、圧縮符号化自体は可逆圧縮アルゴリズムを用いて行うため、正確には圧縮方式そのものが可逆と非可逆に分かれているわけではないが、実用的にはこの変換処理も含めて圧縮方式や圧縮形式の仕様の一部とみなされるため、便宜上このような区分が常用されている。
非可逆圧縮 【不可逆圧縮】 ⭐⭐⭐
データ圧縮方式のうち、圧縮符号化の過程でデータの一部の欠落や改変を許容することで極めて効率よく圧縮する手法のこと。非可逆圧縮されたデータを伸長(解凍)しても元のデータには完全には一致しない。
コンピュータプログラムや文字などのデータは1ビットでも変化すればその意味する内容自体が変わってしまうが、画像や動画、音声などはデータ上は細部が僅かに異なっていても人間の視聴覚には違いが気付きにくい場合がある。
このような特性を活かし、人間が認識しにくい手法で元のデータの一部を省略・改変したり、別の表現形式へ変換するなどして、効率よく短い符号に圧縮する方式を非可逆圧縮という。
元のデータを一切毀損しない可逆圧縮とは異なり完全に元のデータを復元することはできないが、人間にほとんど違いがわからない程度の改変でも劇的に圧縮率を高めることができる利点がある。また、多くの方式では圧縮時に品質劣化の程度を指定することができ、品質を犠牲にして極端に小さな容量に圧縮することもできる。
画像や動画、音声の圧縮形式の多くが非可逆圧縮を採用しており、JPEG、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、H.264、H.265、MP3、AAC、WMAなど主要なデータ形式のほとんどが非可逆となっている。用途に応じて使い分けられるよう、Lossless JPEGやWMA Losslessのように仕様の一部として可逆圧縮を用意している形式もある。
なお、実際には元のデータを効率良く圧縮できる状態に変換し、圧縮符号化自体は可逆圧縮アルゴリズムを用いて行うため、正確には圧縮方式そのものが可逆と非可逆に分かれているわけではないが、実用的にはこの変換処理も含めて圧縮方式や圧縮形式の仕様の一部とみなされるため、便宜上このような区分が常用されている。
ランレングス圧縮 【連長圧縮】 ⭐⭐
最も基本的な圧縮アルゴリズムの一つで、連続して現れる符号を、繰り返しの回数を表す値に置き換える方式。圧縮によって内容を損なわない可逆圧縮を行う。
例えば、「AAAABBBBCCCC」という文字列を圧縮する場合、「A」が4回、「B」が4回、「C」が4回それぞれ連続しているため、各文字とその繰り返し回数を組み合わせて「4A4B4C」のように表すことができる。
展開する場合は「4A」を「AAAA」のように戻していくことで元の文字列が得られる。この例では元のデータの半分のデータ長に圧縮することができた。
この単純な方法では同じ符号が連続する箇所が少ないか存在しない場合、圧縮どころか逆にデータ長が大きく伸びてしまう場合がある。例えば、「ABCABC」は「1A1B1C1A1B1C」となってしまい、元の倍の長さになってしまう。
こうした事態を防ぐための手法がいくつか考案されている。例えば、繰り返し回数を表す数字が負数の場合は、その絶対値の長さだけ元のデータがそのまま記載されている区間が出現するという規則を追加する方式がよく知られる(PackBits方式)。
例えば、「AAAABCDEBBBB」は、単純な符号化では「4A1B1C1D1E4B」と12文字で表されるが、PackBits方式では中間の繰り返しのない4文字の先頭に「-4」(説明のため負号を付けて2文字で表しているが実際のデータ上は1文字分)を付加した「4A-4BCDE4B」となり、9文字で表すことができる。
ランレングス圧縮は余白の多い白黒2値画像のように、符号の種類が少なく繰り返し箇所が多い性質のデータで効率よく圧縮でき、ファクシミリの伝送符号や一部のビットマップ画像形式(BMP形式やPICT形式など)などに採用例がある。
メディア ⭐⭐⭐
媒体、媒質、伝達手段、中間などの意味を持つ英単語。“medium” の複数形。情報の伝達や記録に用いられる物体や装置、およびこれを利用して人に情報を伝達・配布する仕組みや事業、組織などを指すことが多い。
一般の外来語としては、人が人に情報を伝えたり広く報じるのに用いるモノや仕組みを指し、広義には電話や手紙、書籍、テレビ、映画、電子メール、Webサイトなど様々な伝達手段が含まれる。
狭義には、社会の不特定多数の人々に向けて広く情報を発信する「マスメディア」(mass media)のことをメディアと呼ぶことが多い。現代では日常的に多くの人が接するテレビ放送、ラジオ放送、新聞、雑誌の4つを指し、これを「マス4媒体」「4大メディア」などという。
マスメディアと同じように、インターネットを通じて広く一般に情報を発信、公開するネットサービスやWebサイトなどのことを「ネットメディア」「Webメディア」「オンラインメディア」などと呼ぶ。Webサイトやブログ、メールマガジン、動画配信サービス、動画サービス上のチャンネルなどが含まれ、マスメディア企業がネットメディアも並行して運用する例も多く見られる。
記録メディア・伝送メディア
ITの分野では、一般の用法に加え、データの記録・保管に用いる物体や装置を「記録メディア」、信号やデータを伝送するケーブルや内部の信号線、あるいは電波など伝送の媒介となる物理現象を「伝送メディア」という。
記録メディア(記憶メディアとも呼ばれる)の例としては、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光学ディスク(CD/DVD/Blu-ray Discなど)、フラッシュメモリ(SSD/USBメモリなど/メモリーカード)などがある。伝送メディアの例としては金属線ケーブル(銅線ケーブル/メタルケーブル)、光ファイバーケーブル、電波、赤外線、電子基板上の金属配線などがある。
記録メディア 【記憶媒体】 ⭐
信号やデータを何らかの物理状態に置き換えて記録することができる装置や部品のこと。磁気ディスクや磁気テープ、光学ディスク、フラッシュメモリなどが該当し、文脈によっては単にメディア、媒体と呼ばれることもある。
コンピュータなどの情報機器でデータの永続的な保管に用いられるストレージ(外部記憶装置)は、データを何らかの微細な物理的パターンに置き換えて記録・保持するメディアと、これを駆動して読み書き操作を行なう「ドライブ」(drive)と呼ばれる装置からなる。
記録メディアがディスク(円盤)やカセット、カートリッジ式になっており、ドライブ装置から着脱・交換可能(リムーバブル)になっている装置と、装置内部にメディアが封入・固定されていて入れ替えられない機器がある。フロッピーディスクや光学ディスク(CD/DVD/Blu-ray Discなど)などは前者、ハードディスクやSSD、USBメモリは後者に分類される。
メディアリテラシー ⭐⭐⭐
情報を伝達する媒体(メディア)を使いこなす基礎的な素養のこと。メディアを通じて情報を取得・収集し、取捨選択および評価・判断する能力や、自らの持つ情報をメディアを通して適切に発信できる能力を指す。
現代人は生活や仕事に必要な情報の多くをテレビや新聞、雑誌などのマスメディアやインターネット上のサイトやサービスなどの情報媒体を通じて得ているが、媒体にはそれぞれ物理的・技術的・商業的な制約や、発信者の立場や意図、経済的・政治的・思想的な背景などから偏りや歪みを避けることはできず、時には誤りや意図的な誇張、改変、虚偽などが含まれることもある。
情報の偏りにも様々な背景があり、例えば、紙面や放送時間の制約から送り手が重要でないと判断した話題が取り上げられなかったり扱いが小さくなることがある。商業的に運営されている媒体が大口広告スポンサーの不祥事を意図的に無視したり、自社や業界が関連する制度を取り上げる際に自らに有利な情報や論調を流すといった媒体の利害に基づく歪みが生じることもある。
また、政治や経済についての話題では、思想的に政権党に親和的な媒体とそうでない媒体で同じ事実について肯定的な論調と否定的な論調に分かれたり、特定の勢力に有利な、あるいは不利な情報を多く流すと行った操作が行われることも珍しくない。
情報の受け手としてのメディアリテラシーは、このような媒体の特性や限界、送り手の意図や背景などを読み解き、メディアから得た情報を鵜呑みにしたり全否定するのではなく、可能な限り客観的かつ正確に評価して活用できるようにする基本的な知識や技能の総体を指す。
1990年代まではメディアリテラシーといえばマスメディアの情報を読み取る受け手としての能力のみを指したが、現代ではインターネットを通じて誰でも公共に情報を発信することができるようになり、自らの持つ情報を適切な手段で発信する基礎的な能力もメディアリテラシーの範疇に含まれるようになった。こうした送り手としての素養はいわゆる「ネットリテラシー」の一部でもある。
マスメディア 【マスコミュニケーション】 ⭐
不特定多数の人に同時に同じ情報を伝達できる媒体(メディア)のこと。また、その運営機関。「メディア」と略されることもある。マスコミによる情報の一斉伝達を「マスコミュニケーション」(mass communication、マスコミ)というが、媒体や運営機関のことをマスコミということもある。
現代社会では一般に新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4つを指し、これらをマス4媒体(マスメディア4媒体、マスコミ4媒体)という。マスコミに流れる情報が社会に大きな影響を与えることから、その影響力の大きさを国家権力になぞらえ、行政、立法、司法に並ぶ「第4の権力」と呼ばれることもある。
また、あまり一般的な用法ではないが、伝達する情報の種類が限られていたり、情報の発信主体が極めて細分化・専門化していたり、特定集団内や個人間のコミュニケーションに用いる情報媒体でも、全体としての普及率や接触率が高い場合にはマスコミに含める場合がある。例えば、インターネット、書籍、映画、携帯電話、音楽・映像ソフト(CDやDVDなど)などをマスコミの一部とする場合がある。
何がマスコミとして機能するかは時代や科学技術、社会制度の変化によっても変遷し、例えば江戸時代の日本では立て札が一種のマスコミであり、テレビ放送の開始前は映画館で時事の話題を映像で伝える「ニュース映画」を上映していた。現在ではインターネットがマスコミの機能を持ち始めている。
