LSI 【Large-Scale Integration】 大規模集積回路 / LSIチップ / LSI chip

概要

LSI(Large-Scale Integration)とは、半導体の小片の表面に微細な電子部品や配線を大規模に集積した装置。歴史的にはIC(集積回路)のうち素子の集積度が数千ゲート(数万トランジスタ)かそれ以上のものを意味したが、現代では単にICの同義語、言い換え語として用いられるのが一般的。

集積回路ICIntegrated Circuit)とは、トランジスタや抵抗、コンデンサダイオードなどの多数の微細な電子部品とそれらを結ぶ金属配線を一枚の半導体基板の上に一体的に形成し、全体として複雑な機能を持たせたチップ(小片)状の電子部品である。

デジタル信号の処理や記憶などが可能で、マイクロプロセッサMPU/CPU)やマイクロコントローラMCU)、メモリセンサー、電源回路など様々な種類があり、コンピュータや電子機器の中枢部品として広く利用されている。

SSI/MSI/LSI

1960年代初頭に発明された初期のICは素子が数個程度のシンプルな構造だったが、1970年頃になると新たな製造技術などにより素子の集積度が飛躍的に向上し、一枚のチップに積載された部品の数で製品の世代やカテゴリーを表すようになった。

概ね論理ゲートの数が100~1000程度のものを「MSI」(Medium Scale Integration:中規模集積回路)、これを超え10万ゲート位までのものを「LSI」(Large Scale Integration:大規模集積回路)と呼ぶようになった。このとき同時に、初期の小規模なチップに「SSI」(Small Scale Integration:小規模集積回路)という区分を与えて後続世代と区別するようになった。

VLSI/ULSI

1980年代に入ると製造技術の微細化の進展で更に大きな規模の回路が生産できるようになり、ゲート数が10万を超えるものを「VLSI」(Very Large Scale Integration)、100万を超えるものを「ULSI」(Ultra-Large Scale Integration)と呼ぶようになった。

2000年頃になると100ゲートを超えるチップ開発されるようになるが、次第に回路規模による細かな区分は意識されなくなり、ULSIを超える区分は用いられなかった。

現代のLSI

現在では「LSI」の語はほとんどICと同義語のように使われるようになり、「高い集積度」という本来の意味合いはほぼ喪失している。ICの言い換え以外で「LSI」の呼称を一般的に用いるのは、複数の機能を一枚のチップに混載した「システムLSI」程度で、これも「SoC」(System-on-a-Chipの)という呼称に置き換えられつつある。

(2020.12.1更新)

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