高校「情報Ⅰ」単語帳 - 日本文教「情報Ⅰ」 - 問題を発見・解決する方法
データ ⭐⭐⭐
何かを文字や符号、数値などのまとまりとして表現したもの。人間にとって意味のあるものや、データを人間が解釈した結果のことを情報と呼ぶ。
ITの分野でデータといった場合には、コンピュータで保存や加工、伝送などが可能なデジタルデータ(digital data)を指す。これは信号や情報をすべて「0」あるいは「1」のいずれかを取る「ビット」(bit)と呼ばれる情報の最小単位を並べて表現したもので、情報の種類や形式によらず同じ装置や処理によって扱うことが可能となる。
また、文脈によっては、コンピュータが扱うデータ全体のうち、コンピュータプログラム以外のものをデータと呼ぶことがある。プログラムが取り扱う対象となる情報や信号などを特定の形式で表したものを指す。
英語の “data” はもともと “datum” (データム)の複数形だったが、現在では不可算名詞として扱うことが多い。
データ量/データ長
データにも量(data quantity)の概念があり、多いほどたくさんの情報や信号を表現することができる。デジタル化されたデータの量は、データを表現するビット列の長さで表されるため、データ長(data length)とも呼ばれる。量の単位としてはビットをそのまま用いる。
実用上は8ビットを一つの単位とした「バイト」(byte)を用いることが多く、また、大きな数を表すときは物理量と同じようにキロ(kilo/1000倍)、メガ(mega/100万倍)、ギガ(giga/10億倍)、テラ(tera/1兆倍)などの接頭辞を先頭につける。
メディア ⭐⭐⭐
媒体、媒質、伝達手段、中間などの意味を持つ英単語。“medium” の複数形。情報の伝達や記録に用いられる物体や装置、およびこれを利用して人に情報を伝達・配布する仕組みや事業、組織などを指すことが多い。
一般の外来語としては、人が人に情報を伝えたり広く報じるのに用いるモノや仕組みを指し、広義には電話や手紙、書籍、テレビ、映画、電子メール、Webサイトなど様々な伝達手段が含まれる。
狭義には、社会の不特定多数の人々に向けて広く情報を発信する「マスメディア」(mass media)のことをメディアと呼ぶことが多い。現代では日常的に多くの人が接するテレビ放送、ラジオ放送、新聞、雑誌の4つを指し、これを「マス4媒体」「4大メディア」などという。
マスメディアと同じように、インターネットを通じて広く一般に情報を発信、公開するネットサービスやWebサイトなどのことを「ネットメディア」「Webメディア」「オンラインメディア」などと呼ぶ。Webサイトやブログ、メールマガジン、動画配信サービス、動画サービス上のチャンネルなどが含まれ、マスメディア企業がネットメディアも並行して運用する例も多く見られる。
記録メディア・伝送メディア
ITの分野では、一般の用法に加え、データの記録・保管に用いる物体や装置を「記録メディア」、信号やデータを伝送するケーブルや内部の信号線、あるいは電波など伝送の媒介となる物理現象を「伝送メディア」という。
記録メディア(記憶メディアとも呼ばれる)の例としては、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光学ディスク(CD/DVD/Blu-ray Discなど)、フラッシュメモリ(SSD/USBメモリなど/メモリーカード)などがある。伝送メディアの例としては金属線ケーブル(銅線ケーブル/メタルケーブル)、光ファイバーケーブル、電波、赤外線、電子基板上の金属配線などがある。
PDCAサイクル 【Plan-Do-Check-Act cycle】 ⭐⭐
業務プロセスなどを管理・改善する手法の一つで、計画→実行→評価→改善という4段階の活動を繰り返し行なうことで、継続的にプロセスを改善・最適化していく手法。
PDCAサイクルは4つのステップから成る。“Plan” (計画)では、目標を設定してそれを達成するための行動計画を作成する。“Do” (実行)では、策定した計画に沿って実際に業務を遂行する。“Check” (評価)では、実施した結果についての情報を集めて整理し、当初の目標や以前のサイクルの結果などと比較するなどして評価を行う。
