高校「情報Ⅰ」単語帳 - 問題を発見・解決する方法

情報 【インフォメーション】 ⭐⭐⭐

物事の事情を人に伝えるもの。また、それを文字や図表、画像、音声、映像などを使って表現したもの。

人が知覚したときに何らかの意味を想起させ、思考や行動に影響を与えるものを指し、人にとって意味を成さないノイズやランダムなパターンをも含む「データ」(data)とは区別される。

ただし、情報科学・情報理論の分野では、情報の意味や価値判断の側面をひとまず捨象して、量的側面からその伝達や保存、変換について検討しており、この場合の「情報」は基本的にはデータと区別されない。

また、科学的な文脈では、人間の存在を仮定せず、何らかの物理的実体に影響を及ぼすパターンを情報とみなす考え方もある。例えば、生物のDNAは人類誕生前から生命の発生・生育に影響を与えており、また、人間がそれを観測・解釈するかどうかとその働きとは無関係だが、これも一種の情報であるとみなす立場である。

政治や軍事などの分野では、「情報機関」のように諜報に近い意味合いで情報という語を用いる場合がある。一般的な意味での「情報」は英語で “information” というが、諜報の意味で用いる場合は “intelligence” に対応する。

データ ⭐⭐⭐

何かを文字や符号、数値などのまとまりとして表現したもの。人間にとって意味のあるものや、データを人間が解釈した結果のことを情報と呼ぶ。

ITの分野でデータといった場合には、コンピュータで保存や加工、伝送などが可能なデジタルデータ(digital data)を指す。これは信号や情報をすべて「0」あるいは「1」のいずれかを取る「ビット」(bit)と呼ばれる情報の最小単位を並べて表現したもので、情報の種類や形式によらず同じ装置や処理によって扱うことが可能となる。

また、文脈によっては、コンピュータが扱うデータ全体のうち、コンピュータプログラム以外のものをデータと呼ぶことがある。プログラムが取り扱う対象となる情報や信号などを特定の形式で表したものを指す。

英語の “data” はもともと “datum” (データム)の複数形だったが、現在では不可算名詞として扱うことが多い。

データ量/データ長

データにも量(data quantity)の概念があり、多いほどたくさんの情報や信号を表現することができる。デジタル化されたデータの量は、データを表現するビット列の長さで表されるため、データ長(data length)とも呼ばれる。量の単位としてはビットをそのまま用いる。

実用上は8ビットを一つの単位とした「バイト」(byte)を用いることが多く、また、大きな数を表すときは物理量と同じようにキロ(kilo/1000倍)、メガ(mega/100万倍)、ギガ(giga/10億倍)、テラ(tera/1兆倍)などの接頭辞を先頭につける。

情報源

情報の入手元あるいは発信源のこと。ある情報を教えてくれた人や組織、参照元の文献や資料など、その人が情報を得た入手経路のこと。

現代社会における情報源には、知人など直接会って話をした人、書籍や雑誌、新聞などの刊行物や神の資料、テレビやラジオ、ネット配信などの放送・配信メディアなどがある。公的機関や企業なども広報活動などを通じて自ら情報源となり情報を発信している。

情報源には不確かでにわかに信用ならないものから信頼性の高いものまで様々なものがある。同じ情報でも知人から噂話として聞くのと、長年発行されている新聞の記事、政府機関の公式発表として知るのでは信憑性が大きく異なる。

ある情報が同じ情報源から得られる他の情報と整合しているか、他の情報源も同じ情報を発信しているか、といった点でも情報の信憑性をある程度判断することができる。前者の情報源内部での整合性を「内的整合性」、後者の複数の情報源の間の整合性を「外的整合性」と呼ぶことがある。

情報理論における情報源

情報理論では、あるモデルに従って情報が生成される系を情報源という。発生する情報は、ある特定の種類の記号(情報源記号)の組み合わせで、一定時間ごとにある確率に基づいて一つずつ記号が生成される。この生成された記号の列を情報源系列という。

