cuDNN【CUDA Deep Neural Network library】

深層学習(ディープラーニング)では、大量データを処理するために膨大な数値計算が繰り返し実行される。特に画像認識で多用される畳み込み演算は計算量が大きく、CPUだけでは処理に長時間かかる。
一方、GPUは多数の演算コアで並列処理を効率的に実行することができるため、この種の大量の計算に向いている。cuDNNは畳み込み、プーリング、バッチ正規化、活性化関数といった深層学習の主要演算を、同社のGPU製品上で最大限に効率よく動かせるよう最適化されたソフトウェア実装を提供する。
cuDNNは単独で使うのではなく、「TensorFlow」や「PyTorch」といった深層学習フレームワークの内部から呼び出される形で利用されるのが一般的である。フレームワークがcuDNNの関数を呼び出すことで、開発者はGPUの詳細な制御を自力で記述しなくても、高速な演算を実現できる。GPU向けの最適化コードをゼロから書くのは高度な専門知識を要するが、cuDNNがその部分を担うことで、研究者やエンジニアはモデル設計に集中できる。
cuDNNを導入することで、機械学習プロセスが効率化され、モデルの学習時間が大幅に短縮される。規模によっては数日かかる処理が数分の一以下になる場合もある。同社から新しいGPU製品が登場する度に更新され、Tensorコアなど同社製GPUの最新機能を活用するための最適化も随時提供されている。
AI開発環境ではGPUドライバ、CUDA、cuDNN、フレームワークを順に導入する構成が標準的で、cuDNNはその中間層として深層学習の実行基盤を支えている。利用には同社へのユーザー登録が必要だが、無償で入手できる。同社のGPUとCUDAの利用が前提となり、米AMD社製のGPU環境には「MiOpen」など似た機能を提供する別の選択肢が存在する。