高校「情報Ⅰ」単語帳 - 実教出版「最新情報Ⅰ」 - コンピュータの仕組み

ハードウェア ⭐⭐⭐

コンピュータ本体や内部の装置、周辺機器などの物理的な実体を伴う装置や機器、およびその部品、部材のこと。それ自体には形がないソフトウェアと対比される。

コンピュータの場合、処理装置や記憶装置、入出力装置、電子基板、ケーブル類、筐体などの部品や部材、およびその総体として物理的実体としてのコンピュータのことをハードウェアという。「ハード」と略されることも多く、「HW」「H/W」などの略号で示されることもある。

これに対し、コンピュータプログラムやデータなど、それ自体は物理的な実体を伴わない要素のことを「ソフトウェア」(software)と総称する。ソフトウェアの記録や伝送、表示や実行には必ず何らかのハードウェアが必要となる。

コンピュータ以外の分野でも、施設や設備、機器、部品、資材といった物理的実体をハードウェアと呼ぶことがあり、付随する非物理的な要素と対比する文脈で用いられる。例えば、劇場の建物や設備をハードウェア、そこで催される公演をソフトウェアと呼んだり、教育機関の校舎や備品をハードウェア、提供される教育プログラムをソフトウェアと呼んだりすることがある。

英語の “hardware” の原義は金物、金属製品という意味で、機械や生活用品などについて、木製のものなどと対比して金属製であることを表す言葉だった。現代では金属製かどうかはあまり重視されず、工具や冶具、装置、設備、資材、軍用装備品などを広く総称する言葉として用いられることが多い。

制御装置 ⭐⭐⭐

機械やシステムの構成要素のうち、主に他の要素の動作の制御などの機能を担うもの。コンピュータの場合はCPUの機能の一部として内蔵されている。

コンピュータの制御装置

コンピュータを構成する装置のうち、他の装置の制御を行うものを制御装置と呼ぶ。演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置と合わせてコンピュータの五大装置という。

現代のコンピュータではほとんどの場合、演算装置と共に中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)という装置の一部として実装される。また、CPUはマイクロプロセッサ(MPU:Micro-Processing Unit)と呼ばれる単一の半導体集積回路(ICチップ)の形で提供されている。

制御装置は演算装置やレジスタ(CPU内部の記憶回路)を操作して命令の実行制御を行ったり、メインメモリ(RAM)などの記憶装置とプロセッサ間のデータや命令の読み出しや書き込みの制御、外部の装置との信号の入出力制御などを行う。

初期のコンピュータの設計では演算装置とは独立・分離していたが、現代のプロセッサにおいては両者が統合されて一体的に設計されるため、両者の区別にはほとんど意味がなくなり、「実行ユニット」「プロセッサコア」のような用語で呼ばれることも多い。

ALU 【Arithmetic and Logic Unit】 ⭐⭐⭐

コンピュータを構成する基本的な装置の一つで、算術演算(四則演算)や論理演算などの計算を行う装置。現代のコンピュータでは制御装置とともにマイクロプロセッサ(CPU/MPU)などの論理回路の一部として実装されている。

加算器や論理演算器などの演算回路を持ち、整数の加減算、論理否定(NOT)、論理和(OR)、論理積(AND)、排他的論理和(XOR)などの基本的な演算を行うことができる。

これらの回路を組み合わせて、乗算や除算、余剰、実数(浮動小数点数)演算、否定論理和(NOR)、否定論理積(NAND)などの演算ができるようになっているものもある。

入力装置 【入力機器】 ⭐⭐⭐

コンピュータなどの機器本体にデータや情報、指示などを与えるための装置。一般的には人間が操作して入力を行う装置のことを指し、手指の動きや打鍵を電気信号に変換して伝達するキーボードやマウス、タッチパネルなどが該当する。

コンピュータの登場以前から、ボタンやレバー、ツマミ、ペダルなどの入力装置が機械の操作に用いられてきたが、情報機器ではこれらに加えてより複雑で汎用的な情報入力を実現するため、多数の操作要素や高度な機構を持つ装置が発明された。

例えば、文字が刻印された小さな鍵盤が敷き詰められたキーボード、手で位置や移動を入力するためのマウスなどのポインティングデバイス、画面表示と位置入力を兼用するタッチパネルなどが発達した。特殊なゴーグルなどを利用して視線の方向を検知し、画面上の位置を指示して入力する装置なども開発されている。

ビデオゲームでは、数種類のボタンやスティック、加速度センサーなどを手のひらサイズに収めたゲームコントローラ(ジョイパッド/ジョイスティック)が最も一般的な入力装置として用いられるほか、カメラやセンサーなどを組みわせて四肢の動きを検知するシステムが用いられたり、実在の機械を模した専用の装置(ハンドルやレバー、フットペダルを組み合わせたレースゲーム用筐体など)が用いられることもある。

広義には、人間の動作に限らず外界から情報を取り込んで電気信号やデジタルデータとしてコンピュータに伝達する機器全般が含まれる。マイクやイメージスキャナ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、バーコードリーダー、指紋センサー、X線撮影装置、超音波診断装置、光学式読み取り装置(OCRやOMR)などである。

出力装置 【アウトプットデバイス】 ⭐⭐⭐

コンピュータが扱う情報を利用者に認識できる形式で提示する装置。ディスプレイやプリンタ、スピーカーなどが含まれる。

コンピュータシステムを構成する主要な装置の一つで、データを人間に認識できる形で外部に物理的に出力する装置である。光の像を投影して画面を映し出すディスプレイ(モニタ)やプロジェクタ、紙などに印字・印刷を行うプリンタやプロッタ、音声を発するスピーカーやイヤフォンなどが該当する。

主に人間の視覚や聴覚に働きかける原理の機器が多いが、振動で情報を知らせるバイブレーターや、ゲームコントローラなどで操作感(押しやすさ、回しやすさなど)を状況に応じて変化させるフォースフィードバック機構など、触覚を利用する装置もある。

映画館や体験型アミューズメント施設などに見られる、映像に合わせて霧や風を吹き出す装置なども広義には出力装置の一種と言える。未だ研究段階ながら、香り(触覚)や味(味覚)を動的に合成してコンピュータからの出力とする装置も構想されている。

これに対し、人間や環境、外部の機器から情報を取り込んでデータとしてコンピュータ本体に伝える装置を「入力装置」(input device:インプットデバイス)といい、キーボードやマウス、タッチパネル、ゲームコントローラ、マイク、イメージスキャナ、各種センサーなどが含まれる。

出力装置と入力装置を合わせて「入出力装置」(I/O device)と総称することもある。イヤホンマイクやプリンタ複合機(イメージスキャナとしても利用できるプリンタ)、振動機能付きコントローラなど、入出力の両方の機能を一体的に提供する装置もある。

メインメモリ 【主記憶装置】 ⭐⭐⭐

コンピュータ内部でデータやプログラムを記憶する記憶装置のうち、中央処理装置(CPU)と基板上の電気配線などを通じて直に接続されたもの。「メモリ」「RAM」とも呼ばれる。

CPUの命令によって直に読み書きが可能な記憶装置で、実行中のプログラムコードや当座の処理に必要なデータなどが保存される。外部記憶装置(ストレージ)に比べ読み書き動作は桁違いに高速だが、単価が高いため機器に搭載できる容量は何桁か少ないのが一般的である。

現代のコンピュータでメインメモリとして用いられるのは半導体記憶装置(半導体メモリ)のRAM(Random Access Memory)の一種であるDRAM(Dynamic RAM)がほとんどで、機器の電源を切るなどして装置への通電を止めると記憶内容が失われるという特性がある。

このため、データやプログラムの永続的な保管にはストレージを用い、コンピュータの起動時にメインメモリに必要なプログラムなどを読み込んで実行するという動作が基本となっている。

また、現代のCPU製品の多くは内部にDRAMよりも高速な「キャッシュメモリ」と呼ばれる記憶回路を内蔵しているが、これはDRAMとのやり取りを高速化する一時的な保管場所としてのみ用いられ、プログラムから明示的に動作を制御することはできないようになっている。

アプライアンス

器具、装置、設備、電器、家電製品などの意味を持つ英単語。ITの分野では、情報機器や通信機器、コンピュータ応用製品のうち、特定の機能や用途に特化した専用機器を指すことが多い。

様々な機能を持ち複数の用途に使える汎用製品に対し、アプライアンス製品は機能や用途を絞り込んで不要な部品や要素などを削減しているため、安価で高い性能を実現し、導入や管理、運用が比較的容易な製品が多い。ただし、後から他の機能を追加したり入れ替えることはできず、性能や容量などの拡張性も乏しいことが多い。

アプライアンスはネットワーク機器やサーバ製品などで提供されることが多く、ストレージ(ファイルサーバ)や通信暗号化(SSL/TLSなど)、プロキシ、キャッシュサーバ、ファイアウォール、ロードバランサ、データベースなどの製品分野でアプライアンス型の製品がよく提供される。

サーバ機能を提供する機器は「アプライアンスサーバ」とも呼ばれる。仮想化システムの中には、単一機能のネットワーク機器などの機能をソフトウェアとして仮想的に実装した製品も見られ、「仮想アプライアンス」(virtual appliance)と呼ばれる。

ちなみに、英語で単に “appliance”という場合は “home appliance”、すなわち家電製品を表すことが多い。近年では大手電機メーカーの白物家電部門の名称などに「アプライアンス」の名を冠する例が多く見られる。

周辺機器 【ペリフェラル】

コンピュータなど中心となる機器に繋いで使用する装置のこと。本体に何らかの機能を提供するために用いられ、単体では使用できないものが多い。

通常は機器本体の外部に設置してケーブルや無線などで接続・通信するものを指し、筐体内に据え付ける部品(パーツ)とは区別されるが、一部の記憶装置のように同じ機能でも内蔵型と外付型が両方存在する場合もあり、厳密に区別できるわけではない。

パソコンの主な周辺機器は入出力装置や外部記憶装置で、キーボードやマウス、ディスプレイ(モニター)、プリンタ、イメージスキャナ、スピーカー、ヘッドフォン、外付型のストレージやドライブ(ハードディスク、SSD、光学ドライブなど)、USBメモリなどがよく知られる。

ブロードバンドルータやWi-Fiアクセスポイント、NAS(Network Attached Storage)などのようにネットワーク上で複数の機器で共用するものや、デジタルカメラやデジタルオーディオプレーヤーのようにデータ管理はパソコンで行うが使用自体は単体で行うものも含める場合もある。

また、スマートフォンやタブレット端末、携帯ゲーム機、デジタルカメラなど携帯機器の場合はメモリーカードなどの電子機器だけでなくストラップやケース、液晶保護シート、タッチペンなどの器具も含まれるため、周辺機器と呼ばずに「アクセサリー」と呼称することが多い。

ストレージ 【外部記憶装置】 ⭐⭐⭐

コンピュータの主要な構成要素の一つで、データを永続的に記憶する装置。磁気ディスク(ハードディスクなど)や光学ディスク(CD/DVD/Blu-ray Discなど)、フラッシュメモリ装置(USBメモリ/メモリカード/SSDなど)、磁気テープなどがこれにあたる。

一般的には通電しなくても記憶内容が維持される記憶装置を指し、コンピュータが利用するプログラムやデータなどを長期間に渡って固定的に保存したり、他の機器へのデータの運搬や複製、配布などのために用いられる。

コンピュータ内には補助記憶装置とは別に、半導体記憶素子などでデータの記憶を行う主記憶装置(メインメモリ)が内蔵されており、利用者がプログラムを起動してデータの処理を行う際には補助記憶装置から必要なものをメモリに呼び出して使う。

同じコンピュータに搭載される装置同士で比較すると、補助記憶装置はメモリに比べて記憶容量が数桁(数十~数千倍)大きく、容量あたりのコストが数桁小さいが、読み書きに要する時間が数桁大きい。一般的な構成のコンピュータではメインメモリ容量の百倍から千倍程度の容量の固定内蔵ストレージを用意することが多い。

記録原理による分類

補助記憶装置装置は駆動装置(ドライブ)が記憶媒体(メディア)を操作して、記憶素子の物理状態に信号を対応付けて記録する。様々な動作原理の装置があり、主に磁気を利用するもの、レーザー光を利用するもの、電荷(半導体素子)を利用するものに分けられる。

磁気記録方式の補助記憶装置には磁気テープやハードディスク、フロッピーディスクなどがある。平たい媒体表面の磁性体の磁化状態を変化させて信号を記録する装置で、媒体を薄いテープ状にしてリールに巻き取った「磁気テープ」と、平たい円盤(ディスク)状にして中心軸(スピンドル)で高速に回転させる「磁気ディスク」に分かれる。

一昔前まで補助記憶装置の大半を占めていた方式で、現在でもパソコンに内蔵される固定補助記憶装置としてハードディスクがよく用いられる。磁気テープは容量あたりの単価が極めて安いという特徴から、現在でも企業や官公庁などの大規模なデータ保管に用いられることがある。

光学記録方式の補助記憶装置はCDやDVD、Blu-ray Discなどの光学ディスクで、信号を媒体表面の細かな凹凸や化学的な状態の変化として記録し、高速で回転させながらレーザー光を照射して反射光の変化を読み取る。

製造時にデータを記録する読み出し専用ディスクと利用時にデータの書き込みや上書きができる追記型や書き換え型のディスクがあり、前者は映像やソフトウェアなどのコンテンツの販売で、後者は映像の録画やデータのバックアップ、機器間のデータの運搬などでよく利用される。

近年では、読み出し専用メモリ(ROM)から発展した書き換え可能な不揮発メモリ(電源を落としても内容が消えない半導体メモリ)であるフラッシュメモリの大容量化、低価格化が進み、補助記憶装置装置として広く普及している。ハードディスクの代わりに固定内蔵ストレージとして用いられる「SSD」(Solid State Drive)、携帯機器の内蔵ストレージ、データの運搬に用いられるUSBメモリやメモリーカードなどがフラッシュメモリを応用した補助記憶装置である。

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ハードディスク 【HDD】 ⭐⭐

コンピュータなどの代表的なストレージ(外部記憶装置)の一つで、薄くて硬い円盤(ディスク)の表面に塗布した磁性体の磁化状態を変化させてデータを記録するもの。一台あたりの容量が大きく容量あたりの単価が安いため、パソコンなどに内蔵されるストレージとして標準的な存在となっている。