一次情報 【1次情報】

自らの体験や実験、調査などから直接得た情報。自分以外の誰かから得た「二次情報」(2次情報)と対比される。

自分が知っている情報のうち、他人からの伝聞ではなく自らの行動に伴って直接的に得られた情報のことを1次情報という。一方、誰かが得た1次情報を伝聞やメディアを通じて知った情報は二次情報という。伝聞情報のうち情報源が不明なもの(噂話など)は三次情報と呼ぶことがある。

例えば、「10円玉をお酢に浸ける実験をしたらきれいになった」は一次情報、「雑誌に『記者が10円玉をお酢に浸ける実験をしたらきれいになった』と書いてあった」は二次情報、「友達から『10円玉をお酢に浸けるときれいになるらしい』という噂を聞いた」は三次情報ということになる。

1次情報が自らの活動で得る情報であるため信頼性が高く、目的に即した内容を得ることができる一方、調査結果を得るには調査を、実験結果を得るには実験を行わなければならず、情報を得るための手間やコストは大きい。二次情報は情報源によって信頼性がまちまちで、必要な情報をピンポイントで入手できるとは限らないが、大量の情報を低コストで集めることができる。

二次情報 【2次情報】

他の人や媒体から伝聞の形で得た情報。自らの体験や実験、調査などから直接得た「一次情報」(1次情報)と対比される。

自分が知っている情報のうち、他者から何らかの方法で入手した情報のことを2次情報という。一方、伝聞ではなく自らの行動に伴って直接得た情報は一次情報という。2次情報のうち、情報源、発信源がはっきりしない噂話などのことは三次情報として区別する場合もある。

例えば、「10円玉をお酢に浸ける実験をしたらきれいになった」は一次情報、「雑誌に『記者が10円玉をお酢に浸ける実験をしたらきれいになった』と書いてあった」は二次情報、「友達から『10円玉をお酢に浸けるときれいになるらしい』という噂を聞いた」は三次情報ということになる。

2次情報は情報媒体や書籍などの資料を通じて得ることができ、大量の情報を低コストで収集することができるが、情報源や媒体の信頼性はまちまちで、必ずしも信憑性の高い情報が得られるとは限らない。一次情報は自ら直接得る情報であるため信頼性が高く、目的に即した質の高い内容を得ることができるが、情報を得るための手間やコストは大きくなる。

クロスチェック ⭐⭐

確認や検証の精度や信頼性を高める手法の一つで、二つ以上の異なる方法や観点、資料などによりチェックを行うこと。

一つの観点や方法によるチェックでは見落としてしまいがちなミスを、別の手法や情報源で見直すことにより発見しやすくなることが期待される。一度だけチェックする場合よりも手続きが煩雑になり、期間や工数、コストが増大する。

ダブルチェック

同じ活動をしている二者が互いに相手の活動をチェックすることや、本人によるチェックの他に別の(立場の)人がチェックすることを指してクロスチェックということもあるが、これらは一般的には「ダブルチェック」(double check)と呼ぶことが多い。

メディア ⭐⭐⭐

媒体、媒質、伝達手段、中間などの意味を持つ英単語。“medium” の複数形。情報の伝達や記録に用いられる物体や装置、およびこれを利用して人に情報を伝達・配布する仕組みや事業、組織などを指すことが多い。

一般の外来語としては、人が人に情報を伝えたり広く報じるのに用いるモノや仕組みを指し、広義には電話や手紙、書籍、テレビ、映画、電子メール、Webサイトなど様々な伝達手段が含まれる。

狭義には、社会の不特定多数の人々に向けて広く情報を発信する「マスメディア」(mass media)のことをメディアと呼ぶことが多い。現代では日常的に多くの人が接するテレビ放送、ラジオ放送、新聞、雑誌の4つを指し、これを「マス4媒体」「4大メディア」などという。

マスメディアと同じように、インターネットを通じて広く一般に情報を発信、公開するネットサービスやWebサイトなどのことを「ネットメディア」「Webメディア」「オンラインメディア」などと呼ぶ。Webサイトやブログ、メールマガジン、動画配信サービス、動画サービス上のチャンネルなどが含まれ、マスメディア企業がネットメディアも並行して運用する例も多く見られる。

