高校「情報Ⅰ」単語帳 - 第一学習社「高等学校 情報Ⅰ」 - メディアの特性とコミュニケーション手段

アナログ量 【連続量】

大きさや強さが連続的に変化するような量のこと。実数で表されるような量で、物理量の多くが含まれる。最小量を単位に段階的に表される「デジタル量」(離散量/分離量)と対比される。

長さや重さ、面積、体積、時間、電流、電圧など物理量の多くは連続的に変化し、どんな小さな値もそれより小さな値に分割することができる。このような量をアナログ量あるいは連続量と呼び、ある連続量を別の連続量で表す情報の表現方式を「アナログ」(analog)という。

一方、個数や人数、金額のように、最小単位が決まっている段階的な量を「デジタル量」あるいは「離散量」「分離量」と呼ぶ。整数で表されるような量で、中間のない等間隔の飛び飛びの値を取る。情報を離散量として表す方式を「デジタル」(digital)という。

例えば、時間の流れは本来的には連続的であり連続量として表されるが、日常的には年、月、日、時、分、秒といった整数を組み合わせて段階的な量として取り扱うことがある。針が滑らかに動く時計は時間という連続量を針の角度(の変化)という別の連続量に写し取って表現した「アナログ時計」である。一方、液晶画面に時、分、秒を表示する時計は、時間を段階的に推移する離散量に近似して表現した「デジタル時計」である。

デジタル量 【離散量】

大きさや強さが段階的に変化するような量のこと。整数で表されるような量で、個数や金額などが該当する。無段階で連続的に変化する「アナログ量」(連続量)と対比される。

個数や人数、金額などは、それ以上分割できない最小単位が決まっており、中間のない等間隔の飛び飛びの値を取る。すべての量は最小単位の整数倍として表すことができる。このような量をデジタル量あるいは離散量、分離量と呼び、量を離散量として表す情報の表現方式を「デジタル」(digital)という。

一方、長さや重さ、時間、電流など物理量の多くは連続的に変化し、どんな小さな値もそれより小さな値に分割することができる。このような量を「アナログ量」あるいは「連続量」と呼び、ある連続量を別の連続量で表す情報の表現方式を「アナログ」(analog)という。

例えば、時間の流れは本来的には連続的であり連続量として表されるが、日常的には年、月、日、時、分、秒といった整数を組み合わせて段階的な量として取り扱うことがある。液晶画面に時、分、秒を表示する時計は、時間を段階的に推移する離散量に近似して表現した「デジタル時計」である。一方、針が滑らかに動く時計は時間という連続量を針の角度(の変化)という別の連続量に写し取って表現した「アナログ時計」である。

デジタル量 【離散量】

大きさや強さが段階的に変化するような量のこと。整数で表されるような量で、個数や金額などが該当する。無段階で連続的に変化する「アナログ量」(連続量)と対比される。

個数や人数、金額などは、それ以上分割できない最小単位が決まっており、中間のない等間隔の飛び飛びの値を取る。すべての量は最小単位の整数倍として表すことができる。このような量を離散量あるいは離散量、分離量と呼び、量を離散量として表す情報の表現方式を「デジタル」(digital)という。

一方、長さや重さ、時間、電流など物理量の多くは連続的に変化し、どんな小さな値もそれより小さな値に分割することができる。このような量を「アナログ量」あるいは「連続量」と呼び、ある連続量を別の連続量で表す情報の表現方式を「アナログ」(analog)という。

例えば、時間の流れは本来的には連続的であり連続量として表されるが、日常的には年、月、日、時、分、秒といった整数を組み合わせて段階的な量として取り扱うことがある。液晶画面に時、分、秒を表示する時計は、時間を段階的に推移する離散量に近似して表現した「デジタル時計」である。一方、針が滑らかに動く時計は時間という連続量を針の角度(の変化)という別の連続量に写し取って表現した「アナログ時計」である。

デジタル 【ディジタル】

機械で情報を扱う際の表現方法の一つで、情報をすべて整数のような離散的な値の集合として表現し、段階的な物理量に対応付けて記憶・伝送する方式のこと。特に、情報を2進数の「0」と「1」の組み合わせに置き換えて表現する方式。

現代のコンピュータはデータをすべて2進数の値の列に置き換え、これをスイッチのオン・オフや電圧の高低など明確に区別できる2状態の物理量に対応させて保存・伝送する。これに合わせて、通信回線や記憶媒体などもデジタルデータ方式で情報を取り扱うようになっている。

対義語は「アナログ」(analog)で、情報を連続した物理量で表現する方式を意味する。初期の情報機器はアナログテレビ放送や音楽レコードのようにアナログ方式で情報を記録・伝送していたが、現代ではコンピュータの普及に合わせて動画配信やCDのようにデジタルデータ方式への置き換えが進んでいる。

デジタルデータで情報を扱う利点として、保存や伝送、再生、複製などを行う際に劣化やノイズの影響を受けにくく、伝送・複製を何度繰り返しても内容が変化しない点や、様々な種類の情報を数値の集合として同じように扱うことができ、情報の種類によって媒体の選択に制限を受けない点などがある。ただし、連続的に変化する信号を離散値に変換する際に、必ず本来の信号からのズレ(量子化誤差/標本化誤差)が生じる。

機器などの内部的にはデジタル処理が行われていても、人間には連続的に感じられる多段階の値で量を識別するような方式を便宜上アナログと呼ぶ場合がある。例えば、ゲーム機のコントローラの種類の一つで、方向の指示を多段階に滑らかに変化させられるものをアナログコントローラという。

比喩や誤用

コンピュータやデータ通信、デジタル方式の記憶媒体などが普及するに連れ、「デジタルデータ」という語をコンピュータやインターネットに関連するものの総称、「アナログ」をその逆、すなわち「電気・電子技術に依らないもの」とする比喩的な用法が広まった。

このような用例の多くは本来の情報の表現形式の違いとは無関係に用いられるため、カードゲームやボードゲームなどをビデオゲームに対比して「アナログゲーム」と呼んだり、そろばんを計算機と対比して「アナログな計算方法」と呼んだりするが、これらは離散的な数値しか扱わないため、情報の扱い方そのものはデジタルデータ的である。

デジタル化

物事の仕組みや手段にコンピュータや通信ネットワークなどのデジタル技術を取り入れること。または、アナログ信号をデジタルデータに変換すること(A/D変換)。

パソコンやスマートフォンなどの電子機器、構内ネットワーク(LAN)やインターネットなどのコンピュータネットワーク、Webサイトやネットサービスなどを駆使し、情報の作成や取得、保管、加工、伝送をデジタルデータの状態で行うようにする。

ビジネスや何らかの組織的な活動についてデジタル化という場合、その目的やデジタル技術の活用度合いなどに応じて何段階かに分類される。一般的にはアナログに近い方から順に「デジタイゼーション」(digitization)、「デジタライゼーション」(digitalization)、「デジタルトランスフォーメーション」(digital transformation)の3段階に整理することが多い。

デジタイゼーション (digitization)

情報の形態や形式を紙面などの物体やアナログ形式からコンピュータ上のファイルなどデジタル形式に置き換えることを「デジタイゼーション」(digitization)という。

例えば、書類をイメージスキャナで取り込んで画像ファイルやPDF文書などに変換して保存したり、FAXや郵便の代わりに電子メールを導入することなどが該当する。情報の保管や伝送がデジタル技術に置き換わり効率化やコスト削減などを進める効果はあるが、ビジネスの仕組みや業務手順などはアナログ時代と特に変わらない。

デジタライゼーション (digitalization)

単なるデジタルへの置き換えに留まらず、業務プロセスをデジタル技術を前提としたものに変革することを「デジタライゼーション」(digitalization)という。

例えば、製品をECサイトで販売したり、書類の伝票を挟まずにシステム間の通信で受発注を行ったり、蓄積したデータを解析ツールなどで分析し、企画や意思決定などに反映させることなどが該当する。アナログ時代には不可能だったようなこともできるようになり、事業や製品の様態も大きく変革される。

デジタルトランスフォーメーション (DX)

デジタライゼーションを更に推し進め、業務手順などに留まらず事業の仕組みや製品、組織の在り方などをデジタルに合わせて根本的に作り直すことを「デジタルトランスフォーメーション」(DX:Digital Transformation)という。

例えば、映画やテレビ番組のような動画コンテンツを制作して定額でネット配信する動画配信サービス、CDやダウンロード販売に代わって楽曲を定額聴き放題で提供する音楽ストリーミングサービス、通信端末で利用するキャッシュレス決済サービスなどは、既存のビジネスの仕組みやインフラを前提とせず、デジタルで完結する新しいモデルで事業を展開している。

サンプリング 【標本化】 ⭐⭐⭐

対象全体の中から何らかの基準や規則に基いて一部を取り出すこと。統計調査などで少数の調査対象を選び出すことや、信号のデジタル化などで一定周期で強度を測定することなどを指す。

アナログ信号のサンプリング

信号処理の手法の一つで、アナログ信号などの連続量の強度を一定の時間間隔で測定し、観測された値(標本値)の列として離散的に記録することを標本化ということが多い。デジタルデータとして記録したい場合は、値を整数などの離散値で表す「量子化」(quantization)処理が連続して行われる。

測定の間隔を「標本化周期」(sampling cycle:標本化周期)、その逆数である測定の頻度(単位時間あたりの回数)を「標本化周波数」(sampling frequency:標本化周波数)という。頻度の多寡は通常標本化周波数で表現され、単位として1秒あたりの回数を表す「Hz」(ヘルツ)が用いられる。

例えば、音声を44.1kHz(キロヘルツ:Hzの1000倍)で標本化する場合、音声信号の強度を毎秒4万4100回記録し、音声データを1秒あたり4万4100個の数値の列として表現する。44.1kHzは人間の可聴音をほぼカバーする周波数とされ、CD(コンパクトディスク)などの音声記録に用いられている。

統計・調査におけるサンプリング

統計や調査などの分野では、調査したい母集団全体を対象とすることが困難な場合に、集団を代表する少数の標本を抽出して対象とし、その結果から統計的に母集団の性質を推計する手法を標本化という。製品の出荷時検査や社会調査などで広く用いられ、標本から母集団の推定値を算出する方法や偏りのない標本の抽出方法などについて様々な手法が提唱されている。

音楽におけるサンプリング

音楽の分野では、楽曲の制作手法の一つで、既存の楽曲や何らかの音源からメロディや歌詞、あるいは音声そのものの断片を抽出し、引用したり繋ぎ合わせる技法を標本化という。また、録音した楽器の音や環境音、人や動物の声などを短い単位に分解し、再構成して楽曲に仕上げる手法のことを標本化ということもある。

量子化 ⭐⭐⭐

アナログ信号などの連続量を整数などの離散値で近似的に表現すること。自然界から取り込んだ信号などをコンピュータで処理・保存できるようデジタルデータに置き換える際などによく行われる。

音や光、電気、電波など物理現象に伴う信号は本来連続量であるため、そのままではコンピュータなどの電子回路で取り扱うことができない。そこで、一定の決まった間隔で信号の強度を測定(標本化/サンプリング)し、決まった細かさの段階に当てはめて表していく。

例えば、4段階の値で量子化を行う系では、信号強度の測定値(標本)は0、1/3、2/3、1の中から最も近い値が選ばれる。0.1に近い標本は0、0.4に近い標本は1/3といった具合である。この段階の数が多いほど元の信号をより高い精度で忠実に表現することができるが、量子化後のデータ量はその分だけ増大する。

この細かさをビット数で表したものを「量子化ビット数」と呼び、これが1ビットであれば2段階(21)、8ビットならば256段階(28)、16ビットならば65,536段階(216)の細かさで強度を表現できる。

量子化ビット数 【サンプリングビット数】 ⭐⭐

アナログ信号からデジタル信号への変換(A/D変換)の際に、信号を何段階の数値で表現するかを示す値。この値が大きいほど元の信号に忠実なデータが得られるが、データ量はその分増大する。

例えば、量子化ビット数が8ビットの場合は、毎回のサンプリングで得られた信号強度を28、すなわち256段階の数で表現することができる。これが16ビットになると、216の65,536段階で表すことができるようになり、8ビットの場合より細かな違いを表現できる。

A/D変換後のデータ量はサンプリング周波数に量子化ビット数を掛け合わせた数となる。例えば、サンプリング周波数44.1kHz、量子化16ビットで音声を記録すると、1秒間の44,100回のサンプリングを行い、各回16ビット(2バイト)のデータを得るため、705.6kbps(キロビット毎秒)あるいは88.1KB/s(キロバイト毎秒)のデータ量となる。

オーディオCD(CD-DA)の仕様では量子化ビット数は16ビットと規定されており、音声を65,536段階のレベルで記録するが、DVD-Videoは24ビットまで対応しており、約1677万段階となる。

イメージスキャナなどで画像を取り込む場合、表示装置や画像形式などが対応している各色8ビット256段階の24ビットカラー(トゥルーカラー)で取り込む機器が多いが、各色256段階では単色の画像などの場合に表現力が低いため、上位機種などでは各色12ビット(4,096段階)や16ビットの量子化ビット数に対応しているものもある。

量子化誤差 【量子化歪み】

アナログ信号をデジタル信号に変換する際に生じる誤差の一種で、元の信号レベルとデジタル化した後の数値の間に生じる誤差のこと。

アナログ信号は無段階に滑らかに変化する連続量だが、これをデジタル化する際には一定の周期で信号レベルを測定する「標本化」を行い、得られた標本を整数などの離散値で表す「量子化」(quantization)という操作が必要になる。

量子化では、本来連続量である信号レベルを有限段階の飛び飛びの値である離散値(デジタル値)で近似する。何段階の数値で表すかは「量子化ビット数」で示され、例えば8ビットで量子化を行う場合は信号を0から255の256段階の数値に置き換えて表現する。

例えば、ある瞬間の信号レベルを測定したら最大値の256分の128と129の間であったとき、量子化によってこれを「128」に決定すると、真の値から切り捨てられる値が生じる。各測定点ごとにこのような量子化誤差が少しずつ生じ、得られたデジタル信号は元の波形とはわずかずつ異なるものとなる。

量子化誤差によって生じた歪みはある種のノイズであるとも捉えられるため、「量子化雑音」(量子化ノイズ)と呼ぶこともある。ノイズとして見た場合、切り捨てられる値の大きさには規則性がなく、ランダムノイズに近い性質を持っていることが知られている。

エンコード 【符号化】 ⭐⭐⭐

ある形式の情報を一定の規則に従って別の形式に変換すること。元の形式に復元可能な状態に変換することを指し、データ圧縮や暗号化、文字コードの変換などが該当する。

ある形式のアナログ信号やデジタルデータを特定の形式の符号(code)に置き換える操作を指す。得られた符号列に逆方向の変換を行って元の状態に戻す操作は「デコード」(decode)という。デコードによって符号化前の状態を復元することができるが、非可逆圧縮など完全に元の状態には戻せない方式もある。

例えば、動画データは極めてデータ量が大きいため、符号化処理によってデータの間引きや圧縮を行い、短い符号列に置き換えてから保存や伝送を行う。圧縮されたデータはそのままでは再生できないため、再生時にはデコード処理によって元のデータを取り出してから表示を行う。

ある方式の符号化処理を行う装置やソフトウェアを「エンコーダ」(encoder)、その方式でデコード処理を行うものを「デコーダ」(decoder)という。音声の録音と再生、映像の録画と再生など、状況に応じてどちらも行う可能性がある場合には、両者を一体化した「コーデック」(codec:encoder-decoder)を用いる。

データ

何かを文字や符号、数値などのまとまりとして表現したもの。人間にとって意味のあるものや、データ量を人間が解釈した結果のことを情報と呼ぶ。

ITの分野でデータといった場合には、コンピュータで保存や加工、伝送などが可能なデジタルデータ(digital data)を指す。これは信号や情報をすべて「0」あるいは「1」のいずれかを取る「ビット」(bit)と呼ばれる情報の最小単位を並べて表現したもので、情報の種類や形式によらず同じ装置や処理によって扱うことが可能となる。

また、文脈によっては、コンピュータが扱うデータ量全体のうち、コンピュータプログラム以外のものをデータ量と呼ぶことがある。プログラムが取り扱う対象となる情報や信号などを特定の形式で表したものを指す。

英語の “data” はもともと “datum” (データム)の複数形だったが、現在では不可算名詞として扱うことが多い。

データ量/データ長

データ量にも量(data quantity)の概念があり、多いほどたくさんの情報や信号を表現することができる。デジタル化されたデータ量の量は、データ量を表現するビット列の長さで表されるため、データ量長(data length)とも呼ばれる。量の単位としてはビットをそのまま用いる。

実用上は8ビットを一つの単位とした「バイト」(byte)を用いることが多く、また、大きな数を表すときは物理量と同じようにキロ(kilo/1000倍)、メガ(mega/100万倍)、ギガ(giga/10億倍)、テラ(tera/1兆倍)などの接頭辞を先頭につける。

ビット ⭐⭐⭐

情報量の最小単位で、二つの選択肢から一つを特定する情報の量。コンピュータなどでは0と1のいずれかを取る二進数の一桁として表される。

語源は “binary digit” (二進法の数字)を繋げて省略した表現と言われる。情報をすべてビット列に置き換えて扱うことを「デジタル」(digital)という。1ビットのデータが表す情報量は、投げたコインの表裏のように、二つの状態のいずれであるかを示すことができる。

複数のビットを連ねて一つのデータとすることで、2ビットなら4状態(22)、3ビットなら8状態(23)といったように、より多い選択肢を識別できる。一般に、nビットのデータは2のn乗個までの選択肢からなる情報を表現することができる。

例えば、大文字のラテンアルファベットは「A」から「Z」の26文字であるため、これを識別するのには4ビット(16値)では足りず、5ビット(32値)が必要となる。小文字を加えると52文字であるため、6ビット(64値)が必要となる。

