TCO 【Total Cost of Ownership】 総所有コスト / 総保有コスト
概要
TCO(Total Cost of Ownership)とは、機器やソフトウェア、システムなどの入手、導入から使用終了、廃棄に至るまでにかかる費用の総額。ITの分野では情報システムの導入から破棄までにかかる総コストを表すことが多い。システムの開発や購入、導入などにかかるイニシャルコスト(初期費用)と、利用期間中の運用や保守、管理などにかかるランニングコスト、利用終了時の撤去や廃棄、後継システムへ引き継ぐための準備などにかかるコストなど、システムに関連する全期間にまたがる費用の総体を意味する。
従来、企業などが導入する製品の選定にあたっては、その購入価格や開発費などのイニシャルコストが重視されてきたが、初期費用が低廉でも運用や管理、廃棄に高額の費用がかかっては全体としては高コストになってしまうため、TCOの算出や見積もりを行なって比較するべきであるとする考え方が普及した。
見えにくいコスト
イニシャルコストは製品価格、開発委託料のような「見えやすい」コストが多い一方、ランニングコストには「見えにくい」コストが多くある。
保守契約の費用や消耗品の価格などは見えやすいが、不具合や脆弱性が多い低品質の製品だと、システム障害やサイバー攻撃などによる停止が頻発し、その対応コストに加えて業務が停止することによる逸失利益もコストとなる。
また、使いにくいシステム、分かりにくいシステムでは、利用者の教育・訓練コストやシステム部門のサポート対応コスト、誤操作による生産性の低下などのコスト増を招くことになる。これらは調達コストの安易な引き下げによって生じることも多いため、導入製品の選定や開発にあたっては運用時のコストを十分に見極めてTCOを最適化する視点が欠かせないとされる。
(2024.1.16更新)