記録メディア・伝送メディア

ITの分野では、一般の用法に加え、データの記録・保管に用いる物体や装置を「記録メディア」、信号やデータを伝送するケーブルや内部の信号線、あるいは電波など伝送の媒介となる物理現象を「伝送メディア」という。

記録メディア(記憶メディアとも呼ばれる)の例としては、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光学ディスク(CD/DVD/Blu-ray Discなど)、フラッシュメモリ(SSD/USBメモリなど/メモリーカード)などがある。伝送メディアの例としては金属線ケーブル(銅線ケーブル/メタルケーブル)、光ファイバーケーブル、電波、赤外線、電子基板上の金属配線などがある。

マスメディア 【マスコミュニケーション】 ⭐⭐

不特定多数の人に同時に同じ情報を伝達できる媒体(メディア)のこと。また、その運営機関。「メディア」と略されることもある。マスメディアによる情報の一斉伝達を「マスコミュニケーション」(mass communication、マスコミ)というが、媒体や運営機関のことをマスコミということもある。

現代社会では一般に新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4つを指し、これらをマス4媒体(マスメディア4媒体、マスコミ4媒体)という。マスメディアに流れる情報が社会に大きな影響を与えることから、その影響力の大きさを国家権力になぞらえ、行政、立法、司法に並ぶ「第4の権力」と呼ばれることもある。

また、あまり一般的な用法ではないが、伝達する情報の種類が限られていたり、情報の発信主体が極めて細分化・専門化していたり、特定集団内や個人間のコミュニケーションに用いる情報媒体でも、全体としての普及率や接触率が高い場合にはマスメディアに含める場合がある。例えば、インターネット、書籍、映画、携帯電話、音楽・映像ソフト(CDやDVDなど)などをマスメディアの一部とする場合がある。

何がマスメディアとして機能するかは時代や科学技術、社会制度の変化によっても変遷し、例えば江戸時代の日本では立て札が一種のマスメディアであり、テレビ放送の開始前は映画館で時事の話題を映像で伝える「ニュース映画」を上映していた。現在ではインターネットがマスメディアの機能を持ち始めている。

多くの国で、マスメディアの運営や所有者について法制度によって一定の規制あるいは保護が行われている。特に、国民の共有財産である電波周波数を専有するテレビやラジオなどの放送事業については免許制とし、一定の要件を満たした事業者が当局の規制・監督のもと運営する制度となっていることが多い。

新聞や雑誌についても税制や郵便料金を優遇するといった措置が行われることがある。例えば、日本では新聞に消費税の軽減税率が適用され、郵便制度では定期刊行物向けの割安な「第三種郵便物」という区分が用意されている。統制主義的な国家ではマスメディアの運営を国が独占したり、報道内容の検閲など運営への国家の関与・介入が行われることが多い。

PDCAサイクル 【Plan-Do-Check-Act cycle】 ⭐⭐

業務プロセスなどを管理・改善する手法の一つで、計画→実行→評価→改善という4段階の活動を繰り返し行なうことで、継続的にプロセスを改善・最適化していく手法。

PDCAサイクルは4つのステップから成る。“Plan” (計画)では、目標を設定してそれを達成するための行動計画を作成する。“Do” (実行)では、策定した計画に沿って実際に業務を遂行する。“Check” (評価)では、実施した結果についての情報を集めて整理し、当初の目標や以前のサイクルの結果などと比較するなどして評価を行う。

“Act” (「行動」「処置」の意だが改善と訳されることが多い)は “Adjust” (調整)とも呼ばれ、評価を受けて問題点の洗い出しや成功・失敗の要因を分析し、プロセスや計画の調整、実施体制の見直しなどの処置を行なう。

“Act” まで一通りの活動が終わると、その結果を反映して再び “Plan” から一連の活動を行う。このP→D→C→Aの流れを継続的に繰り返すことを「PDCAを回す」などと言い、螺旋を描くようにプロセスの改善が行われることが期待される。

PDSサイクル (Plan-Do-See cycle)

