高校「情報Ⅰ」単語帳 - 日本文教「情報Ⅰ」 - 情報デザイン

構造化データ ⭐⭐

項目の形式や順序など、明確に定義された構造に従って記述、配置されたデータ集合のこと。プログラムによって自動処理するために用いられることが多い。

リレーショナルデータベースのテーブルやCSVファイルのように、一件のレコードの構成、各項目のデータ型や形式、項目の並び順、項目やレコードの区切り文字などが事前に決まっており、同じ構成のレコードの繰り返しとしてデータを列挙したものを指すことが多い。

ソフトウェアによって容易に読み込んで内容を認識させることができ、大量のデータを集計したり分析するのに適している。人間がそのまま眺めて読みやすい形式とは限らず、ソフトウェアによって抽出や集計を行ったり、見やすいよう整形したり、レポートなど別の形式へ変換してから人間に供されることが多い。

一方、Webページや電子メール等のメッセージ、ワープロソフトやプレゼンテーションソフトなどで作成した(見栄え重視の)文書ファイル、画像や音声、動画などのメディアデータといった、決まった形式や配置に従ってデータが並んでいるわけではない不定形なデータ群のことを「非構造化データ」(unstructured data)という。

Webページの構造化データ

WebページのHTMLコードは、Webブラウザにその文書の構造やレイアウトを伝達するという意味では構造化されているが、書かれている情報をサイト横断的に同じ形式に従って自動収集・処理できるような構造にはなっていない。

そこで、ソフトウェアが自動処理しやすいようページ内に書かれている内容を特定の規約に則って構造化として記述する手法が提唱されている。同じ情報を人間向けと機械向けに同じページに埋め込んでおき、ブラウザは人間向けのデータを表示し、Webロボットなどの自動処理プログラムは機械向けのデータを収集する。

様々な手法が提唱されているが、現在有力な方式はHTMLのヘッダ領域などにJSON-LD形式でスクリプトの形で情報を埋め込む手法で、Schema.orgという業界団体が情報の種類ごとにデータの記述形式(スキーマ)の標準を提案している。

例えば、ある行事の開催案内のWebページに、Schema.orgの定義する「Event」(行事)のスキーマで構造化を埋め込むことで、巡回してきたロボットに行事名や主催、出演者、開催日時などを伝達することができる。

抽象化 ⭐⭐

対象から細部や具体性を取り去り、本質的に重要な要素や、着目している側面のみを取り出して、一つの概念として定義すること。また、異なる複数の対象に共通する性質や要素を見出し、共通点を組み合わせて汎用的な概念を構成すること。

ソフトウェア開発における抽象化

ITの分野では、ソフトウェアの設計・開発やプログラミングで特に多用される概念で、制御の抽象化とデータの抽象化に分かれる。

例えば、プログラム中の様々な箇所で似たような具体的な処理を行っているときに、これを一つの汎用的なサブルーチンとして独立させ、必要な箇所から呼び出して利用するようにしたり、複数のプログラムで共通する機能をモジュールやコンポーネントなどの形に抜き出すことが該当する。

オブジェクト指向プログラミングでは、ある対象を表すデータ群と手続きを一体のオブジェクト(の雛形であるクラス)として定義するが、これも対象をプログラム上で扱うための一種の抽象化と考えることができる。

複数の具体的な対象を表すクラスから共通するデータや操作を取り出してスーパークラス(基底クラス/親クラス)を定義する場合があり、これを抽象化と呼ぶことがある。宣言だけがあり実装がサブクラス(派生クラス/子クラス)に任されている抽象メソッドを含むクラスは特に「抽象クラス」(abstract class)と呼ばれる。

ブレインストーミング 【ブレスト】 ⭐⭐⭐

集団で行うアイデアの発想法の一つで、参加者が集まって会合を開き、思いつくまま次々自由にアイデアを発言し、互いに刺激し合ってより豊かな発想を促していく手法。

一人では考えつかないようなアイデアを導き出すために行われる会議で、結論を得たり決定を行うことは目的ではない。出た意見やアイデアは会議後に整理したり分析したりして、その後の過程に役立てる。