派生単位

データの読み書きや伝送を行う場合、その速さを表す単位として1秒あたりの伝送ビット数であるビット毎秒(bps:bit per second)という派生単位が用いられる。

また、実用上はビットでは値が大きくなりすぎて不便なことも多いため、8ビットをまとめて一つのデータとした「バイト」(byte)という単位を用いる場面も多い。かつて何ビットを1バイトとするか機種により様々に分かれていた(7ビットバイトや9ビットバイトなどが存在した)名残りで、8ビットの集まりを「オクテット」(octet)とも呼ぶ。

倍量単位

大きな量を表す際には、SI単位系に則って接頭辞を付した倍量単位を用いる場合がある。

  • 1000ビットを「キロビット」(kbit:kilobit)
  • 100万ビットを「メガビット」(Mbit:megabit)
  • 10億ビットを「ギガビット」(Gbit:gigabit)
  • 1兆ビットを「テラビット」(Tbit:terabit)
  • 1000兆ビットを「ペタビット」(Pbit:petabit)
  • 100京ビットを「エクサビット」(Ebit:exabit)

という。また、コンピュータでは2の冪乗を区切りとするのが都合が良いことが多いため、独自の接頭辞を付した倍量単位が用いられることもある。

  • 210(1024)ビットを「キビビット」(Kibit:kibibit)
  • 220(約104万)ビットを「メビビット」あるいは「ミービビット」(Mibit:mebibit)
  • 230(約10億7千万)ビットを「ギビビット」(Gibit:gibibit)
  • 240(約1兆1千億)ビットを「テビビット」あるいは「ティービビット」(Tibit:tebibit)
  • 250(約1126兆)ビットを「ペビビット」あるいは「ピービビット」(Pibit:pebibit)
  • 260(約115京)ビットを「エクスビビット」あるいは「イクシビビット」(Eibit:exibibit)

という。この2進専用の接頭辞はIEC(国際電気標準会議)が標準化しており、一般にはあまり馴染みがないが記憶容量の表記などで用いられることがある。

バイト ⭐⭐⭐

情報量の単位の一つで、8ビットのこと。数としては2進数を8桁並べたものに相当し、2の8乗で256種類の異なる状態を表現することができる。

情報量の最小の単位である「ビット」(bit)は2つの状態(0と1、オンとオフなど)を識別できるが、バイトは8ビットをまとめて一つの単位としたもので、各ビットの状態の組み合わせで256の状態を識別することができる。

単位として数値の後に付ける際にはアルファベット大文字の「B」が用いられるが、ビットを小文字の「b」で表すことが多いため、両者の混同を避けるために「byte」あるいは「bytes」と省略せずに(同様にビットは「bit」「bits」)記すことも多い。通信速度を表す場合は1秒あたりに伝送可能なバイト数を「バイト毎秒」という単位で表す。記号は「B/s」または「Bytes/s」を用いる。

接頭辞付きの単位

大きな量を表す場合はSI単位系に定められた接頭辞を付加し、1,000倍あるいは1,024倍ごとにキロバイト(KB:kilobyte)、メガバイト(MB:megabyte)、ギガバイト(GB:gigabyte)、テラバイト(TB:terabyte)などの単位を用いる。接頭辞は他の物理量のように1,000の累乗倍を表す場合と、情報処理の分野で切りの良い1,024(2の10乗)の累乗倍を表す場合があり、混乱が生じている。

IEC(国際電気標準会議)では1,024倍を表す場合は「KiB」(kibibyte、キビバイト)、「MiB」(mebibyte、メビバイトまたはミービバイト)、「GiB」(gibibyte、ギビバイト)、「TiB」(tebibyte、テビバイトまたはティービバイト)など専用の接頭辞を用いるよう提唱しているが、現状ではあまり定着していない。

nビットバイトとオクテット

もともと1バイトが何ビットか明確な定義はなく、機種や処理系によって都合の良いビット数が割り当てられていた。1バイトをnビットで表すことを「nビットバイト」と呼び、1980年代頃までは「6ビットバイト」や「7ビットバイト」など、8ビット以外のバイトを単位とするコンピュータもあった。

このようなバイトの定義の曖昧さを避けるため、必ず8ビットを表す単位として「オクテット」(octet)が用いられることがある。通信プロトコルの仕様書のように、機種や処理系の違いを超えて共通して利用される可能性がある文脈では、古い時代の名残りで現在でもバイトと言わずにオクテットが好まれる場合がある。

なお、現代では歴史的な文脈以外で8ビット以外のバイトが用いられることはなくなったため、2008年に国際電気標準会議(IEC)がIEC 80000-13規格の改訂版で正式に1バイトを8ビットであると定義した。

10進数 【10進法】 ⭐⭐

数を書き表す方法(記数法)の一つで、基数を十とした表記法のこと。人間が普段最も一般的に利用している位取り記数法で、通常、アラビア数字の「0」から「9」までのすべての数字を用いて数を表現する。

10進法では桁が一つ左へ移動する毎に値の重みが十倍に、右へ移動するごとに十分の一になる。すなわち、整数の右端の桁は一(100)の位、その左は十(101)の位、その左は百(102)の位、その左は千(103)の位、といった具合に各桁の重みが決まる。

コンピュータでは二つの状態の組み合わせで数値を表現する2進数の方が都合が良いため、人間などが10進法で入力した値は内部でまず2進数による表現に変換されてから記録、伝送、計算などを行うようになっている。また、処理結果を人間などに提示する場合も、内部の2進数による表現から10進法の表記に変換して出力される。2進表現を「バイナリ」(binary)、十進表現を「デシマル」(decimal)と呼ぶことがある。

「10進」と「十進」

どのような基数の表記でも、右から2桁目が1で右端が0の値はすべて「10」となり、それらはすべての異なる値である(2進数の「10」は2、8進数の「10」は8、16進数の「10」は16である)ため、基数が十であることを示すために「10進数」「10進法」とするのは紛らわしく不適切であるとする考え方もあり、そのような場合は「十」 (同様に英語圏では “ten” あるいは “decimal” )という表記が好まれる。

2進数 【二進数】 ⭐⭐⭐

数を書き表す方法(記数法)の一つで、基数を2(二)とした表記法のこと。アラビア数字の「0」と「1」を用いてすべての数を表現する。情報を2進法の値の連なりとして表現する手法を「デジタル」(digital)という。

普段我々が日常的な数字の読み書きや算術に用いる位取り記数法は「10進数」(十進数)で、一つの桁の表現に「0」から「9」の10種類の数字を使い、各桁の左の桁が10倍、右の桁は1/10を表している。

一方、2進法は一つの桁の表現が「0」と「1」の二通りしか無い記数法で、桁が一つ左へ移動する毎に値の重みが2倍に、右へ移動するごとに1/2倍になる。整数の右端の桁は1(20)の位、その左は2(21)の位、その左は4(22)の位、その左は8(23)の位…といった具合に各桁の重みが決まる。

<$Fig:binarynumber|center|true>

例えば、2進法の「1101」は左端から順に「8の位」が1、「4の位」が1、「2の位」が0、「1の位」が1であるため、10進数では 1×8 + 1×4 + 0×2 + 1×1 の「13」となる。逆に、10進数の「21」は、2のべき乗の足し算で表すと 16 + 4 + 1、すなわち 24×1 + 23×0 + 22×1 + 21×0 + 20×1 と表せるため、2進数では「10101」となる。

2進数とビット・バイト

2進法は二つの状態の組み合わせですべての数を表現することができるため、これをスイッチのオン・オフや電圧の高低、磁石のN極とS極、電荷の有無など、対となる物理的な状態に対応させることにより、機械による情報の記憶や伝達、演算を容易に取り扱うことができるようになる。

現代の電子式のコンピュータは原則としてすべての情報を2進法のデータに置き換えて処理を行い、2進法の1桁に相当するデータ量の最小単位を「ビット」(bit)という。実用上はある程度まとまった桁数のビット列を対象にデータの保存や操作を行うため、8ビットに相当する「バイト」(byte)という単位が用いられることが多い。1バイトは8桁の2進法に相当するため、28=256種類の状態を表現できる。

16進数 【16進法】 ⭐⭐⭐

数を書き表す方法(記数法)の一つで、基数を16(十六)とした表記法のこと。アラビア数字(算用数字)の「0」から「9」、およびアルファベットの「A」から「F」を用いてすべての数を表現する。

普段我々が日常的な数字の読み書きや算術に用いる位取り記数法は10進数(十進数/10進法)で、一つの桁の表現に「0」から「9」の10種類の数字を使い、各桁の左の桁が10倍、右の桁は10分の1を表している。

一方、16進法では1の位、16の位、256の位…というように桁の重みが16倍ずつ変化する。16進法における「10」は10進数における「16」を意味する。小数点以下も同様で、小数点の右隣から順に、16分の1の位、256分の1の位、4096分の1の位…というように続く。

コンピュータはすべてのデータを2進数で表しており、これを8桁(8ビット)ずつまとめた「バイト」という単位でデータを取り扱う。16進法は一桁で2進数の4桁分(4ビット)の値を書き記すことができるため、1バイトのデータを「00」から「FF」までの2桁の16進法として表記する慣習がある。

表記法

<$Fig:hexadecimal|right|true>

10進数の表記には「0」から「9」まで10種類の数字が必要なように、16進法では一桁を16種類の数字で表す必要がある。我々が日常的に使う数字は10種類しかないため、10から15までの数を一桁で表現するために「A」から「F」までの6つのアルファベットで代用することが多い。

その場合、「0」から「9」までは10進数の値と同じで、10進数の10を「A」、11を「B」、12を「C」、13を「D」、14を「E」、15を「F」でそれぞれ表す。例えば、「A0」は10進数の「160」(16×10)、「FF」は「255」(16×15+15)を表す。言語や処理系によるが、大文字と小文字は区別しない(どちらでもよい)ことが多い。

なお、複数の位取り表記法が混在する文書などの場合、記された数値がそれぞれ何進法なのかを明示するため「(9ABC)16」「(1234)10」のように右下に小さく10進表記で基数を記す場合がある。

各言語における表記

プログラミング言語やマークアップ言語などの数値リテラルでは、日常的な文書などと同じように単に数字を並べた表記は10進数とみなす場合が多く、16進法を記述する場合は先頭に特定の接頭辞を付けるなど特別な表記法を用いる。

多くの言語ではC言語などにならって「0xDEAD」のように先頭に「0x」を付記する表記法を採用しており、文字列中のコード参照では「¥x0D¥x0A」のように「¥x」(日本語圏以外では¥はバックスラッシュ)を用いる。

言語によっては「#x」(Schemeなど)「&h」(BASICなど)などを用いたり、末尾に「h」を付ける(一部のアセンブリ言語など)場合もある。HTMLやXMLなどにおける数値文字参照では「&#x266A;」のように「&#x」と「;」で挟む。

2の補数

ある自然数を2進数(2進法)で表現した時に、足し合わせるとちょうど桁が一つ増える最小の数のこと。コンピュータにおける負の整数の表現や数値演算などに応用される。

2進数における「基数の補数」と呼ばれる数で、ある数に足し合わせることで桁が一つ増え、最上位桁(値は「1」となる)以外はすべて「0」となるような数を指す。例えば、8桁の2進数「10010110」に対する2の補数は「1101010」であり、両者を足し合わせるとちょうど9桁の「100000000」となる。

これに対し、元の数に足し合わせると桁上りせず最も大きな数(「1111…」とすべての桁が1になる)となる補数は「1の補数」(2進数における減基数の補数)と呼ばれる。コンピュータでは1の補数はビット反転(NOT演算)によって求めることができ、これに1を加えると2の補数となる。

なお、2進数に限定せず2の補数という場合は、3進数における減基数の補数を指す場合もある。元の数に足し合わせると桁上りせず「2222…」とすべての桁が2になる数のことである。

2次元コード 【2D code】

文字や数字などのデータを2次元の図形パターンとして物体の表面や紙面に刻印・印刷する技術。また、その方式を定めた規格。バーコードを拡張して2次元の図形で表現したもので、従来よりも多くの情報を正確に刻印することができる。

数字を図形パターンとして刻印する技術としては様々な太さの棒が並んだ「バーコード」(barcode)が馴染み深いが、2次元コードは縦方向と横方向の2次元に展開する図形を用いるコードで、同じ面積により多くの情報を刻印することができる。「2次元バーコード」と呼ばれることもあるが、規格によっては図形が棒状とは限らない。

2次元コードは記録密度(面積あたりの情報量)がバーコードの20~100倍もあり、小さなパターンで多くの情報を表現することができる。バーコードは英数字20文字程度を記録できるが、2次元コードは方式によっては最大数千文字を記録できる。

アルファベットや数字だけでなく、カナや漢字などを表現することができる方式もある。データに冗長性を持たせて多少の汚損があっても正確にデータを復元できるようにした方式や、360度どの向きからも読み取れるようにした方式もある。

2次元コードは大きく分けて、従来のバーコードを積み上げた形の「スタック型2次元コード」と、パターンが格子状になっている「マトリックス型2次元コード」の2種類がある。スタック型としては「PDF417」が、マトリックス型としては「QRコード」「Data Matrix」「Maxi Code」の3つがISO標準として採用されている。

事実上の標準として広く普及しているのはデンソーウェーブの開発した「QRコード」で、製品パッケージ表面のコード印刷など従来用途に留まらず、社会の様々な場面で用いられている。特に、スマートフォンにはQRコードの読み取り機能が標準で内蔵されており、WebサイトのURLの掲示や、サービスやアプリのユーザーIDの交換などで馴染み深い。

パリティビット 【パリティデータ】 ⭐⭐

データの伝送や記録の際に生じる誤りを検知できるように算出・付加される符号の一つで、ビット列中に含まれる「1」の数が偶数か奇数かを表すもの。これを利用した誤り検出方式を「パリティチェック」(parity check)という。

データを0と1が並んだビット列で表したときに、各ビットの値を足し合わせた値が奇数であるか偶数であるか(「1」の数が奇数か偶数か)を1ビットの値として表す。

和が奇数のときに1とする(偶数なら0)ものを「偶数パリティ」(even parity)、偶数のときに1とするものを「奇数パリティ」(odd parity)という。パリティを足すことでどのビット列も偶奇性が同じになる(偶数パリティを含めた全ビットの和は常に偶数)という意味でこのように呼ばれる。

データの送り手(送信者や書き込み時)は元のデータに対して一定の長さごとにパリティビットを算出して付加する。受け手(受信者や読み込み時)は受け取ったデータから同じようにパリティビットを算出し、付加されたパリティビットと比較する。

両者のパリティビットが一致すれば、パリティを含めたビット列中には誤りが存在しないか偶数個存在し、一致しなければ奇数個の誤りが生じていることが分かる。一つのパリティビットだけではどの位置に誤りがあるかは分からず、正しい値に訂正することはできない。

バースト誤りのような特殊な状況を除き、通常の用途では短いビット列中に同時に複数の誤りが生じる可能性は低いため、実用上はパリティビットが一致しなければ1ビットの誤りが含まれ、一致すれば誤りが生じていないとみなすことが多い。

データ圧縮 【圧縮符号化】 ⭐⭐⭐

データを一定の計算手順で加工し、実質的な内容を損なわずにより短い符号列で表すこと。原則として得られた符号は逆の計算手順により元のデータに復元することができ、データの一部を損なって容量を減らす削減や間引きとは異なる。

同じ情報を短いデータ長で表現することで、記憶装置上で占有する領域を小さくすることができ、また、機器間をより短い時間や少ない回線の占有度で伝送することができる。ただし、圧縮後の符号列は元のデータを扱う処理系では利用できないため、使用前に必ず元の状態に戻す処理が必要となる。この復元処理は「解凍」「伸長」「展開」などと呼ばれる。

圧縮処理や解凍処理に費やされる計算量や計算時間などと引き換えにデータ量の縮減という成果を得ており、両者が見合わなければ圧縮を行う意義は失われる。例えば、データ伝送を高速化するためにデータ圧縮を導入したのに、圧縮、伝送、解凍の合計時間が元データの伝送時間を上回ってしまっては元も子もない。

圧縮の逆変換の呼称

圧縮(compress)後の符号列から元のデータを復元する逆方向の変換処理のことを英語では “decompress” (compressに否定の接頭辞de-を付したもの)というが、日本語では定まった訳がなく、解凍、伸長、展開などの用語が用いられる。

ファイルのアーカイバでは複数のファイルを一つの圧縮ファイルにまとめることが多いため、その中から指定されたものを取り出して元の状態に戻すことを「抽出」ということもある(英語でもこの文脈では “extract” を用いる)。

日本では1980年代にパソコン通信やファイル圧縮ソフトの付属文書などを通じて「解凍」という用語が広まった(対応して圧縮のことを凍結と呼ぶこともあったがこれは広まらなかった)ため、慣用的に解凍と呼ぶことが多いが、本来の語義として圧縮と解凍では意味が対応しておらず、解凍には容積の増減の意味はないことなどから批判も多い。

一方、伸長や展開は、伸ばす、広げるという意味は合っているが、圧縮の逆の動作としての元に戻すという意味合いは薄いとの批判もあり、あまり定着していない。

圧縮率と圧縮比

どのくらい圧縮できたかを圧縮率という用語で表すことがある。より小さい量に圧縮できたことを「圧縮率が高い」という。

実際には二つの異なる指標が圧縮率と呼ばれており、一つは圧縮後のデータ量の元のデータ量に対する比率、もう一つは削減量の元の量に対する比率である。いずれを指すのかは文脈により異なる。圧縮後にデータ量が元の10分の1になったことを、前者の指標では圧縮率10%、後者では90%と表現する。