循環的なプロセスの改善手法として、“Plan” (計画)→ “Do” (実行)→ “See” (評価)の3段階とする場合もあり、PDSサイクルという。

ブレインストーミング 【ブレスト】 ⭐⭐⭐

集団で行うアイデアの発想法の一つで、参加者が集まって会合を開き、思いつくまま次々自由にアイデアを発言し、互いに刺激し合ってより豊かな発想を促していく手法。

一人では考えつかないようなアイデアを導き出すために行われる会議で、結論を得たり決定を行うことは目的ではない。出た意見やアイデアは会議後に整理したり分析したりして、その後の過程に役立てる。

アイデアをより豊かで創造的なものにするための原則がある。「他の参加者の意見を否定・批判しない」「突飛・奇抜・乱雑・常識外れな意見も歓迎する」「質より量を重視する」「他の参加者の意見から連想したり自分の意見を加えて発展させる」の4つである。

1942年に大手広告代理店グループBBDO創業者の一人として知られるアレックス・オズボーン(Alex Faickney Osborn)氏が著書 “How to Think Up” で提唱したのが始まりとされる。ブレーンストーミングのように集団で創発的な活動を行う技法としては他にKJ法やバズセッションがよく知られる。

MECE 【Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive】

論理的思考のために用いられる概念の一つで、物事の分類や場合分けを「重複なく」(Mutually Exclusive)、「漏れなく」(Collectively Exhaustive)行うこと。また、分類法などが備えるそのような性質。

例えば、人間集団を分類するのに「0~6歳」「7~18歳」「19~34歳」「35~64歳」「65歳以上」という区分を用いれば、それぞれの項目には重なりがなく、この区分に該当しない人も存在しない。このような分け方をMECEという。

一方、「乳幼児」「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」「社会人」「高齢者」のように分けてしまうと、「社会人や高齢者の大学生」のように一人が複数の項目に当てはまる重複が生じ、一方で高専生や専門学校生、大学院生など当てはまる選択肢のない人が生じてしまう。この状態はMECEではない。

MECEによる基本的な分類技法として、全体を大きな区分に分け、各区分の中をさらに細分化していく「トップダウンアプローチ」と、最小の構成要素をリストアップして、組み合わせて大きなグループを構成する「ボトムアップアプローチ」の2種類がある。いずれの場合も、時間的(時系列的)な区切り、空間的な区切りなど分類の基準や切り口を明確にしておく必要がある。

大分類、中分類、小分類と段階的に細分化された区分を枝分かれする樹形図の形で表したものは「ロジックツリー」(logic tree)という。マーケティングやビジネス戦略の分析法の中にはMECEの概念を応用したフレームワークが数多くある。3C分析や4P分析、SWOT分析、PEST分析、バリューチェーン分析、製品ライフサイクル(PLM)、AIDMAなどである。

レポート 【リポート】

報告(する)、説明(する)、報告書、記録、議事録、報じる、知らせる、出向く、発表する、噂、世評、評判などの意味を持つ英単語。

ITの分野では、ソフトウェアの機能の一つで、蓄積されたデータに対して抽出・解析・集計などの処理を行い、表やグラフなどを用いて人間に見やすい形式にまとめた文書や画面のことをレポートということが多い。

あらかじめ指定された期間や項目、条件などに基づいて自動的に生成し、静的な画面やファイルなどとして利用者に提供するものが多い。PDFファイルなど汎用的なデータ形式でダウンロードしたり印刷できるようになっている場合もある。システムによっては対話的な操作に対応し、解析条件の変更や絞り込みなどをその場で行うことができるものもある。

フィードバック

外部との入出力のある系において、その系の出力の一部または全部を入力に戻すこと。生物学や経済学など様々な分野で見られる概念で、ITの分野では電子回路や制御システムの基本的な仕組みとしてよく知られる。

一般の外来語としては、ある活動の結果(に対する評価など)を、次の(同じ)活動に反映させること、あるいは、単に活動の結果をその主体(人や集団)に伝えることを意味する。例えば、製品の購入者にアンケートを取り、結果を開発者に知らせたり、製品の改良や次の企画に反映させる活動などをこのように呼ぶ。

システムの制御や自然界で見られる現象の場合、フィードバック入力の増減と出力の増減の間に一定の傾向が成立する場合がある。出力の増大を入力に反映させた結果、さらなる出力の増大が起きる仕組みを「ポジティブフィードバック」(positive feedback:正のフィードバック)と呼び、逆に出力の増大が出力を抑制する仕組みを「ネガティブフィードバック」(negative feedback:負のフィードバック)という。