“Act” (「行動」「処置」の意だが改善と訳されることが多い)は “Adjust” (調整)とも呼ばれ、評価を受けて問題点の洗い出しや成功・失敗の要因を分析し、プロセスや計画の調整、実施体制の見直しなどの処置を行なう。
“Act” まで一通りの活動が終わると、その結果を反映して再び “Plan” から一連の活動を行う。このP→D→C→Aの流れを継続的に繰り返すことを「PDCAを回す」などと言い、螺旋を描くようにプロセスの改善が行われることが期待される。
PDSサイクル (Plan-Do-See cycle)
循環的なプロセスの改善手法として、“Plan” (計画)→ “Do” (実行)→ “See” (評価)の3段階とする場合もあり、PDSサイクルという。
フレームワーク
枠組み、骨組み、骨格、下部構造、構造、組織などの意味を持つ英単語。ITの分野では、問題に取り組むための概念や方法を体系化した枠組みのことや、ソフトウェア開発の土台となるプログラム部品などを指すことが多い。「FW」「F/W」などの略号で示されることもある。
ソフトウェアフレームワーク
ソフトウェア開発の分野では、ある領域のソフトウェアに必要とされる汎用的な機能や基本的な制御構造をまとめた半完成品のことを「ソフトウェアフレームワーク」「アプリケーションフレームワーク」などと呼び、これを略してフレームワークと呼ぶことが多い。
具体的なプログラムコードや設定ファイルなどのセットだけでなく、汎用的に適用できるプログラムの設計モデルや典型的な処理パターンなどを含めてフレームワークと呼ぶ場合もある。
フレームワークは特定のプログラミング言語で書かれた、そのまま利用できるソフトウェアの主要部分の雛形(テンプレート)と、汎用的で再利用可能なクラスやライブラリ、モジュール、APIなどで構成される。開発者がコードを記述して機能を追加、拡張するための方法や規約などが定められている。
開発者は規約に従ってフレームワークの一部を改変したり、自らの必要とする機能や処理を記述して追加することで、主要部分の設計・記述を省略して迅速にソフトウェアを完成させることができる。
制御の反転 (IoC:Inversion of Control)
汎用的で再利用可能なコードをまとめたものであるという意味ではライブラリやモジュールに似ているが、ライブラリでは全体を制御するコードを開発者が記述し、ライブラリの提供する個別の機能を呼び出す形となる。
一方、フレームワークは全体を制御するのはフレームワーク側のコードで、そこから開発者が個別に追加した機能を呼び出す形となる。このように制御-被制御の関係が反転している状態のことを「制御の逆転」(IoC:Inversion of Control)という。
ビジネスフレームワーク
一般のビジネス分野では、様々な対象や分野に共通して用いることのできる、思考や分析、意思決定、問題解決、戦略立案などの手法や枠組みのことを「ビジネスフレームワーク」と呼び、これを略してフレームワークということが多い。
ブレインストーミング 【ブレスト】 ⭐⭐⭐
集団で行うアイデアの発想法の一つで、参加者が集まって会合を開き、思いつくまま次々自由にアイデアを発言し、互いに刺激し合ってより豊かな発想を促していく手法。
一人では考えつかないようなアイデアを導き出すために行われる会議で、結論を得たり決定を行うことは目的ではない。出た意見やアイデアは会議後に整理したり分析したりして、その後の過程に役立てる。
アイデアをより豊かで創造的なものにするための原則がある。「他の参加者の意見を否定・批判しない」「突飛・奇抜・乱雑・常識外れな意見も歓迎する」「質より量を重視する」「他の参加者の意見から連想したり自分の意見を加えて発展させる」の4つである。
1942年に大手広告代理店グループBBDO創業者の一人として知られるアレックス・オズボーン(Alex Faickney Osborn)氏が著書 “How to Think Up” で提唱したのが始まりとされる。ブレーンストーミングのように集団で創発的な活動を行う技法としては他にKJ法やバズセッションがよく知られる。
MECE 【Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive】
