高校「情報Ⅰ」単語帳 - 実教出版「最新情報Ⅰ」 - データの収集・整理・分析
オープンデータ ⭐⭐⭐
誰でも自由に入手や使用、加工、再配布などができるよう広く一般に公開されているデータ。特に、ソフトウェアなどによる自動処理に適した一定のデータ形式に整理・整形された機械可読(マシンリーダブル)なもの。
データの中には著作権などによって保護されていたり、所有者によって入手や利用に制限が課せられ、手続きや対価が必要なものが多くある。オープンデータはこのような制約から解放され、営利・非営利を問わず誰でも自由に使用や再配布が可能なデータを指す。
こうしたデータ公開が期待され、また積極的に行われているのは主に学術・科学分野や公共分野である。大学や研究機関の持つ科学的な資料や、政府や自治体などの公的機関の持つ公共的な情報や、事業などで調査・収集した統計データなどの公開が進められている。
行政などのデータ公開・提供はこれまでも白書やWebサイトなどの形で行われてきたが、これはもっぱら人間が閲覧するための文書として発行されたものであり、ソフトウェアで解析・加工するには人間の手で整形しなければならなかった。オープンデータではコンピュータ上での自動処理を前提としたデータ形式が求められ、XMLやCSVファイル、Excelファイル(XLSXファイル)などの形で提供される。
ある完結したひとまとまりのデータ集合を「データセット」と呼び、これを一つのファイルなどに(複雑・大規模な場合はいくつかに分割して)記録してWebサイトなどで公開する。複数のデータセットを公開する機関やサイトでは、どこにどんなデータセットがどのような形式で公開されているかをまとめた「データカタログ」が作成されることが多い。
2000年代後半頃から、米連邦政府の「Data.gov」や日本政府の「データカタログサイト」(DATA.GO.JP)など、政府機関が提供している様々なオープンデータをまとめたデータカタログや専用のWebサイトを公開する国が増えている。
全数調査 ⭐
統計的な調査を行う際に、対象となる母集団全体を調査対象とする方式。国勢調査のように、標本の抽出などを行わずに対象すべてを虱潰しに調べる調査。
調査の対象となる母集団に含まれるすべての要素を一つ一つ調べる調査方式をこのように呼ぶ。一方、母集団の中から一定の基準や方法で少数の標本(サンプル)を抽出して調査する方式を「標本調査」という。
全数調査はすべての対象についてのデータを揃えることができるため、抽出調査で生じる標準誤差などの不確かさに影響されない。対象の総数が少ない場合は容易に実施できるが、日本人全体など母集団が巨大な場合には大きなコストや長い期間を要したり、そもそも不可能なこともある。
社会調査の多くは標本調査だが、国が5年ごとに実施する、国内の全居住者を対象とした「国勢調査」や、国内の全法人を対象に行われ企業の国勢調査とも言われる「経済センサス」は全数調査として行われている。これらは統計としての意義と共に他の標本調査の基礎となるデータを提供する意義がある。
標本調査 ⭐
統計的な調査を行う際に、集団全体から一定の基準や方法で少数の対象のみを抜き出して調査する方式。社会調査や品質検査などで広く用いられる。
ある母集団に含まれるすべての要素を調査することを「全数調査」(悉皆調査)というが、社会調査の場合は膨大なコストや時間が必要になったり、母集団全体にアクセスすることがそもそも不可能であったりする。商品の品質検査などでは破壊的な検査を全数に行うことはできないという問題もある。
そこで、母集団から一定の方法で要素を抽出して調査を行う標本調査が広く行われている。抽出した要素を「標本」(sample)という。標本に対する調査結果から統計的な推計を行い、母集団全体の状態を推定する。標本による推計値と母集団の本当の値(真の値)とのズレ(乖離)を「標本誤差」という。標本数などから精度の予測は可能だが誤差をゼロにすることはできない。
標本の抽出法
抽出した標本の属性に偏りがあると母集団の状態を正しく推定できないため、なるべく母集団全体を代表する標本の組み合わせを選択する必要がある。適切な抽出方法は母集団の特性により様々で、抽出の枠組みと要素の選出方法を組み合わせて抽出方法を決定する。
抽出の枠組みは母集団を複数の枠に分割してそれぞれの枠から抽出することを指す。特に枠を設けず全体を対象とする「単純抽出」、重なりのない複数のカテゴリーに分けてそれぞれから選出する「層化抽出」(層別抽出)、ある属性が共通している(クラスターを形成している)がそれ以外の属性がバラけている集団から抽出する「集落抽出」(クラスターサンプリング)などがある。
枠(あるいは全体)からの要素の選出方法としては、くじ引きのようにランダムに選ぶ「無作為抽出」、「登録番号の末尾が00で終わる」といったようにある属性の値を規則的に選んでいく「系統抽出」などがある。大規模な調査では、抽出した要素の集合から再び抽出を行う「多段階抽出」(多くの場合は2段階抽出)が行われることもある。
量的データ ⭐⭐⭐
調査や観測などで得られたデータのうち、数値で表され、値の大きさに意味があるデータのこと。長さ、重さ、人数、金額など大小や高低の程度を反映したデータである。
数で表され、数の大きさが量の多寡や性質の強さ、度合いを反映しているようなデータをこのように呼ぶ。物事の質的な側面を表す「質的データ」(質的変数)と対比される。
量的データを測る尺度のうち、数の間隔に意味があるものを「間隔尺度」という。数の間隔が量の大きさを反映している尺度で、温度の摂氏(℃)や年号などが当てはまる。原点が量的な「0」を表さないため値同士の比率には意味がない。
一方、間隔だけでなく値そのものの比に意味があるような尺度を「比例尺度」という。数がそのまま量の大きさを反映しているような尺度で、長さ、面積、体積、重さ、時間、速度、絶対温度、人数、金額など多くの量的データは比例尺度で表される。数で表されていても、数が順序や順位しか表さない、ランキングや段階評価、段位のような「順序尺度」のデータは含まない。
質的データ ⭐⭐⭐
調査や観測などで得られたデータのうち、数値で表されないようなものや、数値であっても値の大小や比率に意味がないようなデータのこと。
性別や血液型、「はい」「いいえ」を選択するアンケート項目、色、形状など、結果を数値で表すことができないデータや、数字で表されていても自動車ナンバーや電話番号のように大小に意味がない「名義尺度」のデータが含まれる。物事の量的な側面を表す「量的データ」(量的変数)と対比される。
また、数の大小が順位や順序を表していても、間隔や比には意味がない「順序尺度」の数値データも質的データに分類される。例えば、競技の順位、成績やアンケートなどの段階評価、検定制度の段位や級などは、上位と下位の区別はできても度合いを数量比較することはできないため質的データに分類される。
外れ値 ⭐⭐⭐
調査や測定、観測などで同種のデータをいくつも取得したとき、全体のデータの傾向から大きく外れた値のこと。統計処理などの際に一定の基準を設けて除外することがある。
収集したデータ全体の分布が何らかの傾向を示すとき、この傾向から大きく外れた値のことを外れ値という。このうち、測定機器の不具合や記入ミスなど、何らかの誤りによっておかしな値になってしまったものは「異常値」という。対象や方法によって、異常値と異常値以外の外れ値を区別できる場合とできない場合がある。
外れ値を含んだデータをそのまま分析すると、平均値や相関係数などの統計量に大きな影響を与え、歪んだ結果が導き出されることがある。このため、一定の基準を設けて外れ値を取り除く操作を行うことがある。
よく用いられる手法として、箱ひげ図を描いて「第1四分位数-箱の幅×1.5以下」「第3四分位数+箱の幅×1.5以上」のデータを外れ値と判定する方法がある。また、平均値や標準偏差などから特定の統計量を算出し、基準値を設けて判定する方法もある。こうした検定にはスミルノフ・グラブス検定やトンプソン検定などが知られている。
