PoC 【Proof of Concept】 概念実証 / コンセプト実証

概要

PoC(Proof of Concept)とは、新しい概念や理論、原理などが実現可能であることを示すための簡易な試行。一通り全体を作り上げる試作(プロトタイプ)の前段階で、要となる新しいアイデアなどの実現可能性を示すためだけにわれる、不完全あるいは部分的なデモンストレーションなどを意味する。

新たな発見や技術、今までにないアイデアや手法、あるいは既知の要素についての試されたことのない組み合わせについて、机上の理論や構想に留まらず、具現化や実用化、応用、導入などが可能であることを実地で検証するプロセスを指す。

PoCは原理が実装可能であることを示し、計画の次の段階への進行や投資の可否を関係者が判断することを目的にわれる。成果物は核心部分のみのシンプルな構成であり、それ自体を元に実際の製品の試作品や完成品が作られることは少ない。

ビジネス上のプロジェクトの場合、コストや費用対効果、現状や他社との比較といった商業的な価値の検討はPoVなど別の工程に分けてうことが多いが、これも含めてPoCとして実施する場合もある。

PoCは先端的な科学技術研究や工業製品の研究開発、大規模な商業プロジェクトわれ、特に、基礎とする理論や構成要素が複雑、巨大で机上の検証では不十分なもの(航空機開発など)、実地での試行以外で効果や影響などを確かめるのが難しいもの(新薬など)、現物には多大なコストと期間が必要なため小規模な実証で出資者や関係者の理解を得る必要があるもの(映画製作など)でわれる。

ITの分野では、業務への新しい機器やシステムの導入、システム開発への新技術や新手法の適用、コンピュータセキュリティにおいて新たに発見された攻撃手法が実地で機能することを示す実証プログラム(PoCコード)などでよく知られる。

PoV (Proof of Value:価値実証)

ある製品や技術、仕組みなどが、企業の業務や事業に導入する価値があるかどうかを検証することを「PoV」(Proof of Value)と呼び、日本語では価値実証、事業化検証、導入前検証などと訳される。

例えば、あるシステムを業務に導入するか否かを検討する際に、実際に短期間、一部の業務に試験的に導入してみて、既存の仕組みと優劣を比較したり、コストに見合った価値を得られるかを実証する。PoCは「実現可能か否か」が関心事であるのに対し、PoVでは「ビジネス上の意義があるか」に注目する。

(2020.11.20更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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