構造・原理

装置内にはガラスや金属でできたプラッタ(platter)と呼ばれる円盤型の記憶媒体が数枚封入されており、表面には磁性体が塗布されている。これを回転軸で高速(毎分数千回)で回転させ、アームの先端に取り付けられた磁気ヘッドを近接させる。特定の箇所の磁化状態を変化させることでデータを書き込むことができ、状態を読み取ることでデータを読み出すことができる。

プラッタの直径は主流の製品で3.5インチ(約8.9cm)だが、小型の機器向けに2.5インチや1インチの製品も存在する。一台の装置にプラッタが1~8枚程度備え付けられ、通常はその両面を記録に用いる。内部的な制御や区画分けはプラッタごとに行われるが、外部から見た記憶領域としては全体で一つとなる。

他媒体との比較

「ハードディスク」とは硬い円盤という意味だが、これはフロッピーディスクなどのようにプラッタの素材に柔らかいプラスチックフィルムなどを用いる装置と対比した表現である。フロッピーディスクなどは記憶媒体と駆動装置(ドライブ)が分離していてディスクだけを取り外して交換したり持ち運べるが、ハードディスクはディスクとドライブが一体化しているため、「ハードディスクドライブ」(HDD:Hard Disk Drive)とも呼ばれる。

磁気ディスクや光学ディスクなどの中では最も記録密度が高く、同じ世代で比較すると装置(媒体)一台あたりの記憶容量は飛び抜けて大きい。読み書きも高速で、パソコンやサーバなどのコンピュータ製品では基幹的な記憶媒体として広く普及している。ドライブ一体型なこともあり一台あたりの価格が高いことや、振動に弱いという難点もある。

SSDへの置き換え

装置の寸法や接続仕様をハードディスクに揃え、内部の記憶媒体をフラッシュメモリに置き換えた製品はSSD(Solid State Drive)と呼ばれ、ハードディスクの代替として近年急速に浸透している。

読み書き速度が桁違いに速く衝撃にも強いという長所があるが、半導体メモリのため価格が高く一台あたりの容量も少ないという欠点があった。近年では低価格化と記憶容量の向上が劇的に進み、従来のハードディスクの用途を置き換える形で普及が加速している。

接続方式

コンピュータ本体に内蔵されるハードディスクの場合、接続インターフェースとして初期にはIDE/ATA(パソコン向け)やSCSI(サーバ・ワークステーション向け)が、2000年代以降はSATA(Serial ATA)が主に用いられている。独自の筐体を持ちケーブルでコンピュータと繋ぐ外付けの装置もあり、USBやIEEE 1394、eSATAなどの規格で接続される。

SSD 【Solid State Drive】

外部記憶装置(ストレージ)の一つで、記憶媒体にフラッシュメモリを用いる固定型の装置。ハードディスクと同じようにコンピュータに接続し、プログラムやデータの永続的な保存に用いる。

ハードディスクなどの磁気ディスク装置は磁気的に、DVDなどの光学ディスク装置は光学的に信号の読み書きを行うが、SSDは半導体素子に電気的にデータの記録、読み出しを行うため、極めて高速に読み書きすることができる。

また、高速で回転する円盤(ディスク)やモーター、盤上を移動する読み書き装置(ヘッド)といった機械部品がないため、消費電力が少なく、耐衝撃性に優れ、振動や駆動音もなく、装置の形状を小型、薄型、軽量にすることができる。

ただし、フラッシュメモリは書き込みを行うごとに素子が劣化するため、同じ容量なら磁気ディスクより書き換え寿命が短い。この欠点を補うため、多くのSSD製品では、なるべく満遍なく各素子に書き込み動作が分散するよう制御装置が記録位置の選択を行う「ウェアレベリング」と呼ばれる制御を行っている。

また、現在のところ容量あたりの単価は磁気ディスクや光学ディスクよりフラッシュメモリのほうが高額なため、同世代の同じ容量の製品の中では割高となる。コンピュータにSSDとハードディスクを両方搭載し、システムファイルや頻繁にアクセスされるプログラムやデータをSSDに保存して、それ以外はハードディスクに保存するといった使い分けが行われることも多い。

筐体仕様(フォームファクタ)やコンピュータ本体との接続インターフェースは、当初は既存の機器と置き換えられるよう3.5インチ筐体やSATA(シリアルATA)などハードディスクと同じ規格が流用されたが、SSDの高速な読み書き性能や省スペース性を最大限活用すべく、mSATAやM.2、NVMe、SATA ExpressなどSSDにより適した規格も策定され、普及しつつある。

SLC/MLC/TLC/QLC

SSDの記憶媒体に用いられるNAND型フラッシュメモリのうち、一つの記憶素子(メモリセル)に2値(1ビット)のデータを格納する方式を「SLC」(Single Level Cell)、3値以上からなる多ビットのデータを格納する方式を「MLC」(Multi-Level Cell)という。

初期のMLC型は4値(2ビット)を記録する方式だったため、狭義にはこれを指してMLCと呼ぶ。これを3ビット以上と区別する場合は「DLC」(Double Level Cell)と呼ぶこともあるが、この呼称は普及していない。3ビット(8値)記録できるものは「TLC」(Triple Level Cell)、4ビット(16値)のものは「QLC」(Quad-Level Cell)、5ビット(32値)のものは「PLC」(Penta-Level Cell)と呼ばれる。

セルに記録できるビット数が少ない方が動作が高速で信頼性、耐久性(書き換え寿命)も高いが、容量あたりの単価が高くつく。SLC型は記録密度が低すぎるためほぼ廃止されており、多値記録セルで記録密度を高める方向に発展している。

フラッシュメモリ

半導体素子を利用した記憶装置の一つで、何度も繰り返し書き込みができ、通電をやめても記憶内容が維持されるもの。近年、データを永続的に保存するストレージ(外部記憶装置)製品の記憶素子として急激に普及している。

フラッシュメモリは半導体メモリのうち、電源を落としても記録されたデータが消えない不揮発性メモリ(nonvolatile memory)に分類される。電気的に繰り返し自由に消去や再書き込みができる特徴はRAMと同じだが、技術的にはROM(の一種であるEEPROM)に由来するため「フラッシュROM」とも呼ばれる。

素子の構造や動作方式により大きくNAND型とNOR型の二種類に分かれる。最初に開発されたのはNOR型で、バイト単位で高速に読み出しができ、信頼性が高いが、後に開発されたNAND型の方が集積度を高めやすく、書き込みが高速であるという特徴の違いがある。

SLCとMLC

初期のフラッシュメモリはメモリセル(記憶素子)の電荷の有無にデジタル信号の「0」と「1」を対応付ける1ビット記録の素子(SLC:Single Level Cell/シングルレベルセル)が用いられた。後に、セルに投入した電荷量を段階的に識別することで1セルに複数ビットを保存できる素子(MLC:Multi-Level Cell/マルチレベルセル)が開発された。

初期のMLCは4段階識別・2ビット記録だったため、現在でもこれを指してMLCと呼ぶことが多いが、8段階識別・3ビット記録の「TLC」(Triple Level Cell/トリプルレベルセル)や、16段階識別・4ビット記録の「QLC」(Quad-Level Cell/クアッドレベルセル)も開発されており、MLCはこれら多値記録方式全体の総称を指すこともある。

特徴と用途

フラッシュメモリは磁気ディスクや光学ディスクなどに比べ、半導体素子に電気的にアクセスするためデータの読み書き速度が桁違いに速く、ドライブ装置に可動部がないため動作音もなく衝撃や振動にも強い。

ただし、素子の構造上劣化の進みが速く、初期には数百回程度、近年でも数万回程度の再書き込みによって素子が破損することが知られている。この点をカバーするため、制御回路により書き込み回数を各素子に均等に分散させる「ウェアレベリング」(wear leveling)と呼ばれる処理が行われる。

他方式のメディアに比べ価格も桁違いに高く小容量の製品しかなかったが、2000年代半ば頃からは量産効果や技術の進歩により飛躍的に低コスト化され、磁気ディスクなどの用途を奪う形で普及が拡大している。

主な用途としては、スマートフォンなどの携帯情報端末の内蔵ストレージや、数cm角の薄いプラスチックケースに収めたカード型の記憶媒体である「メモリーカード」、指先大の短い棒型や角型のケースに収めUSB端子でコンピュータに接続する「USBメモリ」などがある。

CD 【Compact Disc】

薄い樹脂製の円盤(ディスク)の表面に微細な加工を施し、高速で回転させてレーザー光を照射することで信号の読み書きを行う光ディスクの一つ。1980年にソニーと蘭フィリップス(Philips)社が開発した。

音楽ソフトを販売するための記録媒体として開発され、アナログレコードやカセットテープに代わって標準的な音楽販売メディアとして再生機器が広く普及した。後に利用者側の機器でデータを記録できる追記型(CD-R)や書き換え型(CD-RW)の仕様も策定され、コンピュータの補助的なデータ記憶メディア、ソフトウェア販売メディア、配布・交換用メディアとしても広まった。

CDは直径8cmあるいは12cmの中心に穴の空いたプラスチック製の薄いディスクで、ドライブ装置に挿入して高速で回転させる。近接させた光ピックアップから回転する記録面上の特定の位置にレーザー光を照射し、反射した光をセンサーで検知して記録されたデータを読み取る。書き込み型の場合はレーザー光で記録面を加熱して光の反射率を変化させることによりデータを書き込む。

記憶容量は一般的な12cmディスクの場合、データ650MB(メガバイト)または音声74分を記録できる製品と、700MBまたは80分の製品、800MBまたは90分の製品がある。8cmディスクは155MB/18分から300MB/34分まで数種類がある。標準のデータ転送速度は1.2Mbps(メガビット毎秒)で、これを「等速」「1倍速」などと呼び、その整数倍に高速化された機器が一般的となっている(最高は48倍速)。

ディスクへデータ記録する標準形式もいくつか定められており、音声を記録するCD-DA(CD Digital Audio)とコンピュータのファイルを記録するCD-ROM(CD Read Only Memory)が最も一般的に用いられる。動画を記録できるVideo CDやCDV、画像を記録するCD-GやPhoro CD、マルチメディアタイトルを記録できるCD-IやCD-ROM XAなどの規格も策定されたが、いずれもあまり普及しなかった。

CDの仕様や技術を踏襲しながら容量やアクセス速度を高速化した光ディスク規格がいくつかあり、主に動画の記録に用いられるDVDや、DVDをさらに大容量化したBlu-ray Disc(BD/ブルーレイディスク)などがある。DVD機器のほとんどはCDも読み込むことができ、BD機器はDVDに対応するが、BD機器の中にはCDのサポートを打ち切るものも現れている。

商標および規格名としての「CD」は “Compact Disc” の略で、イギリス英語の “disc” の綴りが用いられる。CD以降、光学ディスクの商標や規格名には “disc” 表記が好んで用いられる傾向にある一方、磁気ディスク系では “disk” 表記(アメリカ英語に由来)が一般的であり、あたかも意味上の違いや使い分けがあるように見えるが、単に慣例的なもので深い意味はない。

DVD

コンピュータや映像機器などでデータ記録メディアとして利用される光学ディスクの一種。細かい溝の彫られた樹脂製の円盤で、ドライブ装置内で高速回転させて溝に沿ってレーザー光を照射し、データの読み取りや書き込みを行う。規格の策定は業界団体のDVDフォーラムが行なっている。

サイズは直径8cmあるいは12cmで、中心にドライブ装置の回転軸を挿入する穴が空いている。両面記録、2層記録に対応しており、12cmディスクの記憶容量は片面1層で4.7GB、片面2層で8.54GB、両面1層で9.4GB、両面2層で17.04GBとなっている。

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コンテンツやソフトウェアの販売などに用いられる読み出し専用の「DVD-ROM」の他に、一度だけ書き込める(消去・上書きできない)「DVD-R」、書き換え可能な「DVD-RW」「DVD-RAM」がある。記録型メディアを巡って業界内で規格の分裂があり、別の業界団体DVD+RWアライアンスが独自に規格を定めた「DVD+R」「DVD+RW」もある。

映像や音声を記録するための標準のディスクフォーマットやファイル形式のセットなども定められており、映像とそれに付随する音声・字幕を記録するための「DVD-Video」が映像ソフトの流通などに、「DVD-VR」がHDDレコーダーなどでよく利用される。商品としての「DVD」の呼称はDVD-Video形式の映像ソフトを指す場合がある。

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Blu-ray Disc 【ブルーレイディスク】

DVDに次ぐ第3世代となる大容量の光ディスクの標準規格の一つ。CDやDVDと同じ直径12cmの樹脂製ディスクを用い、片面一層あたり25GB(ギガバイト)の高密度なデータの記録が可能。

ディスクをドライブ装置内で高速で回転させながら近接させた光ピックアップからレーザー光を照射して信号の読み書きを行う。片面一層あたり25GBを記録でき、両面記録や複層記録にも対応する。標準(1倍速)のデータ伝送速度は4.5MB/s(メガバイト毎秒)。

名称の由来は波長405nm(ナノメートル)の青色レーザー(正確には青紫色)を用いる点で、記録面上のトラックピッチ(隣接するトラック間の距離)をDVDの約半分の320nmに、最短ピット長を140nm程度に微細化している。

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DVDより高画質・長時間収録が可能な民生機器での映像記録を主な用途と見込んでおり、動画・音声の記録形式(BDMV/BDAV)や著作権保護機能(DRM)が標準で盛り込まれている。

CDやDVDと同様、工場でのディスク製造時にデータが記録され利用者側で追記・書き換えできない読み出し専用の「BD-ROM」と、利用者が一度だけ記録することができる追記型の「BD-R」(BD Recordable)、何度も繰り返し消去・再書き込みが可能な書き換え型の「BD-RE」(BD Rewritable)の3種類のディスク仕様が規定されている。

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主に映像ソフトやゲームソフトの販売、デジタル家電での録画、コンピュータのストレージ(外部記憶装置)などの用途で標準的に用いられ、パソコンやハードディスクレコーダー(ビデオレコーダー)、家庭用ゲーム機などの多くが対応しているが、機器側のほとんどがDVDとの両対応であることもあり、同じ用途でDVDも根強く使われ続け、置き換えはあまり進んでいない。

Blu-ray Disc Association (BDA/ブルーレイディスクアソシエーション)

Blu-ray Discの規格策定や普及促進を行う業界団体。ソニー、松下電器産業(現パナソニック)、シャープ、パイオニア、日立製作所、蘭フィリップス(Philips)社、韓LG電子、韓サムスン電子、仏トムソン・マルチメディア(Thomson Multimedia/現Technicolor)社らが2002年に設立したBlu-ray Disc Foundersが2004年に改称されて発足したもの。