なお、用意した結論に都合のよいデータのみを残してそれ以外を外れ値として排除することはデータの改竄とみなされる可能性があるため値の削除は慎重に行う必要がある。どんな調査や観測でも、現実の対象を調べれば全体の傾向から外れたサンプルが存在するのは普通のことであるため、異常値として理由が説明できる値以外は恣意的に取り除くべきではないとする考え方もある。
欠損値 ⭐⭐⭐
調査や測定、観測などでデータを収集した際、あるデータの記録場所を参照してもデータが記録されておらずに欠けていること。一定周期で観測値を記録するシステムでデータが欠けた時刻がある場合などが該当する。
観測において、装置の不具合や操作ミスなどで測定値が得られなかった状態や、調査において特定の記入項目が空欄で記載されていない状態などを指す。値は存在するが傾向から大きく外れている「外れ値」や、装置故障やミスなどでおかしな値になってしまった「異常値」とは異なる。
観測における欠測などは機械的に取り除いて分析することが多いが、調査では記入が任意の項目が複数ある場合などに完全にデータが揃っているサンプルが十分な数揃わないこともある。そのような場合には欠損の多い項目を解析から外したり、平均値などの代表値で穴埋めしたり、他の項目の値が似ているサンプルのデータで補完するといった操作を行うことがある。
尺度水準 ⭐⭐
統計的な変数やその値を、表している情報の性質に基づいて分類したもの。数字にどのような意味があり、どのような操作や議論が可能かが異なる。
1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。名義、順序、間隔、比例の順に水準が高くなり、高い水準の尺度は自身より低い水準の尺度を兼ねることができる。
名義尺度
「名義尺度」あるいは「類別尺度」は、対象や状態を区別するためだけに(便宜上の)数字を割り当てたもので、値が同じか異なるかしか評価することができない。順序や大きさ、比率などに意味はなく、計算もできない。例えば、電話番号の国番号は米国が1、日本が81だが、日本が何かの大きさで81位であるとか、何かが米国の81倍であるというわけではない。
順序尺度
「順序尺度」は、数字の大小が順序を表すような尺度である。大きさを比較したり順位を付けることができるが、他の値との差や比率には意味がなく、計算はできない。競技の順位、成績やアンケートなどの5段階評価、検定制度の段位や級などが該当する。「徒競走1位は2位より速かった」とは言えるが、「2倍速い」といった比較はできない。
間隔尺度
「間隔尺度」は、数字が順序を表すとともに間隔に意味があるような尺度である。値の差が等しければ同じ間隔が空いていることを意味するが、「0」で表される点は便宜上置いたもので、値の比には意味がない。例えば、気温5℃が15℃になるのと15℃が25℃になるのは同じ幅だけ上昇したと言えるが、15℃は5℃の3倍の温度やエネルギーであるとは言えない。
比例尺度
「比例尺度」あるいは「比率尺度」は、数字が順序や間隔を表すともに、「0」に原点としての意味があり、値の比や割合も議論することができる尺度である。長さ、重さ、広さ、時間、速度、絶対温度などの物理量、金額などが該当する。最も高い尺度水準であり、他の3つの尺度を兼ねることができる。
比例尺度 ⭐⭐
統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字が順序や間隔を表すともに、値の比や割合も議論することができるもの。
統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。
比例尺度は最も高い水準の尺度で、数字がそのまま何らかの量の大きさを表している。値の「0」は「存在しない」ことを表す原点であり、値の間隔や比には意味がある。加減乗除などの計算も行うことができ、すべての統計量を使うことができる。
例としては、長さや面積、体積、重さ、時間、速度、絶対温度などの物理量、金額、個数などが該当する。一段階低い水準の間隔尺度である摂氏では27℃が54℃になったからといって温度が2倍になったとは言えないが、絶対温度600K(約327℃)は300K(約27℃)の2倍の温度と言うことができる。
比率尺度 ⭐
統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字が順序や間隔を表すともに、値の比や割合も議論することができるもの。
統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。
比例尺度は最も高い水準の尺度で、数字がそのまま何らかの量の大きさを表している。値の「0」は「存在しない」ことを表す原点であり、値の間隔や比には意味がある。加減乗除などの計算も行うことができ、すべての統計量を使うことができる。
例としては、長さや面積、体積、重さ、時間、速度、絶対温度などの物理量、金額、個数などが該当する。一段階低い水準の間隔尺度である摂氏では27℃が54℃になったからといって温度が2倍になったとは言えないが、絶対温度600K(約327℃)は300K(約27℃)の2倍の温度と言うことができる。
順序尺度 ⭐⭐⭐
統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字の大小が順番や順位を表すようなもの。大小や高低、前後の比較はできるが、値の差や比には意味がない。
統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。
順序尺度は名義尺度に次いで2番目に低い水準の尺度で、数字の大小で順序を表すことができる。大きさを比較したり順位を付けることができるが、値同士の差や他の値との比、割合などには意味がなく、値の計算を行うこともできない。統計量としては度数や最頻値に加え、中央値や四分位数、パーセンタイルなどが使用できる。
例としては、競技の順位、成績やアンケートなどの段階評価、検定制度の段位や級、自動車保険の等級、がんのステージ、国際原子力事象評価尺度などが該当する。「将棋8段は4段より強い」とは言えるが、「2倍強い」といった比較はできない。
間隔尺度 ⭐⭐⭐
統計などで用いられる数値データの尺度のうち、数字の大小が順序を表すと共に、2つの値の差の大きさに意味があるもの。値の比には意味がない。
統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。
間隔尺度は比例尺度についで2番目に高い水準の尺度で、数字の間隔が量の大きさを表すような尺度である。値の差が等しければ同じ間隔が空いていることを意味するが、「0」で表される点は量が0になる原点ではなく便宜上置いたものである。値自体の比には意味がないが、値の差同士の比には意味がある。統計量としては最頻値や中央値、パーセンタイルなどに加え、平均値(相加平均)や標準偏差、相関係数なども使うことができる。
例としては、温度の摂氏(℃)や華氏、西暦や元号で表した年、日付などがある。15℃が20℃になるのと20℃が30℃になるのでは2倍の温度上昇が生じたと言うことができるが、15℃が30℃になったのを温度が2倍に上昇したと言うことはできない。
名義尺度 ⭐⭐⭐
統計などで用いられる数値データの尺度のうち、対象や状態を区別するためだけに(便宜上の)数字を割り当てたもの。値は順番や順位を意味せず、値の差や比にも意味はない。
統計的な変数やその値を、情報の性質に基づいて分類したものを「尺度水準」という。1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズ(Stanley S. Stevens)が提唱した、「名義尺度」「順序尺度」「間隔尺度」「比例尺度」の4段階に分類する考え方が広く普及している。
