Vim
概要

Vimはコンピュータでテキストを編集するためのソフトウェアである。文字入出力で対話的に操作するターミナル画面上で動作し、画面表示や操作が軽快なため、ソースコードの作成や設定ファイルの編集といった用途で、主にプログラマやシステム管理者などの間で利用されている。
グラフィカルな操作画面(GUI)を持つエディタとの最大の違いは、マウスなどを使わずキーボードのみで全操作を完結できる点にある。カーソル移動から文字入力、削除、コピー、ファイル操作までをキーボードのメイン領域にあるキーのみで行えるため、手をホームポジションから離さずに高速な編集作業が可能である。
この操作体系を支えているのが「モード」という概念である。Vimには「ノーマルモード」「インサートモード」「ビジュアルモード」「コマンドモード」などがあり、同じキーがモードごとに異なる意味を持つ。起動直後はノーマルモードになっており、文字を入力するにはインサートモードへの切り替えが必要である。
ファイル選択などを除き原則としてメニューから項目を選択する方式の操作法は用意されておらず、キーボード上のほぼすべてのキーが何らかの編集コマンドに割り当てられている。操作を組み合わせて「3行削除」「単語単位の移動」といった複合コマンドを表現できるほか、正規表現を用いた高度な検索・置換や、操作を記録して繰り返すマクロ機能も備える。
設定や拡張の自由度が高い点も上級者の支持を集めている特徴の一つである。「.vimrc」と呼ばれる設定ファイルへの記述でキーマッピングや表示を変更でき、世界中の開発者が公開するプラグインを導入すれば、構文強調表示やコード補完など、統合開発環境(IDE)のコードエディタに近い機能を追加することも可能である。
Vimの前身は1976年にビル・ジョイ(William N. Joy)氏が開発した「vi」であり、Vimはこのviとほぼ互換を保ちながら多くの機能を追加している。1991年にオランダの開発者ブラム・ムールナー(Bram Moolenaar)氏が最初のバージョンを公開し、その後もコミュニティによる改良が続けられてきた。viはPOSIX規格に基づいて開発されているため多くのUNIX系OSで利用でき、Vimはそのviをベースとしているため、Vimの操作を習得すればほとんどのUNIX系環境でテキスト編集を行うことができるようになる。