マルチプラットフォーム 【multi-platform】
概要
マルチプラットフォーム(multi-platform)とは、あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)を、複数の異なる仕様の機種やオペレーティングシステム(OS)で同じように動作させられること。また、入出力装置などコンピュータの周辺機器を、複数の異なる機種に繋いで使用できること。ソフトウェアをマルチプラットフォーム対応とするための主な手法は二つある。一つは、同じソースコードなどを元に、対応するそれぞれのプラットフォーム向けの実行可能なプログラムを生成し、「Windows版」「macOS版」のように、それぞれに対応するパッケージとして別々に提供する方式である。商用のソフトウェア製品ではこの方式でマルチプラットフォーム化する例が多い。
もう一つは、様々なプラットフォームに対応したプログラム実行環境が用意されているプログラミング言語などを用いてソフトウェアを開発する方式である。そのような実行環境には仮想マシン(VM:Virtual Machine)やインタプリタなどが含まれる。
開発に用いた言語などの実行環境が提供されているプラットフォームであれば、同じ配布パッケージをどこでも同じように動作させることができる。独自の仮想マシンを実行環境とするJava言語で開発されたソフトウェアや、JavaScriptやPythonのような、いわゆるスクリプト言語で記述されたプログラムなどがこれに含まれる。
また、ビデオゲームの分野でマルチプラットフォームのゲームソフトという場合には、ゲームとしての内容は実質的に同じ(同一タイトル)だが、ソフトウェアとしてはまったく異なるものを機種ごとに別々に開発する方式を指すことが多い。ゲーム専用機は機種によって機能や性能、内部の装置の種類や構成、操作方法など根本的な部分が大きく異なっていることが多いためである。
クロスプラットフォームとの違い
分野によっては似た概念として「クロスプラットフォーム」という用語が用いられることがある。マルチプラットフォームの同義語とする場合と、異なるプラットフォーム向けの同じソフトウェア間で、何らかの通信や連携などが可能であることを指す場合がある。後者の意味で用いる例はビデオゲーム業界に多い。
例えば、同じタイトルのPlayStation 5(PS5)用、Nintendo Switch用、PC(Windows)用などをそれぞれ開発して発売するのがマルチプラットフォーム、PS5版プレイヤーとSwitch版プレイヤーの間で通信対戦や協力プレイしたり(クロスプレイ)、PC版とSwitch版でセーブデータを共有(クロスセーブ)するのがクロスプラットフォームにあたる。