名義尺度は最も低い水準の尺度で、数字は対象や状態を識別する名前の役割しか果たさず、量的な意味合いを一切もたない。値が同じか異なるかを見分けるためだけに使用することができ、順序、間隔、大きさ、比率などを表すことはできず、値の計算にも意味がない。統計量としては各値の度数や出現頻度、最頻値などを求めることはできる。
例としては、電話番号や郵便番号、学籍番号、背番号、国際電話の国番号、総務省の都道府県コードなどがある。例えば、都道府県コードで「10」が群馬県、「20」が長野県だが、群馬県が何かで10位であるとか、長野県の何かが群馬県の2倍であるといった意味はない。
インデックス ⭐
索引、見出し、添字、指数などの意味を持つ英単語。ITの分野では、書籍の巻末の索引のように、多数のものの中から特定の対象をすばやく見つけ出すため識別情報や、整列された所在情報の一覧などを指すことが多い。
プログラミングなどの分野では、同種の複数のものが並んでいるときに、個々の要素を区別するために付けられた通し番号などの識別情報をインデックスという。配列の要素を指し示す添字などが該当する。
データベースやファイルシステム、検索エンジンなどでは、収集・格納された大量のデータをすばやく検索・抽出するために作成された索引データをインデックスという。データ本体を端から順に探すよりも圧倒的に短い手順で目的のデータを探し出せる。
具体的には、見出しとなる識別符号と、データ本体のある所在情報などを対応付け、整列・分類などを行ったあと木構造やハッシュテーブルなど検索に適したデータ構造に格納したものを指すことが多い。
ビッグデータ ⭐⭐⭐
従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群。単にデータ量が多いというだけでなく、多様な形式や情報源を含む、日々大量に蓄積されていくといった特徴を備えるものを指すことが多い。
企業や官公庁などが記録・管理する極めて規模の大きいデータの集積を指す。多くの場合、量が多いだけでなく、様々な種類・形式が含まれる非構造化データ・非定型的データであり、さらに、日々膨大に生成・記録される時系列性・リアルタイム性のあるようなものを指す。厳密な定義があるわけではなく、企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語として多用されている。
今までは管理しきれないため見過ごされてきたそのようなデータ群を記録・保管して即座に解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、これまでにないような新たな仕組みやシステムを産み出す可能性が高まるとされている。
米大手IT調査会社ガートナー(Gartner)社では、ビッグデータを特徴づける要素として、データの大きさ(Volume)、入出力や処理の速度(Verocity)、データの種類や情報源の多様性(Variety)を挙げ、これら3つの「V」のいずれか、あるいは複数が極めて高いものがビッグデータであるとしている。これに価値(Value)や正確性(Veracity)を加える提案もある。
コンピュータやソフトウェアの技術の進歩は速く、具体的にどのような量や速度、多様さであればビッグデータと言えるかは時代により異なる。ビッグデータという用語がビジネスの文脈で広まった2010年代前半にはデータ量が数テラバイト程度のものも含まれたが、2010年代後半になるとペタバイト(1000テラバイト)級やそれ以上のものがこのように呼ばれることが多い。
近年ではスマートフォンやSNS、電子決済、オンライン通販の浸透により人間が日々の活動で生み出す情報のデータ化が進み、また、IoT(Internet of Things)やM2M、機器の制御の自動化などの進展により人工物から収集されるデータも爆発的に増大している。
また、人工知能(AI)の構築・運用手法として、膨大なデータから規則性やルールなどを見出し、予測や推論、分類、人間の作業の自動化などを行う機械学習(ML:Machine Learning)、中でも、多階層のニューラルネットワークで機械学習を行う深層学習(ディープラーニング)と呼ばれる手法が台頭している。
このような背景から、膨大なデータを的確、効率的に扱う技術上の要請はますます高まっており、統計やデータ分析、大容量データを扱う手法やアルゴリズムなどに精通した「データサイエンティスト」(data scientist)と呼ばれる専門職の育成が急務とされている。
四分位数 ⭐
数値データの集合を小さい順に並べ、同じ数ずつ4等分したときに、区切りとなる3つの値。下から1/4、1/2(中央)、3/4(上から1/4)の位置にある値である。
データを小さい順(昇順)に並べ、同じ個数ずつ4等分する。最も小さい側から1/4となる位置にある数を「第1四分位数」、ちょうど半分の位置にある数を「第2四分位数」、小さい側から3/4の位置にある数を「第3四分位数」という。第2四分位数は中央値に等しくなる。
下から何パーセントの位置にある値かを表す表現である「パーセンタイル」(percentile)を用いると、第1四分位数は「25パーセンタイル」、第2四分位数は「50パーセンタイル」、第3四分位数は「75パーセンタイル」に相当する。
第3四分位数から第1四分位数を引いた値を「四分位範囲」(quartile range)という。この値が小さいほど中心付近にデータが集中し、上位側と下位側のデータが少ないことを表している。四分位範囲の値の半分を「四分位偏差」(quartile deviation)と呼び、散らばり具合の指標としてこちらを用いる場合もある。
クロス集計 ⭐⭐
複数の項目からなるデータの集合があるときに、そのうちの2つ(ないし3つ)の項目を組み合わせて2次元の表の形で集計すること。項目間の関係や相関、傾向などを見やすくまとめることができる。
2つの項目でクロス集計する場合、一方の項目を縦軸、もう一方を横軸として、それぞれについて選択肢を並べる。各マス目には、縦軸と横軸の選択肢を同時に満たすデータを数えて集計値として書き入れていく。
例えば、「性別」「喫煙」の2項目のアンケートがあるとき、単純集計では「喫煙○」と「喫煙×」の数を集計するが、クロス集計表では縦軸を「男性」「女性」、横軸を「喫煙○」「喫煙×」として4つの値を集計する。
さらに、飲酒についても同時に尋ね、縦軸を「男性・飲酒○」「男性・飲酒×」「女性・飲酒○」「女性・飲酒×」の4つに分解し、3項目について同時に集計することを「多重クロス集計」という。
代表的な表計算ソフトのMicrosoft Excel(マイクロソフト・エクセル)では、ロス集計機能のことを「ピボットテーブル」(pivot table)、これをグラフ化する機能を「ピボットグラフ」(pivot chart)という。
相関関係 ⭐⭐⭐
2つの事象に関わりがあり、一方が変化するともう一方も変化するような関係のこと。特に、何らかの規則性に基づいて双方の変化が連動しているような関係を指す。
「冬の気温と桜の開花日」や「親の身長と子の身長」のように、傾向として片方が増えるともう片方も増える、あるいは逆に片方が増えるともう片方は減るといった関係性が見られるとき、両者の間に「相関がある」あるいは、両者は「相関関係にある」という。
一方、片方が原因となってもう一方の変化が引き起こされる関係性を「因果関係」という。相関関係は因果関係を含む概念で、因果があれば必ず相関もあるが、相関があるからといって必ずしも因果もあるとは限らない。
統計学では2つのデータ系列の分布について、一方の値が高ければ高いほどもう一方の値も高くなる(同じ方向に連動する)関係を「正の相関」、一方の値が高ければ高いほどもう一方の値は低くなる(逆方向に連動する)という関係を「負の相関」という。