多くの国で、マスコミの運営や所有者について法制度によって一定の規制あるいは保護が行われている。特に、国民の共有財産である電波周波数を専有するテレビやラジオなどの放送事業については免許制とし、一定の要件を満たした事業者が当局の規制・監督のもと運営する制度となっていることが多い。
新聞や雑誌についても税制や郵便料金を優遇するといった措置が行われることがある。例えば、日本では新聞に消費税の軽減税率が適用され、郵便制度では定期刊行物向けの割安な「第三種郵便物」という区分が用意されている。統制主義的な国家ではマスコミの運営を国が独占したり、報道内容の検閲など運営への国家の関与・介入が行われることが多い。
マスメディア 【マスコミュニケーション】 ⭐⭐
不特定多数の人に同時に同じ情報を伝達できる媒体(メディア)のこと。また、その運営機関。「メディア」と略されることもある。マスメディアによる情報の一斉伝達を「マスコミュニケーション」(mass communication、マスコミ)というが、媒体や運営機関のことをマスコミということもある。
現代社会では一般に新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4つを指し、これらをマス4媒体(マスメディア4媒体、マスコミ4媒体)という。マスメディアに流れる情報が社会に大きな影響を与えることから、その影響力の大きさを国家権力になぞらえ、行政、立法、司法に並ぶ「第4の権力」と呼ばれることもある。
また、あまり一般的な用法ではないが、伝達する情報の種類が限られていたり、情報の発信主体が極めて細分化・専門化していたり、特定集団内や個人間のコミュニケーションに用いる情報媒体でも、全体としての普及率や接触率が高い場合にはマスメディアに含める場合がある。例えば、インターネット、書籍、映画、携帯電話、音楽・映像ソフト(CDやDVDなど)などをマスメディアの一部とする場合がある。
何がマスメディアとして機能するかは時代や科学技術、社会制度の変化によっても変遷し、例えば江戸時代の日本では立て札が一種のマスメディアであり、テレビ放送の開始前は映画館で時事の話題を映像で伝える「ニュース映画」を上映していた。現在ではインターネットがマスメディアの機能を持ち始めている。
多くの国で、マスメディアの運営や所有者について法制度によって一定の規制あるいは保護が行われている。特に、国民の共有財産である電波周波数を専有するテレビやラジオなどの放送事業については免許制とし、一定の要件を満たした事業者が当局の規制・監督のもと運営する制度となっていることが多い。
新聞や雑誌についても税制や郵便料金を優遇するといった措置が行われることがある。例えば、日本では新聞に消費税の軽減税率が適用され、郵便制度では定期刊行物向けの割安な「第三種郵便物」という区分が用意されている。統制主義的な国家ではマスメディアの運営を国が独占したり、報道内容の検閲など運営への国家の関与・介入が行われることが多い。
ハードディスク 【HDD】 ⭐⭐
コンピュータなどの代表的なストレージ(外部記憶装置)の一つで、薄くて硬い円盤(ディスク)の表面に塗布した磁性体の磁化状態を変化させてデータを記録するもの。一台あたりの容量が大きく容量あたりの単価が安いため、パソコンなどに内蔵されるストレージとして標準的な存在となっている。
構造・原理
装置内にはガラスや金属でできたプラッタ(platter)と呼ばれる円盤型の記憶媒体が数枚封入されており、表面には磁性体が塗布されている。これを回転軸で高速(毎分数千回)で回転させ、アームの先端に取り付けられた磁気ヘッドを近接させる。特定の箇所の磁化状態を変化させることでデータを書き込むことができ、状態を読み取ることでデータを読み出すことができる。
プラッタの直径は主流の製品で3.5インチ(約8.9cm)だが、小型の機器向けに2.5インチや1インチの製品も存在する。一台の装置にプラッタが1~8枚程度備え付けられ、通常はその両面を記録に用いる。内部的な制御や区画分けはプラッタごとに行われるが、外部から見た記憶領域としては全体で一つとなる。
他媒体との比較
「ハードディスク」とは硬い円盤という意味だが、これはフロッピーディスクなどのようにプラッタの素材に柔らかいプラスチックフィルムなどを用いる装置と対比した表現である。フロッピーディスクなどは記憶媒体と駆動装置(ドライブ)が分離していてディスクだけを取り外して交換したり持ち運べるが、ハードディスクはディスクとドライブが一体化しているため、「ハードディスクドライブ」(HDD:Hard Disk Drive)とも呼ばれる。
磁気ディスクや光学ディスクなどの中では最も記録密度が高く、同じ世代で比較すると装置(媒体)一台あたりの記憶容量は飛び抜けて大きい。読み書きも高速で、パソコンやサーバなどのコンピュータ製品では基幹的な記憶媒体として広く普及している。ドライブ一体型なこともあり一台あたりの価格が高いことや、振動に弱いという難点もある。
SSDへの置き換え
装置の寸法や接続仕様をハードディスクに揃え、内部の記憶媒体をフラッシュメモリに置き換えた製品はSSD(Solid State Drive)と呼ばれ、ハードディスクの代替として近年急速に浸透している。
読み書き速度が桁違いに速く衝撃にも強いという長所があるが、半導体メモリのため価格が高く一台あたりの容量も少ないという欠点があった。近年では低価格化と記憶容量の向上が劇的に進み、従来のハードディスクの用途を置き換える形で普及が加速している。
接続方式
コンピュータ本体に内蔵されるハードディスクの場合、接続インターフェースとして初期にはIDE/ATA(パソコン向け)やSCSI(サーバ・ワークステーション向け)が、2000年代以降はSATA(Serial ATA)が主に用いられている。独自の筐体を持ちケーブルでコンピュータと繋ぐ外付けの装置もあり、USBやIEEE 1394、eSATAなどの規格で接続される。
Web 【ウェブ】 ⭐⭐
インターネット上で標準的に用いられている文書の公開・閲覧システム。文字や図表、画像、動画などを組み合わせた文書を配布することができる。現代では様々なサービスやアプリケーションの運用基盤としても広く用いられる。
文書内の要素に別の文書を指し示す参照情報(ハイパーリンク)を埋め込むことができる「ハイパーテキスト」(hypertext)と呼ばれるシステムの一種である。“web” (ウェブ)とは「蜘蛛の巣」を意味する英単語で、多数の文書が互いにリンクを介して複雑に繋がり合っている様子を蜘蛛の巣の網目状の構造になぞらえている。
WebサーバとWebブラウザ
Webで情報を提供するコンピュータやソフトウェアを「Webサーバ」(web server)、利用者の操作によりサーバから情報を受信して表示や処理を行うコンピュータやソフトウェアを「Webクライアント」(web client)という。
Webクライアントのうち、受信したページの内容を整形して画面に表示し、人間が閲覧するために用いるものを特に「Webブラウザ」(web browser:ウェブブラウザ)という。サーバとクライアントの間の通信には「HTTP」(Hypertext Transfer Protocol)と呼ばれる通信規約(プロトコル)が標準的に用いられる。
Web上の情報資源の所在の指定には、「https://www.example.co.jp/index.html」といった形式の「URL」(Uniform Resource Locator)という表記法が用いられる。Webサーバを表すドメイン名(ホスト名)と、Webサーバ上での資源の位置を指し示すパス(階層的なディレクトリ名とファイル名の組み合わせ)を繋げた形式になっている。
WebページとWebサイト
Webにおける情報の基礎的な単位は「Webページ」(web page)で、見出しや文章などの文字情報をもとにHTML(Hypertext Markup Language)やCSS(Cascading Style Sheet)などのコンピュータ言語で構造や体裁、見栄えを記述する。
HTMLは記述された文字情報の中にソフトウェアへの制御情報を埋め込むことができる「マークアップ言語」(markup language)と呼ばれる言語で、「この部分が見出し」「本文はここからここまで」「段落の区切りはここ」といった指示を文書中に埋め込む形で記述することができる。
Webブラウザはこの制御情報に基づいて、タイトルを中央揃えにしたり、小見出しを太い大きな文字で表示したり、段落の間に空白を差し込むなど指定された整形や装飾を行い、閲覧者が文書の構造を把握しやすいように表示してくれる。
ページ内には文章だけでなく箇条書き(リスト)や表(テーブル)、図形、画像、動画、入力要素(フォーム)などを掲載することができる。画像や動画など文字で書き表せない要素は外部のファイルをURLで指定して埋め込むことができる。
要素のページ内での配置や大きさ、枠線や罫線、文字の字形(フォント)や色といった具体的な見栄えに関する指定項目(スタイルという)は、当初はHTMLで構造とともに記述していたが、CSSという専用の言語で構造とは別に指定する方式が主流となっている。
ページ内の要素には外部の他の資源(多くの場合は他のWebページ)のURLを指し示すリンクを設定することができ、ブラウザ画面に表示されたリンクを指定して開くよう指示(クリックやタップなど)すると、表示がリンク中のURLで指定されたページに切り替わる。簡単な操作でリンクをたどって次々に文書から文書へ表示を切り替えていくことができる。
このリンク機能を利用して、書籍のように複数のページ群をまとめた単位を「Webサイト」(web site)という。サイト内のページからは外部のサイトのページへリンクを張ることもでき、Web全体がリンクを介して連結された巨大な地球規模の文書データベースとなっている。
Webアプリケーション・Webサービス
Webサーバには静的なファイルの送信だけでなく、ブラウザからの要求に基づいて動的にコンピュータプログラムを実行し、何らかのデータ処理を行って結果をブラウザに応答することもできる。
