KVMスイッチ 【Keyboard/Video/Mouse switch】 CPU切替器 / パソコン切替器 / コンソールスイッチ / サーバスイッチ

概要

KVMスイッチ(Keyboard/Video/Mouse switch)とは、複数のコンピュータを一組のキーボード(Keyboard)、ディスプレイ(Video)、マウス(Mouse)のセットから切り替えて操作できるようにする中継機器。多数のサーバを管理する施設など、すべてのコンピュータを常時対面利用する必要がない場合に有用である。

KVMスイッチには各一台ずつのキーボードディスプレイマウスを接続するコネクタがあり、USBPS/2VGADVIHDMIなど一般的な接続規格の装置を繋ぐことができる(対応コネクタは製品により異なる)。複数セットの入出力装置を繋いで複数人で同時に使用できる製品もある。

スイッチコンピュータ側のコネクタは接続可能なコンピュータの台数分だけ用意されており、USBポートVGAポートなどが複数セット設けられている場合と、単一のポートですべての入出力を扱う独自仕様のコネクタになっている場合がある。

単一ポートの場合はスイッチ側に同軸ケーブルLANケーブルUTPケーブル)などを接続し、ケーブルの反対側の末端には専用の分岐器(ドングル)を取り付けてコンピュータ筐体の各装置のコネクタに接続する。各装置の信号を一本のケーブルに重畳あるいは分離する処理はスイッチドングルが自動的にうため、入出力装置もコンピュータも特別な装置や仕様は必要ない。

個人用の製品は接続台数が数台のものもあるが、データセンターなどで用いられる業務用の製品は数十のコンピュータポートを備えた製品もある。さらに、複数のスイッチ間をケーブルでカスケード接続デイジーチェーン接続と称するメーカーもある)して連結することができる製品もあり、異なるフロアなど離れた場所にある数百台を切り替えて使用できる場合もある。

受動式(機械式)と能動式(電子式)

KVMスイッチは内部でポート間を接続・切り替える方式の違いにより、受動スイッチと能動スイッチに分類される。

受動式は内部の機械式スイッチで単純に電気的に繋ぎ替える製品で、安価だが数台程度の切り替えにしか対応しない製品がほとんどである。選択されていないコンピュータは入出力装置が物理的に繋がれていない状態となるため、起動時などに装置の認識に失敗する場合がある。

能動式は制御用の半導体チップが信号の中継をうもので、機械的な機構ではないため多数のコンピュータを繋げる製品もある。選択されていないコンピュータにも装置が繋がっているように振る舞うため、再起動などを繰り返しても構成が意図せず変更されてしまうといったことが起きない。

(2018.10.31更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。