トレードオフ ⭐⭐⭐

矛盾、二律背反、交換(条件)、妥協点、代償、見返り、取引、歩み寄り、折り合い、などの意味を持つ英語表現。ある物事について求められる複数の条件や要素などが、同時に満たしたり高めたりすることができない関係、すなわち「あちらを立てればこちらが立たず」の関係にあること。

例えば、列車の停車駅数を増やせば利便性は高まるが、比例して所要時間が伸びてゆく、といった関係のことを指す。日常的には、高品質な製品ほど高価格、収入増のため働く時間を増やすほど自由な時間が減るといった形で多く人が体感している。

ITの分野では、処理を高速化しようとすると記憶装置の占有容量が増える(時間と空間のトレードオフ)、音声や動画などのデータを不可逆圧縮すると圧縮率を高めるほど品質が低下していく、といったトレードオフがよく見られる。ビジネスにおけるコストと品質のトレードオフ(安かろう悪かろう)はシステム開発などITビジネスでも普遍的に見られる。

トレードオフは二者間の関係について言う場合が多いが、賃貸住宅の家賃・広さ・立地の関係や、情報システムの信頼性・性能・コストの関係のように、三者以上について、いずれか一つしか満たすことができない、あるいは、いずれか一つを諦めねばならない、といった形で現れる場合もある。

プロジェクタ

画像や映像を表示するディスプレイ装置の一つで、壁面などに設けられた平たい投影面に向かって光を照射して像を映し出す装置。大型スクリーンなどを用いて極めて大画面の表示を得ることができる。

コンピュータなどから受信した映像信号を筐体側面のレンズから強力な光線の束として照射する装置で、光を平たい面で受けると像を結んで表示内容が見える。ただの壁面でも表示できるが、布や樹脂などで作られた白色のスクリーン(幕)を用意することが多い。

映画の映写機と同じ動作原理であり、面自体が発光・発色して表示する液晶ディスプレイなどの装置に比べ低コストで巨大な表示面を得ることができる。大人数で同じ画面を見る必要がある会議や発表などの場でよく利用されるほか、機器の低価格化でホームシアターなどでの採用例も見られる。

主な種類

1970年代に実用化され、当初はテレビやモニターに用いられる「CRT」(陰極線管、ブラウン管)に表示された像をレンズで投影する「CRTプロジェクタ」が普及した。1990年代になると光源からの光を液晶パネルを通して投影する「液晶プロジェクタ」が実用化された。

2000年代には光源からの光を数百万の極微細な鏡(DMD:Digital Micromirror Device)を内蔵したマイクロチップに通して像を形成する「DLPプロジェクタ」(DLP:Digital Light Processing)が普及した。現在は液晶型とDLP型が主流となっている。高級機種には反射型液晶を内蔵した「LCOSプロジェクタ」(LCOS:Liquid Crystal On Silicon)も見られる。

SDGs 【Sustainable Development Goals】

国際連合で2015年に採択された国際的な開発目標。人類社会の持続可能性と開発の両立を目指すための17の目標から成る。

2000年に採択された前身のMDGs(ミレニアム開発目標)が2015年に期限を迎えたため、これに代わる開発目標として2015年に採択された。2030年までに達成すべき17の目標を示し、169の達成基準、232の指標が定められている。

17の目標は「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「安全な水とトイレを世界中に」「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤を作ろう」「人や国の不平等をなくそう」「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任、つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」「平和と公正をすべての人に」「パートナーシップで目標を達成しよう」で、優先順位などは特に設定されていない。

イメージマップ 【クリッカブルマップ】

Webページにリンクを配置する方式の一つで、一枚の画像の中で指定した領域ごとに異なるリンク先を設定できるもの。Webブラウザ側で処理する方式とWebサーバ側で処理する方式がある。

クライアントサイドイメージマップ

Webブラウザ側でリンク先を振り分ける方式で、単にイメージマップという場合はこの方式を指す。画像内に様々な形状の領域を設定し、それぞれに別のリンク先を設定することができる。

