GMT 【Greenwich Mean Time】 グリニッジ標準時

概要

GMT(Greenwich Mean Time)とは、イギリスのグリニッジ天文台における天体観測を元に定められた標準時刻。転じて、イギリスの標準時。かつて世界の標準時刻の基準として用いられてきたが、現在では地球の自転や原子時計を元に定められる協定世界時(UTC)にその役割を譲っている。

GMTはロンドンにあるグリニッジ天文台で太陽の運行を観測して定められる太陽時で、18世紀からイギリスの標準時刻として利用されてきた。当時は1日の始まりを正午とする天文時を指していたが、1925年に現代と同じ真夜中(正子)を基準とするよう変更された。

19世紀になると国際的な子午線の基準としてグリニッジ天文台を通るものを経度0度とする協定が結ばれ、各国の標準時はGMTに対して何時間進んでいるか、あるいは遅れているかで示された。日本標準時JSTJapan Standard Time)はGMTより9時間進んだもの(GMT+9)として定義された。

1960年代にセシウム原子時計や人工衛星などによる地球自転の観測を元にした新たな時刻の標準体系である「協定世界時」(UTCCoordinated Universal Time)の運用が始まり、国際的な標準時刻の定義や表記もUTCを基準とするのが一般的になった。JSTも「UTC+9」として定義されている。なお、現在でも「UTC+0」であるイギリス標準時のことを「GMT」と表記するほか、国際標準時という意味合いでGMTをUTCの同義語として用いることもある。

(2024.1.19更新)

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