論理的思考のために用いられる概念の一つで、物事の分類や場合分けを「重複なく」(Mutually Exclusive)、「漏れなく」(Collectively Exhaustive)行うこと。また、分類法などが備えるそのような性質。
例えば、人間集団を分類するのに「0~6歳」「7~18歳」「19~34歳」「35~64歳」「65歳以上」という区分を用いれば、それぞれの項目には重なりがなく、この区分に該当しない人も存在しない。このような分け方をMECEという。
一方、「乳幼児」「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」「社会人」「高齢者」のように分けてしまうと、「社会人や高齢者の大学生」のように一人が複数の項目に当てはまる重複が生じ、一方で高専生や専門学校生、大学院生など当てはまる選択肢のない人が生じてしまう。この状態はMECEではない。
MECEによる基本的な分類技法として、全体を大きな区分に分け、各区分の中をさらに細分化していく「トップダウンアプローチ」と、最小の構成要素をリストアップして、組み合わせて大きなグループを構成する「ボトムアップアプローチ」の2種類がある。いずれの場合も、時間的(時系列的)な区切り、空間的な区切りなど分類の基準や切り口を明確にしておく必要がある。
大分類、中分類、小分類と段階的に細分化された区分を枝分かれする樹形図の形で表したものは「ロジックツリー」(logic tree)という。マーケティングやビジネス戦略の分析法の中にはMECEの概念を応用したフレームワークが数多くある。3C分析や4P分析、SWOT分析、PEST分析、バリューチェーン分析、製品ライフサイクル(PLM)、AIDMAなどである。
レポート 【リポート】 ⭐
報告(する)、説明(する)、報告書、記録、議事録、報じる、知らせる、出向く、発表する、噂、世評、評判などの意味を持つ英単語。
ITの分野では、ソフトウェアの機能の一つで、蓄積されたデータに対して抽出・解析・集計などの処理を行い、表やグラフなどを用いて人間に見やすい形式にまとめた文書や画面のことをレポートということが多い。
あらかじめ指定された期間や項目、条件などに基づいて自動的に生成し、静的な画面やファイルなどとして利用者に提供するものが多い。PDFファイルなど汎用的なデータ形式でダウンロードしたり印刷できるようになっている場合もある。システムによっては対話的な操作に対応し、解析条件の変更や絞り込みなどをその場で行うことができるものもある。
SDGs 【Sustainable Development Goals】
国際連合で2015年に採択された国際的な開発目標。人類社会の持続可能性と開発の両立を目指すための17の目標から成る。
2000年に採択された前身のMDGs(ミレニアム開発目標)が2015年に期限を迎えたため、これに代わる開発目標として2015年に採択された。2030年までに達成すべき17の目標を示し、169の達成基準、232の指標が定められている。
17の目標は「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤を作ろう」「人や国の不平等をなくそう」「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任、つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」「平和と公正をすべての人に」「パートナーシップで目標を達成しよう」で、優先順位などは特に設定されていない。
イメージマップ 【クリッカブルマップ】
Webページにリンクを配置する方式の一つで、一枚の画像の中で指定した領域ごとに異なるリンク先を設定できるもの。Webブラウザ側で処理する方式とWebサーバ側で処理する方式がある。
クライアントサイドイメージマップ
Webブラウザ側でリンク先を振り分ける方式で、単にイメージマップという場合はこの方式を指す。画像内に様々な形状の領域を設定し、それぞれに別のリンク先を設定することができる。
マップを設定するimg要素にはusemap属性でマップ名を指定する。マップの定義はmap要素で行い、img要素で指定したマップ名をname属性に記述する。map要素は子要素として画像内の領域を定義するarea要素を複数持つことができる。