現在では対応機器メーカーや映像産業から約140社が加盟しており、規格策定・更新の他に会員企業への技術情報の提供や、「Blu-ray Disc」の名称や「b」をかたどったロゴなどの商標について利用許諾などを行っている。

インターフェース 【I/F】

接点、境界面、接触面、接合面、仲立ち、橋渡しなどの意味を持つ英単語。IT分野では、二つの主体が接続・接触する箇所や、両者の間で情報や信号などをやりとりするための形式や手順などを定めた決まりごとを意味する。

例えば、パソコンと周辺機器はコネクタ(端子)およびケーブルによって接続されるが、端子の形状や電気信号の形式が製品ごとにバラバラでは互いに接続することができない。そこで、「USB」などの標準規格を定めてこれに沿って設計することで、製品の種類やメーカーによらず相互に接続できるようになる。このような複数の対象を繋ぐ接点のことをインターフェースという。

機器(ハードウェア)やソフトウェア、人間(利用者)などが互いに繋がりを持ち情報を伝達する接点のことをインターフェースという。機器間、ソフトウェア間、機器-ソフトウェア間、人間-機器間、人間-ソフトウェア間など様々な類型がある。

機器や装置、回路などの物理的な接続部を「ハードウェアインターフェース」、コンピュータプログラム間の連携仕様を「ソフトウェアインターフェース」、システムと利用者の間で情報をやり取りする仕組みを「ユーザーインターフェース」(主にソフトウェアの場合)あるいは「マンマシンインターフェース」(主に機械の場合)という。

人工物間のインターフェースは、接点の仕様や情報の表現形式、信号の伝送手順などがばらばらでは繋げることができないため、双方が共通の仕様に基づいて設計されていることが重要となる。各分野で様々なインターフェース規格が策定・公開されている。

ハードウェアインターフェース

ハードウェアインターフェースとは、複数の機器や装置、回路などを接続して通信する際の仕様で、コネクタ(端子)の寸法や形状、ケーブルや信号線の数や特性、信号の表現形式や伝送手順などで構成される。無線接続の場合は電波の周波数や信号の形式などが含まれる。

機器内部の部品間の信号伝送、機器本体と周辺装置のデータ伝送、機器間のデータ通信など、目的や用途に合わせて様々なインターフェースが存在する。例として「USB」「SATA」「IEEE 1394」「PCI Express」「HDMI」などの規格、およびこれらの標準コネクタ、ケーブル類などが挙げられる。

また、接続先がコンピュータネットワーク(LAN)の場合は特に「ネットワークインターフェース」と呼ばれることもあり、「イーサネット」(Ethernet)や「Wi-Fi」(無線LAN)などの通信規格、およびコネクタや差込口(ポート)、拡張カード、通信チップなどを指す。

ソフトウェアインターフェース

ソフトウェアインターフェースは、プログラム間でデータや処理依頼などをやり取りする手順や形式を定めた仕様である。代表的なものとして、オペレーティングシステム(OS)やミドルウェア、ライブラリなどの機能を外部から呼び出して利用するため規約である「API」(Application Programming Interface)がある。

他にも、アプリケーションとシステム(OS)を繋ぐ「ABI」(Application Binary Interface)や、実行中のプログラム間で通信するための「プロセス間通信」の仕様なども含まれる。さらに広義には、ネットワークを介してソフトウェア間で連携するためのプロトコル(通信規約)やデータ形式、複数のソフトウェアで共通して利用される汎用的なファイル形式などを含む場合がある。

ユーザーインターフェース

<$Img:Interface2.jpg|right|Edar|https://pixabay.com/photos/touch-screen-mobile-phone-ipad-1023966/>

ユーザーインターフェース(UI:User Interface)は、コンピュータなどの機器が利用者に対して情報を伝達する方式や、逆に、利用者が情報を入力するための仕組みを指す。

古くから使われている方式として、コンピュータが画面(古くはプリンタ)に文字で情報を提示し、利用者がキーボードなどから文字で指示を入力する「CUI」(Character User Interface/キャラクタユーザーインターフェース)あるいは「CLI」(Command Line Interface/コマンドラインインターフェース)がある。現在でも業務システムや技術者向けのシステムなどで広く利用されている。

一方、画面に図形や画像を多用した表示を行い、マウス操作やタッチ操作などで画面上の位置を指示する操作方法を基本とする方式を「GUI」(GUI:Graphical User Interface/グラフィカルユーザインターフェース)という。パソコンやスマートフォンなど一般消費者向けのコンピュータ製品で広く普及している。

「ユーザーインターフェース」は主にコンピュータやソフトウェアと利用者(ユーザー)の間の情報のやり取りに着目した用語だが、より広義に、機械と人間のやり取り、およびその接点となる装置や仕組みなどを表す用語として「マンマシンインターフェース」(HMI:Human Machine Interface)がある。自動車におけるハンドルやペダル、レバー、ボタン類などが該当する。

USB 【Universal Serial Bus】

主にコンピュータと周辺機器を繋ぐのに用いられるコネクタおよびデータ伝送方式の標準規格。キーボードやマウス、プリンタ、外部ストレージ装置などの接続方式として広く普及しており、スマートフォンなどモバイル機器の充電や外部との通信でも標準的な接続方式となっている。

金属線ケーブルで機器間を結び、データ通信や電力供給を行うことができる。シリアル伝送方式を採用したバス型(信号線共有型)の接続規格で、一つの伝送路を最大127台までの機器で共有することができる。

コンピュータ側には通常1~4つ程度のポート(差込口)が用意されており、これで足りない場合は「USBハブ」と呼ばれる集線装置を介してポートを増やすことができる。機器本体の電源を落とさずにコネクタを着脱する「ホットプラグ」に対応している。

初期に普及した規格(USB 1.1)では12Mbps(メガビット毎秒)、最新の規格(USB4)では80Gbps(ギガビット毎秒)までの通信速度に対応する。当初はキーボードやマウスなどの入出力装置から普及が始まったが、通信速度が向上するに連れて、ネットワークアダプタ(EthernetアダプタやWi-Fiアダプタ)や外部接続の光学ドライブ、ハードディスクなどに利用が広がっていった。

フラッシュメモリを内蔵した親指大のストレージ装置である「USBメモリ」もよく使われており、以前のフロッピーディスクや書き込み型光学ディスク(CD-R/DVD-Rなど)に代わって手軽なデータの受け渡し手段として普及している。日常的にはこれを指して「USB」と呼ぶことも多い。

コネクタ形状

<$Img:USB-Connector.jpg|right|USB-Type Aコネクタ[PD]|https://commons.wikimedia.org/wiki/File:USB-Connector-Standard.jpg>

コンピュータ側を想定した大きなコネクタ形状と、周辺機器側を想定した小さなコネクタ形状が規定されている。当初はコンピュータ側は長方形の「USB Type-A」、プリンタなどケーブルが別になっている周辺機器では正方形に近い「USB Type-B」が用いられた。

USB 2.0ではデジタルカメラなど小型の機器向けに、小さな台形に近い形状の「ミニUSB」(Mini-A/Mini-B/Mini-AB)が規定された。Aはコンピュータ側、Bは携帯機器側、ABは携帯機器同士の接続(USB On-The-Go)用だったが、B以外は廃止になり、Type-AとMini-Bを両端に持つケーブルが一般的となった。Miniよりもさらに小型化された「マイクロUSB」(Mirco-A/Micro-B)も規定され、スマートフォンやタブレット端末などでよく利用されている。

USB 3.0ではType-BとMicro-Bの形状が変更になり、従来と互換性のない形になった。新たな小型のコネクタ仕様として「USB Type-C」が規定され、これまでのすべてのコネクタを置き換える新世代の標準として普及が進められている。USB4以降はType-Cのみが標準とされ、過去のコネクタ形状は廃止となった。

給電機能

<$Img:USB-Bus-Power.png|right|>

USBにはデータ通信だけでなくケーブルの金属線を利用した送電(電力供給)についての仕様も定めており、装置を駆動するのに必要な電力の供給やバッテリー充電などに用いられている。小さな電力であれば電源ケーブルをコンセントから別に引いてくる必要がなく、利便性が大きく向上した。

初期の規格から存在する「USBバスパワー」では、電圧5V、電流500mA、電力2.5Wまでの給電が可能で、キーボードなどの大きな電力を必要としない装置の駆動に用いられる。プリンタやハードディスクなど消費電力の大きな機器には足りないため、電源ケーブルで別途給電する必要がある。スマートフォンなど小型の機器や携帯機器ではUSBバスパワーが標準の充電方式になっていることも多い。

USB 3.1では従来より大電力の「USBパワーデリバリー」(USB PD:Power Delivery)が導入され、USB Type-Cケーブルを用いて100Wまでの電力供給が可能となった。液晶ディスプレイやコンピュータ本体などの電源ケーブルを代用できるほか、給電方向の切り替え、数珠繋ぎに他の機器を経由しての給電にも対応している。

USBデバイスクラス (USB device class)

<$Img:USB-Icon.png|right|>

USBでは機器の種類ごとに標準の動作仕様と対応するドライバ仕様を「USBデバイスクラス」として規定しており、この範囲内の動作についてはオペレーティングシステム(OS)に付属する汎用ドライバだけで利用することができる。USBメモリを別のコンピュータに挿してすぐにデータが移せるのもこの仕組みを利用している。

以前の接続規格では個別の製品ごとに必ず製造元が提供するドライバソフトを導入しなければ通信できなかったが、デバイスクラスで規定された一般的な機能は個別のドライバ不要で動作する。機器に固有の機能を利用したい場合などには、これまで通り付属のドライバを導入して利用する形となる。

HDMI 【High-Definition Multimedia Interface】

映像や音声をデジタル信号として伝送するインターフェース規格の一つ。パソコンやスマートフォン、ゲーム機、デジタル家電などと、テレビ、ディスプレイなどの表示装置を接続する方式の標準として広く普及している。

ケーブルやコネクタ、信号形式などの物理的な仕様と、データの伝送制御についての仕様を定めている。1本のケーブルで映像信号、音声信号、制御信号をすべて合成して送受信するため、取り回しが容易である。データ圧縮やアナログ信号への変換などを行わず直接デジタルデータとして出力機器まで伝送するため、伝送途上で品質が劣化することがない。

映像や音声をそのまま伝送するのではなく、コピー防止技術の「HDCP」(High-bandwidth Digital Content Protection)によりデータを暗号化して送受信する。認証を受けた正規の出力先以外の装置で伝送信号を読み取って、映像や音声のデジタルコピーを作成することはできないようになっている。

コネクタの種類は「タイプA」から「タイプE」までの5種類が規定されている。このうち、パソコンやディスプレイなど据え置き型の機器に用いられる標準的なタイプAと、デジタルビデオカメラなどに用いられるやや小型の「タイプC」(ミニHDMI)、デジタルカメラやスマートフォンなどに用いられる小型の「タイプD」(マイクロHDMI)がほとんどを占める。

異なる製造元の製品間で互換性を確保するための認証プログラムがあり、HDMI対応製品は検査機関による試験を受けて合格しなければならない。また、対応製品のメーカーはライセンス管理団体に加盟し会費および製品一つあたりに賦課されるロイヤリティを支払わなければならず、ケーブルの価格が他方式より高額であると指摘されることが多い。

歴史

コンピュータとディスプレイのデジタル伝送仕様「DVI」(Digital Visual Interface)を発展させた仕様で、物理層の信号伝送に「TMDS」(Transition-Minimized Differential Signaling)を用いるなど共通点が多い。暗号化に対応したことで著作権で保護されたコンテンツのデジタル出力が可能になった。

最初の規格であるHDMI 1.0は2002年に発表され、米シリコンイメージ(Silicon Image、現Lattice Semiconductor)社を中心とする企業連合が規格を策定した。動画は最高でフルHD(1920×1080)サイズ、毎秒60フレーム(1080/60p)に対応し、音声はサンプリング周波数192kHz、量子化24ビットの品質を最大8チャンネルまで同時に伝送できる。

2006年の「HDMI 1.3」では48bppまでの色深度に対応し、2009年の「HDMI 1.4」ではタイプC(ミニHDMI)、タイプD(マイクロHDMI)コネクタの追加、USB Type-Cコネクタへの対応、4K解像度(3840×2160、4096×2160)への対応などが行われた。2017年の「HDMI 2.1」では8K解像度(7680×4320)や可変リフレッシュレート(VRR)に対応した。

DisplayPort 【DP】

コンピュータとディスプレイ装置を接続し、映像や音声をデジタル方式で送受信するインターフェース規格の一つ。ケーブルや端子、信号などの仕様を定めたもので、業界団体のVESA(Video Electronics Standards Association)が策定している。

従来、パソコンからディスプレイに映像を出力するのに用いられてきた、いわゆる「アナログVGA」(VGA端子)や「DVI」(Digital Visual Interface)を置き換える目的で開発された仕様である。これらよりコンパクトで薄型のコネクタを使うため、携帯機器にも端子を設けやすくなっている。

DisplayPortは主にパソコンで用いられており、テレビやHDDレコーダー、家庭用ゲーム機などのデジタル機器では同じデジタル接続インターフェースの「HDMI」(High-Definition Multimedia Interface)が普及している。ディスプレイ製品などは両対応の機種も多い。

主な仕様

1本のケーブルで映像と音声を多重化して伝送したり、複数のディスプレイを接続する際に数珠つなぎ(デイジーチェーン)に接続することができる。コンテンツの著作権保護は当初独自方式の「DPCP」(DisplayPort Content Protection)を用いていたが、HDMIなどで用いられる「HDCP」(High-bandwidth Digital Content Protection)を用いるよう改められた。

DisplayPortのケーブルでは最大で4対の信号線を用い、それぞれ独立にシリアル伝送を行う。この伝送路は「レーン」と呼ばれ、当初の仕様では2.7Gbps×4で最高10.8Gbps(実効8.64Gbps)、DisplayPort 2.0では20Gbps×4で最高80Gbps(実効77.4Gbps)のデータ伝送が可能となっている。

当初の仕様ではフルHD(1920×1080)の映像をリフレッシュレート144Hzで伝送できたが、DisplayPort 1.2では4K解像度(3840×2160)を75Hzで伝送できるようになり、最新のDisplayPort 2.0では8K解像度(7680×4320)を60Hzで伝送することができる。

コネクタ形状

標準サイズのコネクタは幅16.1mm×高さ4.76mmで、片方の端に誤挿入防止のための切り欠きがある。携帯機器向けに小型の「Mini DisplayPort」が用意されており、こちらは幅7.5mm×高さ4.6mmとなっている。ピン数(20本)や信号形式、伝送性能などに違いはない。