マップを設定するimg要素にはusemap属性でマップ名を指定する。マップの定義はmap要素で行い、img要素で指定したマップ名をname属性に記述する。map要素は子要素として画像内の領域を定義するarea要素を複数持つことができる。

area要素は領域の形状を指定するshape属性、頂点などの座標を指定するcoords属性、リンク先を指定するhref属性、代替テキストを指定するalt属性から成る。shape属性は「rect」(四角形)、「poly」(任意形状の多角形)、「circle」(円)、「default」(どの領域にも含まれていない外側)を指定できる。

例えば、<area shape="rect" coords="0,0,50,50" href="square.html"> のように指定すると、画像の左上端を原点として(0,0)と(50,50)を対角線とする四角形(この場合は50ピクセル四方の正方形)の領域から「square.html」へリンクする。

サーバサイドイメージマップ

ブラウザ側では通常の単一リンクとして機能するが、Webサーバ側にはURLの末尾に「/click.cgi?103,45」といったように画像内での座標が渡される。サーバ側では座標からどの領域がクリックされたか割り出し、コンテンツを出し分けたり適切なリンク先にリダイレクトを行う。

Webページ側ではimg要素に <img src="image.png" ismap> といった具合にismap属性(値は不要)を付加するだけで実現できるが、リンク先としてサーバ上に振り分け処理を実装したプログラムファイルを用意する必要がある。

KJ法 【KJ method】 ⭐⭐

多数の関連する情報群を分類・分析するための手法の一つ。小さなカードに項目を一つずつ書き出し、グループ化することで情報を整理する。

まず、手元にある情報やデータを小さなカードに一枚一項目で書き出し、広い場所にばらばらに置く。互いに関連が強い、あるいは同じ種類のものを集めてグループ化し、グループの見出しのカードを置く。数が多い場合はグループ同士を集めて大グループを作り、さらに何段階かこの作業を繰り返す。

グループ分けが完了したら、各グループ間の関連性が分かるようにグループを配置しなおし、別の紙にその様子を写しとる。そこに枠や線分、矢印などを書き入れ、それぞれの関連性を明らかにする。この図解を元にテーマを選定したり、文章化してまとめたりする。

1967年に東京工業大学教授で文化人類学者の川喜田二郎氏が考案したもので、フィールドワークで集めた知見を整理するための手法として開発された。「KJ」は同氏の氏名のイニシャルに由来する。製造業の品質管理の手法を体系化した「新QC7つ道具」の一つとしても採用されており、こちらでは「親和図法」の名称で知られる。

ロジックツリー

論理的思考のために用いられる作図法の一つで、対象を段階的に構成要素に分解していく様子を枝分かれしていく樹形図の形で示したもの。

物事の内訳や分類、問題の原因などを図示する技法の一つである。左端に大本の事象を書き入れ、そこから構成要素を右側に枝分かれさせる。各要素を細分化した要素をさらに右側に枝分かれさせ、この手順を繰り返して段階的に詳細化していく。

ある要素を構成要素へ分解する際には、細分化された要素をすべて足し合わせると左側の元になった要素全体を表すように心がける。このような分解法は「漏れなく、重複なく」という英語表現の頭文字をとって「MECEミーシー」(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)と呼ばれる。

ロジックツリーは様々な場面や対象に適用できる汎用的な技法で、構成要素に分解するものを「要素分解ツリー」(Whatツリー)、事象の原因を探求するものを「原因追求ツリー」(Whyツリー)、問題の解決策を探求するものを「問題解決ツリー」(Howツリー)と呼ぶことがある。組織の目標管理などでは「KPIツリー」もよく用いられる。

アローダイアグラム 【PERT図】

複数の要素の間を、それらの関係を意味する矢印で結んだ図。特に、複数の工程や手順の間の前後関係を矢印の向きによって表した図。

プロジェクトマネジメントではプロジェクトを構成する工程の前後関係を一覧して把握するために作成される。このような図を用いて計画や管理を行う手法を「PERT」(Program Evaluation and Review Technique)ということから、「PERT図」(パート図)とも呼ばれる。