また、Webブラウザにはページ上に記述された簡易なプログラム(スクリプトという)を実行し、サーバと任意のタイミングで通信したり、利用者の操作に応じて表示内容を変化させたりすることができる。
このような動的な仕組みを組み合わせ、サーバとブラウザが連携して利用者が対話的に操作することができるアプリケーションソフトを構築することができ、これを「Webアプリケーション」(web application)あるいは「Webサービス」(web service)という。著名な応用例として、ブラウザで買い物ができるオンラインショップ(ECサイト)や、利用者同士がコミュニケーションできるSNSなどのネットサービスがある。
歴史と名称
Webはインターネットがまだ学術機関を中心に利用されていた頃、1989年に欧州核物理学研究所(CERN)のティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)氏が所内の論文公開・閲覧システムとして考案したものが基礎となっている。
1990年代にインターネットが一般に開放され普及していく過程で、電子メールなどと共にネットの代表的な応用システムとして広く利用されるようになった。2000年代中頃には主に日本を含む先進国で欠かすことのできない重要な情報インフラの一つに成長している。
もとは “World Wide Web”、略して “WWW” が正式名称で、現在も「https://www.example.jp/」のようにWebサーバのホスト名などにこの名が残っているもの。英語では次第に “the Web” (固有名詞のWeb)のように略されるようになり、さらに進んで現在では一般名詞の “web” がインターネットのWebを指すことが増えている。日本では当初「ホームページ」の名称で紹介され、現在も初心者向けの説明などで多用されるが、「ウェブ」「Web」の呼称が浸透しつつある。
ソーシャルメディア ⭐⭐
インターネット上で展開される情報メディアのあり方で、個人による情報発信や個人間のコミュニケーション、人の結びつきを利用した情報流通などといった社会的な要素を含んだメディアのこと。狭義にはいわゆる「SNS」(ソーシャルネットワーキングサービス)を指す。
利用者の発信した情報や利用者間の繋がりによってコンテンツを作り出す要素を持ったWebサイトやネットサービスなどを総称する用語である。電子掲示板(BBS)やブログ、ミニブログ、Wiki、SNS、動画共有サービス、動画配信サービス、ポッドキャスト、ソーシャルニュースサイト、ソーシャルブックマークサービス、レシピ共有サイト、各種レビューサイト、Q&Aサイトなどが含まれる。
メッセンジャーアプリやビデオ会議アプリなどのコミュニケーションツールもソーシャルメディアの一種とする場合がある。サイトやサービス自体はソーシャル的でない場合も、オンラインショップのレビュー投稿欄、フリマアプリの購入者評価欄などのようにソーシャルメディア的な要素が含まれる例がある。
従来のマスメディアは情報の発信に巨大な設備や組織、巨額の資金が必要だったため、情報の送り手の地位は少数の特権的な職業人によって占められていたが、ソーシャルメディアではメディアの閲覧者が同時に発信者としての資格を持ち、他の利用者に自身の責任で自由に情報を発信することができる。
また、大衆に画一的に同じ情報を複製して配信してきたマスメディアに対し、ソーシャルメディアでは多様な発信主体から閲覧者自身が必要とする情報源を選択したり、友人や同僚、同好の士などといった人間関係を利用して情報の流通を制御したりする仕組みが用意されていることが多い。
SNS 【Social Networking Service】 ⭐⭐⭐
人と人との社会的な繋がりを維持・促進する様々な機能を提供する、会員制のオンラインサービス。友人・知人間のコミュニケーションを円滑にする手段や場を提供したり、趣味や嗜好、居住地域、出身校、あるいは「友人の友人」といった共通点や繋がりを通じて新たな人間関係を構築する場を提供するサービスで、Webサイトや専用のスマートフォンアプリなどで閲覧・利用することができる。
主な特徴
サービスにより機能や特徴が大きく異なるが、多くのサービスに見られる典型的な機能としては、別の会員を「友人」や「購読者」「被購読者」などに登録する機能、自分のプロフィールや写真を公開する機能、同じサービス上の別の会員にメッセージを送る機能、自らのスペースに文章や写真、動画などを投稿して友人などに見せる機能がある。
サービスによっては、複数の会員でメッセージ交換や情報共有ができるコミュニティ機能、イベントの予定や友人の誕生日などを共有したり当日に知らせたりしてくれるカレンダーあるいはスケジュール機能などがある。
多くの商用サービスではサイト内に広告を掲載するなどして、登録や基本的なサービスの利用を無料としているが、一部の機能を有料で提供しているサービスもある。
SNSの種類
多くのサービスはメールアドレスなどがあれば誰でも登録できるが、普及し始めた当初は人の繋がりを重視して「既存の参加者からの招待がないと参加できない」というシステムになっているサービスが多かった。
現在でも、何らかの形で参加資格を限定し、登録時に紹介や審査などが必要なサービスがある。また、参加自体が自由でも、テーマや分野などがあらかじめ設定され、関係や関心のある人の参加を募っているサービスなどもある。
企業などが従業員を対象に運用する「社内SNS」や、大学が教職員や在学生、卒業生を対象に運用する「学内SNS」もあり、業務上の連絡や情報共有に使われたり、業務とは切り離して参加者間の交流の促進のために利用されたりする。「OpenPNE」や「Mastodon」など自らSNSを開設・運用することができるサーバ向けソフトウェアもあり、これを利用したプライベートな集団内のサービスも存在する。
歴史と著名なサービス
2003年頃アメリカを中心に相次いで誕生し、国内事業者によるサービスも2004年頃から普及し始めた。世界的には、初期に登録資格を有名大の学生に絞って人気を博し、後に世界最大のソーシャルネットワークに成長した「Facebook」(フェイスブック)や、短いつぶやきを投稿・共有するマイクロブログ型の「Twitter」(ツイッター:現X)、写真の投稿・共有を中心とする「Instagram」(インスタグラム)、ビジネス・職業上の繋がりに絞った「LinkedIn」(リンクトイン)などが有名である。
日本独自のサービスとしては一時会員数1000万人を超え社会現象ともなった「mixi」(ミクシィ)などが有名だが、近年ではFacebookなど海外事業者に押され利用が低迷しており、オンラインゲーム運営・提供に業態転換するなどしている。
SNS的なサービスの広がり
近年では様々なWebサイトやネットサービス、スマートフォンアプリなどに「ソーシャルな」機能が組み込まれる事例が増えており、何がSNSで何がそうでないか明確に区別することは難しくなりつつある。
例えば、料理レシピ投稿サイトの「クックパッド」(Cookpad)や、スマートフォン利用者間でチャットや音声通話などを提供する「LINE」(ライン)などにも、集団の形成を支援するコミュニティ機能や日記の投稿・共有機能などがあり、これらのサービスをSNSの一種に含める場合もある。
SNSの功罪
SNSによって、一度繋がりの途絶えた古い友人と交流を再開したり、現実に頻繁に会うことは難しい多人数と日常的な繋がりを保ったり、身の回りに同好の士がいなくてもSNSで発見してコミュニティを形成できるなど、SNSのおかげで人間関係が充実した利用者は数多くいる。
一方で、不用意に個人情報や顔写真などを公開してしまい悪意に晒されたり、素性のよくわからない人と交流を持ちトラブルに巻き込まれたり、自分の周囲では特に問題視されなかった話がネット上で拡散されるうちに非難の書き込みが殺到してしまう(「炎上」と呼ばれる現象)など、SNSによって新たに引き起こされる問題もある。
また、SNSが様々な人の間に普及し、継続して利用する期間が長くなるに連れ、上司や家族など「望まれざる」相手とのSNS上での関係や対応に苦慮したり、知り合いの(大抵は良いことしか書かれていない)書き込みを読んで自分の身上と比較してしまったり、興味が湧かない話題でも毎回反応を迫られているように感じて精神的に疲弊する「SNS疲れ」といった問題に直面し、SNSの利用を断って離れる人も増えている。
電子メール 【eメール】 ⭐⭐⭐
通信ネットワークを介してコンピュータなどの機器の間で文字を中心とするメッセージを送受信するシステム。郵便に似た仕組みを電子的な手段で実現したものであることからこのように呼ばれる。
広義には、電子的な手段でメッセージを交換するシステムやサービス、ソフトウェア全般を指し、携帯電話のSMSや、各種のネットサービスやアプリ内で提供される利用者間のメッセージ交換機能などを含む。
狭義には、SMTPやPOP3、IMAP4、MIMEなどインターネット標準の様々なプロトコル(通信規約)やデータ形式を組み合わせて構築されたメッセージ交換システムを指し、現代では単に電子メールといえば一般にこちらを表すことが多い。
メールアドレス
電子メールの送信元や宛先は住所や氏名の代わりに「メールアドレス」(email address)と呼ばれる統一された書式の文字列が用いられる。これは「JohnDoe@example.com」のように「アカウント名@ドメイン名」の形式で表され、ドメイン名の部分が利用者が所属・加入している組織の管理するネットワークの識別名を表し、アカウント名がその中での個人の識別名となる。
企業や行政機関、大学などがメールサーバを運用して所属者にメールアドレスを発行しているほか、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や携帯電話事業者などがインターネット接続サービスの一環として加入者にメールアドレスを発行している。
また、ネットサービス事業者などが誰でも自由に無料でメールアドレスを取得して利用できる「フリーメール」(free email)サービスを提供している。一人の人物が立場ごとに複数のアドレスを使い分けたり、企業の代表アドレスのように特定の個人に紐付けられず組織や集団などで共有されるアドレスもある。
メールサーバとメールクライアント