また、ノートパソコンなどの筐体内で液晶パネルに信号を伝送する方式として「eDP」(embedded DisplayPort)も策定されている。DisplayPort 1.3からは標準コネクタの代わりにUSB Type-CポートにDisplayPort信号を流すことができる「DisplayPort Alt Mode」(DisplayPort代替モード)が用意された。

ヘッドマウントディスプレイ 【HMD】

ゴーグルやヘルメット、眼鏡のような形状の、頭部に装着して使用する表示装置。目を覆うように頭部に固定すると、眼前の小さな表示面にコンピュータなどから送られてきた像が投影され、見ることができる。

頭部装着型のディスプレイ装置で、装着者の視界全体を覆うように像を写すものと、映画館のように少し離れた場所に大画面の表示装置が現れたように見えるものがある。表示面をハーフミラーにしたり、外界を写す小さなビデオカメラを内蔵するなどして、眼前の外の光景が見えるようになっている製品もあり、「透過型ヘッドマウントディスプレイ」などと呼ばれる。

左右の表示面に少しずつ違った映像を表示することで立体感や奥行きの感じられる3次元的な表示を可能としたものや、身体の移動や頭部の動きをセンサーで検知して表示内容に反映させることで映像世界内への没入感を高めることができる製品もある。

人間の感覚器官に働きかけ現実感のある環境を人工的に作り出す技術を「VR」(Virtual Reality:バーチャルリアリティ/仮想現実/人工現実感)というが、コンピュータによりリアルタイムに生成した映像をHMDに表示するシステムはVRを実現する方式の中でも特に有望なものとして近年急激に発展し、ビデオゲームなどに応用されている。

センサー 【センサ】

自然現象や対象の物理状態の変化などを捉え、信号やデータに変換して出力する装置や機器。光や音、温度、湿度、気圧、接触、圧力、電気、磁気、距離、速度、加速度、角速度、物質の濃度など、様々な現象や対象に対応する装置が存在する。

コンピュータと関わりの深いセンサーとしては、音声を電気信号に変換するマイク(マイクロフォン)や、受光素子が受けた光を電気信号に変換するイメージセンサー、タッチパネルなどで画面への指先の接触を検知する接触センサー、家庭用ゲーム機のコントローラーなどで動きや回転を捉える加速度センサーやジャイロスコープなどがある。

小型のセンサー機器に外部との通信機能やICチップによる高度な情報処理機能を統合し、データの蓄積や変換など何らかの処理を行ったり、複数のセンサー素子の情報を統合したり、ITシステムや機器の制御システムと連携する機能を持ったものを「スマートセンサー」(smart sensor)という。

また、電源と無線通信機能を内蔵した小型のセンサー機器を分散して設置し、それら協調して動作させることで、施設や設備の監視・制御や、環境や空間の観測などを行なう通信ネットワークを「センサネットワーク」(WSN:Wireless Sensor Network)という。

CPU 【Central Processing Unit】 ⭐⭐⭐

コンピュータの主要な構成要素の一つで、他の装置・回路の制御やデータの演算などを行う装置。演算装置と制御装置を統合したもので、現代では一枚のICチップに集積されたマイクロプロセッサ(MPU:Micro-Processing Unit)を用いる。

CPUはメインメモリ(RAM)に格納された機械語(マシン語)のプログラムを、バスを通じて一命令ずつ順番に読み出し(フェッチ)、その内容を解釈して行うべき動作を決定(デコード)し、内部の回路を駆動して実際に処理を実行する。現代のCPUの多くはマイクロプログラム制御方式を採用しており、機械語の一命令は、より細かな動作(マイクロコード)の組み合わせに分解されてから実行される。

命令セット

CPUは実行可能な命令の体系が決まっており、これを命令セット(instruction set)あるいは命令セットアーキテクチャ(ISA:Instruction Set Architecture)という。記憶装置から読み出されたどのようなビット列がどのような動作に対応するかを定めたもので、機械語のプログラムはこれを用いて記述される。

命令セットは各CPUの機種ごとに固有だが、同じメーカーの同じ系列の製品では同じ命令セットが採用されることが多く、その場合は異なる製品が同じプログラムを実行することができる。同じ命令セットでも製品の世代が下るに連れて新しい命令が追加されることが多く、新しいCPUは古いCPU向けのプログラムも実行できる一方、古いCPUは新しい命令セットのプログラムは実行できないという関係になる(後方互換性)。

有力なメーカーの製品には、別のメーカーが同じ命令セットを採用した互換CPU製品を開発・販売することもある。例えば、米インテル(Intel)社のx86命令セットは広く普及しており対応ソフトウェアが豊富なため、これをそのまま実行できる互換CPUを米AMD社などが製造している。

構造

一般的なCPUの内部は、命令の解釈や他の回路への動作の指示などを行う制御ユニット、論理演算や算術演算を行う演算ユニット(ALU:Arithmetic and Logic Unit)、データの一時的な記憶を行うレジスタ、外部との通信を行うインターフェース回路などで構成される。

また、レジスタとメインメモリのあまりに大きな速度差、容量差を埋めるため、両者の中間の速度と容量を併せ持つキャッシュメモリが内蔵されることが多く、浮動小数点演算に特化した演算ユニット(FPU:Floating-Point Unit)なども標準搭載されることが多い。

以前はマザーボード上のチップセットや単体のICチップとして提供されてきた、メモリコントローラやI/Oコントローラ、グラフィックス処理(GPU)などの機能が統合された製品も数多く登場している。コンピュータに必要な機能のほとんどをCPUの内部に統合した製品はSoC(System-on-a-Chip)と呼ばれる。

性能

内部の演算回路やレジスタが一回の動作でまとめて伝送、保存、処理できるビット数が決まっており、この値が大きいほど一度に多くのデータを処理でき、また、広大なメモリ空間を一元的に管理できる。

一度にnビットのデータを処理できるCPUをnビットCPUというように呼び、CPUが発明された当初は4ビットであったが、8ビット、16ビット、32ビットと拡張されてゆき、現代では64ビットCPUが広く普及している。

また、ほとんどのCPUはコンピュータ内部の特殊な回路から一定周期で発信されるクロック信号に合わせて動作するようにできている。より高い周波数の信号で動作するものほど、単位時間あたりに多くの動作を行うことができ、性能が高い。例えば、2GHz(ギガヘルツ:毎秒10億回)で動作するCPUと1GHzのCPUならば、他の仕様が同じなら約2倍の速度差がある。

並行処理

単純な構造のCPUは一つの命令列から一つずつ順番に命令を取り出し実行していくが、現在のCPU製品の多くは、何らかの形で複数の命令、あるいは複数の命令列を同時並行に処理できる機能を内蔵しており、クロックあたりの性能を引き上げている。

よく用いられるのはパイプライン処理で、一つの命令を複数の段階に分割してそれぞれを別の回路で実行することにより、いくつかの命令の実行を並行して進めることができる。ある命令が実行段階にあるとき、次の命令がデコードを、その次の命令がフェッチを行うといったように、前の命令の完了を待たずに空いた回路に先行して次の命令を投入する方式である。

また、大抵の命令は限られた回路しか利用しないという性質を利用して、空いている回路で実行できる別の命令を同時に投入する方式を同時マルチスレッディング(SMT:Simultaneous Multithreading)という。擬似的に二つのプログラムを並行に実行することができ、最良の場合で数割の性能向上が果たせる。Intel社のCPUに内蔵されるハイパースレッディング(Hyper-Threading)機能が有名である。

一つの半導体チップの内部に、命令の解釈・実行を行うユニット(CPUコア)自体を複数搭載するという手法も広まっており、マルチコアプロセッサ(multi-core processor)という。それぞれが独立して別のプログラムを並列に実行でき、複数のCPUを搭載するのとほとんど同じ効果を得ることができる。ちなみに、一台のコンピュータに複数のCPUを内蔵する方式はマルチプロセッサ(multiprocessor)という。

命令デコーダ 【命令解読器】

CPU(マイクロプロセッサ/MPU)内部の制御回路の一つで、メモリから読み込んだ命令を解釈し、その内容に従って他の回路に必要な信号を送るもの。

現代のコンピュータではプログラム(命令列)は2進数で表現されたデータとしてメインメモリ(主記憶装置/RAM)に記録されている。CPUはまず現在の実行位置として指し示されているメモリ上の番地(アドレス)から、次に実行する命令コードをCPU内部の高速な記憶装置であるレジスタに読み出す(フェッチ動作)。

命令解読器は命令レジスタにある命令を解読し、その内容を実行するにはどの回路にどのような動作をさせれば良いかを決定する(デコード)。これに基づいてデコーダは様々な回路に制御信号を発し、メモリから必要なデータを取り寄せたり、レジスタや演算器(ALU)などに必要な操作を指示する。最後に処理結果をメモリに格納して一回の命令実行サイクルは終了となり、次の命令の実行に取り掛かる。

レジスタ ⭐⭐

マイクロプロセッサ(MPU/CPU)内部にある、演算や実行状態の保持に用いる記憶素子。最も高速な記憶装置だが、一般的なCPU製品で数個から数十個(容量に換算して数十バイト程度)と数が限られる。GPUなど特殊なプロセッサでは数万個(数百キロバイト)のレジスタを内蔵するものもある。

演算などの処理を行うためのデータをメインメモリ(RAM)やキャッシュメモリから読み出して置いたり、計算結果や途中経過などを保持したり、読み込みや書き出しを行うメモリ上のアドレス(番地)などを指し示したりするために用いられる。メモリ内の記憶素子のように番地によって識別されるのではなく、それぞれ個別の識別名が与えられている。

命令によって役割が決まっているものを専用レジスタ、特定の役割が割り当てられておらずプログラムの都合で様々な用途に使い回せるものを汎用レジスタという。プログラムからアクセスできずプロセッサ自身が内部的に使用するための特殊なレジスタ(内部レジスタ)を持つ製品もある。

専用レジスタの種類や役割はプロセッサの仕様により異なるが、多くの製品に共通するものとして、アキュムレータ、データレジスタ、アドレスレジスタ、インデックスレジスタ、ベースレジスタ、スタックポインタ、ステータスレジスタ(フラグレジスタ)、プログラムカウンタなどがある。

命令レジスタ 【インストラクションレジスタ】

CPU(マイクロプロセッサ)内部の高速な記憶装置であるレジスタの一種で、実行する命令の内容を格納するもの。

プロセッサが命令を実行する際、プログラムカウンタ(PC:Program Counter)と呼ばれるレジスタの内容を参照し、メインメモリ上の現在の実行位置から命令を読み出し、命令レジスタに格納する。この段階を「フェッチ」(fetch)という。

読み出された命令は、操作の種類を表す「オペコード」(opcode)や操作対象を指示する「オペランド」(operand)などが含まれており、命令デコーダという回路によりその内容が解析される。この段階を「デコード」(decode)という。

最後に、解析された命令の内容に応じて必要なデータなどをレジスタやメインメモリから取り出し、処理を実行する。スーパースカラや命令パイプラインなどで複数の命令を並列に処理するプロセッサの場合は、同時に実行状態に置かれる命令の数だけ命令レジスタが用意されている。

プログラムカウンタ 【プログラムレジスタ】

マイクロプロセッサ(MPU/CPU)内部でデータを保持するレジスタの一種で、次に実行すべき命令が格納されているメモリ上の番地(アドレス)を保存しているもの。また、その保存しているアドレス値。「PC」と略記されることもある。

レジスタ(register)はプロセッサの回路内に存在する極めて高速に読み書きできる記憶装置で、用途に応じて様々なものが用意されている。プログラムカウンタはそのうちの一つで、次に実行すべき命令がメモリ上のどの番地に格納されているかを指し示している。

プログラムの実行が開始され、メモリ上のある番地から実行すべき命令が読み出されると、プロセッサ内の制御回路によって命令の長さの分だけプログラムカウンタの値が加算され、次に実行すべき命令(の先頭位置)の番地を指し示すようになる。分岐やジャンプは、プログラムカウンタの内容を飛び先のプログラムが格納されている番地に書き換えることで実現される。

論理回路 ⭐⭐

デジタル信号を処理して論理演算や記憶などを行うための電子回路。単純な論理演算を行う回路を膨大な数組み合わせればCPU(MPU/マイクロプロセッサ)のような複雑な装置を作ることができる。

二状態のいずれかを取るデジタル信号を入力および出力とする論理素子を配線で結び、様々な論理演算や記憶を行う回路を構成する。信号の状態は論理的には2進数の「0」と「1」、あるいは真偽値(真理値/ブール値)の「真」と「偽」に対応し、物理的には電圧の高低で表すことが多い。高電圧を「真」や「1」に対応付ける方式を「正論理」、逆を「負論理」という。

論理素子は「論理ゲート」(logic gate)とも呼ばれ、何らかの論理演算を行う機能を持った単体の素子である。一つ以上の入力を取り、所定の演算を行って一つの信号を出力する。実際の電子回路上では抵抗やトランジスタなど複数の電子部品を組み合わせて実装される。図で表す際の記号には標準規格があり、MIL記号やJIS記号などがよく用いられる。

基本的なゲートとして、否定(NOT)演算を行う「NOTゲート」、論理和(OR)演算を行う「ORゲート」、論理積(AND)演算を行う「ANDゲート」、排他的論理和(XOR)演算を行う「XORゲート」、否定論理和(NOR)演算を行う「NORゲート」、否定論理積(NAND)演算を行う「NANDゲート」などがある。複雑な挙動の論理回路もほとんどがこれらの組み合わせで構成されている。

<$Fig:logic|center|false>

現在の入力のみから出力を決定する回路を「組み合わせ回路」(combinational logic)と呼び、加算を行う加算器のように演算を行う回路などが該当する。一方、内部に状態を持ち、過去の入力で変更された現在の内部状態と入力を組み合わせて出力を決定する回路を「順序回路」(sequential logic)という。フリップフロップ回路(ラッチ回路)やカウンタ回路などが該当する。

真理値表 【真偽表】 ⭐⭐

ある論理回路や論理式について、考えられるすべての入力の組み合わせと、対応する出力を一つの表に書き表したもの。

真理値(ブール値/真偽値)は論理演算などで用いられる値で、「真」(true)と「偽」(false)の2値のいずれかを取る値である。コンピュータ上ではすべての情報を「1」と「0」を並べた2進数で表すため、真と1を、偽と0を対応付けて論理回路で様々な処理を行う。