複数の工程からなるプロジェクトでは、工程間に「前の工程が終わらないと次の工程が始められない」という依存関係が存在する場合がある。一方で、どちらを先に行っても良い、並列に進めても良いという関係になっているものもある。

PERT図では矢印が個々の工程を表しており、内容と所要時間を付記する。工程間に依存関係がある場合、間に丸印(◯)で表される「結合点」を挟んで矢印同士を連結する。プロジェクトの開始と終了も結合点として表す。すべての工程を配置すると、開始から終了までどの順序で工程を進めればよいか、どの工程を並列に進められるかを一覧できるようになる。

開始から終了までの間には、いくつかの経路が現れることがあるが、経路上の工程の所要時間を足し合わせていくと、それぞれの経路全体の所要時間を求めることができる。その中で最も所要時間が長い経路は、プロジェクト全体の最短工期を表しており、これを「クリティカルパス」(critical path)という。

クリティカルパスに現れない工程をどんなに急いでも工期は短縮しないため、遅延を防止したり工期を短縮するにはクリティカルパス上の工程に注力する必要がある。このようにクリティカルパスに着目してマネジメント活動を行う手法を「クリティカルパス法」(CPM:Critical Path Method)という。

ガントチャート 【Gantt chart】

プロジェクトの工程管理などで用いられる図表の一つで、縦に並んだ棒グラフの列で計画や進捗を視覚的に表したもの。各棒グラフが工程を表し、横方向が時間の経過を表している。

1910年代にアメリカの機械エンジニア、経営コンサルタントのヘンリー・ガント(Henry L. Gantt)が考案した図で、横軸に時間、縦軸に工程を並べた二次元の表を用意し、各工程の開始から終了までを帯として書き入れていく。

プロジェクトの開始時にはスケジュールを表す帯が並んでいるだけだが、時間が進むに従って工程の進捗状況や完了などが書き込まれていく。進捗度合いに応じて帯の色や柄を塗り分けて状況を視覚的に表現する場合もある。

表の左端に並んだ工程には場所や担当、開始日や終了日、見積もり工数などを書き入れたり、大項目から小項目へ階層状に分割して各工程の全体での位置が分かるようにすることがある。

工程間に依存関係(工程Aが終わらなければ工程Bに着手できないという関係)がある場合には前工程の終了と次工程の開始を矢印で結ぶが、複雑で大規模なプロジェクトでは矢印が交錯して直感的に把握しにくいという問題もある。

全体の計画や進捗をひと目で確認できる図法として現在も広く普及している。表部分に記載する項目や内容、グラフ部分に書き入れる注釈や進捗の表現方法などに様々なバリエーションがあり、分野や企業、部署によって異なる規約で運用される。

特性要因図 【魚骨図】

製品の品質管理などでよく用いられる図の一種で、対象の持つ特性とその要因と思われるものを階層的に図示したもの。ある事象がどのような要因に組み合わせによって成り、個々の要因がどのような要素に分解されるかを一覧することができる。

表記法にはいくつかのバリエーションがあるが、よく知られる一般的な手法では、特性を図の右端中央に大きく記し、その左に特性に向かう長い矢印を水平に引く。特性の要因と思われるものは図の上下に配し、それぞれ中央の長い矢印に向かって矢印を引く。

さらに各要因について、その要因や構成要素と思われるものがあるときは周辺に記し、矢印に向かって小さな矢印を引く。この作業を段階的に繰り返していき、より小さな要因へ分解していく。最終的には、支流が合流して大河となり海に注ぐように、無数の細かい要因が次第に大きな要因となって特性が生じている関係性が図示される。

特性要因図は中央の大きな矢印を魚の背骨に、そこに集まる各要因の矢印が肋骨になぞらえて「魚骨図」「フィッシュボーンチャート」などと呼ばれることもある。より実用的には、見やすさや付加情報の書き込みやすさなどから組織図やトーナメント表のように上から下に向かって枝分かれする表のような形式で作成されることも多い。

作業などの実施前に、想定される問題とその要因を列挙して対策を講じるために作成するものを「管理用特性要因図」、問題が発生した後に、その原因を検証するために実際に起きたことを元に作成するものを「解析用特性要因図」ということがある。

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