VoIP 【Voice over Internet Protocol】
概要
VoIP(Voice over Internet Protocol)とは、インターネットなどのIPネットワークを通じて音声通話を行う技術の総称。電話網をコンピュータネットワークに統合したもので、専用の電話機やパソコン、携帯端末などから音声通話を利用できる。端末のマイクから取り込んだ音声信号をデジタルデータに変換し、IPネットワークを通じて通話先の端末との間でリアルタイムに送受信する。相手から受信した音声データをスピーカーやイヤフォンで再生することにより、電話のような双方向の音声通話を実現する。
相手方の指定や所在の探索、呼び出し(呼制御)、データ伝送の制御などを行う通信手順(プロトコル)が必要で、現在最も有力な方式はSIP(Session Initiation Protocol)を中心とする規格群である。電話交換機に相当する利用者間の取り次ぎ機能はSIPサーバなどが担当する。電話会社の公衆網とVoIPゲートウェイなどを通じて相互接続することもできる。
企業などの内線電話網をコンピュータネットワーク(LAN)に統合し、敷設・運用コストを削減する技術として2000年前後から普及し始めた。近年では、LINEやSkypeなどのインスタントメッセンジャーや各種のSNS上で利用者間の音声通話サービスが提供されるようになり、広義のVoIPの一種とみなされることがある。
通信事業者の公衆交換電話網(PSTN)をVoIP化したサービスもあり、「IP電話」(IP phone)と呼ばれる。光ファイバーによるインターネット接続サービス(FTTH)では光回線でVoIPを利用する、いわゆる「光電話」が標準的な音声通話サービスとなっている。携帯電話(移動体通信)でも、4G(第4世代)以降は通信方式をデータ網に一本化し、音声をデータ化して伝送する「VoLTE」(Voice over LTE)などの仕組みが整備されている。
なお、端末とのアクセスに無線LAN(Wi-Fi)を介するものは「VoWLAN」(Voice over WLAN)と呼ぶことがある。IPに限らず音声信号をデジタル化してデータ通信網で交換する通話方式を総称して「VoPN」(Voice over Packet Network)という。VoIPの他に、ATM(非同期転送モード)網を経由する「VoATM」(Voice over ATM)、フレームリレー網を経由する「VoFR」(Voice over Frame Relay)などが存在する。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 総務省 東北総合通信局「沿岸海域における効率的なワイヤレスブロードバンドシステムの技術的条件に関する調査検討会 報告書」(PDFファイル)にて引用 (2010年3月)