インターネットに接続されたネットワークには「メールサーバ」(mail server)と呼ばれるコンピュータが設置され、利用者からの要請により外部のネットワークに向けてメールを送信したり、外部から利用者に宛てて送られてきたメールを受信し、本人の使うコンピュータに送り届ける。利用者や他のサーバに対する窓口であり、郵便制度における郵便局のような役割を果たす。
メールサーバ内には利用者ごとに私書箱に相当する受信メールの保管領域(メールボックス)が用意され、外部から着信したメールを一時的に保管する。利用者が手元で操作するメールソフト(メールクライアント、メーラーなどと呼ばれる)は通信回線を介してメールサーバに問い合わせ、メールボックス内のメールを受信して画面に表示する。
Webメール
利用者の操作画面をWebアプリケーションとして実装し、Webブラウザからアクセスしてメールの作成や送信、受信、閲覧、添付ファイルのダウンロードなどをできるようにしたシステムを「Webメール」(webmail)という。
フリーメールサービスの多くは標準の操作画面をWebメールの形で提供しており、メールクライアントなどを導入・設定しなくてもWebブラウザのみでメールの送受信を行うことができるようになっている。企業などの組織で運用されるメールシステムでもWebメールを提供する場合があり、自宅や出先のコンピュータなどからアクセスできるようになっている。
メッセージの形式
電子メールには原則として文字(テキスト)データのみを記載することができる。特別な記法や書式を用いずに素の状態の文字データのみが記されたメールを「テキストメール」という。WebページのようにHTMLやCSSなどの言語を用いて書式や装飾、レイアウトなどの指定が埋め込まれたものは「HTMLメール」という。
また、画像や音声、動画、データファイル、プログラムファイルなどテキスト形式ではないデータ(バイナリデータ)を一定の手順でテキストデータに変換して文字メッセージと一緒に送ることができる。こうしたデータをメッセージ中に埋め込む方式の標準として「MIME」(Multipurpose Internet Mail Extension/マイム)が規定されており、これを利用してメールに埋め込んだファイルを「添付ファイル」(attachment file)という。
電子メールの普及と応用
電子メールはWeb(WWW)と共にインターネットの主要な応用サービスとして広く普及し、情報機器間でメッセージを伝達する社会インフラとして機能している。現在ではパソコンやスマートフォン、タブレット端末などのオペレーティングシステム(OS)の多くは標準でメールクライアントを内蔵しており、誰でもすぐに利用できるようになっている。
電子メールシステムでは一通のメールを複数の宛先へ同時に送信する同報送信・一斉配信も容易なため、グループ共通のアドレスを用意してメンバー間の連絡や議論などに用いる「メーリングリスト」(mailing list)や、発行者が購読者に定期的にメールで情報を届ける「メールマガジン」(mail magazine)などの応用システムも活発に利用されている。
一方、広告メールを多数のメールアドレスに宛て無差別に送信する「スパムメール」(spam mail)や、添付ファイルの仕組みをコンピュータウイルスの感染経路に悪用する「ウイルスメール」(virus mail)、送信元を偽って受信者を騙し秘密の情報を詐取する「フィッシング」(phishing)など、電子メールを悪用した迷惑行為や犯罪なども起きており、社会問題ともなっている。
Webメール 【ウェブメール】 ⭐
Webブラウザで電子メールの閲覧や送受信ができるシステムやサービス。メールソフト(メールクライアント)に相当する機能をWebアプリケーションとして実装したもので、Webブラウザがあればどんな環境からでもメールが利用できる。
Webブラウザで管理画面のURLを開き、メールアドレス(メールアカウント)やパスワードなどで本人確認(ユーザー認証)を行うことにより、自分のアドレスの利用環境を呼び出すことができる。受信したメールの一覧や検索、本文の表示や添付ファイルの取得、新規メールの作成・送信、連絡先の管理などができる。
一般的なメールソフト(メールクライアント)がどのようなメールサーバで利用できるのに対し、Webメールシステムは通常、メールサーバの管理主体が付加サービスとして当該サーバの利用者に提供しており、他のサーバに接続して利用することはできない。
企業や公的機関、大学などが構成員向けに運用する場合と、インターネットサービスプロバイダ(ISP)やネットサービス事業者が契約者向けに運用している場合がある。また、米グーグル(Google)社のGmailのように、ポータルサイトなどが提供している無料で取得・利用できるフリーメールサービスの多くはWebメールの形で運用されている。
CC 【Carbon Copy】 ⭐⭐
電子メールの宛先を表す設定情報の一つで、複製を送信するメールアドレスを指定することができるもの。本来の宛先以外に一つまたは複数のメールアドレスを指定することができる。
通常、主な宛先を指定するのは「To」(「~へ」の意味)と呼ばれる項目だが、「Cc」という項目にアドレスを記載すると、メールサーバ側で同じ内容を複製してそちらへも届けてくれる。CCに指定されたアドレスは受信者全員が見ることができる。
“carbon copy” とは帳票の作成などで利用される「カーボン複写」のことで、台紙にカーボン紙を重ねて上から硬い筆記具で書き込むと、台紙側に同じ内容が転写される仕組みのことを指す。同じメールが自動的に複製されて配信される様子をこれに例えている。
一方、同じように複製を送信するアドレス指定には「BCC」(Blind Carbon Copy)もあり、こちらはアドレスが他の受信者には分からないように配送途中で削除される。互いに知らない相手に同じ告知内容を一斉送信したい場合などに用いるが、CCとBCCを取り違えて他の受信者のアドレスを知らせてしまう事故があとを絶たない。
BCC 【Blind Carbon Copy】 ⭐⭐
電子メールの宛先指定の一種で、他の受信者に知らせずに複製を送信する先を指定できるもの。送信者がメールの作成・送信時に指定し、複数のアドレスを指定することもできる。
通常、電子メールで宛先を指定するには「To」(「~へ」の意味)と呼ばれる項目に相手のメールアドレスを記載するが、BCC欄にもアドレスを記入することができ、同じメッセージが複製されてそちらにも届けられる。
CCとの違い
複製が送信されるという意味では「CC」(Carbon Copy)欄も同じ機能だが、CC欄に記載したアドレスがすべての受信メッセージにそのまま掲載されるのに対し、BCC欄の内容は受信直前にメールサーバ側で削除され、受信者側には誰をBCCに指定したかは分からないようになる。
主な用途と難点
BCCによるアドレスの指定は、複数の受信者が互いに無関係な場合など、受信者に他の受信者のアドレスを知らせたくない場合や、顧客への返信を上司に報告する場合など、複製を別のアドレスに送っていることを相手が知る必要がない、または知られたくない場合に用いられる。
名称や操作画面上での記入欄の近さなどから、CC欄と取り違える記入ミスが起こりやすく、同じ文面を複数の関係者に送ろうとして誤ってアドレスをCCに指定してしまいメールアドレスを漏洩させてしまう事故が後を絶たない。
また、受信者は送信者が告げない限りBCCで第三者に複製が送られていること自体に気付かない。個人的な内容のやり取りや対話的な内容の場合は後で第三者にも送信されていたことが露見すると人間関係上のトラブルに発展することがあるため、事前に断っておくなどの配慮が必要になることがある。
語源
“Blind Carbon Copy” とは「目に見えないカーボン複写」を意味する。カーボン複写とは、記入用紙の裏がカーボン紙になっており、ペン先を強く押し当てるように書き入れることで下に重ねられたもう一枚の用紙に複写される仕組みを指す。このような自動的な複写を、受信者に見えないよう行うという意味でこのように呼ばれる。
添付ファイル 【アタッチメントファイル】 ⭐
電子メールなどで本文と共にメッセージの一部として送られるファイルのこと。画像や文書など様々な種類のデータを相手方に送ることができる。
メールの本文には原則として文字しか書くことができないが、添付ファイルを利用することにより、画像や動画、音声、文書ファイルなど、文字以外の形式のデータを相手に送ることができる。インスタントメッセンジャーなどメール以外のメッセージ交換システムでも、コンピュータ上のファイルを相手に送信する機能のことを添付ファイルということがある。
電子メールの場合、添付するファイルの種類や数に仕様上の制限はないが、受信側のコンピュータが対応していない(対応ソフトが入っていない)形式のデータを添付しても、受信者がファイルを開いて中身を見ることはできない。
また、メールサーバなどは一通のメッセージの最大サイズや受信箱(メールボックス)の総容量に制限を課していることが多く、制限を超える巨大なサイズのファイルを添付したメッセージを送ろうとしても送信または受信を拒否される。
データ形式
一通のメッセージに複数の異なるデータを混在させることができるデータ形式は「MIME」(Multipurpose Internet Mail Extension)と呼ばれる。本文の文字データに添付ファイルのデータを連結して一つのメッセージにまとめる方式を定めている。
ファイルの内容は一定の規則に基いて文字データへ変換(エンコード)され、受信側で元のデータに復元(デコード)される。この変換方式には「Base64」や「uuencode」などいくつかの規格があり、受信側が対応していない形式のデータは正しく復元することができない。
受信側での動作
多くのメールソフトは利用者の利便性のために、受信したメールの添付ファイルの種類を識別し、画像なら表示する、音声なら再生する、実行ファイルなら起動するなど、種類に応じて期待される処理・動作を行う機能を持っている。
一部のコンピュータウイルス開発者はこの仕組みを悪用し、ウイルスの仕込まれた実行可能ファイルや圧縮ファイル、文書ファイルなどをメールに添付して送信し、受信者に巧みにファイルを開くよう促して感染を試みることがある。
