JTAG 【Joint Test Action Group】 IEEE 1149.1
概要
JTAG(Joint Test Action Group)とは、半導体チップ(ICチップ)の検査用端子の仕様や端子を用いた検査手法の標準を定めた規格の一つ。仕様策定を行った業界団体の名前がそのまま規格名としても用いられている。近年の集積回路は高密度化、パッケージ化、多ピン化が進み、BGA(Ball Grid Array)のように従来手法では検査できない接続方式のチップも登場した。このため、チップにテスト用の入出力端子を設け、外部とシリアル通信する接続仕様としてJTAGが考案された。
基板上に並んだチップおよび各チップの内部の回路を数珠繋ぎ(デイジーチェーン)に接続し、ボード上の端子から外部の試験用の機器と通信を行う。この通信路を用いてプローブテストと同様の試験を行うことを「バウンダリスキャンテスト」(BST:Boundary Scan Test)と呼び、その基本的な方式についてもJTAG標準の中で定められている。
端子および信号線にはTDI(Test Data In)、TDO(Test Data Out)、TCK(Test Clock)、TMS(Test Mode Select)の4種類があり、クロック信号や入出力信号をやり取りすることができる。装置によっては追加でTRST(Test Reset)端子が利用可能な場合もある。
現在ではバウンダリスキャン以外にも、組み込み機器での制御プログラムのデバッグや、CPUの動作試験、FPGAの回路データの書き込みなどの用途にも用いられている。JTAG標準自体はごく基本的な通信手順などを定めているだけで、これらの応用のほとんどは各社が独自に定めた通信規格や専用のソフトウェアによって行われている。
JTAGの最初の仕様は欧州企業などを中心とするJETAG(Joint European Test Action Group)が1985年に策定し、IEEEによって1990年にIEEE 1149.1(Standard Test Access Port and Boundary-Scan Architecture)として標準化された。JETAGはその後米国勢の参加などからJTAGに改称し、以降は規格の通称としてJTAGが定着している。