一方、圧縮前と後のデータ量の比や倍率で圧縮の程度を表すこともあり、データ圧縮比と呼ばれる。10分の1に圧縮したことを10:1あるいは10倍と言い表す。

可逆圧縮と非可逆圧縮

完全に元のデータに戻せる符号列に変換する方式を「可逆圧縮」、元のデータの一部を削除・変形することで高い圧縮率を得る代わりに完全には元に戻せなくなる方式を「非可逆圧縮」あるいは「不可逆圧縮」という。

可逆圧縮はわずかでもデータの一部が異なれば元とはまったく違う意味になってしまう文字(テキスト)データやコンピュータプログラムの圧縮や汎用のファイル圧縮などで用いられ、通常単にデータ圧縮といえば可逆圧縮を指す。

非可逆圧縮は主に画像や音声、映像など元のデータに大きな情報の冗長性が含まれる対象に用いられる。人間の視覚や聴覚の特性を利用して、人間が気づきにくい形でデータの一部を改変・削除することで、劇的な高圧縮率を得ることができる。

元の情報を損なう変換を伴うため、非可逆圧縮は厳密にはデータ圧縮手法の一部ではないとする立場もある。また、非可逆圧縮アルゴリズムの中には、元データの形式変換や加工(この段階ではデータ長の縮減は伴わない)を行った後、データ圧縮自体は連長圧縮などの可逆圧縮により行う(すなわち、「非可逆」の工程では圧縮していない)ものも多い。

伸張 【解凍】 ⭐⭐⭐

データ圧縮されたファイルなどに逆変換を行い、圧縮前の状態に戻すこと。圧縮されたデータを処理する際には、原則として必ず伸張して元のデータ形式に戻す必要がある。

信号やデータを実質的な意味を保ったまま、一定の手順で変換してより短い符号列に置き換えることを「圧縮」(compress)という。これとは逆に、圧縮データを元に戻す操作・処理を英語では否定の接頭辞 “de-” をつけて “decompress” というが、日本語では定まった訳語がなく、「伸長」「展開」「解凍」「減圧」「抽出」などが用いられる。

日本では1980年代にパソコン通信やファイル圧縮ソフトの付属文書などを通じて「解凍」という用語が広まった。対応して圧縮のことを「凍結」と呼ぶこともあったが、これは広まらなかった。年配の人などは現在でも慣用的に解凍と呼ぶことが多いが、本来の語義として「圧縮」と「解凍」では意味が対応しておらず、解凍には容積の増減の意味はないことから批判も多い。

一方、「伸長」や「展開」は、伸ばす、広げるという意味は合っているが、圧縮の逆の動作としての元に戻すという意味合いは薄いとの批判もあり、あまり定着していない。また、ファイルのアーカイバでは複数のファイルを一つの圧縮ファイルにまとめることが多いため、その中から指定されたものを取り出して元の状態に戻すことを「抽出」ということもある。英語でもこの文脈では “decompress” ではなく “extract” を用いる。

可逆圧縮 【ロスレス圧縮】 ⭐⭐⭐

データ圧縮方式のうち、圧縮符号化の過程で元のデータを一切毀損せず、完全に元通りに復元できるように圧縮する手法のこと。主にファイル圧縮や通信プロトコルなど、データの種類を特定しない汎用の保存形式や伝送方式で用いられる。

コンピュータプログラムや文字(テキスト)などのデータは、1ビットでも欠けたり変質するとその意味する内容自体が変わってしまうため、圧縮したデータを展開(解凍)したときに元のデータと完全に一致する可逆圧縮が行われる。

一方、画像や動画、音声などの場合には、人間の視聴覚が違いを感じ取りにくいように一部を省略・改変することで実質的な内容を維持しつつ劇的に圧縮率を高める「非可逆圧縮」(不可逆圧縮)が行われることがある。可逆圧縮は元のデータを完全に保存できるが、非可逆圧縮に比べ圧縮率は低い。

主な可逆圧縮アルゴリズムとしてはランレングス符号やハフマン符号、LZ77、LZSS、LZW、Deflateなどが知られる。ZIPやCAB、LZH、RAR、gzip、bzip2など汎用のファイル圧縮形式はすべて可逆圧縮を用いる。画像圧縮ではJPEGなどが非可逆圧縮、GIFやPNG、WebP、AVIF、Loassless JPEGなどが可逆圧縮である。

また、通常は非可逆圧縮が用いられることが多い音声圧縮でも、「ALAC」(Apple Lossless)や「FLAC」「WMA Lossless」など高音質のために可逆圧縮を用いるファイル形式があり、「ロスレス音源」と総称される。

なお、非可逆圧縮は実際には元のデータを圧縮しやすい状態に変換し、圧縮符号化自体は可逆圧縮アルゴリズムを用いて行うため、正確には圧縮方式そのものが可逆と非可逆に分かれているわけではないが、実用的にはこの変換処理も含めて圧縮方式や圧縮形式の仕様の一部とみなされるため、便宜上このような区分が常用されている。

非可逆圧縮 【不可逆圧縮】 ⭐⭐⭐

データ圧縮方式のうち、圧縮符号化の過程でデータの一部の欠落や改変を許容することで極めて効率よく圧縮する手法のこと。非可逆圧縮されたデータを伸長(解凍)しても元のデータには完全には一致しない。

コンピュータプログラムや文字などのデータは1ビットでも変化すればその意味する内容自体が変わってしまうが、画像や動画、音声などはデータ上は細部が僅かに異なっていても人間の視聴覚には違いが気付きにくい場合がある。

このような特性を活かし、人間が認識しにくい手法で元のデータの一部を省略・改変したり、別の表現形式へ変換するなどして、効率よく短い符号に圧縮する方式を非可逆圧縮という。

元のデータを一切毀損しない可逆圧縮とは異なり完全に元のデータを復元することはできないが、人間にほとんど違いがわからない程度の改変でも劇的に圧縮率を高めることができる利点がある。また、多くの方式では圧縮時に品質劣化の程度を指定することができ、品質を犠牲にして極端に小さな容量に圧縮することもできる。

画像や動画、音声の圧縮形式の多くが非可逆圧縮を採用しており、JPEG、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、H.264、H.265、MP3、AAC、WMAなど主要なデータ形式のほとんどが非可逆となっている。用途に応じて使い分けられるよう、Lossless JPEGやWMA Losslessのように仕様の一部として可逆圧縮を用意している形式もある。

なお、実際には元のデータを効率良く圧縮できる状態に変換し、圧縮符号化自体は可逆圧縮アルゴリズムを用いて行うため、正確には圧縮方式そのものが可逆と非可逆に分かれているわけではないが、実用的にはこの変換処理も含めて圧縮方式や圧縮形式の仕様の一部とみなされるため、便宜上このような区分が常用されている。

メディア ⭐⭐⭐

媒体、媒質、伝達手段、中間などの意味を持つ英単語。“medium” の複数形。情報の伝達や記録に用いられる物体や装置、およびこれを利用して人に情報を伝達・配布する仕組みや事業、組織などを指すことが多い。

一般の外来語としては、人が人に情報を伝えたり広く報じるのに用いるモノや仕組みを指し、広義には電話や手紙、書籍、テレビ、映画、電子メール、Webサイトなど様々な伝達手段が含まれる。

狭義には、社会の不特定多数の人々に向けて広く情報を発信する「マスメディア」(mass media)のことをメディアと呼ぶことが多い。現代では日常的に多くの人が接するテレビ放送、ラジオ放送、新聞、雑誌の4つを指し、これを「マス4媒体」「4大メディア」などという。

マスメディアと同じように、インターネットを通じて広く一般に情報を発信、公開するネットサービスやWebサイトなどのことを「ネットメディア」「Webメディア」「オンラインメディア」などと呼ぶ。Webサイトやブログ、メールマガジン、動画配信サービス、動画サービス上のチャンネルなどが含まれ、マスメディア企業がネットメディアも並行して運用する例も多く見られる。

記録メディア・伝送メディア

ITの分野では、一般の用法に加え、データの記録・保管に用いる物体や装置を「記録メディア」、信号やデータを伝送するケーブルや内部の信号線、あるいは電波など伝送の媒介となる物理現象を「伝送メディア」という。

記録メディア(記憶メディアとも呼ばれる)の例としては、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光学ディスク(CD/DVD/Blu-ray Discなど)、フラッシュメモリ(SSD/USBメモリなど/メモリーカード)などがある。伝送メディアの例としては金属線ケーブル(銅線ケーブル/メタルケーブル)、光ファイバーケーブル、電波、赤外線、電子基板上の金属配線などがある。

メディアリテラシー ⭐⭐⭐

情報を伝達する媒体(メディア)を使いこなす基礎的な素養のこと。メディアを通じて情報を取得・収集し、取捨選択および評価・判断する能力や、自らの持つ情報をメディアを通して適切に発信できる能力を指す。

現代人は生活や仕事に必要な情報の多くをテレビや新聞、雑誌などのマスメディアやインターネット上のサイトやサービスなどの情報媒体を通じて得ているが、媒体にはそれぞれ物理的・技術的・商業的な制約や、発信者の立場や意図、経済的・政治的・思想的な背景などから偏りや歪みを避けることはできず、時には誤りや意図的な誇張、改変、虚偽などが含まれることもある。

情報の偏りにも様々な背景があり、例えば、紙面や放送時間の制約から送り手が重要でないと判断した話題が取り上げられなかったり扱いが小さくなることがある。商業的に運営されている媒体が大口広告スポンサーの不祥事を意図的に無視したり、自社や業界が関連する制度を取り上げる際に自らに有利な情報や論調を流すといった媒体の利害に基づく歪みが生じることもある。

また、政治や経済についての話題では、思想的に政権党に親和的な媒体とそうでない媒体で同じ事実について肯定的な論調と否定的な論調に分かれたり、特定の勢力に有利な、あるいは不利な情報を多く流すと行った操作が行われることも珍しくない。

情報の受け手としてのメディアリテラシーは、このような媒体の特性や限界、送り手の意図や背景などを読み解き、メディアから得た情報を鵜呑みにしたり全否定するのではなく、可能な限り客観的かつ正確に評価して活用できるようにする基本的な知識や技能の総体を指す。

1990年代まではメディアリテラシーといえばマスメディアの情報を読み取る受け手としての能力のみを指したが、現代ではインターネットを通じて誰でも公共に情報を発信することができるようになり、自らの持つ情報を適切な手段で発信する基礎的な能力もメディアリテラシーの範疇に含まれるようになった。こうした送り手としての素養はいわゆる「ネットリテラシー」の一部でもある。

マスメディア 【マスコミュニケーション】 ⭐⭐

不特定多数の人に同時に同じ情報を伝達できる媒体(メディア)のこと。また、その運営機関。「メディア」と略されることもある。マスメディアによる情報の一斉伝達を「マスコミュニケーション」(mass communication、マスコミ)というが、媒体や運営機関のことをマスコミということもある。

現代社会では一般に新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4つを指し、これらをマス4媒体(マスメディア4媒体、マスコミ4媒体)という。マスメディアに流れる情報が社会に大きな影響を与えることから、その影響力の大きさを国家権力になぞらえ、行政、立法、司法に並ぶ「第4の権力」と呼ばれることもある。

また、あまり一般的な用法ではないが、伝達する情報の種類が限られていたり、情報の発信主体が極めて細分化・専門化していたり、特定集団内や個人間のコミュニケーションに用いる情報媒体でも、全体としての普及率や接触率が高い場合にはマスメディアに含める場合がある。例えば、インターネット、書籍、映画、携帯電話、音楽・映像ソフト(CDやDVDなど)などをマスメディアの一部とする場合がある。

何がマスメディアとして機能するかは時代や科学技術、社会制度の変化によっても変遷し、例えば江戸時代の日本では立て札が一種のマスメディアであり、テレビ放送の開始前は映画館で時事の話題を映像で伝える「ニュース映画」を上映していた。現在ではインターネットがマスメディアの機能を持ち始めている。

多くの国で、マスメディアの運営や所有者について法制度によって一定の規制あるいは保護が行われている。特に、国民の共有財産である電波周波数を専有するテレビやラジオなどの放送事業については免許制とし、一定の要件を満たした事業者が当局の規制・監督のもと運営する制度となっていることが多い。

新聞や雑誌についても税制や郵便料金を優遇するといった措置が行われることがある。例えば、日本では新聞に消費税の軽減税率が適用され、郵便制度では定期刊行物向けの割安な「第三種郵便物」という区分が用意されている。統制主義的な国家ではマスメディアの運営を国が独占したり、報道内容の検閲など運営への国家の関与・介入が行われることが多い。

Web 【ウェブ】 ⭐⭐

インターネット上で標準的に用いられている文書の公開・閲覧システム。文字や図表、画像、動画などを組み合わせた文書を配布することができる。現代では様々なサービスやアプリケーションの運用基盤としても広く用いられる。

文書内の要素に別の文書を指し示す参照情報(ハイパーリンク)を埋め込むことができる「ハイパーテキスト」(hypertext)と呼ばれるシステムの一種である。“web” (ウェブ)とは「蜘蛛の巣」を意味する英単語で、多数の文書が互いにリンクを介して複雑に繋がり合っている様子を蜘蛛の巣の網目状の構造になぞらえている。

WebサーバとWebブラウザ

Webで情報を提供するコンピュータやソフトウェアを「Webサーバ」(web server)、利用者の操作によりサーバから情報を受信して表示や処理を行うコンピュータやソフトウェアを「Webクライアント」(web client)という。

Webクライアントのうち、受信したページの内容を整形して画面に表示し、人間が閲覧するために用いるものを特に「Webブラウザ」(web browser:ウェブブラウザ)という。サーバとクライアントの間の通信には「HTTPエイチティーティーピー」(Hypertext Transfer Protocol)と呼ばれる通信規約(プロトコル)が標準的に用いられる。

Web上の情報資源の所在の指定には、「https://www.example.co.jp/index.html」といった形式の「URLユーアールエル」(Uniform Resource Locator)という表記法が用いられる。Webサーバを表すドメイン名(ホスト名)と、Webサーバ上での資源の位置を指し示すパス(階層的なディレクトリ名とファイル名の組み合わせ)を繋げた形式になっている。

WebページとWebサイト

Webにおける情報の基礎的な単位は「Webページ」(web page)で、見出しや文章などの文字情報をもとにHTMLエイチティーエムエル(Hypertext Markup Language)やCSSシーエスエス(Cascading Style Sheet)などのコンピュータ言語で構造や体裁、見栄えを記述する。

HTMLは記述された文字情報の中にソフトウェアへの制御情報を埋め込むことができる「マークアップ言語」(markup language)と呼ばれる言語で、「この部分が見出し」「本文はここからここまで」「段落の区切りはここ」といった指示を文書中に埋め込む形で記述することができる。

Webブラウザはこの制御情報に基づいて、タイトルを中央揃えにしたり、小見出しを太い大きな文字で表示したり、段落の間に空白を差し込むなど指定された整形や装飾を行い、閲覧者が文書の構造を把握しやすいように表示してくれる。

ページ内には文章だけでなく箇条書き(リスト)や表(テーブル)、図形、画像、動画、入力要素(フォーム)などを掲載することができる。画像や動画など文字で書き表せない要素は外部のファイルをURLで指定して埋め込むことができる。

要素のページ内での配置や大きさ、枠線や罫線、文字の字形(フォント)や色といった具体的な見栄えに関する指定項目(スタイルという)は、当初はHTMLで構造とともに記述していたが、CSSという専用の言語で構造とは別に指定する方式が主流となっている。

ページ内の要素には外部の他の資源(多くの場合は他のWebページ)のURLを指し示すリンクを設定することができ、ブラウザ画面に表示されたリンクを指定して開くよう指示(クリックやタップなど)すると、表示がリンク中のURLで指定されたページに切り替わる。簡単な操作でリンクをたどって次々に文書から文書へ表示を切り替えていくことができる。

このリンク機能を利用して、書籍のように複数のページ群をまとめた単位を「Webサイト」(web site)という。サイト内のページからは外部のサイトのページへリンクを張ることもでき、Web全体がリンクを介して連結された巨大な地球規模の文書データベースとなっている。

Webアプリケーション・Webサービス

Webサーバには静的なファイルの送信だけでなく、ブラウザからの要求に基づいて動的にコンピュータプログラムを実行し、何らかのデータ処理を行って結果をブラウザに応答することもできる。

また、Webブラウザにはページ上に記述された簡易なプログラム(スクリプトという)を実行し、サーバと任意のタイミングで通信したり、利用者の操作に応じて表示内容を変化させたりすることができる。

このような動的な仕組みを組み合わせ、サーバとブラウザが連携して利用者が対話的に操作することができるアプリケーションソフトを構築することができ、これを「Webアプリケーション」(web application)あるいは「Webサービス」(web service)という。著名な応用例として、ブラウザで買い物ができるオンラインショップ(ECサイト)や、利用者同士がコミュニケーションできるSNSなどのネットサービスがある。

歴史と名称

Webはインターネットがまだ学術機関を中心に利用されていた頃、1989年に欧州核物理学研究所(CERN)のティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)氏が所内の論文公開・閲覧システムとして考案したものが基礎となっている。

1990年代にインターネットが一般に開放され普及していく過程で、電子メールなどと共にネットの代表的な応用システムとして広く利用されるようになった。2000年代中頃には主に日本を含む先進国で欠かすことのできない重要な情報インフラの一つに成長している。

もとは “World Wide Webワールドワイドウェブ”、略して “WWWダブリューダブリューダブリュー” が正式名称で、現在も「https://www.example.jp/」のようにWebサーバのホスト名などにこの名が残っているもの。英語では次第に “the Webザ・ウェブ” (固有名詞のWeb)のように略されるようになり、さらに進んで現在では一般名詞の “web” がインターネットのWebを指すことが増えている。日本では当初「ホームページ」の名称で紹介され、現在も初心者向けの説明などで多用されるが、「ウェブ」「Web」の呼称が浸透しつつある。