2つのデータ系列の間にどの程度強い相関が見られるかは「相関係数」という値で表すことができる。これは両者が線形相関(1次関数で書き表せる直線的な関係)にどの程度近いかを表す係数で、「1」ならば完全な正の相関、「0」ならば相関なし、「-1」ならば完全な負の相関があることを表す。
因果関係 ⭐
2つの事象が原因と結果の関係になっていること。一方の事象に起因して、ある特定の機序によってもう一方の事象が生起されるような関係。
「降水量が増えると川が増水する」といったように、ある事象が別の事象の原因となっているような関係である。「降水量の増大」と「川の増水」の間には「降った雨水が川に流れ込む」という機序が存在する。
一方、2つの事象の変化の間に「一方が変化するともう一方も変化する」という傾向が存在する場合、これを「相関関係」あるいは略して「相関」という。相関は因果を含む概念で、因果関係にある事象間には必ず相関もある。逆に、相関があるからと言って両者に因果があるとは限らない。
例えば、河川敷の湿度と川の水位の変化に相関が見られたとして、「湿度上昇によって水位上昇が引き起こされた」あるいは「水位上昇によって湿度上昇が引き起こされた」とは言えない。両者は共に「降水」という共通の原因の結果に過ぎないからである。このように両方に影響する外部の要因を「交絡因子」という。
正の相関 ⭐
相関関係の一種で、2つのデータ系列の間に、片方が増えるともう片方も増えるという関係があること。
2つの事象に関わりがあり、片方が変化するともう片方も変化する関係を「相関」という。正の相関は片方が増えるともう片方も増える、片方が減るともう片方も減るという同じ方向に変化する関係を指す。2つの系列を散布図で表すと右肩上がりの分布になる。
一方、片方が増えるともう片方は減るといったように、互いに逆方向へ変化する関係を「負の相関」という。散布図では右肩下がりの分布が現れる。正の相関も負の相関も見られず、変化の傾向になんの類似性も無い場合は「相関なし」となる。
2つのデータ系列の間にどの程度強い相関が見られるかは「相関係数」という値で表すことができる。これは両者が線形相関(1次関数で書き表せる直線的な関係)にどの程度近いかを表す係数で、「1」ならば「完全な正の相関」、「0」ならば相関なし、「-1」ならば「完全な負の相関」があることを示す。相関係数が0.2~0.4程度の関係を「弱い正の相関」、0.7~0.9程度の関係を「強い正の相関」と呼ぶことがある。
負の相関 ⭐
相関関係の一種で、2つのデータ系列の間に、片方が増えるともう片方は減るという関係があること。
2つの事象に関わりがあり、片方が変化するともう片方も変化する関係を「相関」という。負の相関は相関のうち、片方が増えるともう片方は減るといったように、双方が互いに逆の方向に変化するような関係を指す。2つの系列を散布図で表すと右肩下がりの分布になる。
一方、片方が増えるともう片方も増えるといったように、互いに同じ方向へ変化する関係を「正の相関」という。散布図では右肩上がりの分布が現れる。負の相関も正の相関も見られず、変化の傾向になんの類似性も無い場合は「相関なし」となる。
2つのデータ系列の間にどの程度強い相関が見られるかは「相関係数」という値で表すことができる。これは両者が線形相関(1次関数で書き表せる直線的な関係)にどの程度近いかを表す係数で、「1」ならば「完全な正の相関」、「0」ならば相関なし、「-1」ならば「完全な負の相関」があることを示す。相関係数が-0.2~-0.4程度の関係を「弱い負の相関」、-0.7~-0.9程度の関係を「強い負の相関」と呼ぶことがある。
相関係数 ⭐⭐
2つのデータ系列どの程度強く連動しているかを表す値。-1から1の間の実数で表され、両者の値の変化が正比例の関係に近いほど絶対値が大きくなり、まったく連動していなければ0に近い値となる。
2つの事象に関わりがあり、一方が変化するともう一方も変化するような関係を「相関」という。一方が増えるともう一方が増える関係を「正の相関」、一方が増えるともう一方は減る関係を「負の相関」という。
相関係数は同じ数の2つのデータ系列から算出される統計量の一つで、-1から1の間の実数を取る。値が0ならば両者に相関はなく、1なら完全な正の相関、-1なら完全な負の相関がある。1または-1のときは両者の関係を という形の一次関数として記述することができる。
相関係数は、同数のデータ系列 と から算出した共分散 とそれぞれの標準偏差 および を用いて として求められる。これは平均 と を用いて下記の式のように表される。
<$Fig:correlation-coefficient|center|false>交絡因子
2つの事象の間に相関関係が見られるとき、その両方に相関する外部の別の因子のこと。その因子を介して両者の間に生じる見かけ上の相関を「擬似相関」という。
2つの事象AとBの傾向に相関が認められる場合、両者に因果関係があり、原因Aによって結果Bが生じている、あるいはその逆であることが疑われる。しかし、AにもBにも影響する共通の別の要因Xが存在する場合がある。このXを交絡因子という。
統計モデルにおける変数としては「交絡変数」あるいは「潜伏変数」と呼び、そのような因子が存在する状況を「交絡」という。また、XがAとBの共通の原因であり、Xを介してAとBが相関している状態を「擬似相関」という。
例えば、月ごとのリップクリームの売上と火災の発生件数に強い相関が認められたとして、リップクリームが火災の原因になったり、火災がリップクリーム購入の動機になっているのかというと、そうではなく、「季節による湿度の変動」という共通の原因によって両者に同じ傾向の変動が起こっている。このとき「湿度」が交絡因子であり、リップクリームと火災は互いに因果関係にない擬似相関となっている。
回帰分析 ⭐
何かの結果を表す数値があるとき、原因と考えられる数値がどのような形で影響を与えているのか規則性を明らかにすること。因果関係の推定や事象の予測、シミュレーションなどのためによく行われる。
調査などで得られた様々な数値の組み合わせのうち、着目している数値(従属変数)が、他の数値(説明変数)からどのように影響を受けているかを関数の形で明らかにする。説明変数が一つの場合を「単回帰分析」、複数の場合を「重回帰分析」という。
例えば、ある飲食店のビールの売上(y)とその日の最高気温(x)についての記録を単回帰分析したところ、y=ax+c という1次関数の形で表されたとする。この関係が分かれば、天気予報を元に仕入れ量を調整することができる。降水量(z)との関係も合わせて重回帰分析することで、y=ax+bz+c という関係が明らかになれば、より精度の高い予測が可能となる。
この例では説明変数と従属変数が直線的な比例関係で表されることを仮定しており、これを「線形回帰」あるいは「直線回帰」という。物事の関係性は単純な比例関係で表されるとは限らず、x2 のような高次の項を含む多項式、指数関数、対数関数、三角関数などが含まれる場合がある。これを「非線形回帰」という。
統計値などから回帰分析を行う場合、各標本は誤差を含んで一定の範囲にばらついているため、数値計算を繰り返して関数のパラメータ(係数)を推定する。代表的な手法として「最小二乗法」がよく知られ、回帰式から得られる値と各標本の実際の値の誤差を二乗して足し合わせた値が最小になるよう係数を決定する。
単回帰分析
2つのデータ系列の間に原因と結果という関係があると考えられるとき、原因のデータから結果のデータを導き出す規則性を明らかにすること。
調査や測定などで2つの変数の関係について得られたデータを元に、結果と考えられる変数(目的変数)が原因と考えられる変数(説明変数)からどのような影響を受けているかを関数(数式)の形で明らかにする。なお、説明変数が複数ある場合の回帰分析は「重回帰分析」という。