アイデアをより豊かで創造的なものにするための原則がある。「他の参加者の意見を否定・批判しない」「突飛・奇抜・乱雑・常識外れな意見も歓迎する」「質より量を重視する」「他の参加者の意見から連想したり自分の意見を加えて発展させる」の4つである。

1942年に大手広告代理店グループBBDO創業者の一人として知られるアレックス・オズボーン(Alex Faickney Osborn)氏が著書 “How to Think Up” で提唱したのが始まりとされる。ブレーンストーミングのように集団で創発的な活動を行う技法としては他にKJ法やバズセッションがよく知られる。

ロジックツリー

論理的思考のために用いられる作図法の一つで、対象を段階的に構成要素に分解していく様子を枝分かれしていく樹形図の形で示したもの。

物事の内訳や分類、問題の原因などを図示する技法の一つである。左端に大本の事象を書き入れ、そこから構成要素を右側に枝分かれさせる。各要素を細分化した要素をさらに右側に枝分かれさせ、この手順を繰り返して段階的に詳細化していく。

ある要素を構成要素へ分解する際には、細分化された要素をすべて足し合わせると左側の元になった要素全体を表すように心がける。このような分解法は「漏れなく、重複なく」という英語表現の頭文字をとって「MECEミーシー」(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)と呼ばれる。

ロジックツリーは様々な場面や対象に適用できる汎用的な技法で、構成要素に分解するものを「要素分解ツリー」(Whatツリー)、事象の原因を探求するものを「原因追求ツリー」(Whyツリー)、問題の解決策を探求するものを「問題解決ツリー」(Howツリー)と呼ぶことがある。組織の目標管理などでは「KPIツリー」もよく用いられる。

イメージマップ 【クリッカブルマップ】

Webページにリンクを配置する方式の一つで、一枚の画像の中で指定した領域ごとに異なるリンク先を設定できるもの。Webブラウザ側で処理する方式とWebサーバ側で処理する方式がある。

クライアントサイドイメージマップ

Webブラウザ側でリンク先を振り分ける方式で、単にイメージマップという場合はこの方式を指す。画像内に様々な形状の領域を設定し、それぞれに別のリンク先を設定することができる。

マップを設定するimg要素にはusemap属性でマップ名を指定する。マップの定義はmap要素で行い、img要素で指定したマップ名をname属性に記述する。map要素は子要素として画像内の領域を定義するarea要素を複数持つことができる。

area要素は領域の形状を指定するshape属性、頂点などの座標を指定するcoords属性、リンク先を指定するhref属性、代替テキストを指定するalt属性から成る。shape属性は「rect」(四角形)、「poly」(任意形状の多角形)、「circle」(円)、「default」(どの領域にも含まれていない外側)を指定できる。

例えば、<area shape="rect" coords="0,0,50,50" href="square.html"> のように指定すると、画像の左上端を原点として(0,0)と(50,50)を対角線とする四角形(この場合は50ピクセル四方の正方形)の領域から「square.html」へリンクする。

サーバサイドイメージマップ

ブラウザ側では通常の単一リンクとして機能するが、Webサーバ側にはURLの末尾に「/click.cgi?103,45」といったように画像内での座標が渡される。サーバ側では座標からどの領域がクリックされたか割り出し、コンテンツを出し分けたり適切なリンク先にリダイレクトを行う。

Webページ側ではimg要素に <img src="image.png" ismap> といった具合にismap属性(値は不要)を付加するだけで実現できるが、リンク先としてサーバ上に振り分け処理を実装したプログラムファイルを用意する必要がある。

マトリックス図 【マトリクス図】

二つの要素の関連性について、縦と横の二次元の図や表を用いて整理したもの。分野によって表形式のものと数学のグラフのような図に分かれる。

碁盤の目状の表を使い、複数の要素を行と列に対応付け、交点の升目に対応する内容を書き入れていく作図法がよく知られる。品質管理の分野では新QC七つ道具の一つに数えられる。