真理値表は論理演算の入力値と出力値の対応関係を図に表したもので、一般的な形式では表の左側の列に入力を、右側の列に出力をそれぞれ並べる。各行に入力の組み合わせと、その時の出力を記入していく。各項には「1」(あるいは「真」「Truth」「T」)か「0」(あるいは「偽」「False」「F」)のどちらかを記入する。

行数

<$Fig:truthtable|right|true>

入力が1つ(NOT演算)の場合は入力「0」と「1」の2行で表され、入力が2つの場合は「0-0」「0-1」「1-0」「1-1」の4行となる。同様に、3入力では8行、4入力では16行というように、2の入力数乗が表の行数となる。

列数

ある特定の論理演算の結果を示す場合は出力は1列となるが、複数の異なる演算について結果を比較するために、それぞれの演算ごとに列を用意する(列名部分に演算内容を記述する)場合もある。論理回路の動作を示す表の場合には、出力の数だけ列を用意し、それぞれの演算結果を書き込んでいく。

AND回路 【AND gate】 ⭐⭐

基本的な論理回路の一つで、二つの入力と一つの出力を持ち、入力がいずれも「H」(Hight:高電圧)のときのみ出力が「H」となり、それ以外の場合は出力が「L」(Low:低電圧)となるもの。論理積(AND)演算を行う回路である。

正論理の場合、入力の両方が「H」のとき出力が「H」となり、片方あるいは両方が「L」のとき出力が「L」となる(負論理の場合はこの逆)。「H」と「L」を2進数の「1」と「0」に対応付ければビット論理積(ビットAND)演算を、真理値の「真」(true)と「偽」(false)に対応付ければ論理演算のAND演算を行うことができる。

現在の入力のみから出力が決まる組み合わせ回路の一つで、最も基本的な論理ゲートの一つである。回路図に用いる記号をIEC、MIL/ANSI、DINの各規格がそれぞれ定めており、JIS規格はIEC記号に準拠している。AND回路が用意されていない場合でも、NAND回路あるいはNOR回路(のみ)の組み合わせでAND回路を構成することができる。

OR回路 【OR gate】 ⭐⭐

基本的な論理回路の一つで、二つの入力と一つの出力を持ち、入力のいずれもが「L」(Low:低電圧)のときに出力が「L」となり、それ以外の場合は出力が「H」(High:高電圧)となるもの。論理和(OR)演算を行う回路である。

正論理の場合、入力の片方あるいは両方が「H」のとき出力が「H」となり、両方「L」のときのみ出力が「L」となる(負論理の場合はこの逆)。「H」と「L」を2進数の「1」と「0」に対応付ければビット論理和(ビットOR)演算を、真理値の「真」(true)と「偽」(false)に対応付ければ論理演算のOR演算を行うことができる。

現在の入力のみから出力が決まる組み合わせ回路の一つで、最も基本的な論理ゲートの一つである。回路図に用いる記号をIEC、MIL/ANSI、DINの各規格がそれぞれ定めており、JIS規格はIEC記号に準拠している。OR回路が用意されていない場合でも、NAND回路あるいはNOR回路(のみ)の組み合わせでOR回路を構成することができる。

NOT回路 【NOT gate】 ⭐⭐

基本的な論理回路の一つで、一つの入力と一つの出力を持ち、入力の逆の状態を出力するもの。論理否定(NOT)演算を行う回路である。

入力が「H」(High:高電圧)なら出力は「L」(Low:低電圧)、入力が「L」なら出力は「H」となる。「H」と「L」を2進数の「1」と「0」に対応付ければビット否定(ビットNOT)演算を、真理値の「真」(true)と「偽」(false)に対応付ければ論理演算のNOT演算を行うことができる。

最も基本的な論理ゲートの一つで、様々なデジタル回路の構成部品として用いられる。回路図に用いる記号をIEC、MIL/ANSI、DINの各規格がそれぞれ定めており、JIS規格はIEC記号に準拠している。NOT回路が用意されていない場合でも、NAND回路あるいはNOR回路を用いてNOT回路を構成することができる。

XOR回路 【XOR gate】

基本的な論理回路の一つで、二つの入力と一つの出力を持ち、二つの入力が一致する時に「L」(Low:低電圧)となり、不一致のとき「H」(High:高電圧)となるもの。排他的論理和(XOR)演算を行う回路である。

正論理の場合、入力の片方が「H」、もう片方が「L」のとき出力が「H」となり、両方「H」または「L」のとき出力が「L」となる(負論理の場合はこの逆)。「H」と「L」を2進数の「1」と「0」に対応付ければビットXOR演算を、真理値の「真」(true)と「偽」(false)に対応付ければ論理演算のXOR演算を行うことができる。

現在の入力のみから出力が決まる組み合わせ回路の一つで、最も基本的な論理ゲートの一つである。回路図に用いる記号をIEC、MIL/ANSI、DINの各規格がそれぞれ定めており、JIS規格はIEC記号に準拠している。XOR回路が用意されていない場合でも、NAND回路あるいはNOR回路(のみ)の組み合わせでXOR回路を構成することができる。

NAND回路 【NAND gate】

基本的な論理回路の一つで、二つの入力と一つの出力を持ち、入力が両方「H」(High:高電圧)のときのみ出力が「「L」(Low:低電圧)となり、それ以外の場合は出力が「H」となるもの。論理積(AND)の結果を反転(NOT)した否定論理積(NAND)演算を行う回路である。

正論理の場合、入力の片方あるいは両方が「L」のときに出力が「H」となり、両方「H」のとき「L」となる(負論理の場合はこの逆)。「H」と「L」を2進数の「1」と「0」に対応付ければビットNAND演算を、真理値の「真」(true)と「偽」(false)に対応付ければ論理演算のNAND演算を行うことができる。

現在の入力のみから出力が決まる組み合わせ回路の一つで、最も基本的な論理ゲートの一つである。回路図に用いる記号をIEC、MIL/ANSI、DINの各規格がそれぞれ定めており、JIS規格はIEC記号に準拠している。

「機能的完全性」(functional completeness)を備え、AND回路やOR回路、NOT回路などの基本的な論理ゲート、あるいは加算器などのより複雑な回路を含め、任意の論理回路はNAND回路のみの組み合わせで実装できることが知られている。また、他の論理ゲートより少ない半導体素子(トランジスタなど)で実装できるため実用上もよく利用される。

NOR回路 【NOR gate】

基本的な論理回路の一つで、二つの入力と一つの出力を持ち、入力が両方「L」(Low:低電圧)のときのみ出力が「H」(High:高電圧)となり、それ以外の場合は出力が「L」となるもの。論理和(OR)の結果を反転(NOT)した否定論理和(NOR)演算を行う回路である。

正論理の場合、入力の片方あるいは両方が「H」のときに出力が「L」となり、両方「L」のとき「H」となる(負論理の場合はこの逆)。「H」と「L」を2進数の「1」と「0」に対応付ければビットNOR演算を、真理値の「真」(true)と「偽」(false)に対応付ければ論理演算のNOR演算を行うことができる。

現在の入力のみから出力が決まる組み合わせ回路の一つで、最も基本的な論理ゲートの一つである。回路図に用いる記号をIEC、MIL/ANSI、DINの各規格がそれぞれ定めており、JIS規格はIEC記号に準拠している。

「機能的完全性」(functional completeness)を備え、AND回路やOR回路、NOT回路などの基本的な論理ゲート、あるいは加算器などのより複雑な回路を含め、任意の論理回路はNOR回路のみの組み合わせで実装できることが知られている。

ビット ⭐⭐⭐

情報量の最小単位で、二つの選択肢から一つを特定する情報の量。コンピュータなどでは0と1のいずれかを取る二進数の一桁として表される。

語源は “binary digit” (二進法の数字)を繋げて省略した表現と言われる。情報をすべてビット列に置き換えて扱うことを「デジタル」(digital)という。1ビットのデータが表す情報量は、投げたコインの表裏のように、二つの状態のいずれであるかを示すことができる。

複数のビットを連ねて一つのデータとすることで、2ビットなら4状態(22)、3ビットなら8状態(23)といったように、より多い選択肢を識別できる。一般に、nビットのデータは2のn乗個までの選択肢からなる情報を表現することができる。

例えば、大文字のラテンアルファベットは「A」から「Z」の26文字であるため、これを識別するのには4ビット(16値)では足りず、5ビット(32値)が必要となる。小文字を加えると52文字であるため、6ビット(64値)が必要となる。

派生単位

データの読み書きや伝送を行う場合、その速さを表す単位として1秒あたりの伝送ビット数であるビット毎秒(bps:bit per second)という派生単位が用いられる。

また、実用上はビットでは値が大きくなりすぎて不便なことも多いため、8ビットをまとめて一つのデータとした「バイト」(byte)という単位を用いる場面も多い。かつて何ビットを1バイトとするか機種により様々に分かれていた(7ビットバイトや9ビットバイトなどが存在した)名残りで、8ビットの集まりを「オクテット」(octet)とも呼ぶ。

倍量単位

大きな量を表す際には、SI単位系に則って接頭辞を付した倍量単位を用いる場合がある。

  • 1000ビットを「キロビット」(kbit:kilobit)
  • 100万ビットを「メガビット」(Mbit:megabit)
  • 10億ビットを「ギガビット」(Gbit:gigabit)
  • 1兆ビットを「テラビット」(Tbit:terabit)
  • 1000兆ビットを「ペタビット」(Pbit:petabit)
  • 100京ビットを「エクサビット」(Ebit:exabit)

という。また、コンピュータでは2の冪乗を区切りとするのが都合が良いことが多いため、独自の接頭辞を付した倍量単位が用いられることもある。

  • 210(1024)ビットを「キビビット」(Kibit:kibibit)
  • 220(約104万)ビットを「メビビット」あるいは「ミービビット」(Mibit:mebibit)
  • 230(約10億7千万)ビットを「ギビビット」(Gibit:gibibit)
  • 240(約1兆1千億)ビットを「テビビット」あるいは「ティービビット」(Tibit:tebibit)
  • 250(約1126兆)ビットを「ペビビット」あるいは「ピービビット」(Pibit:pebibit)
  • 260(約115京)ビットを「エクスビビット」あるいは「イクシビビット」(Eibit:exibibit)

という。この2進専用の接頭辞はIEC(国際電気標準会議)が標準化しており、一般にはあまり馴染みがないが記憶容量の表記などで用いられることがある。

補数 【余数】 ⭐⭐

ある自然数をn進数(n進法)で表現した時に、足し合わせるとちょうど「nのべき乗」か「nのべき乗-1」になる自然数のうち、最小のもの。前者は「足すとちょうど桁が一つ増える数」で「基数の補数」と呼ばれる。後者は「足しても桁が増えない最大の数」で「減基数の補数」と呼ばれる。

例えば、10進数の65という数に足し合わせるとちょうど一つ桁上りする自然数は、足すと100になる35であり、(10進数における)「65に対する10の補数」という。また、足しても桁が増えない最大の数は、足すと99になる34であり、(10進数における)「65に対する9の補数」という。

1の補数 (one's complement)

ある自然数を2進数(2進法)で表現したときに、足し合わせるとすべての桁が1になる最大の数のことを「1の補数」という。足してもギリギリ桁が増えない最も大きな数である。

たとえば、「10010110」に対する1の補数は「1101001」であり、両者を足し合わせると「11111111」(8桁すべてが1)となる。コンピュータで取り扱う際には、各桁の0を1に、1を0にするビット反転によって求めることができ、それに1を加えたものは2の補数となる。

2の補数 (two's complement)

ある自然数を2進数(2進法)で表現した時に、足し合わせると桁が増える最小の数を「2の補数」という。足すと一桁増えて先頭の桁が1、残りの桁が0となる数である。

例えば、「10010110」に対する2の補数は「1101010」であり、両者を足し合わせると「100000000」(桁が一つ増えて既存の8桁がすべて0)となる。コンピュータで取り扱う際には元の数のビット反転によって求められる1の補数に1を足せば2の補数となる。コンピュータ上での負の整数の表現や減算の実装などによく用いられる。

固定小数点数

コンピュータが実数を扱うときの表現形式の一つで、小数点が特定の位置に固定されているもの。数の大きさに関わらず、整数部の桁数と小数部の桁数が決まっている。

数値を表すビット列のうち、何ビット目までが整数部で、何ビット目からが小数部かがあらかじめ固定・指定されている形式である。整数は小数点の位置が右端に固定されている特殊な場合の固定小数点数と考えることができる。

これに対し、ビット列全体を、正負を表す符号部、スケールを表す指数部、各桁の数の並びを表現する仮数部の3つに分け、基数(多くの場合2や10)を指数でべき乗した値を仮数にかけて数値を表現する方式を「浮動小数点数」(floating-point number)という。

固定小数点数は浮動小数点数に比べ表現できる値の範囲が狭く、計算の精度が低いが、整数と同じ原理や回路を用いて高速に計算できる。大きさが極端に違う数値の加減算で小さい値の情報が無視されてしまう「情報落ち」が起こらないという特徴もある。

汎用的な数値計算などでは浮動小数点数を用いるのが普通だが、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)の座標計算やDSP(デジタルシグナルプロセッサ)の信号処理など、扱う値の幅が決まっており高速性が重要な用途では計算の高速化のために固定小数点数が好まれることがある。

浮動小数点数 ⭐⭐

コンピュータにおける数値の表現形式の一つで、数値を桁の並びを表す仮数部と小数点の位置を表す指数部に分割して表現する方式。小数点以下の値を含む数値の表現法として最も広く利用されている。

一つの数値を符号部(正負)、仮数部、指数部の3つのデータの組み合わせで表現(データ形式としては符号-指数-仮数の順に格納することが多い)する。仮数に基数(通常は2)を指数乗した値を乗じ、符号を付け加えたものが表現する数値となる。

例えば、「-4.375」は2進数では「-100.011」であり、仮数と指数に分離すると「-1.00011×1010」(値はすべて2進表記)となる。符号は正を0、負を1とすることが多いため、符号部の値は「1」、仮数部の値は「100011」、指数部の値は「10」となる。数値が0の場合は符号と指数は不定となるが、便宜上各部をすべて0としたもの(+0.0×100)を0の表現として扱うことが多い。

IEEE 754形式

浮動小数点数は全体のデータ長や仮数部と指数部のビット数の配分などで様々な形式が存在するが、広く普及している標準規格としてIEEE 754形式が知られる。

全体で16ビット(符号1+指数5+仮数10)の「半精度浮動小数点数」、32ビット(符号1+指数8+仮数23)の「単精度浮動小数点数」、64ビット(符号1+指数11+仮数52)の「倍精度浮動小数点数」、128ビット(符号1+指数15+仮数112)の「四倍精度浮動小数点数」の4つの形式が定められており、それぞれ表現できる数値の幅の異なる。実用上は単精度と倍精度がよく用いられ、プログラミング言語や論理回路などでもこの2つに標準で対応しているものが多い。