area要素は領域の形状を指定するshape属性、頂点などの座標を指定するcoords属性、リンク先を指定するhref属性、代替テキストを指定するalt属性から成る。shape属性は「rect」(四角形)、「poly」(任意形状の多角形)、「circle」(円)、「default」(どの領域にも含まれていない外側)を指定できる。
例えば、<area shape="rect" coords="0,0,50,50" href="square.html"> のように指定すると、画像の左上端を原点として(0,0)と(50,50)を対角線とする四角形(この場合は50ピクセル四方の正方形)の領域から「square.html」へリンクする。
サーバサイドイメージマップ
ブラウザ側では通常の単一リンクとして機能するが、Webサーバ側にはURLの末尾に「/click.cgi?103,45」といったように画像内での座標が渡される。サーバ側では座標からどの領域がクリックされたか割り出し、コンテンツを出し分けたり適切なリンク先にリダイレクトを行う。
Webページ側ではimg要素に <img src="image.png" ismap> といった具合にismap属性(値は不要)を付加するだけで実現できるが、リンク先としてサーバ上に振り分け処理を実装したプログラムファイルを用意する必要がある。
ロジックツリー ⭐
論理的思考のために用いられる作図法の一つで、対象を段階的に構成要素に分解していく様子を枝分かれしていく樹形図の形で示したもの。
物事の内訳や分類、問題の原因などを図示する技法の一つである。左端に大本の事象を書き入れ、そこから構成要素を右側に枝分かれさせる。各要素を細分化した要素をさらに右側に枝分かれさせ、この手順を繰り返して段階的に詳細化していく。
ある要素を構成要素へ分解する際には、細分化された要素をすべて足し合わせると左側の元になった要素全体を表すように心がける。このような分解法は「漏れなく、重複なく」という英語表現の頭文字をとって「MECE」(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)と呼ばれる。
ロジックツリーは様々な場面や対象に適用できる汎用的な技法で、構成要素に分解するものを「要素分解ツリー」(Whatツリー)、事象の原因を探求するものを「原因追求ツリー」(Whyツリー)、問題の解決策を探求するものを「問題解決ツリー」(Howツリー)と呼ぶことがある。組織の目標管理などでは「KPIツリー」もよく用いられる。
マトリックス図 【マトリクス図】
二つの要素の関連性について、縦と横の二次元の図や表を用いて整理したもの。分野によって表形式のものと数学のグラフのような図に分かれる。
表
碁盤の目状の表を使い、複数の要素を行と列に対応付け、交点の升目に対応する内容を書き入れていく作図法がよく知られる。品質管理の分野では新QC七つ道具の一つに数えられる。
二つの要素の項目をそれぞれ一行目と一列目に列挙した「L型」、三つの要素の項目を中央列と一行目左側、右側にそれぞれ列挙した「T型」、四つの要素を表の中心から十字形に中央列上方と下方、中央行左方と右方にそれぞれ列挙した「X型」などの種類がある。
図
数学のグラフのような図を使い、二つの要素を縦軸と横軸に対応付けて全体を四象限に区切り、各項目を二要素の値や性質の強さに基づいて図中に配置していく作図法もある。「四象限マトリックス」とも呼ばれる。
多数の項目を二つの性質に基づいて分類するための図で、単に四つの象限に分類する場合と、軸や原点からの距離が性質の強さを表す場合がある。似た性質を持つグループは近くに集まるため、多数の要素の分類を視覚的、俯瞰的に把握することができる。
アローダイアグラム 【PERT図】 ⭐
複数の要素の間を、それらの関係を意味する矢印で結んだ図。特に、複数の工程や手順の間の前後関係を矢印の向きによって表した図。
プロジェクトマネジメントではプロジェクトを構成する工程の前後関係を一覧して把握するために作成される。このような図を用いて計画や管理を行う手法を「PERT」(Program Evaluation and Review Technique)ということから、「PERT図」(パート図)とも呼ばれる。
