読み方 : エヌアールゼット

NRZ【Non-Return-to-Zero】非ゼロ復帰

概要

NRZとは、デジタル信号の符号化方式の一つで、1ビットの区間中に信号レベルが基準値(ゼロ)に戻らない方式。デジタル通信回路で広く用いられている。
NRZのイメージ画像

デジタル通信では、「0」と「1」からなるビット列電気信号や光信号として伝送する際に、何らかのルールで信号レベルに変換する必要がある。この変換方式を「伝送路符号」(ラインコード)という。NRZはその中でも最も基本的な方式の一つで、例えば、「1」を高い電圧、「0」を低い電圧に対応させ、1ビットの期間中はその状態を保持し続けるという単純な仕組みである。

信号が一度高くなれば、次のビット期間が来るまでゼロに戻らないため「Non-Return-to-Zero」(ゼロに戻らない)という名称がついている。極めて単純な原理であるため、回路設計が容易で、同じ帯域幅あたりの伝送効率が高い。1ビットあたり1回の信号変化で済むため、実装コストを抑えやすく、初期のシリアル通信規格やストレージ接続インターフェースに広く採用された。

一方、同じビット値が長く続く場合、信号レベルが変化しない時間が長くなり、受信側がクロック(タイミング信号)を同期させにくくなるという問題がある。これを「DCバランスの乱れ」や「クロック同期の困難さ」と呼ぶ。例えば「1」が100ビット連続した場合、受信側はその区切りを信号波形だけから判断できなくなる。

こうした欠点を補うために、NRZを改良したいくつかの派生方式が存在する。例えば、「NRZI」(Non-Return-to-Zero Inverted)は、ビット値に応じて信号を反転させることでクロック同期の問題を緩和する。また、「8b/10bエンコーディング」のように、データにあらかじめ特定のパターンを付加することで、長い連続ビットを避ける手法もよく用いられる。現代の高速シリアル通信規格であるUSBPCI Expressなどでは、こうした改良技術と組み合わせてNRZの原理が応用されている。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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