文字コード 【キャラクターコード】 ⭐⭐⭐
文字や記号をコンピュータ上でデータとして扱うために、一文字ずつ固有の識別番号を与えて区別できるようにした符号のこと。
コンピュータはすべての情報を「0」と「1」のを組み合わせたデジタルデータとして取り扱う。数値は2進数を用いることで容易に表現できるが、文字は字形そのものを画像や図形としてデータ化したものはデータ量が多く、これをそのまま繰り返し並べて文字データとすることは無駄が大きい。このため、各文字に短い識別番号(正確には0と1の並び:ビット列)を与えて数字の列として文字列を表現するようになった。この数字と文字の対応関係を定めた規約が文字コードである。
最も普及しているASCII文字コードは英数字や制御文字、記号などを収録した7ビット(7桁のビット列、十進数では0~127)のコード体系であり、例えばアルファベットの大文字の「A」は65番(ビット列で1000001)、小文字の「z」は122番(同1111010)などと定められている。あるデータ列がASCII文字列であることが分かっていれば、番号との対応関係を元に文字の並びを知ることができる。
文字集合と符号化方式
文字コードを定義するには、どの言語を対象にどの文字を収録するかを決めなければならず、まず収録する文字(の字形)を特定して列挙した文字集合(文字セット)を定める。その際、番号などは与えずにただ収録する文字群を定義したものをレパートリ、各文字に一意の番号を与えたものを符号化文字集合(CCS:Coded Character Set)という。
欧米圏の8ビット文字コード規格のように、符号化文字集合をそのまま文字コードとして利用することも多いが、漢字圏など収録文字数の多い言語では各文字に割り当てられた符号をどのようなビット列で表現するかについて、いくつかの異なる方式を定めている場合があり、これを文字符号化方式(CES:Character Encoding Scheme/文字エンコーディング)という。
例えば、代表的な日本語の符号化文字集合の一つであるJIS X 0208規格に定められた符号をそのまま文字コードとしたものを区点コードというが、この文字集合を対象とする符号化方式としてJISコードやShift JISコード、日本語EUC(EUC-JP)などが定められており、同じ文字でも符号化方式によってそれぞれ異なったビット列で表現される。世界中の文字を収録したUnicodeでも、同じ文字集合に対してUTF-8、UTF-16、UTF-32など複数の異なる符号化方式が定義されている。
文字化け ⭐⭐
コンピュータで文字が正しく表示・印刷されず、本来とは異なる不規則で意味不明な記号や文字の連なりとして現れること。
テキスト(文字)形式のデータを読み込んで表示しているのに、本来そのデータが表していた文字が表示されずに、まったく異なる文字や記号、制御文字、空白などが連なった意味をなさない文字に変質してしまっている現象を指す。
主な原因として、データ自体の破損(一部の欠落や変質)、文字コードの相違(元の文字コードとは異なるコードとして解釈しようとしている)、フォント環境の違い(その言語に対応するフォントが存在しない)などが挙げられる。
ちなみに、実行可能形式のプログラムや、画像や動画、音声を記録したデータなど、バイナリ形式のデータを何らかの理由でテキストとして表示しようとした場合にも、不規則な文字や記号の連なりが出現するが、元がテキスト形式ではないため文字化けとは呼ばない。
文字化けは主に2バイト以上の文字コードを用いる日中韓などの言語圏で起きるため、欧米圏ではあまり知られておらず、日本人がこの現象を欧米人に説明する際に用いていた “Mojibake” という単語がそのまま文字化けを表す専門用語として流通している。
文字コードの違い
ある文字コードや文字エンコーディングで表現された文字データを、別の文字コードとして解釈・表示しようとしてしまい、まったく異なる文字列に変わってしまう場合である。
そのデータがどのような文字コードで表現されているのか分からず、自動認識にも失敗して別のコードを選んでしまった場合や、そもそもソフトウェア側がその文字コードに最初から対応していない場合などに起きる。
日本語の電子メールやWebページなどでは、同じ言語でも異なる文字コードが併存しており、どれが使われているのか明確に指定がない場合にはこの種の文字化けが発生する。また、欧米圏のソフトウェアでは日本語などマルチバイト文字に対応していない場合があり、日本語などを入力すると化けて表示されることがある。
フォントの違い
文字コードが正しく認識できたとしても対応する文字を表示するためのフォントがシステム内に存在しない場合には、やはり正しく表示することはできない。日本語のWebページを日本語フォントの入っていない英語版のシステムで無理やり表示しようとした場合などに起きる。
また、同じ文字コードでも機種やOSによっては一部の領域に独自に拡張した文字群を当てはめている場合があり、このような機種依存文字を別のシステムで表示しようとした場合にも本来とは異なる表示になる。
ASCII 【American Standard Code for Information Interchange】 ⭐⭐⭐
アルファベットや数字、記号などを収録した文字コードの一つ。最も基本的な文字コードとして世界的に普及しており、他の多くの文字コードがASCIIの拡張になるよう実装されている。文字を7ビットの値(0~127)で表し、128文字が収録されている。
主に英語で必要な文字を収録したコード規格で、0番から127番までの番号(正確には2進数で0000000から1111111まで)について、各番号がどの文字を意味するかという対応関係を定めている。例えば英大文字の「A」はASCIIコードでは65番(16進数で41、2進数で1000001)で表される。
収録されているのはA~Z、a~zのラテンアルファベット(ローマ字)、0~9のアラビア数字、約物(引用符や括弧、疑問符、感嘆符、カンマ、ピリオドなど)、記号(数学記号やドルマーク、アットマークなど)、空白文字、制御文字(改行文字やタブ文字、古い通信制御文字など)などである。
1963年にASA(アメリカ規格協会、現在のANSI)が定めた規格で、1967年に国際標準化機構(ISO)がほぼ同じ内容をISO/IEC 646として標準化した。1970年代以降ほとんどのコンピュータやソフトウェアが標準の文字コードの一つとして対応しており、英文の文字情報の記述やコンピュータ言語の表記などに用いられている。一般的なキーボードにはASCII文字に対応するキーが配されている。
8ビット目を利用した拡張規格
ASCIIでは1文字を7ビットで表すが、現代のコンピュータのほとんどはデータの基本的な管理単位が1バイト(8ビット)であるため、実際には1文字を8ビットで表している。
残りの1ビットはもともとデータ伝送時の誤り検出符号(パリティビット)などとして用いられてきたが、電子回路や通信システムの信頼性向上などを受け、この1ビットを活用してASCIIを拡張する試みが行われるようになった。
ASCIIを拡張したコード体系では、0から127まではASCIIと同じで、ASCIIに規定の無い128~255の領域に独自の文字を割り当てている。例えば、日本国内で用いられたJIS X 0201では、この領域にカタカナ(いわゆる半角カナ)や句読点(。、)、鉤括弧(「」)を配置して限定的ながら日本語を使えるようにしている。
後にASCII拡張についても標準化の動きが起こり、8ビットコードや複数バイトコードの扱い、各国の拡張コードの切り替え方式などを定めたISO/IEC 2022や、これに基づいて具体的な8ビットの文字コードを規定したISO/IEC 8859などの規格が策定された。追加の文字を含めても1バイトで十分なヨーロッパ各国の言語などではISO/IEC 8859が標準的な文字コードとして普及している。
<$Fig:ascii|center|false>Unicode 【ISO/IEC 10646】 ⭐⭐⭐
文字コードの国際的な標準規格の一つで、世界中の様々な言語の文字を収録して通し番号を割り当て、同じコード体系のもとで使用できるようにしたもの。
コンピュータで文字データを扱うには、文字や記号の一つ一つに対応する番号(符号)を与え、文字の列を番号の列に変換する必要がある。文字と番号の対応関係を定めたルールを「文字コード」(character code)と呼び、従来は国や言語圏ごとに自分たちの使う文字のコード体系を定めて使用していた。
Unicodeは世界中の様々な言語の文字を集め、すべての文字や記号に重複しないようそれぞれ固有の番号を与えた文字コード規格である。世界の主な言語のほとんどの文字を収録しており、通貨記号や約物など文字と共に使われる記号や絵文字なども登録されている。
米大手IT企業を中心とする業界団体「Unicodeコンソーシアム」(Unicode Consortium)が仕様を策定・改訂しており、ほぼ同じものがISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同委員会によって「ISO/IEC 10646」として国際標準となっている。ISO/IEC側ではUnicodeに相当する文字集合の名称を「UCS」(Universal Coded Character Set)としている。
コードポイント
Unicodeでは、登録された文字のそれぞれについて「コードポイント」(code point:符号点、符号位置と訳される)と呼ばれる一意の通し番号を与えている。例えば、日本語のカタカナの「ア」には12450番が割り当てられており、説明文などでは16進数を用いて「U+30A2」のように表記する。
世界中のあらゆる言語の文字を収録するという目的のため、コードポイントは最長で21ビットの値(上限は1114111番、U+10FFFF)まで用意されている。初期の規格で世界の既存の文字コードに規定された文字の多くが収録されたが、独自の文字コードを持たなかった言語や、絵文字、古代文字、新設された通貨記号などを中心に、現在も毎年のように新しい文字が追加されている。