Webブラウザ 【ウェブブラウザ】 ⭐⭐

Webページを閲覧するためのアプリケーションソフト。利用者の指定したWebページを管理するWebサーバへデータの送信を要求し、送られてきたHTMLファイルや画像ファイルなどを読み込んで指定されたレイアウトで表示する。

利用者の指定したアドレス(URL)にアクセスし、WebサーバからWebページを構成するHTMLファイルやスタイルシート(CSS)、スクリプト(JavaScript)、画像、音声、動画などのデータを受信して、一枚のページに組み立てて画面に表示する。

入力フォームを使用して利用者側からデータやファイルをWebサーバに送信したり、表示されたページの保存や印刷を行ったり、簡易なプログラム(スクリプト)の実行機能を利用して制作されたソフトウェアやアニメーションなどを再生・動作させることもできる。

主要なWebブラウザには、「プラグイン」「アドオン」「拡張機能」(エクステンション)などの名称で、第三者の開発した機能を追加する仕組みが備わっており、様々な企業や個人が開発した追加機能が公開されている。

読み込むWebページの指定は、URL(Webアドレス)を表示欄に利用者が直接入力するか、表示されたページ中にある他のページへのリンク(ハイパーリンク)を指定するか、利用者の保存したURLの一覧(ブックマーク/お気に入り)から選択するなどの方法で行う。

サーバとの通信はHTTP(Hypertext Transfer Protocol)と呼ばれる通信規約(プロトコル)によって行われ、その基盤としてインターネットなどで標準のTCP/IPが用いられる。SSL/TLSを用いて通信経路を暗号化(HTTPS)したり、ローカルファイルを読み込む機能も備えていることが多い。

Webブラウザの種類

一般的なフル機能のWebブラウザ製品の他に、画像や動画などメディアデータは無視して文字(テキスト)部分だけを抽出して表示する「テキストブラウザ」、文字情報を音声合成機能で読み上げる「音声ブラウザ」(読み上げブラウザ)などがある。

パソコン向けでは、米グーグル(Google)社の「Google Chrome」(グーグル・クローム)や米マイクロソフト(Microsoft)社の「Microsoft Edge」(マイクロソフト・エッジ)、米モジラ財団(Mozilla Foundation)の「Firefox」(ファイアーフォックス)が人気で、Mac(macOS)では開発元の米アップル(Apple)社の「Safari」(サファリ)が標準的に使われる。

スマートフォンやタブレット端末の場合、Androidでは標準で組み込まれるAndroid版Chromeが、iOS(iPhone/iPad)でもやはり標準で組み込まれるiOS版Safariが使われることが多い。また、これらの環境では標準ブラウザの機能を部品(モジュール)化したものをアプリケーションソフトに組み込む「WebView」(ウェブビュー)という仕組みがあり、多くのアプリがこの仕組みを利用してWebブラウザの機能を内蔵している。

BBS 【Bulletin Board System】

ネットワーク上で運用されるシステムの一つで、閲覧者が文字メッセージなどを書き込んだり、他の閲覧者の投稿を読むことができるシステム。現代ではWebサイト上で構築・運用されることが多い。

主な機能

Web上の掲示板は、Webサイトに動的に実行可能なプログラム(スクリプト)を設置し、訪問者がこれを起動して記事の投稿や表示を行う。単純なテキスト(文字)のみが投稿可能なものと、画像ファイルなどを添付できるもの、アバターやアイコン、顔文字、絵文字、文字飾りなどが利用できるものなどの種類がある。

投稿の一覧は新しいものから順に時系列に表示されることが多いが、記事間に参照関係を設定して、互いに関連する記事同士をまとめて表示できるようにしたものもある。一つの掲示板の中に作成された複数の投稿の流れを「スレッド」(thread)、「トピック」(topic)などという。

各投稿には投稿者名やタイトル、本文、投稿日時などが表示され、これに加えて投稿者のIPアドレスやホスト名などが表示されたり、投稿者のなりすましを防ぐ固有の符号などが表示されることもある。簡易なシステムではタイトル欄がなく本文のみの場合もある。

実名と匿名

企業内の情報システムやイントラネット上のWebサイトなどに構築されたものはアクセス可能な参加者が限られており、身分や氏名を明かして連絡や情報交換などが行われる。一方、インターネット上に開設する場合はパスワードなどでアクセス制限などを設けて同じように特定の集団内で利用する場合と、誰でも投稿や閲覧が可能なオープンな形で運営される場合がある。

オープンな掲示板ではプライバシー保護などのため実名を名乗らず、代わりに投稿者が自分で決めたあだ名のような名前を名乗ることが多く、これを「ハンドル」(handle)あるいはハンドルネームなどという。ハンドルを設定する必要がなく、また、実際にほとんどの投稿者が特定のハンドルを名乗らず「名無し」状態で投稿するのが慣習となっている掲示板サイトもあり、「匿名掲示板」と呼ばれる。

歴史

BBSはインターネットの一般への本格的な普及が始まる以前の1980年代から、パソコン通信の主要な機能として一部の人々の間で利用されていた。掲示板以外の電子メールやチャット、ファイルライブラリなどの機能を含め、「草の根BBS」などのようにパソコン通信サービス自体のことを「BBS」と呼ぶこともあった。

SNS 【Social Networking Service】 ⭐⭐⭐

人と人との社会的な繋がりを維持・促進する様々な機能を提供する、会員制のオンラインサービス。友人・知人間のコミュニケーションを円滑にする手段や場を提供したり、趣味や嗜好、居住地域、出身校、あるいは「友人の友人」といった共通点や繋がりを通じて新たな人間関係を構築する場を提供するサービスで、Webサイトや専用のスマートフォンアプリなどで閲覧・利用することができる。

主な特徴

サービスにより機能や特徴が大きく異なるが、多くのサービスに見られる典型的な機能としては、別の会員を「友人」や「購読者」「被購読者」などに登録する機能、自分のプロフィールや写真を公開する機能、同じサービス上の別の会員にメッセージを送る機能、自らのスペースに文章や写真、動画などを投稿して友人などに見せる機能がある。

サービスによっては、複数の会員でメッセージ交換や情報共有ができるコミュニティ機能、イベントの予定や友人の誕生日などを共有したり当日に知らせたりしてくれるカレンダーあるいはスケジュール機能などがある。

多くの商用サービスではサイト内に広告を掲載するなどして、登録や基本的なサービスの利用を無料としているが、一部の機能を有料で提供しているサービスもある。

SNSの種類

多くのサービスはメールアドレスなどがあれば誰でも登録できるが、普及し始めた当初は人の繋がりを重視して「既存の参加者からの招待がないと参加できない」というシステムになっているサービスが多かった。

現在でも、何らかの形で参加資格を限定し、登録時に紹介や審査などが必要なサービスがある。また、参加自体が自由でも、テーマや分野などがあらかじめ設定され、関係や関心のある人の参加を募っているサービスなどもある。

企業などが従業員を対象に運用する「社内SNS」や、大学が教職員や在学生、卒業生を対象に運用する「学内SNS」もあり、業務上の連絡や情報共有に使われたり、業務とは切り離して参加者間の交流の促進のために利用されたりする。「OpenPNE」や「Mastodon」など自らSNSを開設・運用することができるサーバ向けソフトウェアもあり、これを利用したプライベートな集団内のサービスも存在する。

歴史と著名なサービス

2003年頃アメリカを中心に相次いで誕生し、国内事業者によるサービスも2004年頃から普及し始めた。世界的には、初期に登録資格を有名大の学生に絞って人気を博し、後に世界最大のソーシャルネットワークに成長した「Facebook」(フェイスブック)や、短いつぶやきを投稿・共有するマイクロブログ型の「Twitter」(ツイッター:現X)、写真の投稿・共有を中心とする「Instagram」(インスタグラム)、ビジネス・職業上の繋がりに絞った「LinkedIn」(リンクトイン)などが有名である。

日本独自のサービスとしては一時会員数1000万人を超え社会現象ともなった「mixi」(ミクシィ)などが有名だが、近年ではFacebookなど海外事業者に押され利用が低迷しており、オンラインゲーム運営・提供に業態転換するなどしている。

SNS的なサービスの広がり

近年では様々なWebサイトやネットサービス、スマートフォンアプリなどに「ソーシャルな」機能が組み込まれる事例が増えており、何がSNSで何がそうでないか明確に区別することは難しくなりつつある。

例えば、料理レシピ投稿サイトの「クックパッド」(Cookpad)や、スマートフォン利用者間でチャットや音声通話などを提供する「LINE」(ライン)などにも、集団の形成を支援するコミュニティ機能や日記の投稿・共有機能などがあり、これらのサービスをSNSの一種に含める場合もある。

SNSの功罪

SNSによって、一度繋がりの途絶えた古い友人と交流を再開したり、現実に頻繁に会うことは難しい多人数と日常的な繋がりを保ったり、身の回りに同好の士がいなくてもSNSで発見してコミュニティを形成できるなど、SNSのおかげで人間関係が充実した利用者は数多くいる。

一方で、不用意に個人情報や顔写真などを公開してしまい悪意に晒されたり、素性のよくわからない人と交流を持ちトラブルに巻き込まれたり、自分の周囲では特に問題視されなかった話がネット上で拡散されるうちに非難の書き込みが殺到してしまう(「炎上」と呼ばれる現象)など、SNSによって新たに引き起こされる問題もある。

また、SNSが様々な人の間に普及し、継続して利用する期間が長くなるに連れ、上司や家族など「望まれざる」相手とのSNS上での関係や対応に苦慮したり、知り合いの(大抵は良いことしか書かれていない)書き込みを読んで自分の身上と比較してしまったり、興味が湧かない話題でも毎回反応を迫られているように感じて精神的に疲弊する「SNS疲れ」といった問題に直面し、SNSの利用を断って離れる人も増えている。

電子メール 【eメール】 ⭐⭐⭐

通信ネットワークを介してコンピュータなどの機器の間で文字を中心とするメッセージを送受信するシステム。郵便に似た仕組みを電子的な手段で実現したものであることからこのように呼ばれる。

広義には、電子的な手段でメッセージを交換するシステムやサービス、ソフトウェア全般を指し、携帯電話のSMSや、各種のネットサービスやアプリ内で提供される利用者間のメッセージ交換機能などを含む。

狭義には、SMTPやPOP3、IMAP4、MIMEなどインターネット標準の様々なプロトコル(通信規約)やデータ形式を組み合わせて構築されたメッセージ交換システムを指し、現代では単に電子メールといえば一般にこちらを表すことが多い。

メールアドレス

電子メールの送信元や宛先は住所や氏名の代わりに「メールアドレス」(email address)と呼ばれる統一された書式の文字列が用いられる。これは「JohnDoe@example.com」のように「アカウント名@ドメイン名」の形式で表され、ドメイン名の部分が利用者が所属・加入している組織の管理するネットワークの識別名を表し、アカウント名がその中での個人の識別名となる。

企業や行政機関、大学などがメールサーバを運用して所属者にメールアドレスを発行しているほか、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や携帯電話事業者などがインターネット接続サービスの一環として加入者にメールアドレスを発行している。

また、ネットサービス事業者などが誰でも自由に無料でメールアドレスを取得して利用できる「フリーメール」(free email)サービスを提供している。一人の人物が立場ごとに複数のアドレスを使い分けたり、企業の代表アドレスのように特定の個人に紐付けられず組織や集団などで共有されるアドレスもある。

メールサーバとメールクライアント

インターネットに接続されたネットワークには「メールサーバ」(mail server)と呼ばれるコンピュータが設置され、利用者からの要請により外部のネットワークに向けてメールを送信したり、外部から利用者に宛てて送られてきたメールを受信し、本人の使うコンピュータに送り届ける。利用者や他のサーバに対する窓口であり、郵便制度における郵便局のような役割を果たす。

メールサーバ内には利用者ごとに私書箱に相当する受信メールの保管領域(メールボックス)が用意され、外部から着信したメールを一時的に保管する。利用者が手元で操作するメールソフト(メールクライアント、メーラーなどと呼ばれる)は通信回線を介してメールサーバに問い合わせ、メールボックス内のメールを受信して画面に表示する。

Webメール

利用者の操作画面をWebアプリケーションとして実装し、Webブラウザからアクセスしてメールの作成や送信、受信、閲覧、添付ファイルのダウンロードなどをできるようにしたシステムを「Webメール」(webmail)という。

フリーメールサービスの多くは標準の操作画面をWebメールの形で提供しており、メールクライアントなどを導入・設定しなくてもWebブラウザのみでメールの送受信を行うことができるようになっている。企業などの組織で運用されるメールシステムでもWebメールを提供する場合があり、自宅や出先のコンピュータなどからアクセスできるようになっている。

メッセージの形式

電子メールには原則として文字(テキスト)データのみを記載することができる。特別な記法や書式を用いずに素の状態の文字データのみが記されたメールを「テキストメール」という。WebページのようにHTMLやCSSなどの言語を用いて書式や装飾、レイアウトなどの指定が埋め込まれたものは「HTMLメール」という。

また、画像や音声、動画、データファイル、プログラムファイルなどテキスト形式ではないデータ(バイナリデータ)を一定の手順でテキストデータに変換して文字メッセージと一緒に送ることができる。こうしたデータをメッセージ中に埋め込む方式の標準として「MIME」(Multipurpose Internet Mail Extension/マイム)が規定されており、これを利用してメールに埋め込んだファイルを「添付ファイル」(attachment file)という。

電子メールの普及と応用

電子メールはWeb(WWW)と共にインターネットの主要な応用サービスとして広く普及し、情報機器間でメッセージを伝達する社会インフラとして機能している。現在ではパソコンやスマートフォン、タブレット端末などのオペレーティングシステム(OS)の多くは標準でメールクライアントを内蔵しており、誰でもすぐに利用できるようになっている。

電子メールシステムでは一通のメールを複数の宛先へ同時に送信する同報送信・一斉配信も容易なため、グループ共通のアドレスを用意してメンバー間の連絡や議論などに用いる「メーリングリスト」(mailing list)や、発行者が購読者に定期的にメールで情報を届ける「メールマガジン」(mail magazine)などの応用システムも活発に利用されている。

一方、広告メールを多数のメールアドレスに宛て無差別に送信する「スパムメール」(spam mail)や、添付ファイルの仕組みをコンピュータウイルスの感染経路に悪用する「ウイルスメール」(virus mail)、送信元を偽って受信者を騙し秘密の情報を詐取する「フィッシング」(phishing)など、電子メールを悪用した迷惑行為や犯罪なども起きており、社会問題ともなっている。

CC 【Carbon Copy】 ⭐⭐

電子メールの宛先を表す設定情報の一つで、複製を送信するメールアドレスを指定することができるもの。本来の宛先以外に一つまたは複数のメールアドレスを指定することができる。

通常、主な宛先を指定するのは「To」(「~へ」の意味)と呼ばれる項目だが、「Cc」という項目にアドレスを記載すると、メールサーバ側で同じ内容を複製してそちらへも届けてくれる。CCに指定されたアドレスは受信者全員が見ることができる。

“carbon copy” とは帳票の作成などで利用される「カーボン複写」のことで、台紙にカーボン紙を重ねて上から硬い筆記具で書き込むと、台紙側に同じ内容が転写される仕組みのことを指す。同じメールが自動的に複製されて配信される様子をこれに例えている。

一方、同じように複製を送信するアドレス指定には「BCC」(Blind Carbon Copy)もあり、こちらはアドレスが他の受信者には分からないように配送途中で削除される。互いに知らない相手に同じ告知内容を一斉送信したい場合などに用いるが、CCとBCCを取り違えて他の受信者のアドレスを知らせてしまう事故があとを絶たない。

BCC 【Blind Carbon Copy】 ⭐⭐

電子メールの宛先指定の一種で、他の受信者に知らせずに複製を送信する先を指定できるもの。送信者がメールの作成・送信時に指定し、複数のアドレスを指定することもできる。

通常、電子メールで宛先を指定するには「To」(「~へ」の意味)と呼ばれる項目に相手のメールアドレスを記載するが、BCC欄にもアドレスを記入することができ、同じメッセージが複製されてそちらにも届けられる。

CCとの違い

複製が送信されるという意味では「CC」(Carbon Copy)欄も同じ機能だが、CC欄に記載したアドレスがすべての受信メッセージにそのまま掲載されるのに対し、BCC欄の内容は受信直前にメールサーバ側で削除され、受信者側には誰をBCCに指定したかは分からないようになる。

主な用途と難点

BCCによるアドレスの指定は、複数の受信者が互いに無関係な場合など、受信者に他の受信者のアドレスを知らせたくない場合や、顧客への返信を上司に報告する場合など、複製を別のアドレスに送っていることを相手が知る必要がない、または知られたくない場合に用いられる。

名称や操作画面上での記入欄の近さなどから、CC欄と取り違える記入ミスが起こりやすく、同じ文面を複数の関係者に送ろうとして誤ってアドレスをCCに指定してしまいメールアドレスを漏洩させてしまう事故が後を絶たない。

また、受信者は送信者が告げない限りBCCで第三者に複製が送られていること自体に気付かない。個人的な内容のやり取りや対話的な内容の場合は後で第三者にも送信されていたことが露見すると人間関係上のトラブルに発展することがあるため、事前に断っておくなどの配慮が必要になることがある。

語源

“Blind Carbon Copy” とは「目に見えないカーボン複写」を意味する。カーボン複写とは、記入用紙の裏がカーボン紙になっており、ペン先を強く押し当てるように書き入れることで下に重ねられたもう一枚の用紙に複写される仕組みを指す。このような自動的な複写を、受信者に見えないよう行うという意味でこのように呼ばれる。