仮数の2進数表現は先頭が必ず1になる(2以上の数字は使わない)ため、これを省略して代わりに下位の桁の表現に回す手法(俗にケチ表現という)が用いられる。また、指数部を符号なし整数とするため、本来の値に最大値の半分-1を足した表現(俗にゲタ履き表現という)を用いる。例えば指数部が8ビットの場合は127を加え、128が1を、126が-1を表す。

単精度浮動小数点数 (single precision floating point number)

数値を仮数部と指数部に分けて表現する浮動小数点数の形式の一つで、一つの数値を32ビットのデータで表現する方式のこと。多くのプログラミング言語などでは単に浮動小数点といえば単精度を意味し、“float” などの名称で表されるデータ型が用意されている。

IEEE 754標準で規定された形式では32ビットのうち先頭1ビットが正負の符号部(0が正、1が負)、続く7ビットが指数部(基数は2)、残り24ビットが仮数部となる。表現できる値の大きさの範囲は十進表記で約1.2×10-38~約3.4×1038であり、精度は十進7桁程度となる。

倍精度浮動小数点数 (double precision floating point number)

数値を仮数部と指数部に分けて表現する浮動小数点数の形式の一つで、一つの数値を64ビットのデータで表現する方式のこと。多くのプログラミング言語などが高精度な数値計算のために組み込みデータ型として用意しており、 “double” などの名称で表される。

IEEE 754標準で規定された形式では64ビットのうち先頭1ビットが正負の符号部(0が正、1が負)、続く11ビットが指数部(基数は2)、残り52ビットが仮数部となる。表現できる値の大きさの範囲は十進表記で約2.2×10-308~約1.8×10308であり、精度は十進16桁程度となる。

半精度浮動小数点数型

プログラミング言語などで用いられる数値データ型の一つで、16ビット長の浮動小数点数を格納することができるもの。言語や処理系により「half」「fp16」「binary16」などの型名で表される。

小数点数以下の桁数が可変であるような実数値を表現することができる浮動小数点数型の一つで、一つの数値を16ビットの長さのデータとして表す。標準規格として普及しているIEEE 754の「binary16」形式の場合、十進数で-65,504~65,504の範囲を表現することができ、精度は3桁である。

binary16形式では、先頭1ビットが正負を表す符号部、続く5ビットが小数点の位置を表す指数部、残りの10ビットが各桁の値の並びを表す仮数部となっている。仮数の先頭が「1」になるよう調整され、この1を省略して2桁目から格納するケチ表現を採用しているため、実質的には11ビットで仮数を表す。

多くのプログラミング言語やCPUは、32ビットの単精度浮動小数点数型を標準の浮動小数点数型として扱っているが、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)や機械学習などの分野では計算精度より計算回数の方が重要な場面が多く、大量のデータを扱うため記憶容量の削減にも繋がることから、半精度浮動小数点数への対応が進みつつある。

浮動小数点数

コンピュータにおける数値の表現形式の一つで、数値を桁の並びを表す仮数部と小数点の位置を表す指数部に分割して表現する方式。小数点以下の値を含む数値の表現法として最も広く利用されている。

一つの数値を符号部(正負)、仮数部、指数部の3つのデータの組み合わせで表現(データ形式としては符号-指数-仮数の順に格納することが多い)する。仮数に基数(通常は2)を指数乗した値を乗じ、符号を付け加えたものが表現する数値となる。

例えば、「-4.375」は2進数では「-100.011」であり、仮数と指数に分離すると「-1.00011×1010」(値はすべて2進表記)となる。符号は正を0、負を1とすることが多いため、符号部の値は「1」、仮数部の値は「100011」、指数部の値は「10」となる。数値が0の場合は符号と指数は不定となるが、便宜上各部をすべて0としたもの(+0.0×100)を0の表現として扱うことが多い。

IEEE 754形式

浮動小数点数は全体のデータ長や仮数部と指数部のビット数の配分などで様々な形式が存在するが、広く普及している標準規格としてIEEE 754形式が知られる。

全体で16ビット(符号1+指数5+仮数10)の「半精度浮動小数点数」、32ビット(符号1+指数8+仮数23)の「単精度浮動小数点数」、64ビット(符号1+指数11+仮数52)の「倍精度浮動小数点数」、128ビット(符号1+指数15+仮数112)の「四倍精度浮動小数点数」の4つの形式が定められており、それぞれ表現できる数値の幅の異なる。実用上は単精度と倍精度がよく用いられ、プログラミング言語や論理回路などでもこの2つに標準で対応しているものが多い。

仮数の2進数表現は先頭が必ず1になる(2以上の数字は使わない)ため、これを省略して代わりに下位の桁の表現に回す手法(俗にケチ表現という)が用いられる。また、指数部を符号なし整数とするため、本来の値に最大値の半分-1を足した表現(俗にゲタ履き表現という)を用いる。例えば指数部が8ビットの場合は127を加え、128が1を、126が-1を表す。

単精度浮動小数点数 (single precision floating point number)

数値を仮数部と指数部に分けて表現する浮動小数点数の形式の一つで、一つの数値を32ビットのデータで表現する方式のこと。多くのプログラミング言語などでは単に浮動小数点といえば単精度を意味し、“float” などの名称で表されるデータ型が用意されている。

IEEE 754標準で規定された形式では32ビットのうち先頭1ビットが正負の符号部(0が正、1が負)、続く7ビットが指数部(基数は2)、残り24ビットが仮数部となる。表現できる値の大きさの範囲は十進表記で約1.2×10-38~約3.4×1038であり、精度は十進7桁程度となる。

倍精度浮動小数点数 (double precision floating point number)

数値を仮数部と指数部に分けて表現する浮動小数点数の形式の一つで、一つの数値を64ビットのデータで表現する方式のこと。多くのプログラミング言語などが高精度な数値計算のために組み込みデータ型として用意しており、 “double” などの名称で表される。

IEEE 754標準で規定された形式では64ビットのうち先頭1ビットが正負の符号部(0が正、1が負)、続く11ビットが指数部(基数は2)、残り52ビットが仮数部となる。表現できる値の大きさの範囲は十進表記で約2.2×10-308~約1.8×10308であり、精度は十進16桁程度となる。

浮動小数点数

コンピュータにおける数値の表現形式の一つで、数値を桁の並びを表す仮数部と小数点の位置を表す指数部に分割して表現する方式。小数点以下の値を含む数値の表現法として最も広く利用されている。

一つの数値を符号部(正負)、仮数部、指数部の3つのデータの組み合わせで表現(データ形式としては符号-指数-仮数の順に格納することが多い)する。仮数に基数(通常は2)を指数乗した値を乗じ、符号を付け加えたものが表現する数値となる。

例えば、「-4.375」は2進数では「-100.011」であり、仮数と指数に分離すると「-1.00011×1010」(値はすべて2進表記)となる。符号は正を0、負を1とすることが多いため、符号部の値は「1」、仮数部の値は「100011」、指数部の値は「10」となる。数値が0の場合は符号と指数は不定となるが、便宜上各部をすべて0としたもの(+0.0×100)を0の表現として扱うことが多い。

IEEE 754形式

浮動小数点数は全体のデータ長や仮数部と指数部のビット数の配分などで様々な形式が存在するが、広く普及している標準規格としてIEEE 754形式が知られる。

全体で16ビット(符号1+指数5+仮数10)の「半精度浮動小数点数」、32ビット(符号1+指数8+仮数23)の「単精度浮動小数点数」、64ビット(符号1+指数11+仮数52)の「倍精度浮動小数点数」、128ビット(符号1+指数15+仮数112)の「四倍精度浮動小数点数」の4つの形式が定められており、それぞれ表現できる数値の幅の異なる。実用上は単精度と倍精度がよく用いられ、プログラミング言語や論理回路などでもこの2つに標準で対応しているものが多い。

仮数の2進数表現は先頭が必ず1になる(2以上の数字は使わない)ため、これを省略して代わりに下位の桁の表現に回す手法(俗にケチ表現という)が用いられる。また、指数部を符号なし整数とするため、本来の値に最大値の半分-1を足した表現(俗にゲタ履き表現という)を用いる。例えば指数部が8ビットの場合は127を加え、128が1を、126が-1を表す。

単精度浮動小数点数 (single precision floating point number)

数値を仮数部と指数部に分けて表現する浮動小数点数の形式の一つで、一つの数値を32ビットのデータで表現する方式のこと。多くのプログラミング言語などでは単に浮動小数点といえば単精度を意味し、“float” などの名称で表されるデータ型が用意されている。

IEEE 754標準で規定された形式では32ビットのうち先頭1ビットが正負の符号部(0が正、1が負)、続く7ビットが指数部(基数は2)、残り24ビットが仮数部となる。表現できる値の大きさの範囲は十進表記で約1.2×10-38~約3.4×1038であり、精度は十進7桁程度となる。

倍精度浮動小数点数 (double precision floating point number)

数値を仮数部と指数部に分けて表現する浮動小数点数の形式の一つで、一つの数値を64ビットのデータで表現する方式のこと。多くのプログラミング言語などが高精度な数値計算のために組み込みデータ型として用意しており、 “double” などの名称で表される。

IEEE 754標準で規定された形式では64ビットのうち先頭1ビットが正負の符号部(0が正、1が負)、続く11ビットが指数部(基数は2)、残り52ビットが仮数部となる。表現できる値の大きさの範囲は十進表記で約2.2×10-308~約1.8×10308であり、精度は十進16桁程度となる。

符号部

数値をコンピュータ上で浮動小数点型のデータとして表現したときに、正負の符号を表す部分のこと。ほとんどの場合、先頭1ビットが0なら正、1なら負とする。

コンピュータ上では実数を表す数値表現として浮動小数点をよく用いる。これは数を「仮数×基数指数」という形式で表現するが、コンピュータ上ではすべての情報を「0」と「1」を組み合わせたデジタルデータとして表すため、仮数や指数は2進数で表し、基数は2となる。

浮動小数点数をビット列として表したとき、正負を表す符号の部分を「符号部」、仮数の桁の並びを格納した部分を「仮数部」、仮数に2の何乗をかけるかを表す指数を格納した部分を「指数部」という。データ型ごとに決められたビット数の中にこの3つを規定の長さずつ並べる。

例えば、標準規格のIEEE 754形式の場合、32ビット長の単精度浮動小数点数型では符号部1ビット、指数部8ビット、符号部23ビットがこの順に並んでいる。64ビット長の倍精度浮動小数点数型ではそれぞれ1ビット、11ビット、52ビットであり、16ビット長の半精度浮動小数点数型では1ビット、5ビット、10ビットとなる。いずれの場合も符号部が「0」なら正の数、「1」なら負の数を表す。

仮数部

数値をコンピュータ上で浮動小数点型のデータとして表現したときに、各桁の数字の並びを表す部分のこと。その数の有効数字を表している。

コンピュータ上では実数を表す数値表現として浮動小数点をよく用いる。これは数を「仮数×基数指数」という形式で表現するが、コンピュータ上ではすべての情報を「0」と「1」を組み合わせたデジタルデータとして表すため、仮数や指数は2進数で表し、基数は2となる。

浮動小数点数をビット列として表したとき、正負を表す符号の部分を「符号部」、仮数の桁の並びを格納した部分を「仮数部」、仮数に2の何乗をかけるかを表す指数を格納した部分を「指数部」という。データ型ごとに決められたビット数の中にこの3つを規定の長さずつ並べる。

例えば、標準規格のIEEE 754形式の場合、32ビット長の単精度浮動小数点数型では符号部1ビット、指数部8ビット、仮数部23ビットがこの順に並んでいる。64ビット長の倍精度浮動小数点数型ではそれぞれ1ビット、11ビット、52ビットであり、16ビット長の半精度浮動小数点数型では1ビット、5ビット、10ビットとなる。

なお、同じ数値でも仮数と指数の組み合わせには様々なパターンがあり得るが、通常は仮数が必ず「1.01101…」のように実数部分が「1」になるよう指数を調整する。実数は常に1であるため省略することができ、小数点以下の「01101…」の部分だけを記録すればよい。これを「けち表現」(hidden bit)と呼び、仮数のすべての桁を記録する場合より精度を1ビット向上させることができる。

指数部

数値をコンピュータ上で浮動小数点型のデータとして表現したときに、小数点の位置を指し示す部分のこと。その数のスケールを表している。

コンピュータ上で実数を表す数値表現として浮動小数点をよく用いる。これは数を「仮数×基数指数」という形式で表現する方式で、コンピュータではすべての情報を「0」と「1」を組み合わせたデジタルデータとして表すため、仮数や指数は2進数で表し、基数は2となる。

浮動小数点数をビット列として表したとき、正負を表す部分を「符号部」、仮数の桁の並びを格納した部分を「仮数部」、仮数に2の何乗をかけるかを表す指数を格納した部分を「指数部」という。データ型ごとに決められたビット数の中にこの3つを規定の長さずつ並べる。

例えば、標準規格のIEEE 754形式の場合、32ビット長の単精度浮動小数点数型では符号部1ビット、指数部8ビット、仮数部23ビットがこの順に並んでいる。64ビット長の倍精度浮動小数点数型ではそれぞれ1ビット、11ビット、52ビットであり、16ビット長の半精度浮動小数点数型では1ビット、5ビット、10ビットとなる。

なお、例えば指数部が8ビットの場合、指数は-128~127の値をとり得るが、指数部の整数表現として符号付き整数は用いず、0から255までの符号なし整数で表すことが多い。これを「イクセス表現」(excess notation/excess-N)「下駄履き表現」「バイアス表現」「オフセットバイナリ」等と呼ぶ。格納された値から127を引いたものが実際の値であり、「0」なら-127を、「127」なら0を、「255」なら128をそれぞれ表す。

指数部は特殊な値を表現するのに用いられることもある。例えば、IEEE 754形式では、指数部の値が最大値(8ビットなら255、実際の値は128)のとき、仮数部が0以外なら非数(NaN:Not a Number)を、仮数部が0の場合は無限大(正負は符号部で指定)を表す。また、指数部が最小値(8ビットなら0、実際の値は-127)のとき、仮数部が0なら「0」を、仮数部が0以外の場合は非正規化数(正規化できない絶対値が極端に小さな値)を表す。