現在はコードポイント空間全体の約12%にあたる約15万文字が割り当て済みで、規格上は文字を規定しない「私用面」(企業などが独自に使用してよい)が約13万文字(約12%)分予約済みである。残りの約75%が未割り当てとなっている。
基本多言語面と追加多言語面
コードポイントの範囲のうち、16ビット(2バイト)の値で表現できる U+0000 から U+FFFF は「基本多言語面」(BMP:Basic Multilingual Plane)と呼ばれる。ラテンアルファベットやキリル文字、ギリシャ文字、ひらがな・カタカナ、ハングル、基本的な漢字など、主要な言語の文字のほとんどをカバーしている。
当初の規格はBMPのみの予定だったが、追加収録を希望する文字のすべてを登録しきれないことが明らかになり、後から U+10000~U+10FFFF の拡張領域が追加された。このうち、U+10000~U+1FFFF の範囲を「追加多言語面」(SMP:Supplementary Multilingual Plane/補助多言語面)と呼び、古代文字や絵文字などが収録されている。
日本語文字の扱い
日本語の文字は原則として日本語文字コードのJIS規格から収録されている。当初は「JIS X 0201」(いわゆる半角文字)、「JIS X 0208」(JIS基本漢字)、「JIS X 0212」(JIS補助漢字)に定められた文字を収録したが、後に「JIS X 0213」(JIS2000/JIS2004)のすべての漢字が収録された。
なお、JIS X 0213の一部の漢字についてはBMPには収まりきらず、東アジア各国・地域の追加漢字を収録する U+20000~U+2FFFF の領域(SIP:Supplementary Ideographic Plane/追加漢字面)に収録されている。
これら元になった規格の通り、半角カナも全角とは別に「HALFWIDTH KATAKANA LETTER A」(半角カタカナのア)等の名称で、全角英数字も「FULLWIDTH LATIN CAPITAL LETTER A」(全角ラテンアルファベット大文字A)等の名称でそれぞれ収録されている。
UTF (Unicode Transformation Format/UCS Transformation Format)
様々な事情から、文字をデータとして実際に記録・伝送する際には、文字集合で定められたコードポイントをそのままビット列で表すのではなく、一定の手順で特定の形式に変換する。この変換手順を「符号化方式」(文字エンコーディング)という。
Unicodeにも標準の符号化方式がいくつか定められており、用途や処理の都合に応じて使い分ける。全体を総称して「UTF」と呼び、Unicodeでは “Unicode Transformation Format” の略、ISO/IEC 10646では “UCS Transformation Format” の略とされる。
UTFには「UTF-8」「UTF-16」「UTF-32」の3種類があり(UTF-7もあるがIETF独自拡張)、同じUnicode文字列でも符号化が違えばまったく異なるバイト列として表現される。文字データの保存・交換用として最も一般的に使われるのはUTF-8で、単にUnicodeといえばUTF-8でエンコードされたデータを意味することが多い。
UnicodeとISO/IEC 10646
ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同委員会(JTC 1)は、1980年代後半に国際的な文字コード標準の策定を目指し、仕様の検討を始めた。当初の構想は4バイトのコードを用いて既存の各国の文字コードをほとんどそのまま収録・統合するというものだった。
1991年に民間の企業連合であるUnicodeコンソーシアムが設立され、Unicode規格が発表されると、公的な標準と業界標準の分裂を避けるためISO/IECとの間で一本化の調整が行われることになった。議論の末、Unicodeの仕様をほぼそのままISO/IEC標準として採用することになった。
同年に発行されたUnicode 1.0規格をほぼそのまま取り込む形で1993年にISO/IEC 10646-1規格の初版が標準化され、以降はUnicode側と仕様を擦り合わせながら改訂されていった。両者は用語法など細かな点に違いがあるものの、収録文字など仕様の実質は同一となっている。
ピクセル 【画素】 ⭐⭐⭐
デジタル画像や画面などを構成する最小単位である、色のついた微細な点のこと。また、その数を表す単位。単位を表す場合は “px” と略記されることもある。
コンピュータは画像をデジタルデータとして扱うため、固有の色情報を持つ点が縦横に規則正しく並んだ集合として表現する。この点のことをピクセルと呼び、それ以上小さな単位に分割することができない最小の要素となっている。
色深度 (color depth)
一つの画素にどのような色情報を持たせることができるかは画像形式やソフトウェア、表示・印刷媒体によって異なる。一画素を何ビットの色情報で表現するかを「色深度」(color depth)と呼び、「bpp」(bits per pixel:ビット毎ピクセル)という単位で表す。
最も単純で情報量が少ないのは各画素が1ビットの色情報を持つ方式(1bpp)で、各画素は2種類の色(ビットの0と1にそれぞれ対応)のいずれかとなる。通常はこれを白と黒に対応付け、白黒画像(2値画像、モノクロ2値)として扱う。
様々な色を扱う場合は色深度を大きく取り、8ビット(256色)や16ビット(65,536色)、24ビット(約1677万色)などが用いられる。24bppでは光の三原色(RGB:赤緑青)の各色を8ビット(256段階)で表すことができ、人間の目で識別できるほとんどの色を表現できるとされるため、「フルカラー」「トゥルーカラー」などと呼ばれる。
物理媒体におけるピクセルとドット
ディスプレイ装置などによる画面表示やプリンタによる印刷面も、色のついた微細な点を縦横に規則正しく並べた構造となっており、これもピクセルと呼ぶ。物理的な単位として「ドット」(dot)を用いる場合もある。
特に、プリンタではデジタル画像における一つのピクセルを複数の微小なインク滴やトナーの集合で表現する場合があり、ピクセルを構成する物理的な最小単位としてドットを用いることがある(ドットをピクセルと同義とする場合もある)。
物理的な媒体では表示・印刷面におけるピクセルの細かさが機器や機種によって異なり、幅1インチあたりに存在するピクセルの数である「ppi」(pixel per inch:ピクセル毎インチ)や隣り合うピクセルの中心間の距離である「画素ピッチ」(pixel pitch)などの単位で表す。
サブピクセル (subpixel)
物理媒体上では画素の色を原色の組み合わせで表現するため、ディスプレイなどの発光体では赤・緑・青の光の三原色(RGB)に対応する発光素子を、印刷物などの反射体ではシアン・マゼンタ・イエローの色の三原色(CMY)に対応するインク滴などを隣り合わせて一つの画素を表現する。
人間の目には三色が組み合わさって一つの色に見えるが、拡大すると各画素ごとに三色が規則正しく並んでいる様子が分かる。画素をこれらの三色に分解した構成単位を「サブピクセル」(subpixel:副画素)と呼ぶことがある。
ソフトウェアや機器によっては画像の表現をより精細にするため、サブピクセル単位で表示や印刷を制御する「サブピクセルレンダリング」(subpixel rendering)が行われる場合もある。
解像度 【レゾリューション】 ⭐⭐⭐
機器などの性能の尺度の一つで、対象をどこまで細かく観測あるいは描写できるかを表すもの。ITの分野では、画像や画面、紙面などを構成する画素(ピクセル/ドット)の密度を指すことが多い。
コンピュータは画像を色の付いた微細な点あるいは格子を縦横に規則正しく敷き詰めた集合として取り扱う。この点の細かさ、すなわち、物理的な単位長さあたりの点の数(画素密度)のことを一般に解像度という。
解像度が高いほど点は微細になり、より精細できめの細かい表現が可能となるが、データ量は点の数に比例して増大し、保存や伝送に大きな容量を必要とする。解像度が低くなると次第に個々の点や格子が視認できるようになり、モザイク状のぼやけた表現となる。
ディスプレイやプリンタなどの出力装置の場合には、画面に表示する像や、紙面へ印刷する像の微細さを表す。イメージスキャナやカメラなど画像・映像の入力装置の場合には、取り込んだ光学的な像を画素に分解する細かさ(分解能)を表す。
解像度の単位
単位は一般に幅1インチ(約2.54cm)あたりに並ぶ点の個数である「ピクセル毎インチ」(ppi:pixel per inch)あるいは「ドット毎インチ」(dpi:dot per inch)が用いられる。例えば、100ppiなら1インチを100の点に分解して扱うことを意味し、一つの画素は直径0.254mmの円か幅0.254mmの格子となる。
ppiとdpiはコンピュータ上での画像データの画素と装置の取り扱う微細な点が一対一に対応する場合には同一だが、装置の原理によっては複数のドットの集合によって一つのピクセルを表現する場合もあり、そのような機器では後者の方が数倍から十数倍大きくなる。
ディスプレイの画面解像度
ディスプレイ装置では本来の解像度の意味である画素密度(ppi)の他に、慣用的に画面の構成画素数(総画素数)のことを解像度ということがある。横方向の画素数を縦方向の画素数をかけ合わせたもので、1920×1080といったように記述する。
同じ総画素数の機種同士でも、画面の物理的なサイズが異なれば画素の大きさも異なるため、本来の意味での解像度(画素密度)は異なる。歴史的な経緯から、よく使われる画素数には通称がついており、例えば640×480は「VGA」、1024×768は「XGA」と呼ばれる。
ビットマップ画像 【ラスター画像】 ⭐⭐⭐
画像データの表現形式の一つで、画像を色のついた点(画素/ピクセル)が縦横に規則正しく並んだ矩形として表現したもの。画面表示や印刷の際には最終的にこの形式で出力する必要がある。
ディスプレイ画面への表示やプリンタによる印刷はビットマップ形式で行われるため、コンピュータでも基本的には画像をビットマップ画像として表現・保存・処理することが多い。ファイル形式としては無圧縮のBMP(Windows Bitmap)、可逆圧縮のGIFやPNG、不可逆圧縮のJPEGなどが有名である。