添付ファイル 【アタッチメントファイル】

電子メールなどで本文と共にメッセージの一部として送られるファイルのこと。画像や文書など様々な種類のデータを相手方に送ることができる。

メールの本文には原則として文字しか書くことができないが、添付ファイルを利用することにより、画像や動画、音声、文書ファイルなど、文字以外の形式のデータを相手に送ることができる。インスタントメッセンジャーなどメール以外のメッセージ交換システムでも、コンピュータ上のファイルを相手に送信する機能のことを添付ファイルということがある。

電子メールの場合、添付するファイルの種類や数に仕様上の制限はないが、受信側のコンピュータが対応していない(対応ソフトが入っていない)形式のデータを添付しても、受信者がファイルを開いて中身を見ることはできない。

また、メールサーバなどは一通のメッセージの最大サイズや受信箱(メールボックス)の総容量に制限を課していることが多く、制限を超える巨大なサイズのファイルを添付したメッセージを送ろうとしても送信または受信を拒否される。

データ形式

一通のメッセージに複数の異なるデータを混在させることができるデータ形式は「MIMEマイム」(Multipurpose Internet Mail Extension)と呼ばれる。本文の文字データに添付ファイルのデータを連結して一つのメッセージにまとめる方式を定めている。

ファイルの内容は一定の規則に基いて文字データへ変換(エンコード)され、受信側で元のデータに復元(デコード)される。この変換方式には「Base64ベースろくじゅうよん」や「uuencodeユーユーエンコード」などいくつかの規格があり、受信側が対応していない形式のデータは正しく復元することができない。

受信側での動作

多くのメールソフトは利用者の利便性のために、受信したメールの添付ファイルの種類を識別し、画像なら表示する、音声なら再生する、実行ファイルなら起動するなど、種類に応じて期待される処理・動作を行う機能を持っている。

一部のコンピュータウイルス開発者はこの仕組みを悪用し、ウイルスの仕込まれた実行可能ファイルや圧縮ファイル、文書ファイルなどをメールに添付して送信し、受信者に巧みにファイルを開くよう促して感染を試みることがある。

文字コード 【キャラクターコード】 ⭐⭐⭐

文字や記号をコンピュータ上でデータとして扱うために、一文字ずつ固有の識別番号を与えて区別できるようにした符号のこと。

コンピュータはすべての情報を「0」と「1」のを組み合わせたデジタルデータとして取り扱う。数値は2進数を用いることで容易に表現できるが、文字は字形そのものを画像や図形としてデータ化したものはデータ量が多く、これをそのまま繰り返し並べて文字データとすることは無駄が大きい。このため、各文字に短い識別番号(正確には0と1の並び:ビット列)を与えて数字の列として文字列を表現するようになった。この数字と文字の対応関係を定めた規約が文字コードである。

最も普及しているASCII文字コードは英数字や制御文字、記号などを収録した7ビット(7桁のビット列、十進数では0~127)のコード体系であり、例えばアルファベットの大文字の「A」は65番(ビット列で1000001)、小文字の「z」は122番(同1111010)などと定められている。あるデータ列がASCII文字列であることが分かっていれば、番号との対応関係を元に文字の並びを知ることができる。

文字集合と符号化方式

文字コードを定義するには、どの言語を対象にどの文字を収録するかを決めなければならず、まず収録する文字(の字形)を特定して列挙した文字集合(文字セット)を定める。その際、番号などは与えずにただ収録する文字群を定義したものをレパートリ、各文字に一意の番号を与えたものを符号化文字集合(CCS:Coded Character Set)という。

欧米圏の8ビット文字コード規格のように、符号化文字集合をそのまま文字コードとして利用することも多いが、漢字圏など収録文字数の多い言語では各文字に割り当てられた符号をどのようなビット列で表現するかについて、いくつかの異なる方式を定めている場合があり、これを文字符号化方式(CES:Character Encoding Scheme/文字エンコーディング)という。

例えば、代表的な日本語の符号化文字集合の一つであるJIS X 0208規格に定められた符号をそのまま文字コードとしたものを区点コードというが、この文字集合を対象とする符号化方式としてJISコードやShift JISコード、日本語EUC(EUC-JP)などが定められており、同じ文字でも符号化方式によってそれぞれ異なったビット列で表現される。世界中の文字を収録したUnicodeでも、同じ文字集合に対してUTF-8、UTF-16、UTF-32など複数の異なる符号化方式が定義されている。

テキストファイル 【TXTファイル】

ある文字コードで文字として規定できる範囲のデータのみを含むファイルのこと。内容全体を文字として表示、編集でき、人間が容易に読み書きできる。

コンピュータではすべてのデータを2進数のビット列(0と1の連なり)として表現するが、このうち、ASCIIなど何らかの文字コード規約に基いて自然言語の文字や少数の制御文字(改行や空白、タブ文字など)を表すビット列のみを含むものをテキストファイルという。

これに対し、コンピュータプログラムや画像、動画、音声などを表現するため、文字コード体系とは無関係に任意のビット列が含まれる形式のデータが記録されたファイルのことを「バイナリファイル」(binary file)という。

広義には、HTMLファイルやプログラムのソースコードのように文字表現でコンピュータへの指示などを表記したものを含むが、狭義には、特定の人工言語などによる記述を含まず単純に人間にとって意味のある文章などだけを記したものを指す。ファイル名の拡張子が「.txt」となっているものは後者を指すことが多く、前者と区別するために「プレーンテキスト」(plain text)形式と呼ぶこともある。

文字コードと文字化け

テキストファイルは特定の文字コードに基づいて記述されているが、文字コードには様々な種類があるため、どの文字コードで書かれたものかが分かり、そのコードに対応したソフトウェアで開かなければ正しく表示や編集を行うことはできない。間違ったコード指定で開いてしまうと意味のない文字の並びとなってしまう。これを文字化けという。

テキストファイルそのものには文字コードを指定する仕組みがないため、利用者側で把握・管理を行う必要がある。特定のコードにしか使われないビットパターンや多用されるパターンなどの特徴があるため、近年のソフトウェアの中にはある程度の精度で自動判別できるようになっているものもある。

文字化け ⭐⭐

コンピュータで文字が正しく表示・印刷されず、本来とは異なる不規則で意味不明な記号や文字の連なりとして現れること。

テキスト(文字)形式のデータを読み込んで表示しているのに、本来そのデータが表していた文字が表示されずに、まったく異なる文字や記号、制御文字、空白などが連なった意味をなさない文字に変質してしまっている現象を指す。

主な原因として、データ自体の破損(一部の欠落や変質)、文字コードの相違(元の文字コードとは異なるコードとして解釈しようとしている)、フォント環境の違い(その言語に対応するフォントが存在しない)などが挙げられる。

ちなみに、実行可能形式のプログラムや、画像や動画、音声を記録したデータなど、バイナリ形式のデータを何らかの理由でテキストとして表示しようとした場合にも、不規則な文字や記号の連なりが出現するが、元がテキスト形式ではないため文字化けとは呼ばない。

文字化けは主に2バイト以上の文字コードを用いる日中韓などの言語圏で起きるため、欧米圏ではあまり知られておらず、日本人がこの現象を欧米人に説明する際に用いていた “Mojibake” という単語がそのまま文字化けを表す専門用語として流通している。

文字コードの違い

ある文字コードや文字エンコーディングで表現された文字データを、別の文字コードとして解釈・表示しようとしてしまい、まったく異なる文字列に変わってしまう場合である。

そのデータがどのような文字コードで表現されているのか分からず、自動認識にも失敗して別のコードを選んでしまった場合や、そもそもソフトウェア側がその文字コードに最初から対応していない場合などに起きる。

日本語の電子メールやWebページなどでは、同じ言語でも異なる文字コードが併存しており、どれが使われているのか明確に指定がない場合にはこの種の文字化けが発生する。また、欧米圏のソフトウェアでは日本語などマルチバイト文字に対応していない場合があり、日本語などを入力すると化けて表示されることがある。

フォントの違い

文字コードが正しく認識できたとしても対応する文字を表示するためのフォントがシステム内に存在しない場合には、やはり正しく表示することはできない。日本語のWebページを日本語フォントの入っていない英語版のシステムで無理やり表示しようとした場合などに起きる。

また、同じ文字コードでも機種やOSによっては一部の領域に独自に拡張した文字群を当てはめている場合があり、このような機種依存文字を別のシステムで表示しようとした場合にも本来とは異なる表示になる。

ASCII 【American Standard Code for Information Interchange】 ⭐⭐⭐

アルファベットや数字、記号などを収録した文字コードの一つ。最も基本的な文字コードとして世界的に普及しており、他の多くの文字コードがASCIIの拡張になるよう実装されている。文字を7ビットの値(0~127)で表し、128文字が収録されている。

主に英語で必要な文字を収録したコード規格で、0番から127番までの番号(正確には2進数で0000000から1111111まで)について、各番号がどの文字を意味するかという対応関係を定めている。例えば英大文字の「A」はASCIIコードでは65番(16進数で41、2進数で1000001)で表される。

収録されているのはA~Z、a~zのラテンアルファベット(ローマ字)、0~9のアラビア数字、約物(引用符や括弧、疑問符、感嘆符、カンマ、ピリオドなど)、記号(数学記号やドルマーク、アットマークなど)、空白文字、制御文字(改行文字やタブ文字、古い通信制御文字など)などである。

1963年にASA(アメリカ規格協会、現在のANSI)が定めた規格で、1967年に国際標準化機構(ISO)がほぼ同じ内容をISO/IEC 646として標準化した。1970年代以降ほとんどのコンピュータやソフトウェアが標準の文字コードの一つとして対応しており、英文の文字情報の記述やコンピュータ言語の表記などに用いられている。一般的なキーボードにはASCII文字に対応するキーが配されている。

8ビット目を利用した拡張規格

ASCIIでは1文字を7ビットで表すが、現代のコンピュータのほとんどはデータの基本的な管理単位が1バイト(8ビット)であるため、実際には1文字を8ビットで表している。

残りの1ビットはもともとデータ伝送時の誤り検出符号(パリティビット)などとして用いられてきたが、電子回路や通信システムの信頼性向上などを受け、この1ビットを活用してASCIIを拡張する試みが行われるようになった。

ASCIIを拡張したコード体系では、0から127まではASCIIと同じで、ASCIIに規定の無い128~255の領域に独自の文字を割り当てている。例えば、日本国内で用いられたJIS X 0201では、この領域にカタカナ(いわゆる半角カナ)や句読点(。、)、鉤括弧(「」)を配置して限定的ながら日本語を使えるようにしている。

後にASCII拡張についても標準化の動きが起こり、8ビットコードや複数バイトコードの扱い、各国の拡張コードの切り替え方式などを定めたISO/IEC 2022や、これに基づいて具体的な8ビットの文字コードを規定したISO/IEC 8859などの規格が策定された。追加の文字を含めても1バイトで十分なヨーロッパ各国の言語などではISO/IEC 8859が標準的な文字コードとして普及している。

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Unicode 【ISO/IEC 10646】 ⭐⭐⭐

文字コードの国際的な標準規格の一つで、世界中の様々な言語の文字を収録して通し番号を割り当て、同じコード体系のもとで使用できるようにしたもの。

コンピュータで文字データを扱うには、文字や記号の一つ一つに対応する番号(符号)を与え、文字の列を番号の列に変換する必要がある。文字と番号の対応関係を定めたルールを「文字コード」(character code)と呼び、従来は国や言語圏ごとに自分たちの使う文字のコード体系を定めて使用していた。

Unicodeは世界中の様々な言語の文字を集め、すべての文字や記号に重複しないようそれぞれ固有の番号を与えた文字コード規格である。世界の主な言語のほとんどの文字を収録しており、通貨記号や約物など文字と共に使われる記号や絵文字なども登録されている。

米大手IT企業を中心とする業界団体「Unicodeコンソーシアム」(Unicode Consortium)が仕様を策定・改訂しており、ほぼ同じものがISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同委員会によって「ISO/IEC 10646」として国際標準となっている。ISO/IEC側ではUnicodeに相当する文字集合の名称を「UCS」(Universal Coded Character Set)としている。

コードポイント

Unicodeでは、登録された文字のそれぞれについて「コードポイント」(code point:符号点、符号位置と訳される)と呼ばれる一意の通し番号を与えている。例えば、日本語のカタカナの「ア」には12450番が割り当てられており、説明文などでは16進数を用いて「U+30A2」のように表記する。

世界中のあらゆる言語の文字を収録するという目的のため、コードポイントは最長で21ビットの値(上限は1114111番、U+10FFFF)まで用意されている。初期の規格で世界の既存の文字コードに規定された文字の多くが収録されたが、独自の文字コードを持たなかった言語や、絵文字、古代文字、新設された通貨記号などを中心に、現在も毎年のように新しい文字が追加されている。

現在はコードポイント空間全体の約12%にあたる約15万文字が割り当て済みで、規格上は文字を規定しない「私用面」(企業などが独自に使用してよい)が約13万文字(約12%)分予約済みである。残りの約75%が未割り当てとなっている。

基本多言語面と追加多言語面

コードポイントの範囲のうち、16ビット(2バイト)の値で表現できる U+0000 から U+FFFF は「基本多言語面」(BMP:Basic Multilingual Plane)と呼ばれる。ラテンアルファベットやキリル文字、ギリシャ文字、ひらがな・カタカナ、ハングル、基本的な漢字など、主要な言語の文字のほとんどをカバーしている。

当初の規格はBMPのみの予定だったが、追加収録を希望する文字のすべてを登録しきれないことが明らかになり、後から U+10000~U+10FFFF の拡張領域が追加された。このうち、U+10000~U+1FFFF の範囲を「追加多言語面」(SMP:Supplementary Multilingual Plane/補助多言語面)と呼び、古代文字や絵文字などが収録されている。

日本語文字の扱い

日本語の文字は原則として日本語文字コードのJIS規格から収録されている。当初は「JIS X 0201」(いわゆる半角文字)、「JIS X 0208」(JIS基本漢字)、「JIS X 0212」(JIS補助漢字)に定められた文字を収録したが、後に「JIS X 0213」(JIS2000/JIS2004)のすべての漢字が収録された。

なお、JIS X 0213の一部の漢字についてはBMPには収まりきらず、東アジア各国・地域の追加漢字を収録する U+20000~U+2FFFF の領域(SIP:Supplementary Ideographic Plane/追加漢字面)に収録されている。

これら元になった規格の通り、半角カナも全角とは別に「HALFWIDTH KATAKANA LETTER A」(半角カタカナのア)等の名称で、全角英数字も「FULLWIDTH LATIN CAPITAL LETTER A」(全角ラテンアルファベット大文字A)等の名称でそれぞれ収録されている。

UTF (Unicode Transformation Format/UCS Transformation Format)

様々な事情から、文字をデータとして実際に記録・伝送する際には、文字集合で定められたコードポイントをそのままビット列で表すのではなく、一定の手順で特定の形式に変換する。この変換手順を「符号化方式」(文字エンコーディング)という。

Unicodeにも標準の符号化方式がいくつか定められており、用途や処理の都合に応じて使い分ける。全体を総称して「UTF」と呼び、Unicodeでは “Unicode Transformation Format” の略、ISO/IEC 10646では “UCS Transformation Format” の略とされる。

UTFには「UTF-8」「UTF-16」「UTF-32」の3種類があり(UTF-7もあるがIETF独自拡張)、同じUnicode文字列でも符号化が違えばまったく異なるバイト列として表現される。文字データの保存・交換用として最も一般的に使われるのはUTF-8で、単にUnicodeといえばUTF-8でエンコードされたデータを意味することが多い。

UnicodeとISO/IEC 10646

ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同委員会(JTC 1)は、1980年代後半に国際的な文字コード標準の策定を目指し、仕様の検討を始めた。当初の構想は4バイトのコードを用いて既存の各国の文字コードをほとんどそのまま収録・統合するというものだった。

1991年に民間の企業連合であるUnicodeコンソーシアムが設立され、Unicode規格が発表されると、公的な標準と業界標準の分裂を避けるためISO/IECとの間で一本化の調整が行われることになった。議論の末、Unicodeの仕様をほぼそのままISO/IEC標準として採用することになった。

同年に発行されたUnicode 1.0規格をほぼそのまま取り込む形で1993年にISO/IEC 10646-1規格の初版が標準化され、以降はUnicode側と仕様を擦り合わせながら改訂されていった。両者は用語法など細かな点に違いがあるものの、収録文字など仕様の実質は同一となっている。

UTF-8 【UCS Transformation Format 8】

Unicodeで定義された文字集合を表現することができる文字コード(符号化方式)の一つ。一文字を1~4バイトの可変長で表現するもので、様々な言語の文字を扱える文字コードとしては世界的に最も普及している。

Unicodeユニコード」は国際的な業界団体であるUnicodeコンソーシアムが策定している多言語文字コードの規格で、ISO(国際標準化機構)およびIEC(国際電気標準会議)が策定した国際標準(ISO/IEC 10646)ではこれと実質的に同じものを「UCS」(Universal multi-octet Character Set)と呼んでいる。

Unicodeでは、収録されている文字にそれぞれ固有の識別番号である「コードポイント」(符号位置)を与えている。この値をビット列として表現する規則を「文字符号化方式」(符号化スキーム)と呼び、UTF-8やUTF-16、UTF-32などの方式がある。UTF-8は最も普及している方式で、Unicodeを用いるほとんどの場面で符号化方式としてUTF-8が用いられる。

UTF-8は最大で2097151番(U+1FFFFF)までのコードポイントを表現できるが、Unicode/UCSで定義される文字セットとして有効なのは1114111番(U+10FFFF)までであるため、これを超える値は無効とされる。初期の仕様では最大6バイト(U+7FFFFFFFまで)とされていたが、後に4バイトまでに縮小された。