例えば、ある飲食店のビールの売上(y)とその日の最高気温(x)についての記録を単回帰分析したところ、定数a、bを用いて という1次関数の形で表されたとする。この関係が分かれば、天気予報を元に仕入れ量を調整することができる。
この例では説明変数と目的変数が1次関数で表される直線的な比例関係にあることを仮定しており、これを「線形回帰」あるいは「直線回帰」という。物事の関係性は比例関係で表されるとは限らず、 のような高次の項を含む多項式、指数関数、対数関数、三角関数などが含まれる場合がある。このような正比例以外の関係を含む回帰を総称して「非線形回帰」という。
統計値などから単回帰分析を行う場合、各標本は誤差を含んで一定の範囲にばらついているため、数値計算を繰り返して関数のパラメータ(係数)を推定する。代表的な手法として「最小二乗法」がよく知られ、回帰式から得られる値と各標本の実際の値の誤差を二乗して足し合わせた値が最小になるよう係数を決定する。
回帰直線 ⭐
2つのデータ系列を描画した散布図で、分布の傾向に最もよく当てはまるように引いた直線のこと。2つの系列の関係を一次関数として近似している。
測定値などの分布に基づいて、2つの変数の関係を という一次関数で近似することを単回帰分析という。 を説明変数、 を目的変数と呼び、 の値から未知の を予測・推測できるようになる。
2つの変数の関係について、横軸を説明変数、縦軸を目的変数とする散布図で表したときに、分布の様子を直線で近似したものを回帰直線という。回帰分析で求めた一次関数(回帰式)をグラフ上に描画したものである。先の方程式の は直線の傾きを、 はy切片を表している。
回帰直線は実際のデータを表す各点との距離がなるべく小さくなることが望ましい。この条件を満たすため、一般的には「最小二乗法」という計算法で係数 と の値を決定する。説明変数 において、実測された目的変数は 、回帰式から求めた予測値は となる。
両者の差である を2乗し、各点について合計したものを残差平方和という。これが最小になるときの および を算出すると、 と の平均 と 、標準偏差 と 、相関係数 を用いて、 、 として表すことができる。
最小二乗法 ⭐
調査や測定から得られたデータ系列を関数でモデル化する際、関数による理論値と実際の値の誤差の2乗の和が最小となるように関数の係数を決定する手法。
2つのデータ系列 があるとき、両者の関係をモデル関数 で表したいとする。最小二乗法は を構成する係数を決定する手法である。
におけるモデル関数の値は である一方、実際の値は であるため、両者の誤差(残差という)は となる。これは他の についても同様である。この残差が全体でなるべく小さくなるようにするため、最小二乗法では各点の残差の2乗をすべて足し合わせ(残差平方和)、理論値と実測値の誤差の分散の推定値を求める。得られた合計値 はモデル関数の係数を変数とする関数の形となるため、これを代数的に解いて各係数の値を決定していく。
具体的な解き方はモデル関数に選択した関数の種類によって異なるが、最も単純に直線的な関係を想定して一次関数 で表した場合、 と の平均 と 、標準偏差 と 、相関係数 を用いて、 、 として表すことができる。
テキストマイニング ⭐⭐⭐
定型化されていない文字情報(テキストデータ)の集まりを自然言語解析などの手法を用いて解析し、何らかの未知の有用な知見を見つけ出すこと。
「データマイニング」(data mining)の手法を非定型のテキストデータに応用したもので、自然言語の文の蓄積として集められたデータを分析し、鉱山から鉱石などを掘り出す(mining)ように、業務や製品に役立つ情報を探し出す。
目的や具体的な技術は様々だが、多くの場合、文章に形態素解析を行ってテキストを単語やフレーズに分解し、特定の表現の出現頻度やその増減、複数の表現の関連性や時系列の変化などを調べる。
これにより、知られていなかった問題点を見出したり、様々な要素や要因の間の結びつきを可視化したり(共起ネットワーク分析)、顧客や消費者の評判(肯定的か否定的か)や時系列の推移を把握したりする(センチメント分析)ことができる。
対象となるデータの例として、アンケートや報告書などに含まれる自由記述の文章、電子掲示板(BBS)やSNSの書き込み、ニュース記事、OCRでスキャンしてテキストデータ化した過去の書籍、雑誌、新聞の記事などが挙げられる。
円グラフ ⭐
数値データを図示するグラフの一つで、円の中を大小の扇形に区切って各項目に対応付け、扇の面積によって各項目の大きさを表すもの。各項目の全体に占める割合を一目で比較できる。
円全体が全項目の値の和(100%)に相当し、各項目を全体に占める割合に従って扇形で示す。時計でいう0時方向から時計回りに配置するのが一般的である。あまりに構成比の小さな項目は細すぎて見にくいため、最下位の位置に「その他」としてまとめる。
各項目が独立している場合は大きい順に並べるのが原則だが、項目間にグループ関係や何らかの順序性がある場合にはそちらに従って配置することがある。例えば、アンケートの回答が「とてもそう思う」「そう思う」「どちらとも言えない」「そう思わない」「まったくそう思わない」であれば、構成比に関わらずこの順に並べる。議会の勢力図であれば、右側に与党系、左側に野党系、中央に独立系とすると分かりやすい。
英語では切り分けたパイになぞらえて “pie chart” (パイチャート)と呼ぶことが多い。バリエーションとして、中心を空けて表題などを書き入れた「ドーナツグラフ」、複数の系列や各項目の内訳などを同心円状に重ねる「二重円グラフ」などがある。ソフトウェアによっては厚みのある円盤状の「3D円グラフ」を描画する機能もあるが、3D化すると扇の面積比が歪むため好ましくないとする考え方もある。
棒グラフ ⭐
数値データを図示するグラフの一つで、各項目の大きさに対応する長さの棒を縦または横に並べたもの。片方の端の位置が揃っており、棒の長さで各項目の大きさを一目で比較できる。
同じ幅の細長い棒(長方形)を並べた図で、棒の長さが各項目の大きさを表している。垂直に伸びる棒を横に並べた「縦棒グラフ」と、水平に伸びる棒を縦に並べた「横棒グラフ」がある。縦棒の場合は下端を、横棒の場合は左端を揃えて並べる。
項目の並び順は図で示したい内容に応じて決められるが、左端や上端から値の大きい順に並べる場合や、年齢のように項目の順序や大きさに従って並べる場合がある。項目が時系列の場合は過去から順に並べることが多い。
バリエーションとして、棒を区切って内訳を示す「積み上げ棒グラフ」、棒の長さを揃えて内訳の比率の比較や変化を示す「100%積み上げ棒グラフ」、一つの項目に複数の細い棒を並べて時系列の変化などを表す「集合棒グラフ」などがある。折れ線グラフなどと組み合わせて複合グラフとする場合もある。ソフトウェアによっては棒の並びを3次元的に描画する「3D棒グラフ」の機能が利用できる場合もあるが、3D化すると棒の長さの比が歪むため好ましくないとする考え方もある。
折れ線グラフ ⭐
数値データを図示するグラフの一つで、各項目を点で表し、隣接する項目同士を線分で結んで推移を折れ線で表したもの。時系列の変化などを表すのに適している。
縦軸に量、横軸に時間を取り、各時点における量の大きさを点で示す。隣接する点同士を端から順に線分で繋いでいくことで、すべての点を一つの折れ線で結びつける。線分が右上がりの箇所は増加、右下がりの箇所は減少を表し、折れ線の上下で量の時系列の変化を視覚的に把握することができる。
