プライベートクラウド 【private cloud】

概要

プライベートクラウド(private cloud)とは、情報システムインフラサービスとして遠隔から利用できるようにしたクラウド環境のうち、企業などが自社システムでの利用のためだけに用意したもの。

クラウドコンピュータ記憶装置ソフトウェアなどの資源を通信ネットワークを通じて遠隔から必要なときに必要なだけ利用できるようしたシステム環境である。このうち、企業などが自社の業務システムなどを運用するために構築し、従業員や関連会社、取引先など限られた関係者のみがアクセスできるものをプライベートクラウドという。

一方、Webサービスの提供などのため、インターネットなどを通じて広く一般からアクセスできるクラウド環境は「パブリッククラウド」(public cloud)と呼ばれ、これとプライベートクラウドを組み合わせた環境は「ハイブリッドクラウド」(hybrid cloud)という。

プライベートクラウドのうち、従来の社内システムのように自社のデータセンターなどにクラウド環境構築したものを「オンプレミスプライベートクラウド」(on-premises private cloud)、パブリッククラウド事業者からクラウド環境を借り受けて外部からのアクセスを遮断し、自社専用として使用するようにしたものを「仮想プライベートクラウド」あるいは「ホステッドプライベートクラウド」という

仮想プライベートクラウド (VPC:Virtual Private Cloud/ホステッドプライベートクラウド)

プライベートクラウド環境のうち、専門のクラウド事業者などが運用するデータセンター内に自社専用の区画や機材を用意してもらい、これを借り受けて運用する方式。

必要な設備や人員を自社で調達・運用するオンプレミス型のプライベートクラウドは従来型システムと形態がほとんど変わらず、クラウド化による恩恵を受けにくいと言われる。

一方、仮想プライベートクラウドの場合には、すでに運用されているパブリッククラウドシステムの一部に自社専用の区画を借り受け、専用回線VPNで接続して操作・使用する。導入スピードやコスト面で有利であり、当該クラウド向けに提供されている対応ソフトウェア運用ツールなどを活用することもできる。

多数のグループ企業を抱える大企業などではオンプレミス型でも稼働率の平準化やスケールメリットなどを享受できるが、中小・中堅企業などでは仮想プライベートクラウドの人気が高い。

(2019.7.9更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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