ASCII文字と各国語の文字

英数字の文字コードとして世界的に普及しているASCIIで規定される7ビットの範囲(0~127番)の文字は、そのコードをそのまま用いるようにできている。ASCIIに収録された英数字や記号は1バイトで表現でき、かつ、各文字のコードもASCIIと同一になる。

一方、大陸欧州などで一般的なISO/IEC 8859などの文字コードは、ASCIIに1ビット追加して8ビット(1バイト)とし、拡張された後半128~255番にアクセント記号付きの文字などを収録していた。UTF-8ではこれらの文字の多くは2バイト(16ビット)で表現される。

日本語や中国語、韓国・朝鮮語など、従来から2バイトの文字コード体系を言語ごとに独自に定めていた言語圏では、UTF-8ではほとんどの文字が3バイト(24ビット)となる。従来コードに比べ英語圏は1文字1バイトのままだが、8ビット言語圏は2バイトに、2バイト言語圏は3バイトに増加するため不公平だとする声もある。

符号化の方法

128番以降の文字はコードポイントの上位ビット側から変換ルールに従って複数のバイト列に当てはめていき、得られたバイト列を順に並べる。処理はバイト単位で行われるため、16ビット単位の値を用いるUTF-16などと異なりエンディアンの識別が不要となっている。

1バイト表現の先頭は0から始まるが、複数バイト表現の場合、1バイト目は「11」から、2バイト目は「10」から始まる。これにより、文字列データ中のどの位置のバイトを取り出しても、それが1バイト表現(ASCII互換文字)なのか、複数バイト表現の先頭あるいは途中なのかを容易に判別できる。

長さが2バイトの場合の1バイト目は「110」から始まり、同様に3バイトの場合は「1110」、4バイトは「11110」から始まる。先頭バイトの1が連続する数を調べれば続く何バイトが同じ文字を表すのか知ることができる。

例えば、2バイトのUTF-8コードは1バイト目が「110xxxxx」、2バイト目が「10xxxxxx」という形式で、計11ビットあるxの部分の左から順にコードポイントの2進表現を上位ビット側から当てはめていく。最長の4バイト表現ではコードポイントを格納するビット列は合わせて21ビット分確保される。

長いバイト表現は短いバイト表現の文字を表すこともできるため、例えばASCII互換文字は1バイト表現から4バイト表現まで4通りのビットパターンが存在することになるが、規格上は最も短い表現以外は無効な表現とみなされる。すなわち、2バイト以上では表現可能なコードポイントの上限だけでなく下限(2バイトの場合はU+0080未満は無効)が存在する。

バイトオーダーマーク (BOM)

UTF-16やUTF-32では16ビット単位や32ビット単位の連続したビット列で1文字を表現するため、1バイト(8ビット)単位でデータを取り出したときに先頭側が上位ビットなのか下位ビットなのか識別しなければならない。この並び順(エンディアン)を区別するため、これらの形式ではテキストファイルなどの先頭に「バイトオーダーマーク」(BOM:Byte Order Mark)を記載する仕組みがあった。

UTF-8ではバイト順の認識が不要なためエンディアンを指示するBOMも存在しないが、代わりにエンコード形式がUTF-8であることを伝達する符号を先頭に記載してもよい(しなくてもよい)ことになっている。この符号は先頭から順に16進数で「EF BB BF」であり、バイト順を指定するものではないが他の方式との整合性から便宜上BOMと呼ばれている。

ピクセル 【画素】 ⭐⭐⭐

デジタル画像や画面などを構成する最小単位である、色のついた微細な点のこと。また、その数を表す単位。単位を表す場合は “px” と略記されることもある。

コンピュータは画像をデジタルデータとして扱うため、固有の色情報を持つ点が縦横に規則正しく並んだ集合として表現する。この点のことをピクセルと呼び、それ以上小さな単位に分割することができない最小の要素となっている。

色深度 (color depth)

一つの画素にどのような色情報を持たせることができるかは画像形式やソフトウェア、表示・印刷媒体によって異なる。一画素を何ビットの色情報で表現するかを「色深度」(color depth)と呼び、「bpp」(bits per pixel:ビット毎ピクセル)という単位で表す。

最も単純で情報量が少ないのは各画素が1ビットの色情報を持つ方式(1bpp)で、各画素は2種類の色(ビットの0と1にそれぞれ対応)のいずれかとなる。通常はこれを白と黒に対応付け、白黒画像(2値画像、モノクロ2値)として扱う。

様々な色を扱う場合は色深度を大きく取り、8ビット(256色)や16ビット(65,536色)、24ビット(約1677万色)などが用いられる。24bppでは光の三原色(RGB:赤緑青)の各色を8ビット(256段階)で表すことができ、人間の目で識別できるほとんどの色を表現できるとされるため、「フルカラー」「トゥルーカラー」などと呼ばれる。

物理媒体におけるピクセルとドット

ディスプレイ装置などによる画面表示やプリンタによる印刷面も、色のついた微細な点を縦横に規則正しく並べた構造となっており、これもピクセルと呼ぶ。物理的な単位として「ドット」(dot)を用いる場合もある。

特に、プリンタではデジタル画像における一つのピクセルを複数の微小なインク滴やトナーの集合で表現する場合があり、ピクセルを構成する物理的な最小単位としてドットを用いることがある(ドットをピクセルと同義とする場合もある)。

物理的な媒体では表示・印刷面におけるピクセルの細かさが機器や機種によって異なり、幅1インチあたりに存在するピクセルの数である「ppi」(pixel per inch:ピクセル毎インチ)や隣り合うピクセルの中心間の距離である「画素ピッチ」(pixel pitch)などの単位で表す。

サブピクセル (subpixel)

物理媒体上では画素の色を原色の組み合わせで表現するため、ディスプレイなどの発光体では赤・緑・青の光の三原色(RGB)に対応する発光素子を、印刷物などの反射体ではシアン・マゼンタ・イエローの色の三原色(CMY)に対応するインク滴などを隣り合わせて一つの画素を表現する。

人間の目には三色が組み合わさって一つの色に見えるが、拡大すると各画素ごとに三色が規則正しく並んでいる様子が分かる。画素をこれらの三色に分解した構成単位を「サブピクセル」(subpixel:副画素)と呼ぶことがある。

ソフトウェアや機器によっては画像の表現をより精細にするため、サブピクセル単位で表示や印刷を制御する「サブピクセルレンダリング」(subpixel rendering)が行われる場合もある。

解像度 【レゾリューション】 ⭐⭐⭐

機器などの性能の尺度の一つで、対象をどこまで細かく観測あるいは描写できるかを表すもの。ITの分野では、画像や画面、紙面などを構成する画素(ピクセル/ドット)の密度を指すことが多い。

コンピュータは画像を色の付いた微細な点あるいは格子を縦横に規則正しく敷き詰めた集合として取り扱う。この点の細かさ、すなわち、物理的な単位長さあたりの点の数(画素密度)のことを一般に解像度という。

解像度が高いほど点は微細になり、より精細できめの細かい表現が可能となるが、データ量は点の数に比例して増大し、保存や伝送に大きな容量を必要とする。解像度が低くなると次第に個々の点や格子が視認できるようになり、モザイク状のぼやけた表現となる。

ディスプレイやプリンタなどの出力装置の場合には、画面に表示する像や、紙面へ印刷する像の微細さを表す。イメージスキャナやカメラなど画像・映像の入力装置の場合には、取り込んだ光学的な像を画素に分解する細かさ(分解能)を表す。

解像度の単位

単位は一般に幅1インチ(約2.54cm)あたりに並ぶ点の個数である「ピクセル毎インチ」(ppi:pixel per inch)あるいは「ドット毎インチ」(dpi:dot per inch)が用いられる。例えば、100ppiなら1インチを100の点に分解して扱うことを意味し、一つの画素は直径0.254mmの円か幅0.254mmの格子となる。

ppiとdpiはコンピュータ上での画像データの画素と装置の取り扱う微細な点が一対一に対応する場合には同一だが、装置の原理によっては複数のドットの集合によって一つのピクセルを表現する場合もあり、そのような機器では後者の方が数倍から十数倍大きくなる。

ディスプレイの画面解像度

ディスプレイ装置では本来の解像度の意味である画素密度(ppi)の他に、慣用的に画面の構成画素数(総画素数)のことを解像度ということがある。横方向の画素数を縦方向の画素数をかけ合わせたもので、1920×1080といったように記述する。

同じ総画素数の機種同士でも、画面の物理的なサイズが異なれば画素の大きさも異なるため、本来の意味での解像度(画素密度)は異なる。歴史的な経緯から、よく使われる画素数には通称がついており、例えば640×480は「VGA」、1024×768は「XGA」と呼ばれる。

ppi 【ピクセル毎インチ】

主にディスプレイで使われる解像度の単位で、幅1インチ(約2.54cm)あたりに何個の画素(ピクセル)を表示できるかを表す値。この値が高いほど表示面積あたりの画素密度が高く、精細な表示が可能となる。

例えば144ppiの液晶ディスプレイは、表示面の1インチ幅あたりに144個、面積1平方インチあたりに20,736個の画素を表示することができ、72ppiの機種に比べ長さあたりで2倍、面積あたりで4倍の密度で表現することができる。

一方、プリンタなどの装置では解像度の単位として、幅1インチあたりの点(ドット)の数を表す「dpi」(dots per inch:ドット毎インチ)が用いられることがある。

ディスプレイなどの場合はコンピュータ上の画像データの画素と表示装置上の表示素子が一対一に対応するためppi値もdpi値も同じだが、プリンタなどは品質を安定させるため装置が印刷する微細な点をたくさん集めて一つの画素を表現することがあり、ppi値がdpi値の数分の一となる。

例えば、1600dpiのプリンタが一つのピクセルを縦横4つずつ、16のドットの集まりとして表現する場合、その画素密度はdpi値の1/4の400ppiとなる。イメージスキャナにはこのような事情はないため、ディスプレイなどと同じようにdpiはppiは同義である。

GIF 【Graphics Interchange Format】

画像データを圧縮して記録するファイル形式の一つ。256色までの画像を無劣化で圧縮することができ、図やイラストなどの画像に向いている。

データを圧縮符号化する方式と、ファイルに記録する形式(ファイルフォーマット)の両方を定めている。ファイル名の標準の拡張子は「.gif」。圧縮時に内容の改変や画質の劣化を伴わない可逆圧縮(ロスレス:lossless)方式を用い、モノクロ(白黒2色)から256色(フルカラー1677万7216色から画像ごとに必要な色を選択)までの色を扱うことができる。

写真などの圧縮に適したJPEG形式とともに、初期のWeb(ウェブ)で標準的に用いられる画像形式として広く普及したが、2000年代半ば以降は仕様や特徴の多くが重複する「PNG」(Portable Network Graphics)も同じ目的で広く用いられている。

画像中の色を一つ選んで透過色(背景が透けて見える)とすることができる「透過GIF」、一部のデータを受信するだけで画像の全体像を確認することができる「インターレースGIF」など様々な拡張仕様がある。

パラパラ漫画の要領で複数の静止画像を連結して簡易な動画とすることができる「アニメーションGIF」というユニークな拡張仕様があり、動画データの再生ソフトなどを組み込まなくてもWebブラウザなどで短時間の簡易な動画を表示できることから人気を博している。現在では「GIF」という用語をこのアニメーションGIFの意味で用いる例も増えている。

歴史と特許問題

最初の仕様は1987年に当時のパソコン通信大手、米コンピュサーブ(CompuServe)社によって開発・公開され、現在よく用いられるのは1990年に発表された改訂版(GIF89a)である。

圧縮アルゴリズムとして米ユニシス(Unisys)社が特許を所有していた「LZW」という方式を用いており、同社は当初、特許使用料の徴収などは行わない方針だったが、広く普及すると方針を一転させ、ソフトウェア開発者にライセンス料の請求などを始めた。

これを嫌って一部のソフトウェアがGIF対応を取りやめるなど混乱が起き、代替形式として考案された特許を使用しないPNG形式の開発・普及が進んだ。2003年から2004年に各国のLZW特許が失効したため、現在では再び自由に使うことができる形式となっている。

JPEG 【Joint Photographic Experts Group】 ⭐⭐

静止画像のデータ圧縮形式の一つ。フルカラーの画像を多少の劣化を伴いながら高い圧縮率で符号化できるのが特徴で、写真など自然画像の記録に向いている。

画像の一部の不可逆的な変化や画質の劣化、情報の欠損を許容する代わりに極めて小さなデータに圧縮することができる「非可逆圧縮」(lossy compression)方式を採用しているのが大きな特徴で、圧縮前の状態に完全に復元することはできない。ファイル名の標準の拡張子は「.jpg」あるいは「.jpeg」である。

非可逆圧縮では画質の劣化の度合いが大きくなるほど圧縮率を高められるため、保存時にどの程度の画質とするかを係数の形で利用者が指定することができる。人間の目にはほとんど見分けがつかない画質でも元のデータの数分の一程度には圧縮することができ、最も低い画質では数十分の一から百分の一以下になることもある。

圧縮方式の特性やノイズの発生などから、図やグラフ、イラストなど同じ色が連続するのっぺりした質感の画像には向いておらず、写真や絵画など画素の色味が細かく変化する画像の保存に適している。このため、インターネットなどでは写真などの画像にはJPEGを使い、図表やアイコン、イラストなどの画像にはGIFやPNGなどで保存するなど、特徴の異なる画像形式を使い分けることが多い。

ベースラインとプログレッシブ

JPEGでは画像を8×8ピクセルの正方形の領域(ブロック)に分け、ブロックごとに色情報を記録していく。通常のデータ形式では左上のブロックから右下に向かって一段ずつ記録され、表示時には上から順番に画像が表示される。この方式を「ベースラインJPEG」という。

一方、各ブロックの情報を細かく分割し、何回かに分けて記録する方式も規定されており「プログレッシブJPEG」という。表示時にはまず全体がぼやけた画像で表示され、読み込みが進むにつれて次第に鮮明になっていく。低速回線で大きな画像を表示する際に素早く全体像が分かるため、Webサイトなどで用いられる。

ロスレスJPEG (Lossless JPEG/JPEG-LS)

JPEGでは元の状態に完全に復元できる「可逆圧縮」(lossless compression/ロスレス圧縮)を行う符号化方式も拡張仕様として追加されている。圧縮率は通常の非可逆圧縮を行う方式よりも悪いが、圧縮前の完全な画像を取り出すことができる。

1993年に追加された「Lossless JPEG」と1999年に追加された「JPEG-LS」の二方式があり、符号化方式やデータ形式が異なっている。後者の方が圧縮率が高く、復号後データのゆがみをパラメータで指定された誤差の範囲内に収めることができる「準可逆圧縮」(near-lossless compression/ニアロスレス圧縮)を行うこともできる。

可逆圧縮を行う画像形式としてはPNGなどが一般的であまり馴染みがないが、医用画像の保管システムなどに採用例がある。JPEGの後継規格のJPEG 2000やJPEG XR(HD Photo/JXR)には当初から可逆圧縮モードが用意されている。

標準規格

JPEG規格はISO/IEC JTC 1(ISOとIECの情報分野の合同委員会)とITU-Tの合同作業部会であるJoint Photographic Experts Groupが1992年に策定したもので、この部会の名称がそのまま画像形式の名称として用いられている。

策定された規格はITU-TではT.81として1992年に、ISO/IECではISO/IEC 10918として1994年に、ぞれぞれ標準化された。日本でも両規格を参照して同内容のものがJIS X 4301として1995年に国内規格化されている。

ファイル形式

JPEG規格では当初は画像データの圧縮符号化方式のみを定め、標準のファイル形式(コンテナフォーマット)を規定しなかったため、「JFIF」(JPEG File Interchange Format)と呼ばれる形式が広く普及し事実上の標準となった。

JPEG画像が保存されているファイル(拡張子が「.jpg」のファイル)は一般的にはJFIF形式か、あるいはその拡張形式のExif形式(カメラの撮影時などに使用)であることが多い。JFIF形式は2011年にITU-Tによって、2013年にISO/IECによってJPEG規格の一部として標準化されている。

ビットマップ画像 【ラスター画像】 ⭐⭐⭐

画像データの表現形式の一つで、画像を色のついた点(画素/ピクセル)が縦横に規則正しく並んだ矩形として表現したもの。画面表示や印刷の際には最終的にこの形式で出力する必要がある。

ディスプレイ画面への表示やプリンタによる印刷はビットマップ形式で行われるため、コンピュータでも基本的には画像をビットマップ画像として表現・保存・処理することが多い。ファイル形式としては無圧縮のBMP(Windows Bitmap)、可逆圧縮のGIFやPNG、不可逆圧縮のJPEGなどが有名である。

任意の画像を表現することができ、特に写真など図形の組み合わせでは表現できない画像の保存に適しているが、内容についての幾何学的な情報などは持たないため、拡大や縮小、変形、合成などの処理を行うと内容が不可逆に変質し、画質の劣化、不鮮明化の原因となる。

ビットマップ画像は縦横それぞれの画素数が決まっており、その積が画像を構成する総画素数となる。例えば横1024ピクセル×縦768ピクセルの画像ならば78万6432画素の色情報が並んだデータとして表現される。画像形式によっては解像度(単位長さあたりに並ぶ画素数)の情報を持つものがあり、表示や印刷の際の画像の実際の大きさに反映される。

色情報と色深度

個々の画素が持つ色情報の大きさを色深度(color depth)と呼び、色情報のビット数(bpp:bits per pixel)で表す。例えば、色深度が1bppの場合は各画素は0と1の二値の色情報を持ち、通常は0を黒、1を白に対応付けた白黒画像のことを意味する。