二つの要素の項目をそれぞれ一行目と一列目に列挙した「L型」、三つの要素の項目を中央列と一行目左側、右側にそれぞれ列挙した「T型」、四つの要素を表の中心から十字形に中央列上方と下方、中央行左方と右方にそれぞれ列挙した「X型」などの種類がある。

数学のグラフのような図を使い、二つの要素を縦軸と横軸に対応付けて全体を四象限に区切り、各項目を二要素の値や性質の強さに基づいて図中に配置していく作図法もある。「四象限マトリックス」とも呼ばれる。

多数の項目を二つの性質に基づいて分類するための図で、単に四つの象限に分類する場合と、軸や原点からの距離が性質の強さを表す場合がある。似た性質を持つグループは近くに集まるため、多数の要素の分類を視覚的、俯瞰的に把握することができる。

アローダイアグラム 【PERT図】

複数の要素の間を、それらの関係を意味する矢印で結んだ図。特に、複数の工程や手順の間の前後関係を矢印の向きによって表した図。

プロジェクトマネジメントではプロジェクトを構成する工程の前後関係を一覧して把握するために作成される。このような図を用いて計画や管理を行う手法を「PERT」(Program Evaluation and Review Technique)ということから、「PERT図」(パート図)とも呼ばれる。

複数の工程からなるプロジェクトでは、工程間に「前の工程が終わらないと次の工程が始められない」という依存関係が存在する場合がある。一方で、どちらを先に行っても良い、並列に進めても良いという関係になっているものもある。

PERT図では矢印が個々の工程を表しており、内容と所要時間を付記する。工程間に依存関係がある場合、間に丸印(◯)で表される「結合点」を挟んで矢印同士を連結する。プロジェクトの開始と終了も結合点として表す。すべての工程を配置すると、開始から終了までどの順序で工程を進めればよいか、どの工程を並列に進められるかを一覧できるようになる。

開始から終了までの間には、いくつかの経路が現れることがあるが、経路上の工程の所要時間を足し合わせていくと、それぞれの経路全体の所要時間を求めることができる。その中で最も所要時間が長い経路は、プロジェクト全体の最短工期を表しており、これを「クリティカルパス」(critical path)という。

クリティカルパスに現れない工程をどんなに急いでも工期は短縮しないため、遅延を防止したり工期を短縮するにはクリティカルパス上の工程に注力する必要がある。このようにクリティカルパスに着目してマネジメント活動を行う手法を「クリティカルパス法」(CPM:Critical Path Method)という。

特性要因図 【魚骨図】

製品の品質管理などでよく用いられる図の一種で、対象の持つ特性とその要因と思われるものを階層的に図示したもの。ある事象がどのような要因に組み合わせによって成り、個々の要因がどのような要素に分解されるかを一覧することができる。

表記法にはいくつかのバリエーションがあるが、よく知られる一般的な手法では、特性を図の右端中央に大きく記し、その左に特性に向かう長い矢印を水平に引く。特性の要因と思われるものは図の上下に配し、それぞれ中央の長い矢印に向かって矢印を引く。

さらに各要因について、その要因や構成要素と思われるものがあるときは周辺に記し、矢印に向かって小さな矢印を引く。この作業を段階的に繰り返していき、より小さな要因へ分解していく。最終的には、支流が合流して大河となり海に注ぐように、無数の細かい要因が次第に大きな要因となって特性が生じている関係性が図示される。

特性要因図は中央の大きな矢印を魚の背骨に、そこに集まる各要因の矢印が肋骨になぞらえて「魚骨図」「フィッシュボーンチャート」などと呼ばれることもある。より実用的には、見やすさや付加情報の書き込みやすさなどから組織図やトーナメント表のように上から下に向かって枝分かれする表のような形式で作成されることも多い。

作業などの実施前に、想定される問題とその要因を列挙して対策を講じるために作成するものを「管理用特性要因図」、問題が発生した後に、その原因を検証するために実際に起きたことを元に作成するものを「解析用特性要因図」ということがある。

顔文字 【エモーティコン】

文字を組み合わせて人の顔や表情を表したもの。笑顔 (^_^) や泣き顔 (T_T) 、怒り顔 (-_-#) など、様々なものがある。欧米では :-) のように横に倒したものが使われることが多い。絵文字のうち顔や表情を表したものを指す場合もある。

