UTC 【Coordinated Universal Time】 協定世界時
概要
UTC(Coordinated Universal Time)とは、世界の標準時刻の基準として用いられる時刻。原子時計によるカウントと地球の自転運動に基づく一日の長さの観測の両方を調整して決定される。現代で標準とされる単位系(SI単位系)では1秒の長さはセシウム原子の振動数を元に決定している。これに基づく時刻系として、地球の自転のみに基づく旧基準の1958年1月1日午前0時ちょうどからの経過秒数を原子時計(世界中の数百台の時計の測定結果の平均)で計測して決定した「国際原子時」(TAI:International Atomic Time)が運用されている。
一方、各国の天文機関の観測結果を組み合わせ、太陽の高度が最も高くなってから次に最も高くなるまで、すなわち正午から次の正午までを一日(太陽日)の長さとする「世界時」(UT:Universal Time)が運用されている。
現代では実際には太陽ではなく遠方の恒星を観測して計測することが多い。これは歴史的に世界の標準時刻として用いられてきた「グリニッジ標準時」(GMT:Greenwich Mean Time)と同様の、地球の自転により起きる現象を観測した結果を元に決定される時刻系である。
閏秒
UTCでは毎秒のカウントには原子時を用いるため、わずかずつ不規則に変動する世界時とのズレが大きく開くことがある。これを補正するため、両者のズレが1秒未満になるよう、1秒単位でUTCを進めたり遅らせたりする「閏秒」という仕組みが運用されていた。
これは、潮汐運動による地球自転へのブレーキ効果や周期的な要因により世界時が常にわずかずつ不規則に変動しているために行われる調整で、現代社会は太陽時に合わせて運営される一方、1秒の長さには物理的な普遍性・正確性が求められることによる。これまでの累計で27秒が挿入されてきたが、2023年に廃止が決まり、以降は閏秒による調整は行われないことになっている。
(2024.2.28更新)
関連用語
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この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 日本製薬工業協会「ICH E2B(R3)実装ガイド説明会 E2B(R3)の概要」(PDFファイル)にて引用 (2011年7月)