色情報はRGB(Red-Green-Blue)形式など色自体の属性を直接表記したものと、色に番号をつけ、番号と実際の色情報(RGB値など)の対応関係を別のデータとして与えるインデックスカラー(indexed color)方式がある。16~32bppの場合は前者の方式(RGBの各値を5~8ビットずつ並べる)であることが多く、8bppの場合は後者の場合が多い。8bpp(256色)はインデックスカラー以外にもモノクロ256階調のグレースケール形式(白黒と254段階の灰色)にも用いられる。

また、色情報として透明色を設定したり、各画素ごとに透明度(アルファ値)を設定できる形式もあり、他の画像と重ね合わせたときに背後の色が透ける表現ができる。32bppの場合はRGB各8ビットに透明度8ビット(256段階)とすることが多い。

ベクター画像

一方、画像を図形を表す数値情報の集合として表現した形式はベクター画像(ベクトルグラフィックス)と呼ばれる。画像を点や線分、面などの図形の描画情報の組み合わせとして表したもので、画質を劣化させることなく自由に拡大・縮小や変形ができる利点がある。表示や印刷を行う際には最終的に特定の画素数のビットマップ画像に変換(ラスタライズ)される。

トリミング 【トリム】

刈り込む(こと)、切り取る(こと)、整頓(する)、仕上げ(る)、などの意味を持つ英単語。端から一定の長さや割合を切り取って小さく(短く)する操作などのことを意味する。

写真や画像、図版などでは、全体の中で必要な部分だけを取り出して強調するために、不要な周縁部を切り取って排除する処理や操作をトリミングという。

映像の場合は、主に縦横比(アスペクト比)の調整のために上下あるいは左右を一定の割合で切り落として調整することをトリミングという。映画をアナログテレビ放送する際に左右をカットしてアスペクト比を4:3にする処理などが該当する。一方、写真の場合ように被写体の強調のために一部を切り取って拡大する処理や作業のことは「クロッピング」(cropping)という。

プログラミングやデータベースの分野では、文字列データの先頭や末尾に含まれる空白文字などを削除する操作のことをトリミングという。また、ログなど時系列に蓄積されていくデータなどについて、一定の条件や基準に基づいて自動的に削除する処理のことをトリミングという場合もある。

レタッチ 【フォトレタッチ】

(写真や絵画などに)手を入れる、手直しする、修整するといった意味を持つ英単語。ITの分野では専用の画像処理ソフトを用いて写真などの既存の画像を加工することを指す。

パソコンなどで写真などのビットマップ画像(ラスター画像)データを加工・編集するソフトウェアを「フォトレタッチソフト」(英語では retouch の語を使わず photo editing software などとすることが多い)と呼び、これにより様々な加工や修正を行うことをレタッチという。

一般的なレタッチ作業では、画像の拡大や縮小、一部の切り抜き、様々なペン先による書き込みや塗りつぶし、ぼかしや鮮明化(シャープ)、明るさやコントラスト、色味などの補正、セピア色やモノクローム(グレースケール/白黒)などへの色調変換、他の画像や文字との合成などが行われる。

また、ソフトウェアによっては画像に様々な効果を施す「フィルタ」機能があり、モザイク風、すりガラス風、ステンドグラス風エンボス(浮き彫り)風、線画風、イラスト風、スケッチ風、版画風など異なる画風に変換することができる。

レイヤー

層、階層、層にする、層をなす、などの意味を持つ英単語。何かの構造や設計などが階層状になっているとき、それを構成する一つ一つの階層のことをレイヤーという。

機能階層

何らかの装置やソフトウェア、システム、ネットワークの構造を説明する際、構成要素が階層状に積み上がった構造になっている場合にそれぞれの要素をレイヤーと呼ぶことがある。

例えば、コンピュータのハードウェア上でオペレーティングシステム(OS)が動き、OS上でアプリケーションソフトが動いている、という構造について、それぞれのことをハードウェアレイヤー、OSレイヤー、アプリケーションレイヤー、などと呼ぶことがある。

通信の分野でも、機器やソフトウェアの役割やプロトコル(通信規約)について、階層構造で整理することがあり、それぞれの機能階層をレイヤーという。

例えば、OSI参照モデルでは通信機能を物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層の7つレイヤーに分割して定義している。

画像処理

ペイントソフトやフォトレタッチソフトなどで、画像を載せる仮想的なシートのことをレイヤーということがある。

1枚の画像を任意の枚数の透明なレイヤーを重ねあわせたものとみなし、各層に画像を構成する個々の要素を置いたり効果を加えたりすることで、画像の加工・編集を容易にすることができる。

ベクター画像 【ベクターデータ】 ⭐⭐⭐

画像データの表現形式の一つで、画像を図形を表す数値情報の集合として表現したもの。拡大・縮小・変形しても画質が劣化せず、サイズや解像度によらず同じ品質の出力結果を得ることができる。

画像を単純な図形の集合として表現する方式で、輪郭などを構成する点の位置や、それらを結ぶ直線や曲線を表す方程式のパラメータ、変形・回転など操作情報、線や面の色情報などの組み合わせとして記述する。“vector” の表記は「ベクター」「ベクタ」「ベクトル」の揺れがあるが、意味の違いはない。

一方、画像を最小単位の小さな点である画素(ピクセル)の集合として表し、各画素の色情報を端から順に縦横に規則正しく並べた形式の画像データは「ビットマップ画像」(bitmap image)あるいは「ラスター画像」(raster image)と呼ばれる。

コンピュータのディスプレイやプリンタなどの出力装置はビットマップ方式で画像を扱うため、ベクター画像はそのままでは表示・印刷することができない。表示する際には画像の縦横の画素数を決めて、その範囲の中で実際に各図形を描画してビットマップ画像を得る。この描画処理のことを「ラスタライズ」(rasterization)という。

ビットマップ形式はどのような画像でも同じように記録できるが、ベクター画像は原理的に写真のような像の表現には向かず、文字や図、イラスト、デザインなど図形の組み合わせで表現しやすい像の記録に向いている。実際、コンピュータで扱う文字の形状データを収録したフォントデータの多くはベクター画像で表現されたアウトラインフォント(outline font)である。

ベクター画像を作成・編集するソフトウェアもあり、米アドビ社の「Adobe Illustrator」(アドビ・イラストレーター)などが有名である。汎用のベクター画像記録用の画像ファイル形式もいくつかあり、Illustrator標準の「AI形式」(.aiファイル)や、Webページなどでベクター画像を扱えるXMLベースの「SVG」(Scalable Vector Graphics)形式などがよく知られる。

色の三属性 【色の3属性】

人間が色を認識する上での基本的な性質で、色相、明度、彩度の3つの属性のこと。これら3つを数値で指定することにより様々な色を表現することができる。

「色相」(hue)は赤、青、緑などといった色合い、色味のことである。光は波長の違いにより人の目にそれぞれ異なった色として映る。波長の変化に応じて連続的に色味が変化する様子を帯状に表しものを「色相スケール」、円環状に表したものを「色相環」という。

「明度」(brightness)は色の明るさのことで、実際に放たれる光の強さのことではなく、色から受ける印象が明るいか暗いかを表す心理的な「明るさ」である。人間は色について「明るい色」「暗い色」という感覚を持っており、その度合いを何らかの尺度を用いて数値で表現する。

「彩度」(saturationまたはchroma)は色の鮮やかさのことで、白・黒・灰色の「無彩色」で0となり、真っ赤、真っ青などの「純色」で最大となる数値で表される。彩度が高いほど純粋で鮮やか、くっきりした色合いとなり、彩度を下げていくと白・黒・灰色に近づいていき、ぼんやりとした色合いになっていく。

彩度

色を表す属性の一つで、色の鮮やかさのこと。白・黒・灰色の無彩色で0となり、純色で最大値となる。彩度を用いる表色系では最大値を100とするパーセンテージで表すことが多い。

表色系によって詳細は異なるが、彩度が高いほど純粋で鮮やか、くっきりした色合いとなる。彩度を下げていくと白・黒・灰色に近づいていき、ぼんやりしたくすんだ色合いになる。一般に多くの種類の色を混ぜるほど彩度は下がっていく。

コンピュータ上の表色系でよく用いられるHLS(HSL)、HSV、HSBなどの色空間では「S」(Saturation)が彩度を表しており、0を最小として1あるいは100を最大とする尺度で表される。これらの体系では残りの二つの属性として、色味を表す「色相」(H:Hue)、明るさを表す「輝度」(L:Lightness)あるいは「明度」(B:Brightness)が用いられる。

明度

色を表す属性の一つで、色の明るさのこと。実際に放たれる光の強さのことではなく、色から受ける印象が明るいか暗いかを表す心理的な尺度である。

人間は色について「明るい色」「暗い色」という感覚を持っており、その度合いを何らかの尺度を用いて表したものを明度という。色合い・色味を表す「色相」(hue)、色の鮮やかさを表す「彩度」(saturation)と合わせて「色の三属性」という。

例えば、無彩色で考えると白が最も明度が高く、黒が最も明度が低い。灰色はその濃さに応じて両者の中間に位置する。彩度の高い色の場合には、明度が高いときに最もくっきりした色合いとなり、明度が0で彩度も色相も失われ黒になる。

色を数値で表す表色系では、黒を0、白を1または100とする尺度で表される。HSV色空間では「V」(Value)が明度を示している。似た表色系のHLS色空間(HSL色空間)などでは、ほぼ同じ概念を「輝度」(L:LightnessあるいはLuminance)と呼んでいる。

色相

色を表す要素の一つで、赤、青、緑などといった色合い、色味のこと。可視光線は波長の違いにより人の目にそれぞれ異なった色として映り、この色の違いや種類のことを色相という。

赤、青、緑、黄、橙、紫など、日常的によく用いられる色には名前がついているが、波長は連続量であり中間色は無数にある。色相の全体像は色味が連続的に変化する図で示され、帯状に表したものを「色相スケール」、円環状に表したものを「色相環」という。

色を表す要素には色相のほかに、色の明るさ(明度/輝度)と鮮やかさ(彩度)がある。これらを組み合わせて一つの色を表すことができ、こららを「色の三属性」または「色の三要素」という。例えば、同じ赤の色相でも、明度が低ければ「暗い赤」に、彩度が低ければ「くすんだ赤」になる。

コンピュータの表色系でも色相(H:Hue)を用いるものがあり、彩度(S:Saturation)、輝度(L:LightnessあるいはLuminance)と組み合わせたものを「HSL色空間」あるいは「HLS色空間」、輝度に替えて明度(V:ValueあるいはB:Brightness)を組み合わせたものを「HSV色空間」「あるいは「HSB色空間」という。

補色

色相環でちょうど反対の位置にある色の組み合わせのこと。また、ある色の反対側にある色のこと。

様々な色味を、対応する光の波長の連続的な変化に応じて円環状に並べたものを「色相環」(color circle)という。波長が最長の赤の隣に最短の紫を繋いで環状としている。この中で、ちょうど環の反対側にある色同士を補色という。

色相環の色と位置の対応関係は色の表現方法(表色系)によって微妙に異なるため、系によって色の組み合わせも異なるが、絵の具や印刷物など減法混色の系でよく知られるRYB色相環やマンセル色相環では「赤-緑」「黄-紫」「青-橙」の組み合わせがよく知られる。

補色の組み合わせは互いがくっきりと際立つ効果があるため、目立たせたい場所などに使うと効果的であるとされる。ただし、明度の赤い補色同士を直接隣り合わせると目がチカチカしてかえって見にくい状態になることがある。

類似色

色相環で隣や近くにある色の組み合わせのこと。また、ある色の近くにある別の色のこと。

様々な色味を、対応する光の波長の連続的な変化に応じて円環状に並べたものを「色相環」(color circle)という。波長が最長の赤の隣に最短の紫を繋いで環状としている。この中で、位置が近い色同士を類似色という。

色相環の色と位置の対応関係は色の表現方法(表色系)によって微妙に異なるが、おおむね赤-赤紫-紫-青紫-青-水色-エメラルドグリーン-緑-黄緑-黄-橙-赤の順に並んでいる。この中で、例えば、「黄-橙-赤」や「緑-水色-青」、「青紫-赤紫-赤」といった組み合わせが類似色となる。

配色で類似色の組み合わせを用いると統一感や安定感が増し、暖色の組み合わせであれば明るさや優しさ、寒色の組み合わせであれば落ち着きや涼しさなどを演出することができる。一方、色相環で反対側にある色同士の組み合わせは「補色」と呼ばれ、対照的で目立つ組み合わせとされる。

色相環 ⭐⭐

様々な色味を、対応する光の波長の連続的な変化に応じて円環状に並べたもの。波長が最長の赤の隣に最短の紫を繋いで環状としている。

光は波長の違いにより人の目にそれぞれ異なった色として映り、赤、青、緑といった人間が感じる色の種類(色味)のことを「色相」(hue)という。波長の変化に応じて連続的に色味が変化する様子を円環状に表したものを色相環という。

色と位置の対応関係は色の表現方法(表色系)によって微妙に異なるが、名前のある主な色で言うと赤-赤紫-紫-青紫-青-水色-エメラルドグリーン-緑-黄緑-黄-橙-赤の順に並ぶ。いわゆる「光の三原色」(赤・緑・青)や「色の三原色」(水色・薄紫・黄)は、概ね各色が120度ずつ離れた配置となる。

色相環で隣や近くにある色同士を「類似色」、中心を挟んでちょうど反対側にある色同士を「補色」という。補色については表色系によって色の組み合わせも微妙に異なるが、絵の具や印刷物など減法混色の系でよく知られるRYB色相環やマンセル色相環では「赤-緑」「黄-紫」「青-橙」などが補色となる。

光の三原色 ⭐⭐

発光体の色のうち、組み合わせることで様々な色を合成することができる、赤・緑・青の三つの原色のこと。各色の頭文字を取って「RGB」(Red-Green-Blue)という略号で表される。

人間の視覚は主に赤・緑・青の各色の光に強く反応する色覚受容体で構成されているため、この三色の光を様々な強さで組み合わせることで、任意の色を構成することができる。実際には、緑は明るい黄緑に近い色、青はわずかに紫がかった群青に近い色が用いられる。

テレビやディスプレイ装置など発光して像を映し出す装置では、表示面にこの三色に対応する微細な発光素子が敷き詰められており、それぞれの強さを制御して各点の色を表現している。各色の強度を高めるほど色が明るくなっていき、三色とも最大の強度で足し合わせると白色、最低の強度で黒色となる。このような混色系を「加法混色」という。

一方、絵の具や印刷物のインクなど光の反射体の色は、シアン(cyan:濃い水色)、マゼンタ(magenta:薄紫)、イエロー(yellow:黄色)の三色の組み合わせによって表現することができる。この三色を「色の三原色」と呼び、各色の頭文字を取って「CMY」(Cyan-Magenta-Yellow)の略号で表される。

RGB 【Red-Green-Blue color model】

色の表現方式の一つで、赤・緑・青をそれぞれ様々な強度で混合し、すべての色を表現する方式。コンピュータで図形や画像、動画などを扱う際の標準的な色表現の一つで、ディスプレイ装置など加法混色の系で利用される。

赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色は「光の三原色」と呼ばれ、頭文字を繋ぎ合わせて「RGB」と呼ばれる。発光体の色は強度を高めるほど明るくなっていき、3色を最大の強度で足し合わせると白色となる。このような混色系を「加法混色」という。

絵の具など光の反射体は発光体とは逆の「減法混色」となるため、RGBの各色の強度と出来上がる色の対応関係は我々が日常的に慣れ親しんできた色の感覚とはズレている部分もある。

例えば、赤と青を混ぜると明るい紫になるのは日常感覚に近いが、赤と緑を混ぜると黄色、青と緑を混ぜると水色となる。3色の強度が同じだと無彩色(灰色)となり、すべて最大の強度なら白、最低の強度なら黒となる。

色深度とアルファ値

RGBの各色について、その強度を何段階のきめ細かさで区別するかにより、表現できる色の数が決まる。機器やソフトウェア、画像形式などが対応する最大発色数を「色深度」(カラーデプス)と呼び、色情報のビット数を「bpp」(bits per pixel)という単位で表現する。

人間の目から見て自然の光景と遜色ない色表現を実現するには各色8ビット(256段階)、合わせて24bpp(1ピクセルあたり3バイトの色情報)程度の情報量が必要と言われ、これを「フルカラー」(full color)あるいは「トゥルーカラー」(true color)という。

RGBの色情報に透明度(A:Alpha、アルファ値)を追加し、半透明の色を表現する方式もあり、RGBAカラーモデルという。例えば、アルファ値が50%の半透明に指定された画素は、その画素自体のRGB値を50%、背景にある画素のRGB値を50%の割合で合成した色で描画される。

CMYKとの違い

印刷など減法混色の系では「シアン」(Cyan:水色)、「マゼンタ」(Magenta:明るい赤紫色)、「イエロー」(Yellow:黄色)の強度の組み合わせで色を表現するCMY方式が用いられる。光の反射体の色を表す方式であるため日常の色の感覚に近い。

印刷では黒を他の色のインクの混色できれいに表現するのが難しいため、実用上はCMYに黒(K:Key plate)の強度を追加したCMYK方式がよく用いられる。印刷関連のソフトウェアにはRGBとCMYKの相互変換機能が内蔵されていることが多い。

色の三原色 ⭐⭐

印刷物など光の反射体の色のうち、組み合わせることで様々な色を合成することができる、シアン(cyan:濃い水色)、マゼンタ(magenta:薄紫)、イエロー(yellow:黄色)の三色の組み合わせ。各色の頭文字を取って「CMY」(Cyan-Magenta-Yellow)の略号で表される。

人間の視覚は主に赤・緑・青の各色の光に強く反応する色覚受容体で構成されているため、この三色の光を様々な強さで組み合わせることで、任意の色を構成することができる。これを「光の三原色」と呼び、各色の頭文字を合わせて「RGB」(Red-Green-Blue)という。