桁落ち

丸め誤差を含む非常に近い大きさの小数同士で減算を行ったときに、有効数字が減る現象のこと。コンピュータでは浮動小数点数の数値計算において生じる。

長い桁の小数や無限小数を数値計算する場合には、ある桁以降の値を四捨五入するなどして有限桁で表す(丸める)ことがあるが、丸めた後の値が非常に近い値同士で減算を行うと差が非常に小さい値となり、計算前の値より有効な桁が大きく減少してしまうことがある。

例えば、√100001-√100000 という計算を有効数字8桁で行うと 0.31622935×103-0.31622777×103 = 0.158×10-2 となってしまい、得られた結果の有効な桁は3桁に減少してしまう。

コンピュータの浮動小数点形式では便宜上、計算の結果失われた下位の桁を0で埋めて 0.15800000×10-2 のように扱うため、これに大きな数を掛けるなど続けて計算していくことで、途中で生じた桁の欠落が最終的に大きな誤差を生じさせてしまうことがある。

端数処理 【丸め処理】

長い桁の数から、特定の短い桁の概数を求めること。「丸め処理」「丸め」とも言う。規定の桁数を超える部分をどう扱うかによっていくつかの方法がある。

例えば、「123.45」という数値を整数に丸める場合、整数部分だけを残して「123」とする処理を「切り捨て」、小数部分を「1」とみなして「124」とする処理を「切り上げ」という。また、小数部分が0.5以上なら切り上げ、0.5未満なら切り捨てる処理を「四捨五入」という。

負数を丸める場合、「-1.5の切り捨て」を絶対値の小数部分を切り捨てて「-1」とするか、正数と同じ方向に値を減らして「-2」とするか考え方が分かれる。通常は前者を採用するが、正確に伝えたい場合は前者を「0への丸め」、後者を「負の無限大への丸め」と呼ぶことがある。

切り上げについても、絶対値に着目して「-1.5」を「-2」とする考え方を「無限大への丸め」、値の増減に着目して「-1.5」を「-1」とする考え方を「正の無限大への丸め」という。四捨五入は正数と同じく最も近い値に丸めるのが原則だが、コンピュータでは端数がちょうど0.5の場合の処理が処理系によって異なる場合がある。

切り上げ、切り捨て、四捨五入の他にも、四捨五入で端数がちょうど0.5の場合は結果が偶数になるように丸める「偶数への丸め」、端数が0.5の場合に奇数になるように丸める「奇数への丸め」、端数0.5までは切り捨てて0.5よりも大きければ切り上げる「50捨51入」などもある。

プログラミング言語や表計算ソフトなどでは、四捨五入を表す関数名やメソッド名には「round」が、切り上げには「ceil」(「天井」の意)または「roundup」が、切り捨てには「floor」(「床」の意)あるいは「rounddown」が用いられることが多い。

丸め誤差 ⭐⭐

長い桁や無限桁の小数を扱う際に、これを有限桁で表すためにある桁以降の値を捨ててしまうことにより生じる誤差のこと。コンピュータでは浮動小数点型の数値計算などで現れる。

循環小数や無理数、長い桁の小数などを計算する場合に、浮動小数点型や整数型の数値として表すため、これらのデータ型で表現可能な桁数より後ろの値を切り上げや切り捨て、四捨五入などによって捨て去ることがある。このような下位桁を削る処理を「丸める」(丸め処理)と呼び、このとき捨てた値によって本来の値との間に生じるズレを丸め誤差という。

コンピュータは数値を2進法を用いて限られた桁数で表現するため、丸め誤差は整数と実数の間だけでなく、仮数部の桁数の異なる浮動小数点型(float型とdouble型など)の間や、十進数では有限桁の小数値を2進数で表現しようとすると循環小数になってしまう場合(十進数の0.1を2進数で表すと0.00011001100110011…となる)などでも生じることがある。

丸め誤差は取り扱える桁数の制約から仕方なく生じるため、完全に回避することは困難だが、数値の表現形式や計算手順を工夫して影響を小さく抑えることは可能な場合もある。

OS 【Operating System】 ⭐⭐⭐

ソフトウェアの種類の一つで、機器の基本的な管理や制御のための機能や、多くのソフトウェアが共通して利用する基本的な機能などを実装した、システム全体を管理するソフトウェア。

CPU(MPU/マイクロプロセッサ)や主記憶装置(メインメモリ)、外部記憶装置(ストレージ)、入出力装置などコンピュータのハードウェア資源の管理、外部の別の装置やネットワークとのデータ通信の制御などが主な役割で、コンピュータに電源が投入されると最初に起動し、電源が落とされるまで動作し続ける。

利用者に対するコンピュータの基本的な操作手段も提供し、入力装置による操作の受け付けや出力装置への情報の提示、基本ソフト自体が備える様々な機能の実行、記憶装置内に格納されたプログラムの起動や終了、ストレージに格納されたファイルやディレクトリの操作などを行うことができる。

アプリケーションソフトとの関係

基本ソフトの機能を利用し、OSの上で動作するソフトウェアを「アプリケーションソフト」(application software/応用ソフト)という。アプリケーションの開発者は、呼び出し規約(API:Application Programming Interface)に基づいて基本ソフトの提供する機能を利用することができ、開発の手間を省き操作性を統一することができる。

また、ハードウェアの仕様の細かな違いは基本ソフトが吸収してくれるため、ある基本ソフト向けに開発されたアプリケーションは、基本的にはその基本ソフトが動作する他のコンピュータでも使用できる。ただし、CPUの種類が異なるなど根本的な仕様が異なる場合は、同じOSでも機種ごとに調整されたプログラムが必要となる。

OSの種類

OSは動作する機器の種類や目的などに応じていくつかの異なるタイプに分かれる。最も一般的なのはパソコンやサーバなどの汎用コンピュータ向けの汎用OSで、サーバコンピュータの運用に特化した「サーバOS」、利用者が操作する端末での利用を想定した「クライアントOS」などに分かれる。

汎用OS以外にも、デジタル家電や産業機械などに制御用として組み込まれた特定目的の専用コンピュータの制御に特化した「組み込みOS」がある。中でも、乗り物の駆動装置の制御など、リアルタイム性の高い制御プログラムの実行に特化した設計のOSは「リアルタイムOS」と呼ばれる。

パソコン向けのOSとして広く利用されているものには米マイクロソフト(Microsoft)社の「Windows」シリーズや米アップル(Apple)社の「macOS」(旧Mac OS X)シリーズなどがある。サーバ向けのOSとしては「Linux」などのいわゆるUNIX系OSや、サーバ向けWindowsである「Windows Server」シリーズなどがよく知られる。スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器では米グーグル(Google)社の「Android」とApple社の「iOS」(iPad OS/watchOS)が市場を二分する。

OS 【Operating System】 ⭐⭐⭐

ソフトウェアの種類の一つで、機器の基本的な管理や制御のための機能や、多くのソフトウェアが共通して利用する基本的な機能などを実装した、システム全体を管理するソフトウェア。

CPU(MPU/マイクロプロセッサ)や主記憶装置(メインメモリ)、外部記憶装置(ストレージ)、入出力装置などコンピュータのハードウェア資源の管理、外部の別の装置やネットワークとのデータ通信の制御などが主な役割で、コンピュータに電源が投入されると最初に起動し、電源が落とされるまで動作し続ける。

利用者に対するコンピュータの基本的な操作手段も提供し、入力装置による操作の受け付けや出力装置への情報の提示、オペレーティングシステム自体が備える様々な機能の実行、記憶装置内に格納されたプログラムの起動や終了、ストレージに格納されたファイルやディレクトリの操作などを行うことができる。

アプリケーションソフトとの関係

オペレーティングシステムの機能を利用し、OSの上で動作するソフトウェアを「アプリケーションソフト」(application software/応用ソフト)という。アプリケーションの開発者は、呼び出し規約(API:Application Programming Interface)に基づいてオペレーティングシステムの提供する機能を利用することができ、開発の手間を省き操作性を統一することができる。

また、ハードウェアの仕様の細かな違いはオペレーティングシステムが吸収してくれるため、あるオペレーティングシステム向けに開発されたアプリケーションは、基本的にはそのオペレーティングシステムが動作する他のコンピュータでも使用できる。ただし、CPUの種類が異なるなど根本的な仕様が異なる場合は、同じOSでも機種ごとに調整されたプログラムが必要となる。

OSの種類

OSは動作する機器の種類や目的などに応じていくつかの異なるタイプに分かれる。最も一般的なのはパソコンやサーバなどの汎用コンピュータ向けの汎用OSで、サーバコンピュータの運用に特化した「サーバOS」、利用者が操作する端末での利用を想定した「クライアントOS」などに分かれる。

汎用OS以外にも、デジタル家電や産業機械などに制御用として組み込まれた特定目的の専用コンピュータの制御に特化した「組み込みOS」がある。中でも、乗り物の駆動装置の制御など、リアルタイム性の高い制御プログラムの実行に特化した設計のOSは「リアルタイムOS」と呼ばれる。

パソコン向けのOSとして広く利用されているものには米マイクロソフト(Microsoft)社の「Windows」シリーズや米アップル(Apple)社の「macOS」(旧Mac OS X)シリーズなどがある。サーバ向けのOSとしては「Linux」などのいわゆるUNIX系OSや、サーバ向けWindowsである「Windows Server」シリーズなどがよく知られる。スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器では米グーグル(Google)社の「Android」とApple社の「iOS」(iPad OS/watchOS)が市場を二分する。

デバイスドライバ 【ドライバソフト】

コンピュータ内部に装着された装置や、外部に接続した機器などのハードウェアを制御・操作するためのソフトウェア。OSの一部として取り込まれて一体的に動作する。

オペレーティングシステム(OS)がハードウェアを制御するための橋渡しを行なうプログラムで、利用者が直接操作することは稀で、OSに組み込まれてその機能の一部として振舞うようにできている。単に「ドライバ」と呼ばれることも多い。

OSや各プログラムは定められた手順でデバイスドライバに処理を依頼する形を取ることで、それぞれが個別のハードウェアの制御仕様に直接対応する必要がなくなり、また、機種の違いに依らず同じ機能は同じ手順で利用することができるようになる。

個別ドライバと標準ドライバ

個々のハードウェアはそれぞれ固有の機能や制御仕様を持っているため、原則として機種ごとに対応するデバイスドライバを入手・導入しなければ使用・操作することはできない。

ただし、キーボードやマウスなど機種毎の機能や仕様の差異が小さい装置については業界団体や有力メーカーが主導して共通仕様が定められている場合があり、OSに付属する標準のドライバ(ジェネリックドライバなどと呼ばれる)で大半の機能を使用できることが多い。

ドライバの入手・導入

コンピュータ周辺機器はパッケージの一部として添付された記憶メディアに電子マニュアルやユーティリティソフトなどとともにデバイスドライバが同梱され、簡単な操作でOSに導入できるようになっていることが多い。

また、開発元のWebサイトでダウンロードできるようになっている場合もあるほか、Windows UpdateなどOSのソフトウェア更新プログラムを経由して入手できるようになっていることもある。

デバイスドライバはOSごとに開発する必要があるため、Windowsのような有力なOSではほとんどのメーカーがデバイスドライバを用意しているが、マイナーなOSだと物理的に装着できてもドライバが提供されず使用できない場合がある。

ディレクトリ ⭐⭐

電話帳(phone~)、住所録、名鑑、要覧、指導書、規則集などの意味を持つ英単語。IT関連では、多数の対象をその所在などの情報と共に一覧できるよう整理したものを意味することが多い。

ファイルシステムのディレクトリ

ストレージ(外部記憶装置)のファイルシステムなどで、複数のファイルを格納し、ファイルを分類・整理することができる保管場所のことをディレクトリということがある。OSによっては同様の仕組みを「フォルダ」(folder)ということもある。

ストレージ内部を論理的に区切って名前をつけて区別する仕組みで、ディレクトリ名によって識別される。ディレクトリ内には任意のファイルを置くことができるほか、別のディレクトリを作成して入れ子状にすることができる。ディレクトリ内に作られたディレクトリは「サブディレクトリ」(subdirectory)あるいは「子ディレクトリ」などと呼ばれる。

ディレクトリの入れ子関係は、システムやストレージ領域の全体を表すディレクトリを頂点とする階層構造(あるいは木構造)として表すことができ、これを根本から先端に向かって枝分かれする樹木の形になぞらえて「ディレクトリツリー」と呼ぶことがある。

UNIX系OSでは、ストレージや他のシステム資源全体を包含する「ルートディレクトリ」(root directory)を頂点として、Windowsでは各ドライブごとにその内部を包含する「ドライブルート」(drive root)を頂点として、それぞれディレクトリの位置を指し示す。

ストレージ内でのディレクトリやファイルの所在は、「/foo/var/hoge.txt」のようにルートからの経路を順に並べた「パス」(path)によって表す。UNIX系OSでは区切り文字として「/」(スラッシュ)を用いるが、Windowsでは「C:\foo\var\hoge.txt」のように「\」(バックスラッシュ)を用いる。日本語版では同じ文字コードを共有している円マーク(¥)になる。

ディレクトリサービス (directory service)

情報システムの一種で、ネットワーク上に存在する機器やサービスについての情報や、利用者の識別や権限に関する情報を一元管理する仕組みのことを「ディレクトリサービス」(directory service)あるいは単にディレクトリという。

原義の電話帳に近い役割をコンピュータネットワーク上で果たすシステムで、登録利用者のアカウント情報(ユーザー名やパスワード、各種の権限など)、ネットワーク上のサーバコンピュータが提供する機能、共有データ(共有ファイル、共有ディレクトリなど)、プリンタなどの周辺機器についての情報を集めて単一のデータベースに登録して管理する。

利用者はディレクトリにアクセスすることでネットワーク上の資源の所在を知ることができ、個々の資源に対して権限の確認をしなくても、一度のログイン操作で許可された資源を自由に利用できるようになる。米マイクロソフト(Microsoft)社がWindows Serverなどで提供しているActive Directory(アクティブディレクトリ)が特に有名である。

パス 【パス名】

小道、道筋、進路、通り道などの意味を持つ英単語で、ITの分野では、コンピュータ内で特定の資源の所在を表す文字列のことをパスという。ストレージ(外部記憶装置)内でファイルやディレクトリ(フォルダ)の位置を表すのに用いられるが、他の用途でも使われる。

ストレージの多くはファイルシステムによって管理され、多数のファイルをグループ分けして整理しやすいように、複数のファイルを格納できる「ディレクトリ」(directory)が多段階の入れ子状になった構造になっている。これを階層構造と捉えて、最上位から順にディレクトリ名を並べて記したものがパスである。

