読み方 : ピーエムケー
PMK【Pairwise Master Key】
概要

PMKは認証プロセスの中で生成される。家庭や小規模オフィス向けのWPA2/3パーソナル(PSK方式)では、事前に設定したパスフレーズとネットワーク識別子(SSID)をもとに「PBKDF2」と呼ばれる関数で算出される。同じパスフレーズを持つ端末はすべて同じPMKを共有する。
一方、企業向けのWPA2/3エンタープライズ(IEEE 802.1X方式)では、RADIUSサーバを用いたEAP認証が完了した時点で生成され、認証サーバとAPの間で共有される。認証の度に端末ごとに異なるPMKが生成され、同一組織内であっても他の端末の通信を傍受することが構造上できなくなる。
PMKはそのまま通信の暗号化に使うわけではない。接続の度に「4ウェイハンドシェイク」と呼ばれる手順が実行され、端末とAPの双方が生成した乱数とPMKをもとに「PTK」(Pairwise Transient Key)という暗号鍵が導出される。実際のデータ暗号化にはこのPTKが用いられる。接続ごとに異なるPTKを生成することで、仮にある回の通信の鍵が解析されても、他の回の通信の安全性が直ちに損なわれることはない。
一度確立されたPMKは「PMKキャッシュ」として端末に保持できる。端末が別のアクセスポイントへ移動して戻った際、認証手順全体をやり直すことなく迅速に再接続できる。「OKC」(Opportunistic Key Caching)や「PMKID」を用いたキャッシュとして実装されており、移動に合わせて建物内のAPを渡り歩く「ローミング」(roaming)時の接続速度の改善に活用されている。
(2026.6.18更新)