色の三原色は外光の反射によって色を発する物体における原色で、白色光から光の三原色のいずれか一つを遮った(残りの二色を同強度で混合した)色である。シアンとマゼンタを混ぜると青に、マゼンタとイエローを混ぜると赤に、イエローとシアンを混ぜると緑になるという関係にある。

我々は色の三原色の混合を絵の具の色を混ぜることにより身近に体験している。三色の強度を高めるほど色は暗くなっていき、三色を最大の強度で足し合わせると(理屈の上では)黒色となる。このような混色系を「減法混色」という。

白、黒、灰色といった無彩色は、理論上は三原色を同量ずつ混合することにより作り出すことができる。発光体の制御と異なり着色剤の混合で灰色や黒を作ろうとするとくすんだ汚い色になってしまうため、印刷などの実用上は灰色や黒の着色剤を三色と別に用意することが多い。そのようなカラーモデルを「CMYK」という。「K」は黒色印刷に用いる冶具 “key plate” に由来する。

階調 【階調数】 ⭐⭐⭐

コンピュータが画像を扱う際に、色の濃さや明るさを何段階で表現することができるかを表す数。この数が大きいほど細かな色や明るさの違いを表現できるが、画素あたりのデータ量は増大する。

自然界では色は光の波長によって異なり、連続量の一種だが、コンピュータで画像を扱う際にはこれを離散量(有限桁の数値)に変換する必要がある。その際、ある色の最も明るい(濃い)状態と暗い(薄い)状態の間を何段階で識別・表現することができるかを表す値が階調である。

モノクロの階調

最も単純な階調は白黒画像(モノクロ2階調)であり、すべての画素が真っ白と真っ黒のいずれかで表現される。色は「0」(黒)と「1」(白)の2値で識別され、各画素につき1ビットで表現することができる。

一方、一般に「モノクロ画像」あるいは「グレースケール画像」と呼ばれるものは白と黒の中間に明るさ(濃さ)の異なる複数の灰色を表現することができるものを指すことが多い。よく用いられる256階調(各画素の情報量は8ビット)のモノクロ画像では、白、黒、254段階の灰色の計256色を表現できる。

カラーの階調

カラー画像の場合は色を複数の原色に分解し、各色の階調の組み合わせで表現できる色の数が決まる。コンピュータ上で画像データを扱う際には色を赤(Red:R)・緑(Green:G)、青(Blue:B)の「光の3原色」に分解し、それぞれを同じ階調で表現することが多い。

人間の目にとって自然の光景と区別がつかない表現は、この各色について256段階(8ビット)程度の階調が必要であると言われており、これを「フルカラー」(full color)あるいは「トゥルーカラー」(true color)という。256の3乗で1677万7216色を表現することができる。

通常の用途ではフルカラーで十分なことが多いが、赤外線暗視映像のように特定の色味しか現れない特殊な表現の場合は単色256階調では色の境界が階段状になってしまうなど表現力が不足する場合がある。そのような状況にも対応できるよう、業務用の機器などでは内部的に各色10ビット(1024階調)や12ビット(4096階調)で表現するものもある。

サンプリング周期 【サンプリング間隔】

アナログ信号をデジタルデータに変換する際に、信号の変位を測定するサンプリング(標本化)を行う周期。ある瞬間に信号の標本を得てから次の標本を得るまでの間隔を秒で表す。サンプリング周波数の逆数。

音声など連続的に変化する物理量をデジタルデータとして記録するには、ある瞬間の信号の強度や変位量を測定するサンプリングを行い、得られた測定値を一定の桁数の離散値で表す量子化を行う。

この標本化処理は一定の周期で行われ、その間隔をサンプリング周期という。周期が短ければ短いほど高頻度で標本を得るため、もとの信号をより忠実に記録することができるが、その分だけ変換後の単位時間あたりのデータ量は増大する。

通常、標本化の頻度は周期の逆数であるサンプリング周波数で表される。例えば、周期が0.01秒であれば、周波数は100Hz(ヘルツ)で表される。音楽CDなどに記録されている音声信号は人間の耳が聞き取れる可聴音(約20kHzまでの音波)を収録するため44.1kHz(44100Hz)でサンプリングされているが、これはサンプリング周期で表すと1/44100で約0.0000227秒、22.7マイクロ秒となる。

フレーム ⭐⭐

骨組み(を作る)、枠、縁、額縁、台、骨格、枠組み、背景、構造物、構成、組み立てる、枠にはめる、立案する、でっち上げる、などの意味を持つ英単語。IT分野では動画の各瞬間の画像(コマ)や、通信回線でやり取りするデータの送受信単位などを指すことが多い。

一般の外来語としては、絵画や写真などを入れる額縁や、画像の周囲を囲む飾り枠、機械などの骨組み、物事の理解の枠組みや共通の考え方などを意味することが多い。IT関連では主に以下の意味で用いられる。

動画のフレーム

動画を構成する一枚一枚の静止画(コマ)のことをフレームという。コンピュータで動画を表示する際は、数十分の1秒といった極めて短い一定の時間間隔で次々に静止画像を切り替えて表示することで人間の目に動いているように見せている。

この一枚ずつの静止画像をフレームという。動画の滑らかさの指標として、1秒間に書き換えるフレームの数を表す「fps」(frames per second:フレーム毎秒)という単位がよく用いられる。例えば、60fpsの動画といった場合は毎秒60枚の画像を切り替えて表示している。

データの送受信単位としてのフレーム

イーサネット(Ethernet)などいくつかの通信方式や通信プロトコル(通信規約)では、データの送受信単位をフレームと呼ぶ。送りたいデータを一定の大きさに分割し、先頭に宛先アドレスなどの制御情報を付加したもので、最大長や制御情報の形式は各規格ごとに定められている。

一般に、物理層における信号の送受信を一定のまとまりのデータ単位ごとの送受信に編成する「リンク層」あるいは「データリンク層」における送受信単位をフレームと呼ぶことが多い。有線LANの標準であるイーサネットの送受信単位は「MACフレーム」あるいは「イーサネットフレーム」と呼ばれる。

Webページ/HTMLのフレーム表示

Webページの表示手法の一つで、Webブラウザの表示領域を縦または横に複数の領域に分割して、それぞれに別のページを表示できるようにしたものをフレームという。HTMLではframeset要素(タグ)およびframe要素で定義する。

また、ページ内に矩形(箱型)の領域を設けて元のページから分離し、別のページの内容を埋め込んで表示する方式もあり、「インラインフレーム」(inline frame)という。広告の表示などに応用されており、HTMLではiframe要素で定義する。

フレームレート ⭐⭐⭐

動画像の表示の滑らかさを表す指標の一つで、動画が1秒あたり何枚の(静止)画像によって構成されるかを表す数。1秒あたりのコマ数。単位は「フレーム毎秒」(fps:frames per second)で、1fpsは動画が1秒あたり1枚の画像で構成されている(1秒あたり1回書き換えられる)ことを表す。

動画やゲームなど表示内容が時系列に変化する像をコンピュータで表示する場合、静止画像を高速に切り替えて表示することで動いているように見せている。動画像を構成する静止画像を「フレーム」(frame)と呼び、単位時間あたりのフレーム数が多ければ多いほど自然に近い滑らかな動画像となる。

動画データなどの属性としてフレームレートという場合は、その動画が毎秒何枚の画像を繋ぎあわせてできたものなのかを表している。人間の目に自然な動画として映るのは概ね30fps程度かそれ以上と言われており、これを下回るとカクカクとぎこちなく動く印象を与えるとされる。

コンピュータや映像機器などの処理能力についてフレームレートという場合は、動画を撮影、記録、圧縮、再生などする際に、1秒あたりに処理可能な画像の枚数や画面の書き換え回数の上限を表す。動画の処理能力が高いほどフレームレートも高くなり、より滑らかな動画を作成したり再生したりできる。

一方、ディスプレイ装置の画面書き換え頻度を「リフレッシュレート」(refresh rate)と呼び、1秒あたりの書き換え回数を「Hz」(ヘルツ)で表す。60Hzなら毎秒60回再描画される。動画データやゲームのフレームレートが高くても、表示側のリフレッシュレートが低ければその上限がフレームレートの上限となる。

fps 【フレーム毎秒】 ⭐⭐

動画のなめらかさを表す単位の一つで、画像や画面を1秒間に何回書き換えているかを表したもの。30fpsの動画は1秒あたり30枚の静止画で構成され、約0.033秒(33ミリ秒)ごとに画像を切り替えて再生される。

コンピュータや映像機器が動画像の録画や再生を行う際、毎秒数十枚の静止画像を撮影あるいは描画することで連続的な動画を構成している。この静止画を「フレーム」(frame)と呼び、単位時間あたりの密度を「フレームレート」(frame rate)という。1秒あたりの画像数を表す単位としてfpsが用いられる。

fpsの値が小さいと一枚の画像が表示される時間が長くなるため、動きのカクカクとした不自然で低品質な動画となる。大きいと高頻度で書き換えが行われるため、滑らかで高品質な動画となる。アナログテレビ放送が25~30fps程度だったことから、概ねこれ以上の大きさであれば自然で高品質な動画であるとみなされるが、近年では60fpsの高品質な動画に対応した機器が増えている。

フィールド毎秒

インターレース方式の動画や表示装置では、一度の書き換えで上から奇数番目と偶数番目のラインを交互に書き換えるため、2回の書き換えで全体が入れ替わるようになっている。この半分の画像を「フィールド」と呼び、フィールドを書き換える頻度として「フィールド毎秒」(fields per second)という単位が用いられることがある。この値は一般にfpsの2倍となる。

リフレッシュレートとの関係

ディスプレイ装置は高速で画面を書き換えることで表示内容の変化を表現する。1秒あたりの書き換え頻度を「リフレッシュレート」(refresh rate)と呼び、「Hz」(ヘルツ)という単位で表す。30Hzであれば毎秒30回画面を書き換えることを意味する。

動画やゲームが60fpsで書き換えを行っていても、ディスプレイが30Hzで動作していれば、表示内容は毎秒30回しか書き換わらない。逆に、ディスプレイが60Hzで動作していても、コンピュータ側の動画像の表示が30fpsであれば、やはり書き換え頻度は毎秒30回となる。

動画もディスプレイも同じ頻度で再描画していても、描画のタイミングがずれると表示が乱れることがある。例えば、60fpsの動画を60Hzのディスプレイで映す際、フレーム描画が始まるタイミングと画面リフレッシュが始まるタイミングが1/120秒ずれていると、毎回のリフレッシュで上半分が最新のフレームの内容、下半分が1コマ前のフレームの内容となってしまい、上下が繋がらず微妙にズレた表示となってしまう。この現象を「ティアリング」(screen tearing)あるいは「テアリング」という。

AVI 【Audio Video Interleave】

米マイクロソフト(Microsoft)社が開発した、動画を保存するためのファイル形式の一つ。動画と付随する音声を記録・再生するためのもので、同社のWindowsをはじめ様々なソフトウェアが対応している。

データをファイルにどのように記録するかを定めた記録形式(コンテナフォーマット)であり、動画データや音声データの圧縮符号化方式を定めたものではない。標準のファイル拡張子は「.avi」である。

主な動画の圧縮方式としてはMPEG-1/MPEG-2/MPEG-4やWMV、H.264、H.264、Motion JPEGなどに、音声の圧縮方式としてはリニアPCM、MP3、AAC、WMA、AC-3、FLACなどに対応し、これ以外にも数十の形式に対応している。

AVI形式のファイルを再生するには、圧縮時に使われた符号化プログラム(コーデック)と同じものを再生ソフトに組み込んでおく必要があるが、ファイル名の拡張子は内部形式によらず常に「.avi」であるため、標準的でない形式だとどのコーデックが必要なのか分からない場合もある。

1990年代前半に策定された形式で、Windows上でメディアデータを格納する際に用いられる「RIFF」(Resource Interchange File Format)というファイル形式を元に開発された。音声(audio)と動画(video)を交互に折り混ぜた(interleave)構造になっていることが名称の由来とされる。

古い時代のコンピュータの仕様に合わせた形式であるため、現代では不都合となる制約が含まれる。例えば、ファイル末尾まで読み込まなければ正しく再生できないためストリーミング再生に向いていない、2GBを超えるファイルを作成できない、可変フレームレートの動画に対応していないといった点である。1996年に「AVI 2.0」と呼ばれる拡張仕様が追加されており、ファイルサイズの問題は緩和されている。

MPEG 【Moving Picture Experts Group】

動画・音声データの圧縮方式の標準規格を検討するため、ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)が1988年に合同で設置した専門家委員会。また、同委員会の勧告した規格群の総称。動画・音声データの圧縮方式の標準として広く普及している。

正式な組織名は「ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11」。ISOとIECが情報技術分野の標準化を合同で行うために設けた第一合同技術委員会(JTC 1)の副委員会(SC:subcommittee)29番、作業部会(WG:Working Group)11番という意味である。

同じSC 29には静止画像の圧縮符号化方式を扱う「WG 1」があり、「JPEG」(Joint Photographic Experts Group)の通称でよく知られている。ちなみに、SC 29の国際事務局は日本の工業標準調査会(JISC)が務めている。

これまでに、動画データ圧縮方式の「MPEG-1」や「MPEG-2」「MPEG-4」、付随する音声圧縮規格の「MP3」(MPEG Audio Layer-3)などの標準を策定してきた。メディアデータの圧縮符号化方式だけでなく、動画を扱うためのファイル形式や送信データ形式、メタデータの記述方式などの標準も策定している。

国際電気通信連合(ITU-T)とも連携し、「MPEG-2」と「H.262」、「MPEG-4/AVC」と「H.264」、「HEVC」と「H.265」のように合同で同じ仕様を策定し、それぞれが規格番号を付して標準として発表している規格もある。

MPEG諸規格は国際標準として仕様が公開され、誰でも入手して製品などに実装することができるが、一部の規格には企業などの特許技術を含み、権利者に別途ライセンス料を収める必要がある。MPEG-2およびMPEG-4では権利者が合同で特許管理団体MPEG LAを運営しており、窓口が一元化されている。

ストリーミング

通信ネットワークを介して動画や音声などを受信して再生する際に、データを受信しながら同時に再生を行う方式。データが完結していなくても配信・視聴を始めることができ、ライブ配信などで用いられる。

従来はデータ全体の受信(ダウンロード)を完了してから再生する方式が一般的だったが、ストリーミングではデータをある程度受信した時点で再生を開始し、受信処理と再生処理を並行して進めることにより、利用者は短い待ち時間で視聴を開始することができる。

ストリーミングにより、ダウンロード型では実現が難しい、始まりや終わりの決まっていない放送局型の配信サービスを実現することができる。テレビ放送やラジオ放送の生放送・生中継のように、撮影や録音を行いながら同時に配信・視聴できる配信方式のことは「ライブストリーミング」(live streaming)という。

技術的には、専用のデータ形式や通信方式(プロトコル)を用い、受信したデータが視聴者側でファイルとして残らない方式をストリーミングと呼ぶことが多く、動画ファイルなどをダウンロードしながら同時に再生する方式(利用者の使用感はほとんどストリーミングと変わらない)は「プログレッシブダウンロード」(progressive download)という。

ライブストリーミング (live streaming)

通信ネットワークを通じて映像・音声を配信する手法の一つで、撮影・録音しながら同時にデータを圧縮・変換して視聴者へ配信する方式。いわばネットワークを通じた「生放送」。

視聴者側が末尾まで受信の完了を待たずに受信しながら同時に再生することをストリーミング(再生)というが、ライブストリーミングではこれに加え、配信側も撮影・録音とデータ送信を並行して行い、収録したものをわずかなタイムラグでリアルタイムに配信する。テレビやラジオの生放送・生中継に相当する配信方式である。

インターネット上で大規模にライブストリーミングできる動画サービスも普及しており、開催中のイベントやスポーツの試合の様子をリアルタイムに伝えたり、視聴者とリアルタイムにやり取りしながら進行する生放送番組などが人気を博している。

ストリーミングサーバ (streaming server)

映像や音声のストリーミング配信を行うコンピュータをストリーミングサーバという。そのような機能を提供するソフトウェアのことを指すこともある。多数のクライアントからの接続を受け付け、同時にストリーミング方式のマルチメディアデータを配信する。

ストリーミング方式のデータは通常のWebサーバから配信することも可能だが、サーバや回線への負担が大きいため、ストリーミングサーバを利用するのが一般的である。また、録画した映像をリアルタイムに配信(ライブストリーミング)するような作業は、専用のストリーミングサーバでなければ行えない。

以前は専用のソフトウェアと高性能なハードウェアが必要とされていたが、パソコンの高性能化や光ファイバーなどの高速回線の普及によって、小規模なストリーミングサーバは個人でも構築できるようになった。

プログレッシブダウンロード (progressive download)

動画や音声などのファイルをダウンロードしながら、全体の受信完了を待たずに同時に再生(を開始)すること。

データを受信しながら同時に再生するストリーミング視聴に似ているが、技術的にはストリーミングとは異なり、あくまでファイルのダウンロードであるため、事前に再生時間を決めずに連続的に視聴することはできず、サーバ側に任意の位置からの再生(送信)開始を指示することもできない。

また、通信エラーなどでデータの一部が損なわれた際、ストリーミングではそのデータを飛ばして次のデータを送信し、再生時間が遅延しないよう制御するが、プログレッシブダウンロードではデータを再送して完全なデータが揃えようとするため、再生が一時停止することがある。

ストリーミングで視聴したデータは再生後すぐに破棄されるのが一般的だが、プログレッシブダウンロードの場合はキャッシュファイルの形で記憶装置に永続的に保管され、次に同じものを再生する際にそこから再生することができる。

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