MLO【Multi-Link Operation】マルチリンクオペレーション
MLOとは?

これまでのWi-Fi規格では、仕様としては複数の周波数帯に対応していても、接続時にはそのうちのいずれか一つを選んで使用する。周囲の電波状況が悪化して通信が途切れたり、混雑によって速度が低下したりしても、別の周波数帯へ切り替えるには一度接続を切り直すなどのロスが発生していた。
MLOでは複数の帯域を束ねて扱うため、単位時間あたりのデータ伝送量(スループット)が向上する。特定の帯域が混雑や干渉の影響を受けていても、トラフィックを別の帯域に即座に振り分けることで遅延や通信断を回避できる。いずれかの帯域で接続が途絶した場合でも、他の帯域が有効であれば通信を継続できる。この制御はオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションからは透過的に行われるため、利用者や上位のソフトウェアが意識する必要はない。
MLOには複数の動作モードがある。「STR」(Simultaneous Transmit and Receive)は複数リンクで同時に送受信できる方式で、最大限の性能を引き出せるが、帯域間の電波干渉が少ない組み合わせでなければ動作しない。「NSTR」(Non-Simultaneous Transmit and Receive)は干渉が問題になる帯域の組み合わせでも使えるが、送受信のタイミングを調整する必要がある。用途によっては、一方のリンクを低遅延通信向け、他方を大容量通信向けに割り当てる使い方もある。
MLOが仕様として整備された背景には、高解像度の動画配信、オンラインゲーム、VR機器など、低遅延と高スループットへの要求が同時に高まったことがある。Wi-Fi 6以前にも複数帯域を切り替える技術は存在したが、同時通信を前提とした統合的な制御ではなかった。MLOを利用するにはアクセスポイントと端末の双方が対応している必要があり、対応機器は2024年前後から市場に出回り始めている。