PC-9800シリーズ【PC-9801】PC-9821
概要
PC-9801シリーズ
初代PC-9801は、同じくNEC製のパソコン、PC-8801シリーズの後継機種として1982年10月に発売された。これは同社初の16ビットCPU(米インテル社の8086)を搭載したパソコンで、漢字など日本語文字の字形データ(フォント)を記録したメモリ(ROM)をあらかじめ搭載しており、日本語が扱いやすかった。
PC-9801向けに有力なワープロソフト「一太郎」が発売され、オフィスへの個人用端末の普及に伴ってビジネス向けパソコンとして広く普及した。他社製品より市場シェアが優位になると有力なゲームタイトルなども投入されるようになり、個人向け、家庭向けとしても標準的な地位を確立した。
1980年代から90年代前半にかけて、CPUを当時最新の「80286」や32ビットの「i386」などに切り替えながら性能向上を重ね、上位機種の「PC-H98」シリーズや工場向けの「FC-9800」シリーズなどの派生ブランドも投入された。セイコーエプソンはPC-9800向けソフトウェアがそのまま動作する互換機「EPSON PC」シリーズを独自に開発して発売し、知的財産権を巡ってNECと法的紛争となった。
PC-9821シリーズ
1992年11月には、マルチメディア機能を強化した後継シリーズの「PC-9821」シリーズが登場した。これは、Windowsの登場などでマルチメディア機能の強化が世界的な趨勢となり、主にグラフィック関連の仕様を刷新したシリーズである。
当時すでに日本以外の市場ではほぼ業界標準となっていた、米IBM社製PCの互換製品群、いわゆる「PC/AT互換機」の設計や部品なども取り込み、世界標準への歩み寄りも見せたが、過去の機種との互換性のためにNEC独自の設計を捨てることはなかった。
終焉
1995年のWindows 95発売の頃から、日本にも海外メーカーの安価なPC/AT互換機が本格進出をはじめた。また、NECとの競争に敗れ、すでに独自仕様のパソコン製品シリーズを終焉させていた日本の大手電機メーカー各社も、こぞってPC/AT互換機を開発・投入し始めた。
当時のWindowsはすでに漢字ROMなしでも十分実用に耐える日本語環境を持っていた。また、世界で広く使われていた定番ソフトや、PC-9800シリーズ向けの有力なソフトも次々Windowsに移植された。このため、過去のソフトウェア資産の活用以外に、PC-9800シリーズを選択する理由は希薄となっていった。
1997年にNECは独自仕様路線を完全に捨て去り、PC/AT互換機「PC98-NXシリーズ」を発表した。その後も「LaVie」シリーズを投入するなど大手Windowsパソコンメーカーとして事業展開したが、2011年にパソコン事業は分社化され、世界的な大手の中国レノボ(Lenovo)社との合弁事業となった。