初期のインターネットでは文字しか伝達できないシステムが多かったため、ニュアンスや感情を表現するために文末などに記す用法が広まった。文章だけでは誤解を与えかねない場合などに、語調を和らげることができるという利点がある。

一方、手紙に絵を添えるようにくだけた調子になるため、あまり親しくない人に対して使うと馴れ馴れしい印象を与えることがあるので注意が必要である。一般に、仕事相手への電子メールなど、改まった場では用いるべきでないとされている。

歴史と言語による違い

欧米ではタイプライターの時代から顔に見立てた文字の並びが文書や電報に使用されていた記録があるが、日本では1980年代にパソコン通信で使用されたのが始まりだとする説が有力となっている。

欧米圏では使用できる文字がアルファベットと数字、およびいわゆる半角記号のみであるため比較的シンプルなものが多いが、日本では漢字やかな、キリル文字、ギリシャ文字、全角英数字など様々な文字や記号を組み合わせ、独自の表現が発達した。同様に、中国語圏では漢字を取り入れたものが、韓国ではハングル文字を取り入れたものが独自に発達している。

携帯電話の絵文字・顔文字

日本の携帯電話では1990年代末頃から、記号文字の考え方を拡張して様々な物事や概念を表す絵を一文字に表した絵文字が利用できるようになり、その一部として笑顔や泣き顔などの顔文字も収録された。

当初は各携帯電話・PHS事業者(キャリア)独自の拡張仕様として同じキャリアの加入者同士でしか交換できない機種依存文字だった(他社加入者へ送ると文字化けしたり下駄記号「〓」になった)が、2000年代半ばに各社のメール送受信システムで透過的に相互変換する仕組みが整えられ、共通して利用できるようになった。

Unicodeの絵文字・顔文字

日本の携帯電話の絵文字を参考に、文字コードの国際規格であるUnicodeにも絵文字が採用されることになり、2010年のUnicode 6.0から“Emoji”として登録が開始された。

顔文字も大量に登録されており、Unicode対応フォントで容易に入力・表示できるようになったため、現在では “smiley” “emoticon” といった単語は伝統的な文字を組み合わせた顔文字ではなくUnicode Emojiの顔文字を表すのが一般的になりつつある。

フォント 【書体】 ⭐⭐⭐

同じ特徴、様式で一揃いの文字の形状をデザインしたもの。また、コンピュータなどで文字を表示・印刷できるように、文字形状をデータとして表したもの。もとは、同じ大きさ、デザインの一揃いの(金属)活字や文字盤の集合を意味していた。

フォントは字形の特徴によって様々な種類があり、一定の共通した特徴を持つデザイン様式のことを「書体」(typeface/タイプフェイス)という。欧文フォントの書体には、線に強弱があり端に飾りのついた「セリフ体」(serif)や、線が均一の太さで飾りのない「サンセリフ体」(Sans-serif)、手書きに近い「スクリプト体」などの種類がある。

日本語書体には、線に強弱がありトメ、ハネ、ハライの表現された「明朝体」や「楷書体」、均一な太さの「ゴシック体」(gothic)、筆で書いたような字形の「行書体」や「草書体」などの種類がある。なお、書体という語をフォントの意味(“font”の訳語)として用いることもある。

すべての文字を同じ幅で表現したものを「等幅フォント」(monospaced font/固定幅フォント)、文字ごとに最適な幅が設定されたものを「プロポーショナルフォント」(proportional font/可変幅フォント)と呼ぶ。用途に応じて使い分けられるように、同じ字形のフォントで固定幅のものと可変幅のものが両方提供される場合もある(MSゴシックとMSPゴシックなど)。

データの表現形式によっても分類され、文字の形を小さな正方形の点(ドット)の集まりとして表現したものを「ビットマップフォント」(bitmap font)あるいは「ラスターフォント」(raster font)、基準となる点の座標や輪郭線を表す曲線のパラメータの集まりとして表現したものを「アウトラインフォント」(outline font)と言う。

