TDD 【Time Division Duplex】 時分割複信
概要
TDD(Time Division Duplex)とは、無線通信などで同時送受信(デュプレックス通信)を実現する方式の一つで、通信方向を極めて短い時間ごとに反転させる方式。無線では同時刻に同一の周波数で両方向に通信することはできないため、TDDでは使用する周波数帯域を時間軸方向に細かく分割し、交互に送信と受信を繰り返す。この切り替えはミリ秒といった極短時間ごとに行われるため、人間には擬似的に同時に双方向通信しているように感じられる。
区切られた時間単位をタイムスロット(time slot)というが、切り替えを確実に行い、送信と受信の信号が混信しないようにするため、各タイムスロット間には無通信時間(ギャップタイム)が挟まれる。ある帯域を送信あるいは受信のみに使用する場合に比べ、このギャップの分だけ通信効率は低下する。
TDDの原理を応用し、一つの周波数帯域を複数の通信主体で短い時間ごとに切り替えて共有する多重アクセス方式をTDMA(Time Division Multiple Access/時分割多元接続/時分割多重アクセス)という。
これに対し、一つの周波数帯域を送信用と受信用に二分割して同時に送受信を行う方式を「FDD」(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)という。携帯電話/携帯データ通信のLTE規格では、TDDを用いる方式をTD-LTE、FDDを用いる方式をFDD-LTEという。
(2019.7.10更新)