Net-SNMP
概要

パッケージにはSNMPエージェントとして動作するデーモンプログラム(snmpd)、トラップを受信・記録するデーモン(snmptrapd)、管理側から情報を照会するコマンドツール群、開発向けライブラリが含まれる。
SNMP(Simple Network Management Protocol)は被監視側の「エージェント」と監視側の「マネージャ」の二者が通信する仕組みで成り立つ。エージェントは監視対象の機器に常駐し、CPU使用率やメモリ使用量、ネットワークトラフィックなどの情報を「MIB」(Management Information Base)として管理する。マネージャからの問い合わせに応じてこれらの情報を返すほか、機器に異常が発生した際は「SNMPトラップ」と呼ばれる通知をマネージャへ自発的に送信する。
Net-SNMPはSNMPv1、v2c、v3の3バージョンすべてに対応しており、IPv4とIPv6の両方をサポートする。v1とv2cはSNMPコミュニティ名による簡易的な認証を用いるのに対し、v3では利用者認証と通信内容の暗号化が利用できるため、セキュリティ要件の高い環境ではv3の使用が推奨される。管理側のコマンドツールとしてはsnmpgetやsnmpwalk、snmpsetなどがあり、管理者がコマンドラインから機器の状態を確認したり設定を変更することができる。また、外部スクリプトの実行結果をSNMP経由で取得するなど、独自の監視項目を追加する拡張機能も備えており、一般的なサーバ監視から組込み機器まで様々な環境に対応できる。
Red Hat Enterprise LinuxやSUSE Linux Enterprise Serverをはじめ多くのLinuxディストリビューションが標準で採用しており、ZabbixやCactiといった統合監視ツールのバックエンドとして組み合わせて使われることも多い。プロジェクトの起源は1992年にカーネギーメロン大学(CMU)で開発されたSNMPツールキットにさかのぼり、カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)に引き継がれて「UCD-SNMP」として整備されたのち、2000年ごろに「Net-SNMP」と改称された。現在はGitHub上でソースコードが公開・管理されており、コミュニティによって継続的に開発が続けられている。