ビットマップ方式は高速に処理でき、小さな表示サイズでは美しく表示できるが、拡大・変形すると形が崩れてしまうため、現在では、サイズによらず同じ品質を得られるアウトライン方式が用いられることが多い。また、プロッタなど特定の用途では、太さの概念が無く、中心線の曲線のパラメータのみで字形を表した「ストロークフォント」(stroke font)と呼ばれる方式が用いられることもある。

アウトライン方式のフォントデータのファイル形式にはいくつかの標準的な形式があり、様々なシステムで同じデータを共通して利用することができる。「TrueTypeフォント」や「OpenType」「WOFF」(Web Open Font Format)「PostScriptフォント」(Type 1フォントやCIDフォントなど)などが有名である。

アウトラインフォント

文字の形をコンピュータ上で表現するフォントデータの種類の一つで、字形を基準となる点の座標や輪郭線を表す曲線のパラメータの集まりとして表現したもの。拡大・縮小しても品質が変わらないという特性がある。

文字の輪郭を、角や端の点の位置と、点を結ぶ直線や曲線を表す方程式の係数などを列挙して表現したもので、表示・印刷する際には計算によって字形を求め、縦横に規則正しく並んだ画素の集合に変換(ラスタライズ)する。

拡大や縮小、変形などを行っても形が崩れず、常に一定の品質で表示・印字することができる。ビットマップフォントとは異なり表示上の縦横の画素数とは無関係な形式でデータが定義されるため、大きさによらずデータ量が一定となる。

ただし、表示・印刷のたびに計算・変換処理を各文字について行わなければならず、複雑なソフトウェアや高い処理能力が必要となる。初期には印刷物の編集など限られた用途でのみ用いられたが、現在ではコンピュータの処理能力が向上したため、通常の画面表示を含め広く一般的に用いられている。

似た形式に、線の太さや輪郭の概念がなく、字形を(中心線の)直線・曲線のパラメータの集合として表現する「ストロークフォント」(stroke font)があり、アウトラインフォントと合わせて「ベクターフォント」(vector font、ベクトルフォント)あるいは「スケーラブルフォント」(scalable font)と総称することがある。拡大・縮小・変形が容易などの特徴は共通している。

これに対し、文字の形状を縦横に規則正しく並んだ画素(ピクセル)の集合として表したものを「ビットマップフォント」(bitmap font)あるいは「ラスターフォント」(raster font)という。ビットマップ形式はスケーラブルではなく、拡大・縮小すると形が崩れたり、曲線や斜めの線が階段状に醜く変形したりする。

ビットマップフォント 【ラスターフォント】

文字の形をコンピュータ上で表現するフォントデータの種類の一つで、文字を縦横に規則正しく並んだ微細な画素(ピクセル/ドット)の集合として表すもの。

ある決まった数の格子(縦横数個から数十個)を用意し、格子の一部を塗りつぶすことで各文字の字形を表現する。描画のために特別な計算や処理が不要なため、簡易なソフトウェアで高速に処理することができ、小さなサイズではデータ量も少なく、きれいに表示・印字できる。

一方で、元の大きさとは異なるサイズに拡大・縮小したり、幾何学的な変形を加えると形が崩れやすく、特に見出しなどで拡大表示すると格子が階段状に大きく拡大され、曲線や斜め線の部分が醜くなる。様々な文字サイズに対応しようとすると各サイズに対応したデータを個別に作成しなければならず、制作コストやデータ容量の点で不利となる。

コンピュータの処理能力やデータ保存容量が限られていた1990年代頃までは、主に画面表示用としてビットマップフォントが一般的に用いられてきたが、現在では決まった表示・印字サイズしか使わない専用のシステム(帳票処理システムや電子辞書など)で限定的に用いられるのみとなっている。

これに対し、文字の形状を、基準となる点の座標や輪郭線を表す曲線のパラメータの集まりとして表現したものを「アウトラインフォント」(outline font)と言う。表示や印刷のたびに与えられたサイズの画素の集合に変換(ラスタライズ)しなければならないため処理負荷が重いが、拡大・縮小しても字形が崩れないため、現在では広く一般的に用いられている。