同じグラフに複数の異なる系列を表す折れ線を重ねて描画したり、折れ線グラフと棒グラフを重ねて描画することもあり、複数の項目の変化を直感的に把握することができる。複数の系列を重ねる場合は実線と折れ線、破線を使い分けたり、線を色分けしたり、点を表す図形(●▲■など)を変えるなどして見分けやすいようにする。
散布図 ⭐⭐⭐
一つのデータが複数の量や特性の組として表される場合に、二つの値の間の関係を明らかにするために作成される図。縦軸と横軸にそれぞれ別の特性を割り当て、各データについて対応する位置に点を打って作図する。
点の分布する様子を見て、データを構成する二つの量の間に関連があるか、どのような関連があるかを知ることができる。例えば、点が右上がりの帯状に分布していれば正の相関があると分かり、(左上から)右下がりなら負の相関があると分かる。まんべんなく散らばっていれば相関が薄いか無さそうであると考えられる。
全体の傾向から大きく外れた特異点(外れ値)がどこにあるかも容易に知ることができ、これを除外して計算を行ったり、外れた理由を詳しく調べたりすることもある。また、全体に当てはまる傾向を調べるだけでなく、点の集まり具合から二つの量の関係が同じ傾向を示している項目群をグループ分け(グルーピング)するといった使い方をする場合もある。
箱ひげ図 ⭐⭐
数値データを図示するグラフの一つで、長方形の上下に線分を付け加えた図形で一つのデータ系列の分布を要約するもの。複数の系列の傾向を一目で比較することができる。
箱の上下の線分を「ひげ」になぞらえた名称である。縦軸に量を取り、横軸方向に系列を箱ひげとして並べていく。各箱ひげは、上のひげの上端が分布の最大値、箱の上端が第3四分位数、箱の中に引かれた仕切り線が第2四分位数(中央値)、箱の下端が第1四分位数、下のひげの下端が最小値となっている。最大値や最小値は外れ値の場合もあるため、ひげの端は最大・最小から1~10%程度の位置にある値を用いる場合もある。
一つの箱ひげで一つのデータ系列の分布を直感的に把握することができる。これを系列の数だけ横に並べていくことで、系列間の分布の違いを視覚的に比較することができる。複数の異なる対象の分布を比べるために作成する場合もあれば、同じ対象の時系列の分布の変化を知るために作成することもある。
レーダーチャート
グラフの種類の一つで、複数の項目の大きさを中心点からの距離で表したもの。各項目の大きさを同じ尺度で一覧し、項目間のバランスや全体的な傾向を図形の形状や大小で把握できる。
各項目の軸を図の中心を原点として放射状に伸ばし、それぞれの軸上に各項目の値をプロットする。隣接する項目同士を線分で結んでできた多角形が、対象の各項目の傾向を表している。
突出して高い項目や低い項目があると対応する角に大きな凹凸ができ、多角形のいびつさでバランスの良し悪しを視覚的に表現できる。また、値が全体的に高ければ多角形の面積が広く、低ければ狭くなる。
各軸は隣の軸となす角度がすべて等しくなるように配置し、最大値同士を線で結ぶと正多角形になる。途中の目盛りを結んだ線はクモの巣のような形になるため、「クモの巣グラフ」(spider chart)とも呼ばれる。
ヒストグラム ⭐⭐⭐
データの分布を表す統計図の一つで、縦軸に値の数(度数)、横軸に値の範囲(階級)を取り、各階級に含まれる度数を棒グラフにして並べたもの。どの範囲の値が多く、どの範囲が少ないかを視覚的に表現できる。
値の出現頻度の高い階級は高い棒で、低い階級は低い棒で図示されるため、出現頻度の高低やバラつき具合を視覚的に容易に把握できる。各階級の度数を示す棒のことを「ビン」(bin)と呼ぶことがある。
すべてのビンの面積の総和が全体の度数を表しており、各ビンの面積は全体に占めるその階級の度数の割合を視覚的に表現したものとなっている。同じデータ群でも階級の幅の取り方次第でビンの形状や分布は異なるが、どのような基準で区分すべきかについて様々な方法論が提唱されている。
また、手前のすべての区間の度数を足し合わせた累計値をその区間の度数とし、これを右肩上がりの棒グラフの列で示したものを「累積ヒストグラム」(cumulative histogram/累積度数図)という。端からどの区間までが重要かを見極める場合などに利用される。
バブルチャート
一つのデータが複数の量や特性の組として表される場合に、3つの値の間の関係を明らかにするために作成される図。散布図の点を円に変え、円の大きさで3つ目の値の大きさを表現したもの。
縦軸と横軸にそれぞれ別の特性を割り当て、各データについて対応する位置に点を打った図を「散布図」(scatter diagram)という。バブルチャートはこの点を広がりを持つ円にして、円の大きさ(直径あるいは面積)が3つ目の特性の大きさを表すようにする。
平面上の円の分布、円の大きさの変化と位置の関係により3つの特性の間の関係が明らかになり、いずれかの特性の組み合わせに相関があるかを調べたり、これらの特性で表される現在の状態の把握や分析などを行うことができる。
「バブル」(bubble)とは「泡」のことで、多数の円が散らばっている様子を泡になぞらえた名称である。一つひとつの円のことをバブルと呼ぶこともある。第4の特性として円をグループごとに色分けすることで、グループ間の傾向の違いなどを比較することもできる。
スプレッドシート
データが並んだ表を作成・編集することができるアプリケーションソフト。表中の項目間で集計や解析を行ったり、グラフに表したりすることができる。
縦横に並んだマス目(セル)の広がる表を用い、各セルにデータや計算ルールなどを入力・設定していくと、ソフトウェアが自動的に計算や処理を実行し、所定の位置に計算結果を代入したり、グラフを描画したりしてくれる。
このマス目の並んだ表のことを「スプレッドシート」(spreadsheet)あるいは「ワークシート」(worksheet)と呼び、一つのファイルに複数のシートを収めることができる。表計算ソフト自体を指してスプレッドシートと呼ぶこともある。
計算ルールには特定範囲の合計や平均を算出するといった単純なものから、数学的な関数や統計関数、財務関数などが利用できる。数値を扱う関数以外にも、日付や時刻を扱う関数、論理式を扱う関数、文字列を操作する関数、特定の条件を満たす値を数え上げる関数など、様々な種類がある。
表に貼り付けるように矩形の領域を設けて内部にグラフを描画する機能があり、特定の範囲のデータを対象にして折れ線グラフや棒グラフ、円グラフ、散布図などを描くことができる。セルの内容を変更すると、追随してすぐにグラフに反映されるようになっている。
行や列の幅や高さを変更したり、先頭のセルに項目名を記載したり、表やセルに枠線や背景色、文字書式、表示形式などを設定して見栄えを整える機能もあり、ファイルとして配布して入力フォームに利用したり、そのまま印刷して資料や帳票などとして用いる場合もある。
製品
パソコン向けの表計算ソフトとしては、米マイクロソフト(Microsoft社)のオフィスソフト「Microsoft Office」の一部として提供される「Microsoft Excel」(マイクロソフト・エクセル)が世界的に最も有名でシェアが高く、「Excel」を表計算ソフトの代名詞のように扱うこともある。
他にも、米アップル(Apple)社の「Numbers」や、オープンソースのLibreOfficeやApache OpenOfficeに含まれる「Calc」などが知られる。米グーグル(Google)社の「Google Sheets」(日本名は「Googleスプレッドシート」)のようにWebブラウザで操作できるネットサービスもある。
行 ⭐
文字が縦あるいは横に一直線上に連なったもの。また、表や数学の行列のように縦横に整然と複数の要素が並んでいるときに、横方向・水平方向の並びのこと。
長い文章を紙面などに記すときに、文字を読み進める方向(縦書きの場合は縦、横書きの場合は横)に並んだ文字の連なりの一本一本のことを行(line)という。