任意の画像を表現することができ、特に写真など図形の組み合わせでは表現できない画像の保存に適しているが、内容についての幾何学的な情報などは持たないため、拡大や縮小、変形、合成などの処理を行うと内容が不可逆に変質し、画質の劣化、不鮮明化の原因となる。
ビットマップ画像は縦横それぞれの画素数が決まっており、その積が画像を構成する総画素数となる。例えば横1024ピクセル×縦768ピクセルの画像ならば78万6432画素の色情報が並んだデータとして表現される。画像形式によっては解像度(単位長さあたりに並ぶ画素数)の情報を持つものがあり、表示や印刷の際の画像の実際の大きさに反映される。
色情報と色深度
個々の画素が持つ色情報の大きさを色深度(color depth)と呼び、色情報のビット数(bpp:bits per pixel)で表す。例えば、色深度が1bppの場合は各画素は0と1の二値の色情報を持ち、通常は0を黒、1を白に対応付けた白黒画像のことを意味する。
色情報はRGB(Red-Green-Blue)形式など色自体の属性を直接表記したものと、色に番号をつけ、番号と実際の色情報(RGB値など)の対応関係を別のデータとして与えるインデックスカラー(indexed color)方式がある。16~32bppの場合は前者の方式(RGBの各値を5~8ビットずつ並べる)であることが多く、8bppの場合は後者の場合が多い。8bpp(256色)はインデックスカラー以外にもモノクロ256階調のグレースケール形式(白黒と254段階の灰色)にも用いられる。
また、色情報として透明色を設定したり、各画素ごとに透明度(アルファ値)を設定できる形式もあり、他の画像と重ね合わせたときに背後の色が透ける表現ができる。32bppの場合はRGB各8ビットに透明度8ビット(256段階)とすることが多い。
ベクター画像
一方、画像を図形を表す数値情報の集合として表現した形式はベクター画像(ベクトルグラフィックス)と呼ばれる。画像を点や線分、面などの図形の描画情報の組み合わせとして表したもので、画質を劣化させることなく自由に拡大・縮小や変形ができる利点がある。表示や印刷を行う際には最終的に特定の画素数のビットマップ画像に変換(ラスタライズ)される。
ベクター画像 【ベクターデータ】 ⭐⭐⭐
画像データの表現形式の一つで、画像を図形を表す数値情報の集合として表現したもの。拡大・縮小・変形しても画質が劣化せず、サイズや解像度によらず同じ品質の出力結果を得ることができる。
画像を単純な図形の集合として表現する方式で、輪郭などを構成する点の位置や、それらを結ぶ直線や曲線を表す方程式のパラメータ、変形・回転など操作情報、線や面の色情報などの組み合わせとして記述する。“vector” の表記は「ベクター」「ベクタ」「ベクトル」の揺れがあるが、意味の違いはない。
一方、画像を最小単位の小さな点である画素(ピクセル)の集合として表し、各画素の色情報を端から順に縦横に規則正しく並べた形式の画像データは「ビットマップ画像」(bitmap image)あるいは「ラスター画像」(raster image)と呼ばれる。
コンピュータのディスプレイやプリンタなどの出力装置はビットマップ方式で画像を扱うため、ベクター画像はそのままでは表示・印刷することができない。表示する際には画像の縦横の画素数を決めて、その範囲の中で実際に各図形を描画してビットマップ画像を得る。この描画処理のことを「ラスタライズ」(rasterization)という。
ビットマップ形式はどのような画像でも同じように記録できるが、ベクター画像は原理的に写真のような像の表現には向かず、文字や図、イラスト、デザインなど図形の組み合わせで表現しやすい像の記録に向いている。実際、コンピュータで扱う文字の形状データを収録したフォントデータの多くはベクター画像で表現されたアウトラインフォント(outline font)である。
ベクター画像を作成・編集するソフトウェアもあり、米アドビ社の「Adobe Illustrator」(アドビ・イラストレーター)などが有名である。汎用のベクター画像記録用の画像ファイル形式もいくつかあり、Illustrator標準の「AI形式」(.aiファイル)や、Webページなどでベクター画像を扱えるXMLベースの「SVG」(Scalable Vector Graphics)形式などがよく知られる。
光の三原色 ⭐⭐
発光体の色のうち、組み合わせることで様々な色を合成することができる、赤・緑・青の三つの原色のこと。各色の頭文字を取って「RGB」(Red-Green-Blue)という略号で表される。
人間の視覚は主に赤・緑・青の各色の光に強く反応する色覚受容体で構成されているため、この三色の光を様々な強さで組み合わせることで、任意の色を構成することができる。実際には、緑は明るい黄緑に近い色、青はわずかに紫がかった群青に近い色が用いられる。
テレビやディスプレイ装置など発光して像を映し出す装置では、表示面にこの三色に対応する微細な発光素子が敷き詰められており、それぞれの強さを制御して各点の色を表現している。各色の強度を高めるほど色が明るくなっていき、三色とも最大の強度で足し合わせると白色、最低の強度で黒色となる。このような混色系を「加法混色」という。
一方、絵の具や印刷物のインクなど光の反射体の色は、シアン(cyan:濃い水色)、マゼンタ(magenta:薄紫)、イエロー(yellow:黄色)の三色の組み合わせによって表現することができる。この三色を「色の三原色」と呼び、各色の頭文字を取って「CMY」(Cyan-Magenta-Yellow)の略号で表される。
RGB 【Red-Green-Blue color model】 ⭐
色の表現方式の一つで、赤・緑・青をそれぞれ様々な強度で混合し、すべての色を表現する方式。コンピュータで図形や画像、動画などを扱う際の標準的な色表現の一つで、ディスプレイ装置など加法混色の系で利用される。
赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色は「光の三原色」と呼ばれ、頭文字を繋ぎ合わせて「RGB」と呼ばれる。発光体の色は強度を高めるほど明るくなっていき、3色を最大の強度で足し合わせると白色となる。このような混色系を「加法混色」という。
絵の具など光の反射体は発光体とは逆の「減法混色」となるため、RGBの各色の強度と出来上がる色の対応関係は我々が日常的に慣れ親しんできた色の感覚とはズレている部分もある。
例えば、赤と青を混ぜると明るい紫になるのは日常感覚に近いが、赤と緑を混ぜると黄色、青と緑を混ぜると水色となる。3色の強度が同じだと無彩色(灰色)となり、すべて最大の強度なら白、最低の強度なら黒となる。
色深度とアルファ値
RGBの各色について、その強度を何段階のきめ細かさで区別するかにより、表現できる色の数が決まる。機器やソフトウェア、画像形式などが対応する最大発色数を「色深度」(カラーデプス)と呼び、色情報のビット数を「bpp」(bits per pixel)という単位で表現する。
人間の目から見て自然の光景と遜色ない色表現を実現するには各色8ビット(256段階)、合わせて24bpp(1ピクセルあたり3バイトの色情報)程度の情報量が必要と言われ、これを「フルカラー」(full color)あるいは「トゥルーカラー」(true color)という。
RGBの色情報に透明度(A:Alpha、アルファ値)を追加し、半透明の色を表現する方式もあり、RGBAカラーモデルという。例えば、アルファ値が50%の半透明に指定された画素は、その画素自体のRGB値を50%、背景にある画素のRGB値を50%の割合で合成した色で描画される。
CMYKとの違い
印刷など減法混色の系では「シアン」(Cyan:水色)、「マゼンタ」(Magenta:明るい赤紫色)、「イエロー」(Yellow:黄色)の強度の組み合わせで色を表現するCMY方式が用いられる。光の反射体の色を表す方式であるため日常の色の感覚に近い。
印刷では黒を他の色のインクの混色できれいに表現するのが難しいため、実用上はCMYに黒(K:Key plate)の強度を追加したCMYK方式がよく用いられる。印刷関連のソフトウェアにはRGBとCMYKの相互変換機能が内蔵されていることが多い。
色の三原色 ⭐⭐
印刷物など光の反射体の色のうち、組み合わせることで様々な色を合成することができる、シアン(cyan:濃い水色)、マゼンタ(magenta:薄紫)、イエロー(yellow:黄色)の三色の組み合わせ。各色の頭文字を取って「CMY」(Cyan-Magenta-Yellow)の略号で表される。
人間の視覚は主に赤・緑・青の各色の光に強く反応する色覚受容体で構成されているため、この三色の光を様々な強さで組み合わせることで、任意の色を構成することができる。これを「光の三原色」と呼び、各色の頭文字を合わせて「RGB」(Red-Green-Blue)という。
色の三原色は外光の反射によって色を発する物体における原色で、白色光から光の三原色のいずれか一つを遮った(残りの二色を同強度で混合した)色である。シアンとマゼンタを混ぜると青に、マゼンタとイエローを混ぜると赤に、イエローとシアンを混ぜると緑になるという関係にある。
我々は色の三原色の混合を絵の具の色を混ぜることにより身近に体験している。三色の強度を高めるほど色は暗くなっていき、三色を最大の強度で足し合わせると(理屈の上では)黒色となる。このような混色系を「減法混色」という。
白、黒、灰色といった無彩色は、理論上は三原色を同量ずつ混合することにより作り出すことができる。発光体の制御と異なり着色剤の混合で灰色や黒を作ろうとするとくすんだ汚い色になってしまうため、印刷などの実用上は灰色や黒の着色剤を三色と別に用意することが多い。そのようなカラーモデルを「CMYK」という。「K」は黒色印刷に用いる冶具 “key plate” に由来する。
CMYK 【Cyan/Magenta/Yellow/Key plate】
色の表現方式の一つで、シアン(水色)、マゼンタ(赤紫色)、イエロー(黄色)、ブラック(黒色)の配合比率を変化させて、すべての色を表現する方式。インクによる印刷など減法混色の系で利用される方式である。