例えば、LinuxなどのUNIX系OSで「/foo/var/hoge.txt」というパスは、ルートディレクトリ(最上位ディレクトリ)にある「foo」ディレクトリの中の「var」ディレクトリの中にある「hoge.txt」というファイルを指している。

Windows(および前身のMS-DOSなど)では、先頭をドライブレターに「:」(コロン)とし、区切り文字を「\」(日本では円マーク「¥」、欧米ではバックスラッシュ「\」)として「C:\foo\var\hoge.txt」のように表す。この例は、Cドライブの「foo」フォルダの中の「var」フォルダの中の「hoge.txt」ファイルを指す。

相対パスと絶対パス

現在操作対象としているディレクトリ位置(カレントディレクトリ)を起点に、相対的な位置を記述する記法を「相対パス」(relative path)、階層構造の頂点(ルートディレクトリ)からの位置を記述する記法を「絶対パス」(absolute path)という。

相対パスは現在位置を「.」、一つ上の階層の親ディレクトリを「..」という特殊な表記で表し、「./hoge.txt」(カレントディレクトリにあるhoge.txt)や「../../hoge.txt」(2階層上のディレクトリのhoge.txt)のように書き表す。

特殊なパス

パスが最もよく使われるのはファイルシステムで管理されるストレージにおけるファイルやディレクトリの位置の記述だが、ストレージ以外の周辺機器などを指し表す特殊なパス表記が使われることもある。

例えば、UNIX系OSでは「/dev」以下のパスには周辺機器や標準入出力、特殊な機能(出力を捨てるための/dev/null等)にアクセスできる「スペシャルファイル」が置かれており、Windowsでも画面出力を表す「con」やプリンタを表す「prn」など特殊なパス(予約デバイス名)が存在する。

また、UNIX系OSでは個々の利用者のためのスペースとしてホームディレクトリが設けられ、標準的には「/home/ユーザー名」という位置に置かれる。自分のホームディレクトリは「~」(チルダ)という特殊な記号で表すこともできる。すなわち、「~」の指し示すストレージ内での位置はログインしているユーザーによって異なる。

UNC

Windowsではパスの表記をネットワーク上の他のコンピュータの共有資源(共有フォルダなど)に拡張したものとして「UNC」(Universal Naming Convention)が定められている。これは先頭に「\\コンピュータ名\共有名」を付けたもので、残りはそのコンピュータ内でのパスが続く。これにより別のコンピュータの共有フォルダの中のファイルや共有プリンタなどを通常のパスと同じように書き表すことができる。

相対パス 【相対パス指定】

ファイルなどの所在を書き表すパス(path)の表記法の一つで、現在位置からの相対的な位置関係を記述する方式。起点となる位置から目的の位置までの道筋にある要素を順に並べて記述する。

システムが現在操作対象としているカレントディレクトリ(カレントフォルダ)を起点に、指し示したいディレクトリやファイルの相対位置を記述する方法で、途中にあるディレクトリを区切り記号で繋いで並べる。区切り記号はWindowsの場合、日本では「¥」(円記号、実際には半角文字)、海外では「\」(バックスラッシュ、同)を用い、UNIX系OSやWebサーバなどでは「/」(スラッシュ)を用いる。

カレントディレクトリは省略可能だが明示したい場合は「.」で表し、一階層上位のディレクトリは「..」で表す。「..」を繰り返し記述することでディレクトリ階層の親子関係をたどって上へ移動することができる。例えば、「../../foo/bar.txt」という記述は、現在のディレクトリの二階層上のディレクトリの中にある「foo」ディレクトリの中にある「bar.txt」というファイルを指し示している。

一方、現在位置とは無関係に、ドライブやシステムの最上位ディレクトリ(ルートディレクトリ、ルートフォルダ)からの絶対的な位置関係を記述するパスの指定方法を「絶対パス」(absolute path)という。

絶対パス

ファイルなどの所在を書き表すパス(path)の表記法の一つで、階層構造の頂点(最上位階層)からの位置関係を記述する方式。

現在位置とは無関係に、ドライブやシステムの最上位ディレクトリ(ルートディレクトリ、ルートフォルダ)から目的のディレクトリ(フォルダ)やファイルまでの道筋を省略なくすべて記述する方法で、途中にあるディレクトリを区切り記号で繋いで並べる。

UNIX系OSでは頂点はルートディレクトリ(「/」で表される)で、「/」(スラッシュ)を区切り記号として「/usr/bin/sh」のように途中にあるディレクトリを順に示す。WebサイトやFTPサーバなどネット上の資源を記述する際も(サーバがWindows等でも)この形式が用いられる。

MS-DOSやWindowsではドライブ名(「C:¥」など)を頂点に、日本では「¥」(円記号、実際には半角文字)、海外では「\」(バックスラッシュ、同)を区切り記号として記述する。Windowsネットワークのファイル共有ではコンピュータ名を頂点に「¥¥コンピュータ名¥共有名¥パス」といった形式で記述するUNC(Universal Naming Convention)を用いる。

一方、システムが現在操作対象としているカレントディレクトリ(カレントフォルダ)を起点に、相対的な位置関係を記述する方式は「相対パス」(relative path)という。

絶対パスとフルパス

絶対パスとフルパスは通常同じ意味として用いられ、特にコンピュータ上でファイルシステムを扱う際には技術的な区別は存在しない。

ただし、Webサーバ等の運用においては、URLのパス部分の絶対指定のことを「絶対パス」(現在位置起点を「相対パス」)とし、サーバ内部でのファイルシステム上でのパスの絶対指定を「フルパス」と呼び分ける場合がある。

例えば、「https://www.example.com/mydir/myfile.html」というURLで参照されるファイルを、サーバ内の別のWebページなどから「/mydir/myfile.html」と指定したものが絶対パスにあたる。一方、このファイルがサーバ内部では実際には「/var/www/html/mydir/myfile.html」という位置に置かれている場合に、これをフルパスと呼ぶ。

アプリケーションソフト 【アプリ】 ⭐⭐⭐

ある特定の機能や目的のために開発・使用されるソフトウェア。利用者が目的に応じて導入し、オペレーティングシステム(OS)の上で動作させる。

現代のコンピュータではOSが機器(ハードウェア)を管理・制御しており、アプリケーションソフトはOSの機能を利用して動作する。「アプリケーション」(application)あるいは「アプリ」(app)と略されたり「応用ソフト」と訳されることもある。

用途や目的に応じて多種多様なアプリケーションソフトがあり、日常的に利用される代表的なものだけでも、ワープロソフトや表計算ソフト、画像閲覧・編集ソフト、動画・音楽再生ソフト(メディアプレーヤー)、ゲームソフト、Webブラウザ、電子メールソフト、カレンダー・スケジュール管理ソフト、電卓ソフト、カメラ撮影ソフト、地図閲覧ソフトなどがある。

企業などの業務で使われる、プレゼンテーションソフトやデータベースソフト、財務会計ソフト、人事管理ソフト、在庫管理ソフト、プロジェクト管理ソフト、文書管理ソフト、生産管理ソフトなどもアプリケーションソフトの一種である。

提供方法の違い

アプリケーションソフトは無償配布あるいは販売されているパッケージを利用者が入手・購入してオペレーティングシステム(OS)に組み込む作業を行うことで使用可能となる。この作業を「インストール」(install/installation)という。OS製品の中にはいくつかのアプリケーションソフトがあらかじめ組み込まれている(プリインストール)ものもある。

大企業や官公庁などが自社の業務に用いるアプリケーションソフトの中には、市販のパッケージソフトではなく自社で開発、あるいは外部の専門の事業者に委託して開発させた「カスタムアプリケーション」もある。市販のものに比べ開発コストはかかるが、自社業務に特化した仕様となっている。

業務などで用いる大規模なアプリケーションソフトの場合、コンピュータに導入された単体のソフトウェアで機能が完結しているとは限らず、機能やデータを提供する「サーバ」と利用者が操作する「クライアント」が連携して動作する「クライアントサーバ型」の構造になっているものもある。

モバイルアプリ/Webアプリ

近年ではスマートフォンやタブレット端末などの携帯機器にタッチ操作できるアプリケーションソフトを導入してパソコンなどの代わりに利用する場面が増えている。これらは「モバイルアプリケーション」と呼ばれ、慣用的に「アプリ」(app)と略されることが多い。

スマートフォンなどには機器や専用OSの開発元が「アプリストア」と呼ばれるネットサービスにアクセスするためのアプリをあらかじめ組み込んで販売しており、利用者はストアからほしいアプリを選んで端末に組み込んで使用する。iPhoneなどのiOS端末では米アップル(Apple)社の「App Store」のみが利用でき、Android端末では米グーグル(Google)社の「Google Playストア」が標準的なストアである。

また、SNSやECサイトなどのネットサービスでは、Webサイトに動的な要素を組み込んでアプリケーションソフトのように振る舞わせ、Webブラウザから操作する方式も広く普及している。このような実装形態を「Webアプリケーション」と呼ぶ。

他のソフトウェアとの違い

コンピュータのハードウェアに対する基本的な制御機能や、様々なソフトウェアが共通して利用する機能をまとめたソフトウェアは「オペレーティングシステム」(OS:Operating System、基本ソフト)と呼ばれる。また、OSとしての制御機能は持たないが、多くのアプリケーションソフトが必要とする特定分野のまとまった機能を提供するソフトウェアは「ミドルウェア」(middleware)と呼ばれる。

アプリケーションソフトの中でも、ファイルやフォルダの圧縮・解凍や、コンピュータウイルスの探知・駆除、記憶装置(メモリ・ストレージ)管理など、システムや他のソフトウェアの機能を補ったり、性能や操作性、安全性を向上させたりするものは「ユーティリティソフト」(utility software)と呼び、アプリケーションソフトとは別の分類とする場合もある。

アプリケーションソフトという用語や分類は、パソコンのように利用者が目的に応じて後からソフトウェアを追加して使用できる汎用コンピュータについて主に用いられ、組み込みソフトウェア(家電の制御ソフトなど)や特定用途の専用コンピュータなどでは、OSなどのシステム系のソフトウェアとアプリケーションソフトの区別や境目が明確でない場合もある。

プログラム ⭐⭐⭐

予定(表)、計画(表)、課程、式次第などの意味を持つ英単語。ITの分野では、コンピュータに行わせる処理を記述したコンピュータプログラムのことを略して単にプログラムということが多い。

コンピュータプログラム (computer program)

コンピュータが行うべき処理を順序立てて記述したもの。広義の「ソフトウェア」の一部であるが、実用上はプログラムとソフトウェアはほとんど同義のように扱われることが多い。

現代のコンピュータではプログラムは一定の形式に従ってデータとして表現され、記憶装置(メインメモリ)に格納される。実行時にはCPU(中央処理装置)がプログラムに記述された命令を順番に読み出して解釈・実行していく。

プログラムを作成する作業や工程を「プログラミング」(programming)、これを行う人や職種のことを「プログラマ」(programmer)という。人間がプログラムを記述する際には、人間が理解しやすい人工言語である「プログラミング言語」(programming language)を使うことが多い。プログラミング言語で記述されたプログラムを「ソースコード」(source code)という。

ソースコードはコンピュータが解釈・実行することができないため、コンパイラなどの変換ソフトによってコンピュータが解釈・実行できる機械語(マシン語)などで構成された「オブジェクトコード」(object code)に変換されてから実行される。スクリプト言語のように、この変換処理を開発時には行わず、実行時にインタプリタなどのソフトウェアによって動的に行う場合もある。

ソースコード 【ソースプログラム】 ⭐⭐

プログラミング言語などの人間が理解・記述しやすい言語やデータ形式を用いて書き記されたコンピュータプログラムのこと。プログラムに限らず、人工言語や一定の規約・形式に基いて記述された複雑なデータ構造の定義・宣言などのこともソースコードと呼ぶ場合がある。

コンピュータへの指示や一連の処理手順などをプログラミング言語によって文字データの羅列として表記したもので、そのままではコンピュータ(のCPU)では実行できないため、CPUが直に解釈できる命令コードの体系である機械語(マシン語)によるプログラムに変換されて実行される。

変換後の機械語による実行可能プログラムを「オブジェクトコード」(object code)、「オブジェクトプログラム」(object program)、「ネイティブコード」(native code)、「ネイティブプログラム」(native program)、「バイナリコード」(binary code)などと呼ぶ。

実行可能形式への変換

ソースコードからオブジェクトコードへの変換はソフトウェアによって自動的に行うのが一般的となっている。アセンブリ言語で記述されたソースコードを変換することを「アセンブル」(assemble)、そのようなソフトウェアを「アセンブラ」(assembler)という。

アセンブリ言語以外の高水準言語で記述されたソースコードを一括して変換することは「コンパイル」(compile)と言い、そのようなソフトウェアを「コンパイラ」(compiler)という。実行時に少しずつ変換しながら並行して実行するソフトウェアもあり、「インタプリタ」(interpreter)と呼ばれる。

開発時にソースコードから直接オブジェクトコードへ変換せずに、特定の機種やオペレーティングシステム(OS)の仕様・実装に依存しない機械語風の独自言語による表現(中間コード)に変換して配布し、実行時に中間コードからCPU固有の機械語に変換するという二段階の変換方式を用いる言語や処理系もある。

ソースコードの作成

ソースコードは多くの場合、人間がキーボードなどを操作して文字を入力して記述する。この作業・工程を「コーディング」(coding)という。ソースコードはテキストデータの一種であるため文書編集ソフトで作成することはできず、テキストエディタや統合開発環境(IDE)に付属する専用のコードエディタなどを用いることが多い。

必ずしも人間が記述するとは限らず、何らかの元になるデータや入力からソフトウェアによって生成したり、別の言語で記述されたソースコードを変換して生成したり、オブジェクトコードを逆変換してソースコードに戻したりといった方法で、ソフトウェアが自動的・機械的に作成する場合もある。

ソースコードの公開・非公開

日本を含む多くの国でソースコードは著作物の一種として著作権で保護されている。販売される商用ソフトウェア製品の多くは、ソースコードを企業秘密として非公開とし、人間に可読でない中間コードやオブジェクトコードによる実行プログラムのみを利用者に提供している。

一方、ソースコードを公開し、誰でも自由に入手、利用、改変、再配布、販売などができるようにしている場合もある。そのようなソフトウェアを、ソースコードがオープンになっているという意味で「オープンソースソフトウェア」(OSS:Open Source Software)という。ボランティアのプログラマが個人あるいは共同で開発しているソフトウェアに多いが、企業がOSSを開発・公開している例も多く見られる。

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