一文が紙幅や画面の表示範囲の幅を超える場合、行の終わりの文字の続きを次行の先頭から開始する「折り返し」が行われる。段落の末尾などでは、行の途中で終わった文の右側を空白とし、次の文を次行の冒頭から始める「改行」が行われる。
表や行列の行
ソフトウェアの表示・操作画面で、碁盤目状の表の形で項目を整理する場合、横方向に並んだ項目の連なりを「行」(row)、縦方向の連なりのことを「列」(column)、という。
リレーショナルデータベース(RDB:Relational Database)では、一件のデータを複数の属性(attribute)の値の組(tuple/タプル)として表現するが、この一組のデータ群を行(row)あるいはレコード(record)という。各行の同じ属性の要素を集めた集合のことは列(column)という。表の形で表したときに要素の組を横方向に、同じ属性の要素を縦方向に並べるためこのように呼ばれる。
列 ⭐
同種の複数のものを規則正しく順番に並べたもの。また、表のように縦横に整然と複数の要素が並んでいるときに、縦方向や垂直方向の並びのこと。
表における行と列
ソフトウェアの操作画面やWebページなどで、データなどを表の形でまとめる場合に、縦方向に並んだ項目の連なりのことを「列」(column)、横方向の連なりを「行」(row)という。HTMLのtable要素では、各行のtr要素で同じ位置にあるtd要素やth要素が列を構成する。colgroup要素とcol要素で共通の属性やスタイルを指定することができる。
データベースにおける行と列
リレーショナルデータベース(RDB:Relational Database)では、一件のデータを複数の属性(attribute)の値の組(tuple:タプル)として表現するが、この属性のことや、表内のある属性の集合のことを列(column:カラム、コラム)と呼ぶことがある。
データの集合を表(table:テーブル)の形で表した時に、データの組を縦に並べて表示するが一般的であることからこのように呼ばれる。同様に、表であらわすと横の並びになる一件のデータの組のことを行(row)と呼ぶ。
データ列
プログラミングやデータ形式、データ通信などの分野では、ある同じ種類の複数のデータが順番に並んだ構造のデータを「数値列」「文字列」「ビット列」「バイト列」のように呼ぶことがある。
これは表の縦の並びの意味ではなく、日常生活で窓口に並んだ人の列のように「順に並べたもの」の意味である。英語では文字列などを “string” (ストリング)、配列などを “array” (アレイ)、終わりの決まっていない連続的なデータの流れを “stream” (ストリーム)という。
相対参照 ⭐
表計算ソフトでセルを指定する方式の一つで、セルからの相対的な位置関係を指定するもの。他のセルに内容をコピーすると、コピー先のセルの位置に応じて指し示す先が変化する。
代表的な表計算ソフトであるMicrosoft Excelでは、セル内の関数や計算式などで「A1」のように列番号と行番号を指定すると、記述したセルからの相対的な位置の指定とみなされる。参照元となるセルの値を他のセルにコピーすると、参照先となるセルの位置も、コピー元とコピー先の位置関係に応じて変化する。
例えば、「A1」という記述を右隣のセルに複製すると「A2」、下隣に複製すると「B1」というように自動的に書き換わる。一方、ワークシート内での絶対的な位置を指定する方式もあり、「絶対参照」(absolute reference)という。「$A1」「A$1」のように列のみ、あるいは行のみを相対参照とし、もう片方を絶対参照とすることもできる。
絶対参照 ⭐⭐
表計算ソフトでセルを指定する方法の一つで、ワークシート内の絶対位置を指定するもの。どのセルからでも同じ表記で特定のセルを指し示すことができる。
代表的な表計算ソフトのMicrosoft Excelでは、セル内の関数や計算式などで「$A$1」のように「$」(ドル記号)に続けて列番号(アルファベット)や行番号を記述すると、絶対参照となる。他のソフトウェアでもこれにならって同じ記法を採用しているものがある。
絶対参照では参照先となるセルの位置は固定されており、参照元となるセルの値を他のセルにコピーしても、常に参照先となるセルの位置は同じである。一方、そのセルからの相対位置でセルを指し示す方式もあり「相対参照」(relative reference)という。「$A1」「A$1」のように列のみ、あるいは行のみを絶対参照とし、もう片方を相対参照とすることもできる。
オートフィル ⭐
表計算ソフトなどの機能の一つで、規則性のある入力値を、選択した範囲に連続して自動的に当てはめてくれる機能。
表中のある項目(セル)に特定の値を入力して選択状態にし、そのままマウスなどのドラッグ操作で縦あるいは横に選択領域を広げていくと、新たに選択された項目に次々に連続した値が入力されていく。
例えば、1から1000までの整数を順に入力する時、一つ一つ手動で入力していくと大変だが、オートフィル機能を使うと、「1」「2」まで入力して両者をマウスで範囲選択し、端をドラッグしていくと、隣接する空白の領域に「3」「4」「5」…と次々に値を入力してくれる。
規則性はあらかじめ入力済みの項目からソフトウェア側が自動的に推定し、最初の値が「1,3,5」であれば「7,9,11…」のように埋めてくれる。数値だけでなく日付や曜日など順序性のあるデータを入力することができる。文字列など規則性が明らかでないデータの場合は既存の入力箇所のコピーを繰り返し行う(東京,大阪,名古屋→東京,大阪,名古屋,東京,大阪,名古屋…)動作となる。
AVERAGE関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、引数に指定した値の平均値を求めるもの。引数には複数の特定のセル、セルの範囲、値、他の関数の結果などを指定できる。
書式は「=AVERAGE(値1,値2,…)」で、列挙された値をすべて加算して値の個数で割った平均値(単純平均/算術平均)を返す。「AVERAGE(B1,C2)」のように特定のセルの値の平均を求めたり、「AVERAGE(B2,10)」のように値を直に指定することもできる。
「AVERAGE(B2:B10)」のように範囲指定すると、B2からB10までのすべてのセルの値の平均を求めてくれる。一般にはこの指定方法が最もよく用いられる。「AVERAGE(B1,C2:C5,20)」のように、これらの指定方法を任意の数だけ組み合わせてすべての値の平均を求めることもできる。
AVERAGE関数の対象とすることができるのは数値のみだが、論理値(TRUEは1、FALSEは0)や数値を表す文字列を含むデータの平均を求める「AVERAGEA関数」も用意されている。また、特定の条件を満たす値のみを対象に平均を求める関数として「AVERAGEIF関数」および「AVERAGEIFS関数」も用意されている。
CORREL関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、引数に指定した2つのデータ系列間の相関係数を求めるもの。相関が弱ければ0に近い値を、強ければ1または-1に近い値を返す。
2つのデータ列について、一方が上下するともう一方も同じように上下する関係を相関という。両者の動きが一致する度合いは「相関係数」によって表すことができ、0ならば両者の動きにまったく相関が無いことを、1ならば完全な正の相関(正比例)、-1ならば完全な負の相関があることを表す。
CORREL関数はワークシート上の2系列のセルの並びについて、その相関係数を算出する。「=CORREL(B2:B9,C2:C9)」のように同じ個数のセルの系列を指定し、係数を0から1の間の実数で返す。セルに文字列や論理値など数値以外が書かれている場合は無視するが、セルの個数が異なる場合はエラーとなる。CORRELは “correlation” (相関)の略。