印刷物のような光の反射体の色は、「色の三原色」とも呼ばれるシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の三つの色(CMY)を様々な強度で組み合わせることにより表現される。
この三色は白色光から光の三原色(赤緑青)のいずれか一つを遮った色で、各色の強度を強めるほど色が濃く、暗くなっていき、黒に近づいていくため「減法混色」(減法混合)と呼ばれる。
理論上はCMYの三色ですべての色を表現できるが、インクのような現実の着色材料でこの三色の混合により黒を表現しようとすると汚い暗灰色になってしまうことが多いため、美しく印刷するために黒だけが独立している。
印刷機において黒インクで画像の輪郭や文字、罫線などを表現する印刷板のことをキープレート(key plate)と呼んでいたことから、黒色の略号に “K” が用いられるようになった。
コンピュータのディスプレイなど発光体を用いる加法混色の系では赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色を組み合わせて色を表現する「RGB」が用いられる。印刷関連に用いられる業務用ソフトウェアなどにはRGBとCMYの相互変換機能が内蔵されていることが多い。
階調 【階調数】 ⭐⭐⭐
コンピュータが画像を扱う際に、色の濃さや明るさを何段階で表現することができるかを表す数。この数が大きいほど細かな色や明るさの違いを表現できるが、画素あたりのデータ量は増大する。
自然界では色は光の波長によって異なり、連続量の一種だが、コンピュータで画像を扱う際にはこれを離散量(有限桁の数値)に変換する必要がある。その際、ある色の最も明るい(濃い)状態と暗い(薄い)状態の間を何段階で識別・表現することができるかを表す値が階調である。
モノクロの階調
最も単純な階調は白黒画像(モノクロ2階調)であり、すべての画素が真っ白と真っ黒のいずれかで表現される。色は「0」(黒)と「1」(白)の2値で識別され、各画素につき1ビットで表現することができる。
一方、一般に「モノクロ画像」あるいは「グレースケール画像」と呼ばれるものは白と黒の中間に明るさ(濃さ)の異なる複数の灰色を表現することができるものを指すことが多い。よく用いられる256階調(各画素の情報量は8ビット)のモノクロ画像では、白、黒、254段階の灰色の計256色を表現できる。
カラーの階調
カラー画像の場合は色を複数の原色に分解し、各色の階調の組み合わせで表現できる色の数が決まる。コンピュータ上で画像データを扱う際には色を赤(Red:R)・緑(Green:G)、青(Blue:B)の「光の3原色」に分解し、それぞれを同じ階調で表現することが多い。
人間の目にとって自然の光景と区別がつかない表現は、この各色について256段階(8ビット)程度の階調が必要であると言われており、これを「フルカラー」(full color)あるいは「トゥルーカラー」(true color)という。256の3乗で1677万7216色を表現することができる。
通常の用途ではフルカラーで十分なことが多いが、赤外線暗視映像のように特定の色味しか現れない特殊な表現の場合は単色256階調では色の境界が階段状になってしまうなど表現力が不足する場合がある。そのような状況にも対応できるよう、業務用の機器などでは内部的に各色10ビット(1024階調)や12ビット(4096階調)で表現するものもある。
サンプリング周波数 【標本化周波数】 ⭐
アナログ信号をデジタルデータに変換する際に、信号の変位を測定するサンプリング(標本化)を行う頻度。1秒間に何回サンプリングを行うかをHz(ヘルツ)で表す。
音声など連続的に変化する物理量をデジタルデータとして記録するには、ある瞬間の信号の変位量を測定するサンプリングを行い、得られた測定値を一定の桁数の離散値で表す量子化を行う。
この変換処理の頻度がサンプリング周波数で、周波数が高いほど短いサンプリング周期で頻繁に標本を得るため、もとの信号をより忠実に記録することができるが、その分だけ変換後の単位時間あたりのデータ量は増大する。
サンプリング定理により、サンプリング周波数の半分の周波数の信号まで正しく再現できるとされる。例えば、音声信号の場合、人間の耳に聞こえる最も高い音は20kHz(キロヘルツ)程度とされるため、音楽CDなどのサンプリング周波数は44.1kHzに設定されている。
フレームレート ⭐⭐⭐
動画像の表示の滑らかさを表す指標の一つで、動画が1秒あたり何枚の(静止)画像によって構成されるかを表す数。1秒あたりのコマ数。単位は「フレーム毎秒」(fps:frames per second)で、1fpsは動画が1秒あたり1枚の画像で構成されている(1秒あたり1回書き換えられる)ことを表す。
動画やゲームなど表示内容が時系列に変化する像をコンピュータで表示する場合、静止画像を高速に切り替えて表示することで動いているように見せている。動画像を構成する静止画像を「フレーム」(frame)と呼び、単位時間あたりのフレーム数が多ければ多いほど自然に近い滑らかな動画像となる。
動画データなどの属性としてフレームレートという場合は、その動画が毎秒何枚の画像を繋ぎあわせてできたものなのかを表している。人間の目に自然な動画として映るのは概ね30fps程度かそれ以上と言われており、これを下回るとカクカクとぎこちなく動く印象を与えるとされる。
コンピュータや映像機器などの処理能力についてフレームレートという場合は、動画を撮影、記録、圧縮、再生などする際に、1秒あたりに処理可能な画像の枚数や画面の書き換え回数の上限を表す。動画の処理能力が高いほどフレームレートも高くなり、より滑らかな動画を作成したり再生したりできる。
一方、ディスプレイ装置の画面書き換え頻度を「リフレッシュレート」(refresh rate)と呼び、1秒あたりの書き換え回数を「Hz」(ヘルツ)で表す。60Hzなら毎秒60回再描画される。動画データやゲームのフレームレートが高くても、表示側のリフレッシュレートが低ければその上限がフレームレートの上限となる。
ストリーミング ⭐
通信ネットワークを介して動画や音声などを受信して再生する際に、データを受信しながら同時に再生を行う方式。データが完結していなくても配信・視聴を始めることができ、ライブ配信などで用いられる。
従来はデータ全体の受信(ダウンロード)を完了してから再生する方式が一般的だったが、ストリーミングではデータをある程度受信した時点で再生を開始し、受信処理と再生処理を並行して進めることにより、利用者は短い待ち時間で視聴を開始することができる。
ストリーミングにより、ダウンロード型では実現が難しい、始まりや終わりの決まっていない放送局型の配信サービスを実現することができる。テレビ放送やラジオ放送の生放送・生中継のように、撮影や録音を行いながら同時に配信・視聴できる配信方式のことは「ライブストリーミング」(live streaming)という。
技術的には、専用のデータ形式や通信方式(プロトコル)を用い、受信したデータが視聴者側でファイルとして残らない方式をストリーミングと呼ぶことが多く、動画ファイルなどをダウンロードしながら同時に再生する方式(利用者の使用感はほとんどストリーミングと変わらない)は「プログレッシブダウンロード」(progressive download)という。
ライブストリーミング (live streaming)
通信ネットワークを通じて映像・音声を配信する手法の一つで、撮影・録音しながら同時にデータを圧縮・変換して視聴者へ配信する方式。いわばネットワークを通じた「生放送」。
視聴者側が末尾まで受信の完了を待たずに受信しながら同時に再生することをストリーミング(再生)というが、ライブストリーミングではこれに加え、配信側も撮影・録音とデータ送信を並行して行い、収録したものをわずかなタイムラグでリアルタイムに配信する。テレビやラジオの生放送・生中継に相当する配信方式である。
インターネット上で大規模にライブストリーミングできる動画サービスも普及しており、開催中のイベントやスポーツの試合の様子をリアルタイムに伝えたり、視聴者とリアルタイムにやり取りしながら進行する生放送番組などが人気を博している。
ストリーミングサーバ (streaming server)
映像や音声のストリーミング配信を行うコンピュータをストリーミングサーバという。そのような機能を提供するソフトウェアのことを指すこともある。多数のクライアントからの接続を受け付け、同時にストリーミング方式のマルチメディアデータを配信する。
ストリーミング方式のデータは通常のWebサーバから配信することも可能だが、サーバや回線への負担が大きいため、ストリーミングサーバを利用するのが一般的である。また、録画した映像をリアルタイムに配信(ライブストリーミング)するような作業は、専用のストリーミングサーバでなければ行えない。
以前は専用のソフトウェアと高性能なハードウェアが必要とされていたが、パソコンの高性能化や光ファイバーなどの高速回線の普及によって、小規模なストリーミングサーバは個人でも構築できるようになった。
プログレッシブダウンロード (progressive download)
動画や音声などのファイルをダウンロードしながら、全体の受信完了を待たずに同時に再生(を開始)すること。
データを受信しながら同時に再生するストリーミング視聴に似ているが、技術的にはストリーミングとは異なり、あくまでファイルのダウンロードであるため、事前に再生時間を決めずに連続的に視聴することはできず、サーバ側に任意の位置からの再生(送信)開始を指示することもできない。
また、通信エラーなどでデータの一部が損なわれた際、ストリーミングではそのデータを飛ばして次のデータを送信し、再生時間が遅延しないよう制御するが、プログレッシブダウンロードではデータを再送して完全なデータが揃えようとするため、再生が一時停止することがある。
ストリーミングで視聴したデータは再生後すぐに破棄されるのが一般的だが、プログレッシブダウンロードの場合はキャッシュファイルの形で記憶装置に永続的に保管され、次に同じものを再生する際にそこから再生することができる。