円グラフ 【パイチャート】

数値データを図示するグラフの一つで、円の中を大小の扇形に区切って各項目に対応付け、扇の面積によって各項目の大きさを表すもの。各項目の全体に占める割合を一目で比較できる。

円全体が全項目の値の和(100%)に相当し、各項目を全体に占める割合に従って扇形で示す。時計でいう0時方向から時計回りに配置するのが一般的である。あまりに構成比の小さな項目は細すぎて見にくいため、最下位の位置に「その他」としてまとめる。

各項目が独立している場合は大きい順に並べるのが原則だが、項目間にグループ関係や何らかの順序性がある場合にはそちらに従って配置することがある。例えば、アンケートの回答が「とてもそう思う」「そう思う」「どちらとも言えない」「そう思わない」「まったくそう思わない」であれば、構成比に関わらずこの順に並べる。議会の勢力図であれば、右側に与党系、左側に野党系、中央に独立系とすると分かりやすい。

英語では切り分けたパイになぞらえて “pie chart” (パイチャート)と呼ぶことが多い。バリエーションとして、中心を空けて表題などを書き入れた「ドーナツグラフ」、複数の系列や各項目の内訳などを同心円状に重ねる「二重円グラフ」などがある。ソフトウェアによっては厚みのある円盤状の「3D円グラフ」を描画する機能もあるが、3D化すると扇の面積比が歪むため好ましくないとする考え方もある。

折れ線グラフ

数値データを図示するグラフの一つで、各項目を点で表し、隣接する項目同士を線分で結んで推移を折れ線で表したもの。時系列の変化などを表すのに適している。

縦軸に量、横軸に時間を取り、各時点における量の大きさを点で示す。隣接する点同士を端から順に線分で繋いでいくことで、すべての点を一つの折れ線で結びつける。線分が右上がりの箇所は増加、右下がりの箇所は減少を表し、折れ線の上下で量の時系列の変化を視覚的に把握することができる。

同じグラフに複数の異なる系列を表す折れ線を重ねて描画したり、折れ線グラフと棒グラフを重ねて描画することもあり、複数の項目の変化を直感的に把握することができる。複数の系列を重ねる場合は実線と折れ線、破線を使い分けたり、線を色分けしたり、点を表す図形(●▲■など)を変えるなどして見分けやすいようにする。

棒グラフ 【バーチャート】

数値データを図示するグラフの一つで、各項目の大きさに対応する長さの棒を縦または横に並べたもの。片方の端の位置が揃っており、棒の長さで各項目の大きさを一目で比較できる。

同じ幅の細長い棒(長方形)を並べた図で、棒の長さが各項目の大きさを表している。垂直に伸びる棒を横に並べた「縦棒グラフ」と、水平に伸びる棒を縦に並べた「横棒グラフ」がある。縦棒の場合は下端を、横棒の場合は左端を揃えて並べる。

項目の並び順は図で示したい内容に応じて決められるが、左端や上端から値の大きい順に並べる場合や、年齢のように項目の順序や大きさに従って並べる場合がある。項目が時系列の場合は過去から順に並べることが多い。

バリエーションとして、棒を区切って内訳を示す「積み上げ棒グラフ」、棒の長さを揃えて内訳の比率の比較や変化を示す「100%積み上げ棒グラフ」、一つの項目に複数の細い棒を並べて時系列の変化などを表す「集合棒グラフ」などがある。折れ線グラフなどと組み合わせて複合グラフとする場合もある。ソフトウェアによっては棒の並びを3次元的に描画する「3D棒グラフ」の機能が利用できる場合もあるが、3D化すると棒の長さの比が歪むため好ましくないとする考え方もある。

ヒストグラム 【度数分布図】 ⭐⭐⭐

データの分布を表す統計図の一つで、縦軸に値の数(度数)、横軸に値の範囲(階級)を取り、各階級に含まれる度数を棒グラフにして並べたもの。どの範囲の値が多く、どの範囲が少ないかを視覚的に表現できる。