COUNTIF関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、指定の範囲の中から条件に一致するセルの個数を返すもの。特定の値に一致するセルや、特定の文字列を含むセルなどを数え上げることができる。
基本的な書式は「=COUNTIF(セルの範囲,条件)」で、指定範囲のセルの中から条件に一致するものを数え上げる。条件の記法はいくつかあり、「10」「"ABC"」のように単に値を記述すると、その値に一致するセルを数える。
文字列には「?」(任意の一文字)「*」(任意長の任意の文字列)といった任意の文字を表すワイルドカード文字を含めることができる。例えば、条件が「"?et"」であれば「set」「get」「let」などに一致し、「"*県"」であれば「秋田県」「鹿児島県」などに一致する。
条件に「B5」のようにセル参照を記述すると、そのセルの値に一致するセルの数を数える。「"<20"」のように先頭に不等号を付けることにより、「未満」(>)「より多い」(<)「以下」(>=)「以上」(<=)「以外」(<>)などの比較条件を指示できる。
MAX関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、引数に指定した値の最大値を求めるもの。引数には複数の特定のセル、セルの範囲、値、他の関数の結果などを指定できる。
書式は「=MAX(値1,値2,…)」で、列挙された値の中で最も大きい値を返す。「MAX(B1,C2)」のように特定のセルの値を列挙したり、「MAX(B2,10)」のように値を直に指定することもできる。「MAX(B2:B10)」のようにセルの範囲を指定すると、すべてのセルの値の中から最大値を求める。
選択範囲に数値が一つもなければ0を返す。MAX関数の対象とすることができるのは数値のみで、論理値や文字列、空白などは無視される。論理値をTRUEは1、FALSEは0として解釈したり、数値を表す文字列を数値として扱いたい場合は「MAXA関数」を用いる。最小値を求めるには「MIN関数」または「MINA関数」を用いる。
MEDIAN関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、引数に指定した値の中央値を求めるもの。引数には複数の特定のセル、セルの範囲、値、他の関数の結果などを指定できる。
書式は「=MEDIAN(値1,値2,…)」で、列挙された値を大きい順あるいは小さい順に並べた際に全体の半分の位置に来る値を返す。値が偶数個の場合は中央の2つの値の平均を返す。指定したセルに数値として解釈できる文字列がある場合は数値として扱われる。
「MEDIAN(B1,C2)」のように特定のセルの値の中央値を求めたり、「MEDIAN(B2,10)」のように値を直に指定することもできる。「MEDIAN(B2:B10)」のように範囲指定すると、B2からB10までのすべてのセルの値の中央値を求めてくれる。「MEDIAN(B1,C2:C5,20)」のように、これらの指定方法を任意の数だけ組み合わせてすべての値の中央値を求めることもできる。
複数のセルや値から代表値を求める関数は他にもあり、平均値(算術平均/相加平均)を求めるにはAVERAGE関数を、最頻値を求めるにはMODE関数を利用する。
MIN関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、引数に指定した値の最小値を求めるもの。引数には複数の特定のセル、セルの範囲、値、他の関数の結果などを指定できる。
書式は「=MIN(値1,値2,…)」で、列挙された値の中で最も小さい値を返す。「MIN(B1,C2)」のように特定のセルの値を列挙したり、「MIN(B2,10)」のように値を直に指定することもできる。「MIN(B2:B10)」のようにセルの範囲を指定すると、すべてのセルの値の中から最小値を求める。
選択範囲に数値が一つもなければ0を返す。MIN関数の対象とすることができるのは数値のみで、論理値や文字列、空白などは無視される。論理値をTRUEは1、FALSEは0として解釈したり、数値を表す文字列を数値として扱いたい場合は「MINA関数」を用いる。最大値を求めるには「MAX関数」または「MAXA関数」を用いる。
STDEV.P関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、指定のデータ群から標準偏差を求めるもの。データ群のばらつきの大きさを知ることができる。
標準偏差(SD:Standard Deviation)は統計における指標の一つで、データ群のばらつき具合を表す値である。小さいほど平均付近にデータが集まっていることを表し、大きければ平均から外れたデータがたくさんあることを表す。
STDEV.P関数は与えられたデータ群から標準偏差を求める関数で、基本的な書式は「=STDEV.P(値1,値2,…)」である。個別に値を指定する場合は255個まで記述できるが、通常は「=STDEV.P(B2:B101)」のように値が並んだセルの範囲を指定することが多い。
STDEV.P関数は与えられたデータ群を母集団全体とみなして、各値と平均値の差を二乗した値の和を求め、これをデータの数で割った平均のルートを取る(二乗平均平方根)。一方、データ群が母集団から抽出した標本である場合は、母集団の標準偏差の推定値を求める「STDEV関数」または「STDEV.S関数」を用いる。こちらは誤差の二乗の和を求めた後にデータ数より1少ない値(n-1)で割る。
SUM関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、引数に指定した値の合計を求めるもの。引数には特定のセル、セルの範囲、値、他の関数の結果などが指定できる。
書式は「=SUM(値1,値2,…)」で、列挙された値をすべて加算した値を返す。SUM(B1,C2)のように特定のセル同士の和を求めたり、SUM(B2,10)のように値を直に指定することができる。SUM(B2:B10)のように範囲指定すると、B2からB10までのすべてのセルの値を合計してくれる。SUM(B1,C2:C5,20)のようにこれらを組み合わせて三項以上を合計することもできる。
ワークシート上ではマウスなどで一行あるいは一列に並んだセルの範囲を指定し、上部のメニューの「Σ」アイコンを押すと右端あるいは下端のセルに選択範囲のセルの合計を求めるSUM関数が自動で記入される。この機能を「オートSUM」という(バージョンや表示設定によってはΣの脇に「オートSUM」と記載がある)。
VAR.P関数 ⭐
表計算ソフトの関数の一つで、指定のデータ群から分散を求めるもの。データのばらつきの大きさを知ることができる。
分散(variance)は統計における指標の一つで、データ群のばらつき具合を表す値である。小さいほど平均付近にデータが集まっていることを表し、大きければ平均から外れたデータがたくさんあることを表す。
VAR.P関数は与えられたデータ群から分散を求める関数で、基本的な書式は「=VAR.P(値1,値2,…)」である。個別に値を指定する場合は255個まで記述できるが、通常は「=VAR.P(B2:B101)」のように値が並んだセルの範囲を指定することが多い。
VAR.P関数は与えられたデータ群を母集団全体とみなして、各値と平均値の差を二乗した値の和を求め、これをデータの数で割った平均を求める(二乗平均)。一方、データ群が母集団から抽出した標本である場合は、母集団の分散の推定値を求める「VAR関数」または「VAR.S関数」を用いる。こちらは誤差の二乗の和を求めた後にデータ数より1少ない値(n-1)で割る。