W52/W53/W56
概要

無線局免許などを取得しなくても自由に使える周波数帯域(ISMバンド)として、2.4GHz帯や5GHz帯などが開放されており、電子レンジや無線LAN(Wi-Fi)など電波を発する市販の電子機器に使われている。5GHz帯は2.4GHz帯と比べて干渉が少なく高速通信に適しているが、日本ではすべての周波数を自由に使えるわけではない。
5GHz帯は気象レーダーや航空管制レーダーといった既存の無線システムにも使われているおり、これらとの干渉を避けるため複数の区分に分けて管理されている。「W52」「W53」「W56」はその区分を表す日本独自の呼称で、それぞれ複数のチャンネルで構成される。
W52は5.15〜5.25GHzの帯域を使用し、36ch、40ch、44ch、48chの4チャンネルで構成される。屋内での使用のみが認められており、屋外での利用は禁止されている。レーダーとの干渉リスクが低い帯域であるため、DFS(Dynamic Frequency Selection)と呼ばれるレーダー回避機能の適用が不要である点が特徴だ。
W53は5.25〜5.35GHzの帯域で、52ch、56ch、60ch、64chの4チャンネルである。こちらも屋内限定での使用となる。ただしW52とは異なりDFSの適用が義務付けられており、レーダー波を検知した場合はチャンネルを自動的に切り替える動作が求められる。この切り替えが発生すると一時的に通信が中断されるため、ルータの設置環境によっては接続が不安定に感じられることがある。
W56は5.47〜5.725GHzの帯域を使用し、100chから140chの間にある8チャンネルで構成される。3つの区分の中で最もチャンネル数が多く、帯域幅も広い。屋内、屋外ともに使用が認められており、屋外設置のアクセスポイントにも対応できる唯一の区分である。DFSの適用は必須であり、レーダー検知時のチャンネル切り替えはW53と同様に発生しうる。
Wi-Fiルータの設定画面でチャンネルを手動指定する際や、法人向けの無線LAN設計を行う際には、これらの区分と制約を把握しておくことが必要となる。特に、屋外にアクセスポイントを設置する場合はW56以外の選択肢がなく、区分の理解が適切な機器選定と法令遵守に直結する。