複数の工程からなるプロジェクトでは、工程間に「前の工程が終わらないと次の工程が始められない」という依存関係が存在する場合がある。一方で、どちらを先に行っても良い、並列に進めても良いという関係になっているものもある。
PERT図では矢印が個々の工程を表しており、内容と所要時間を付記する。工程間に依存関係がある場合、間に丸印(◯)で表される「結合点」を挟んで矢印同士を連結する。プロジェクトの開始と終了も結合点として表す。すべての工程を配置すると、開始から終了までどの順序で工程を進めればよいか、どの工程を並列に進められるかを一覧できるようになる。
開始から終了までの間には、いくつかの経路が現れることがあるが、経路上の工程の所要時間を足し合わせていくと、それぞれの経路全体の所要時間を求めることができる。その中で最も所要時間が長い経路は、プロジェクト全体の最短工期を表しており、これを「クリティカルパス」(critical path)という。
クリティカルパスに現れない工程をどんなに急いでも工期は短縮しないため、遅延を防止したり工期を短縮するにはクリティカルパス上の工程に注力する必要がある。このようにクリティカルパスに着目してマネジメント活動を行う手法を「クリティカルパス法」(CPM:Critical Path Method)という。
ガントチャート 【Gantt chart】 ⭐
プロジェクトの工程管理などで用いられる図表の一つで、縦に並んだ棒グラフの列で計画や進捗を視覚的に表したもの。各棒グラフが工程を表し、横方向が時間の経過を表している。
1910年代にアメリカの機械エンジニア、経営コンサルタントのヘンリー・ガント(Henry L. Gantt)が考案した図で、横軸に時間、縦軸に工程を並べた二次元の表を用意し、各工程の開始から終了までを帯として書き入れていく。
プロジェクトの開始時にはスケジュールを表す帯が並んでいるだけだが、時間が進むに従って工程の進捗状況や完了などが書き込まれていく。進捗度合いに応じて帯の色や柄を塗り分けて状況を視覚的に表現する場合もある。
表の左端に並んだ工程には場所や担当、開始日や終了日、見積もり工数などを書き入れたり、大項目から小項目へ階層状に分割して各工程の全体での位置が分かるようにすることがある。
工程間に依存関係(工程Aが終わらなければ工程Bに着手できないという関係)がある場合には前工程の終了と次工程の開始を矢印で結ぶが、複雑で大規模なプロジェクトでは矢印が交錯して直感的に把握しにくいという問題もある。
全体の計画や進捗をひと目で確認できる図法として現在も広く普及している。表部分に記載する項目や内容、グラフ部分に書き入れる注釈や進捗の表現方法などに様々なバリエーションがあり、分野や企業、部署によって異なる規約で運用される。
特性要因図 【魚骨図】
製品の品質管理などでよく用いられる図の一種で、対象の持つ特性とその要因と思われるものを階層的に図示したもの。ある事象がどのような要因に組み合わせによって成り、個々の要因がどのような要素に分解されるかを一覧することができる。
表記法にはいくつかのバリエーションがあるが、よく知られる一般的な手法では、特性を図の右端中央に大きく記し、その左に特性に向かう長い矢印を水平に引く。特性の要因と思われるものは図の上下に配し、それぞれ中央の長い矢印に向かって矢印を引く。
さらに各要因について、その要因や構成要素と思われるものがあるときは周辺に記し、矢印に向かって小さな矢印を引く。この作業を段階的に繰り返していき、より小さな要因へ分解していく。最終的には、支流が合流して大河となり海に注ぐように、無数の細かい要因が次第に大きな要因となって特性が生じている関係性が図示される。
特性要因図は中央の大きな矢印を魚の背骨に、そこに集まる各要因の矢印が肋骨になぞらえて「魚骨図」「フィッシュボーンチャート」などと呼ばれることもある。より実用的には、見やすさや付加情報の書き込みやすさなどから組織図やトーナメント表のように上から下に向かって枝分かれする表のような形式で作成されることも多い。
作業などの実施前に、想定される問題とその要因を列挙して対策を講じるために作成するものを「管理用特性要因図」、問題が発生した後に、その原因を検証するために実際に起きたことを元に作成するものを「解析用特性要因図」ということがある。