値の出現頻度の高い階級は高い棒で、低い階級は低い棒で図示されるため、出現頻度の高低やバラつき具合を視覚的に容易に把握できる。各階級の度数を示す棒のことを「ビン」(bin)と呼ぶことがある。

すべてのビンの面積の総和が全体の度数を表しており、各ビンの面積は全体に占めるその階級の度数の割合を視覚的に表現したものとなっている。同じデータ群でも階級の幅の取り方次第でビンの形状や分布は異なるが、どのような基準で区分すべきかについて様々な方法論が提唱されている。

また、手前のすべての区間の度数を足し合わせた累計値をその区間の度数とし、これを右肩上がりの棒グラフの列で示したものを「累積ヒストグラム」(cumulative histogram/累積度数図)という。端からどの区間までが重要かを見極める場合などに利用される。

散布図 【分布図】 ⭐⭐⭐

一つのデータが複数の量や特性の組として表される場合に、二つの値の間の関係を明らかにするために作成される図。縦軸と横軸にそれぞれ別の特性を割り当て、各データについて対応する位置に点を打って作図する。

点の分布する様子を見て、データを構成する二つの量の間に関連があるか、どのような関連があるかを知ることができる。例えば、点が右上がりの帯状に分布していれば正の相関があると分かり、(左上から)右下がりなら負の相関があると分かる。まんべんなく散らばっていれば相関が薄いか無さそうであると考えられる。

全体の傾向から大きく外れた特異点(外れ値)がどこにあるかも容易に知ることができ、これを除外して計算を行ったり、外れた理由を詳しく調べたりすることもある。また、全体に当てはまる傾向を調べるだけでなく、点の集まり具合から二つの量の関係が同じ傾向を示している項目群をグループ分け(グルーピング)するといった使い方をする場合もある。

GUI 【Graphical User Interface】 ⭐⭐

コンピュータの表示・操作体系(ユーザーインターフェース)の分類の一つで、情報の提示に画像や図形を多用し、基礎的な操作の大半をマウスやタッチスクリーンなどによる画面上の位置の指示により行うことができるもの。

画面上にアイコンやメニュー、ボタンといった絵や図形に補助的な文字情報を組み合わせた操作要素が表示され、これをマウスやトラックパッド、タッチパネルなどのポインティングデバイス(位置入力装置)で選択してコンピュータへの指示を与える。

パソコンなどではオペレーティングシステム(OS)が管理する「デスクトップ」(desktop)と呼ばれる初期画面が表示される。各アプリケーションソフトは「ウィンドウ」(window)と呼ばれる矩形の領域を与えられ、その中で表示や操作を行う。複数のウィンドウを同時に開き、並行して処理を行ったり、即座に切り替えて操作することができる。

スマートフォンやタブレット端末では「ホーム画面」(home screen)が表示され、導入済みのソフトウェア(アプリ)がアイコンとして並んでいる。これをタッチ操作で選択するとアプリが起動して全画面で操作可能になる。複数アプリを同時に起動することはできるが、画面を切り替えて使用するのが一般的となっている。

CUIとの違い

一方、情報の提示も操作の受付も原則として文字によって行うユーザーインターフェースを「CUI」(Character User Interface:キャラクターユーザーインターフェース)あるいは「CLI」(Command Line Interface:コマンドラインインターフェース)という。

利用者はキーボードなどを用いてコンピュータへの指示を文字によって与え、コンピュータからの出力も画面に文字を表示して行われる。LinuxなどのUNIX系OSやメインフレーム(大型コンピュータ)、ネットワーク機器など、訓練を受けた専門の技術者やオペレータが操作する前提のコンピュータ製品で多く用いられる。

パソコン向けOSのWindowsやmacOS、スマートフォンやタブレット端末向けのAndroidやiOSなど、技術者ではない一般消費者や(企業の)従業員が操作することを想定したコンピュータ製品は、情報の見やすさや操作方法の習得のしやすさなどを重視してGUIを中心に構成することが多い。家庭用ゲーム機、デジタル家電など民生用コンピュータ応用製品の多くも、主要な表示・操作方式としてGUIを用いる。

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